この世界は悲しみに満ちている   作:スターダイヤモンド

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あぁ無情(最終話)

 

 

 

 

 

海未 :「さて…ふたりとも、これまでの話に何か反論はありますか?」

 

 

 

モブA :「…いえ…」

 

モブB :「…なにも…」

 

 

 

希  :「花陽ちゃんに嫌がらせをしていたことを認めるんやね?」

 

 

 

モブA :「…だいたい、合ってます…」

 

モブB :「…ただ…小泉さんを本当に殺そうなんてことは、これっぽっちも…それだけは信じて下さい!」

 

モブA :「…μ'sから抜けてくれれば…それで良かったんです…」

 

モブB :「…はい…」

 

 

 

真姫 :「あんたたちになんの権利があってそんな…」

 

 

 

穂乃果:「ねぇ…ふたりはμ'sのことが好きだ…って言ってくれたよね?」

 

 

 

モブA :「…はい…」

 

モブB :「…はい…」

 

 

 

穂乃果:「ことりちゃんのことも好きなんだよね?」

 

 

 

モブA :「…はい…」

 

モブB :「…それは、もう…」

 

 

 

ことり:「…だったら…かよちゃんがμ'sを辞めたら…私が悲しむことは考えなかったのかなぁ?」

 

 

 

モブA :「えっ…」

 

モブB :「あっ…」

 

 

 

にこ :「私が…じゃないでしょ!」

 

真姫に:「私たち全員が…でしょ?」

 

 

 

ことり:「うん、そうだね!」

 

 

 

希  :「恋は盲目って言うても、行きすぎるとこんなんなってしまうんやね…」

 

にこ :「花陽…アンタがもっと早く、みんなにちゃんと話してれば、ここまで面倒臭い話にならなかったのに…」

 

凛  :「ごめんね、かよちん…凛、こんなことになってるとは、全然知らなくて…」

 

海未 :「いえ…凛だけではありません。私たちもあなたに何か異変があることに気付いていながら、今の今まで何も出来なかったのですから…」

 

 

 

花陽 :「…みんな…」

 

 

 

にこ :「でも…よく、その嫌がらせに耐えて頑張ったわ…褒めてあげる!それでこそアタシの一番弟子よ。アンタなりにμ'sを守ろうとしてくれたことなんでしょ?」

 

 

 

花陽 :「にこちゃん…」

 

 

 

絵里 :「もし花陽が素直に話してしまったら、ふたりはどうするつもりだったのかしら?」

 

希  :「確信があったんやろうな…花陽ちゃんの性格やら、μ'sの現状やらを考えたら…問題を大きくするハズない!って」

 

凛  :「本当に卑劣にゃ」

 

 

 

にこ :「言っておくけど…アンタたちふたりがどう思ってるかは知らないけど…アタシたちはねぇ…この9人だからμ'sなの!誰かひとり欠けてもダメなの!!ヤツに、μ'sが好きだなんて言って欲しくないわ!」

 

 

 

花陽 :「にこちゃん…」

 

 

 

にこ :「当然でしょ」

 

絵里 :「それより…問題は…」

 

にこ :「どうやって落し前を付けるか?ってことね?」

 

希  :「罪に問うとするならば…脅迫罪と窃盗罪…ってとこやろうな…」

 

 

 

モブA :「…あぅ…」

 

モブB :「…うぅ…」

 

 

 

海未 :「花陽に精神的苦痛を与えていたのなら、傷害罪も適用されるのではないでしょうか?」

 

真姫 :「いずれにしても刑罰は免れないわね」

 

 

 

モブA :「…あ、あの…すみませんでした…」

 

モブB :「小泉さん、ごめんなさい…」

 

モブA :「…本当に…本当に…ごめんなさい…」

 

モブB :「もう、二度とこんなことはしないから…」

 

 

 

凛  :「そんなこと言っても許せるわけないにゃ!」

 

 

 

モブA :「…本当にすみません!…こ、これからは心を入れ換えて、もっともっとμ'sを応援しますから…」

 

 

 

にこ :「応援なんてしてもらわなくて結構よ!!」

 

 

 

モブB :「いえ、裏方でもなんでも手伝いますので…どうか…」

 

 

 

にこ :「むしろ、一生関わらないで欲しいわ」

 

 

 

希  :「う~ん…まぁ…現実的な話として…刑罰云々は大袈裟なんかなぁ…」

 

海未 :「…はい…」

 

にこ :「まぁ、コイツらのことを許すつもりなんてサラサラないけど…正直なところ、こんな時期に警察沙汰になっても迷惑なだけだし」

 

真姫 :「ラブライブもそうだけど、学校の評判もガタ落ちになるわね」

 

絵里 :「折角の入学志望者も、いなくなることも考えられるわ」

 

穂乃果:「そんなぁ…せっかく廃校を阻止したのに…」

 

海未 :「そういう意味では、花陽はよく耐えてくれました」

 

希  :「ほんまやねぇ」

 

海未 :「となりますと…ふたつにひとつかと…。このまま、花陽の我慢に免じて不問に付すか…学校に報告して判断を仰ぐか…」

 

 

 

ことり:「残念だけど…学校はもう知ってるよ♡」

 

 

 

一同 :「!!」

 

 

 

ことり:「…学校というよりは、おかあさ…理事長は…だけど」

 

 

 

海未 :「あぁ、そうでした。ことりが報告していたのでしたね」

 

穂乃果:「今日のことも?」

 

 

 

ことり:「先生が『おにぎりが散乱してました】…って、理事長に報告が上げたから…。まさかと思ってカメラを確認したら、そっちの娘が映ってたの…。先生たちにはまだ知らさえてないけど…」

 

 

 

絵里 :「なるほど。…それで、理事長の判断は?」

 

 

 

ことり:「被害にあったのは小泉さんなんだから、彼女がどうしたいのかが大事だ…って。教育者として、この状況に目を瞑るわけにはいかないから、本来なら親を呼び出すなどして、適正に処分することが望ましいけど…」

 

 

 

にこ :「適正に処分する?」

 

海未 :「停学ですか」

 

にこ :「まぁ、そんなことしなくても、この話が学校に広まれば、勝手に辞めていくだろうけど」

 

真姫 :「よっぽどの神経をしてない限り、普通に通うことなんて出来ないもの」

 

にこ :「かと言って…あとで逆恨みされても困るのよのよねぇ。私たちが辞めさせた…みたいになってもイヤじゃない」

 

 

 

ことり:「それは大丈夫じゃないかなぁ?そんなことはしないよね?だって逆にこの映像を世に晒されたら…二人の人生終わっちゃうもん♡…それくらいはわかるよね?」

 

 

 

モブA :「…はい…」

 

モブB :「…もちろんです…」

 

モブA :「…ですから、どうかこの件は…」

 

モブB :「…本当に許してください…」

 

 

 

凛  :「どうする?かよちん」

 

 

 

花陽 :「…さっきも言ったんだけど…花陽に辞めて欲しい…とか…ことりちゃんと仲良くするな…とか言われたことは、もう、どうでもいいんだ。デブって言われたことも…自覚してることだし」

 

 

 

凛  :「そんなことないよ!どう考えても希ちゃんの方が…」

 

希  :「ん?凛ちゃん?」

 

凛  :「おっと、口が滑ったにゃ…」

 

 

 

花陽 :「でもね…でもね…おにぎりを捨てたことだけは、絶対許さないんだからぁ!!」

 

 

 

一同 :「!!」

 

 

 

花陽 :「それだけはどんなに謝っても許さないよ!!今回のこの無礼な振る舞いは、おにぎりを作ってくれたお母さん!精米してくれたお米屋さん!八十八の手間暇掛けて、お米を育ててくれた農家のみなさん!!私に対してでなく、このおにぎりに携わったすべての方々に対する冒涜です!!」

 

 

 

希  :「気持ちはわかるけど…」

 

絵里 :「熱くなりすぎじゃないかしら…」

 

 

 

花陽 :「…この恨み、晴らさず置くべきかぁ!…です」

 

 

 

真姫 :「花陽!」

 

凛  :「か、かよちん…ちょ、ちょっと落ち着くにゃ」

 

 

 

花陽 :すちゃ

 

 

 

穂乃果:「あれ?ポケットから何か出したよ」

 

絵里 :「折り鶴?」

 

海未 :「花陽の特技は折り紙であることは知っていますが…あれをどうするつもりでしょう」

 

にこ :「構えたわ」

 

 

 

希  :「はっ!…あ、あれは『折り鶴の結花』や!」

 

 

 

一同 :「折り鶴の結花?」

 

 

 

希  :「昔、そんなドラマがあったんよ。金属製の折り鶴を飛ばして武器にして戦う女子高生の…」

 

 

 

穂乃果:「えっ!?じゃあ、あの折り鶴も?」

 

 

 

花陽 :「いけぇ!!」

 

 

 

一同 :「あっ!」

 

 

 

ひゅっ!

 

 

 

モブA :「うそっ!」

 

モブB :「嫌ぁ!」

 

 

 

ひょろひょろひょろ…

 

ぽとん

 

 

 

一同 :「えっ?」

 

 

 

一同 :「…」

 

 

 

一同 :「…」

 

 

 

花陽 :「あはは…さすがに普通の折り鶴じゃダメだったみたいですねぇ」

 

ことり:「う~ん…やっぱり重さが足らなかったのかな?」

 

花陽 :「リリアンの方が良かった?」

 

ことり:「ビー玉じゃないかな?」

 

花陽 :「今度試してみよう」

 

ことり:「うん」

 

 

 

にこ :「どういうこと?」

 

絵里 :「私たちは何を見ているのかしら」

 

海未 :「ことり、説明してもらえますか?」

 

 

 

ことり:「説明もなにも…かよちゃんと、あのふたりを懲らしめる機会を窺ってたんだぁ。それがたまたま今日だっただけで…」

 

花陽 :「いつかやるだろうなぁ…とは思っていたけど、まさか本当におにぎりに手を出すとは思いませんでした」

 

ことり:「ね?」

 

 

 

海未 :「…それは…なんとなくわかりましたが…」

 

にこ :「いや、なに納得してるのよ!アタシたちが訊きたいのは、最後の下手なコントは何?ってことなんだけど」

 

 

 

花陽 :「へっ?真面目にやったんだけど…上手くいかなかったなぁ…ただ単に…練習不足です!」

 

ことり:「こんなに早く来るとは思わなかったから、ぶっつけ本番だったもんね♡」

 

花陽 :「はい。イメージトレーニングはバッチリだったんですけどね」

 

 

 

にこ :「…あっそ…」

 

海未 :「あれで成敗するつもりだったのですか?」

 

 

 

穂乃果:「えっと…じゃあ、さっきのことりちゃんの怖いセリフは演技?」

 

凛  :「凛、おしっこちびりそうだったにゃ」

 

 

 

ことり:「どうかなぁ?」

 

 

 

穂乃果:「いや、そこはお願いだから『演技』って言ってよ」

 

絵里 :「あれが本性だったら怖すぎるわ」

 

 

 

海未 :「それで…花陽は、このふたりをどうするつもりですか?」

 

 

 

花陽 :「そうだねぇ…今後、私たちに関わることもなく、お詫びがてらお米農家のみなさんのお役に立てることって言ったら…」

 

 

 

一同 :「…」

 

 

 

花陽 :「一生、案山子として田んぼに立ってもらうことだね!」

 

 

 

モブA :「…かかし…」

 

モブB :「…って、あの…かかし?…」

 

 

 

花陽 :「それ以外になにがあるのかな?ふたりが案山子になれば、もう誰とも話さなくていいだろうし、誰の迷惑も掛けないよねぇ」

 

 

 

凛  :「かよちん?」

 

真姫 :「花陽?」

 

 

 

ことり:「いい考えだね♡…そうしたら…ことりがふたりに、お似合いの衣装を作ってあげるね♡やっぱりかすりの着物に麦わら帽子がいいのかなぁ…」

 

 

 

穂乃果:「ことりちゃん?」

 

海未 :「ことり?」

 

 

 

花陽 :「さぁ、どこがいい?新潟?山形?北海道かな?」

 

 

 

モブA :「…あわわ…」

 

モブB :「…うぅ…」

 

 

 

ことり:「それとも…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花陽 :「…地獄に行く?…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この世界は悲しみに満ちている

~完~

 

この作品の内容について

  • 面白い
  • 誰が犯人だ?
  • 可もなく不可もなく
  • 犯人がわかった
  • つまらない

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