この世界は悲しみに満ちている   作:スターダイヤモンド

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新たなる上履き

 

 

 

 

 

 

凛  :「さぁ!今日も部活、頑張るぞ!オー!!…って…このセリフ、昨日の朝のコピペかにゃ?」

 

真姫 :「知らないわよ…」

 

 

花陽 :「ぴゃあ!?」

 

 

凛  :「かよちん!?」

 

真姫 :「今度は何?」

 

 

花陽 :「花陽の靴箱に…上履きが入ってます…」

 

 

凛  :「?」

 

真姫 :「それのどこが変なの?」

 

 

花陽 :「花陽は昨日、真姫ちゃんに言われたとおり、上履きをおうちに持って帰りました。夜のうちに洗って…まだ干してあります」

 

 

真姫 :「あっ…」

 

凛  :「…ってことは…誰のにゃ?…」

 

 

花陽 :「…片方は…かかとに『ERI』…と書いてあります…」

 

 

真姫 :「片方は?…って…えっ、左右別々なの?」

 

 

花陽 :「もう片方は…『東條』…と…」

 

 

凛  :「それって…」

 

 

真姫 :「絵里と希の?」

 

 

花陽 :「はわわわ…どうして絵里ちゃんと希ちゃんの上履きが、花陽のところに!?どうして、ねぇ、どうしてなの?」

 

 

 

凛  :「かよちん…」

 

 

 

花陽 :「真姫ちゃん、どうして私のところに、ふたりの上履きが入ってるの!?」

 

 

 

真姫 :「花陽!少し落ち着きなさい!」

 

 

 

花陽 :「うぅ…ぐすっ…どうして…」

 

 

 

真姫 :「ふたりはもう学校に来てるのかしら?凛、ちょっと電話してもらっていい?来てれば片方無くて困ってるだろうし、来てなくても先に知らせなくちゃいけないし…」

 

凛  :「う、うん!わかったにゃ!」

 

真姫 :「私は少しここを離れるわ。花陽を落ち着かせてくる」

 

凛  :「お願いするにゃ!」

 

 

 

 

真姫 :「…どう?…少し落ち着いた?…」

 

花陽 :「…うん…もう大丈夫…さっきはあまりに予想外のことが起きて、混乱しちゃっただけだから…」

 

真姫 :「そう…よかったわ…」

 

 

 

希  :「おっ!ここにおったん?」

 

 

 

真姫 :「希!」

 

 

 

希  :「えりちもおるよ」

 

絵里 :「おまけみたいに言わないでよ」

 

 

 

花陽 :「あ、あの…この度は…」

 

 

 

希  :「ストップ!」

 

 

 

花陽 :「!?」

 

 

 

希  :「それ以上言うたらアカンよ!花陽ちゃんはな~んも悪くないんやから」

 

絵里 :「その通りだわ。私たちに謝ったりするのは筋違いよ」

 

 

 

花陽 :「すみません…」

 

 

 

希  :「大丈夫やって。ウチらはまだ登校前だったから、被害の『ひの字』も出てへんよ」

 

絵里 :「そう、希が途中まで来て『枕を忘れた』って戻っちゃうから」

 

希  :「ん?それはことりちゃんやって。ウチが置いてきちゃったのは…えりちへの愛やで」

 

絵里 :「まぁ…」

 

真姫 :「何、くだらないこと言ってるのよ!!絵里もそんなことで、顔を赤らめないでよ」

 

花陽 :「ぷふっ!」

 

希  :「くだらないとか、そんなこととか、失礼やなぁ…ウチのえりちへの愛は…」

 

真姫 :「どうでもいいから!」

 

絵里 :「と、とにかく希が忘れ物の私も付き合って、家まで戻ったから、学校に着くのがいつもより遅くなったの」

 

希  :「そういうことやね」

 

絵里 :「そうしたら凛から電話があって…」

 

希  :「幸い、もう片方は、ちゃんとウチらのところに入ってたよ」

 

花陽 :「そうですか…よかったです…って、そういえば凛ちゃんは?」

 

絵里 :「ことりのところに行ってる」

 

花陽 :「ことりちゃんのところに?」

 

希  :「一応な…ことりちゃんのお母さんには、伝えておいた方がいいやろうから…」

 

花陽 :「そうですよねぇ…」

 

真姫 :「それにしても…不幸中の幸いだったわね」

 

 

 

絵里 :「?」

 

 

 

真姫 :「あなたたちが、いつも通りに学校に来て…片方無くなってる…ってなったら、ちょっとした騒ぎに発展してた…でしょ?」

 

希  :「そやねぇ…少なくとも、そこらじゅうを探し回るやろね」

 

真姫 :「それがひとりならず、ふたりも無くなってるのよ。いくら絵里と希であっても、冷静ではいられないんじゃないかしら」

 

 

 

絵里 :「…」

 

 

 

真姫 :「一番の心配は、そんな様子を私たち以外の生徒に見られること。そして最悪の結果が…花陽の靴箱からそれが見つかった…と知られること」

 

絵里 :「その通りね」

 

真姫 :「だから、ふたりが登校する前で、それを未然に防げた…ということが不幸中の幸いだと思ったわけ」

 

絵里 :「ハラショー!」

 

希  :「スピリチュアルやね」

 

花陽 :「あはは…」

 

希  :「ウチ、自分でいうのもなんやけど、ラッキーガールやん!危機回避能力が高いんやろね」

 

真姫 :「…そうかもしれないわね…。今回だけはそういうことにしておくわ…」

 

希  :「それにしても…この生徒会コンビにちょっかい出そうなんて、いい根性してるわぁ。えりちが怒ったらどれだけ恐いか、あとで目に物言わせてあげようぞ」

 

絵里 :「ちょっと、どうして私を引き合いに出すの?」

 

希  :「えりちのバックにはKGBが…」

 

絵里 :「いません!!朝から、なにくだらないことを言ってるのよ!ほら、急がないと朝礼が始まるわよ」

 

希  :「ほ~い!」

 

絵里 :「花陽、とりあえず今は落ち着きなさい。今後どうするかは、またあとで考えるとして…」

 

真姫 :「私たち以外の人には、他言無用よ」

 

花陽 :「は、はい!わかりました」

 

絵里 :「いい返事だわ…さぁ、急ぐわよ!このままだと本当に遅刻扱いになるわ」

 

希  :「生徒会長として、遅刻はできんよね?」

 

絵里 :「あなたも副会長でしょ!…というか、元々、希が忘れ物なんてしなければ…」

 

希  :「仕方ないやん!お金なかったら、お昼食べられへんのやもん」

 

 

 

 

真姫 :「希の忘れ物ってお財布だったのね」

 

花陽 :「うん、そうみたいだね」

 

 

 

 

~つづく~

 

 

 

この作品の内容について

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  • 可もなく不可もなく
  • 犯人がわかった
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