実力主義のこの世界では、絢辻詞は拳と策謀で想いをつたえる~アマガミ×エクストリーム(序)絢辻詞編   作:vwview

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三章 少女絢辻詞 金城との出会い
第十二話


都内某所――とある上流階級主催のガーデンパーティーの場に絢辻詞はいた。

 

海運グループ会長との事件の後、(しばら)く彼女の精神的な影響に配慮して、社交の場に出る事は差し控えられていた。

 

(おおやけ)には「体調不良により暫く休養」とされていたので、会う人々は皆、久々の「天使」の登場に再会や全快を心から喜ぶ言葉を投げかけていく。それに対して少女 絢辻詞も、完璧な笑顔で挨拶を返す。しかし、内心では溜息を洩らしていた――ここに居る(ほとん)どの大人達は、彼女をただ、可愛らしい少女としてしか見ていない。しかし、周りをよく注意して見れば、明らかに自分を性的な対象として見ている視線がいくつも確認できた。

 

(こんな、狼の群の真ん中で、今まで何も気が付かずに過ごしていたなんて……。)

 

自分の迂闊(うかつ)さに、落ち込むのを通り越して、怒りさえ覚える程だった。その手の性癖の輩には、恐らく海運グループ会長との顛末(てんまつ)は「かなり」正確に伝わっているに違いない。要するに、爺さんは失敗(しくじ)った――自分達にはまだ手の付いていない、青い果実を食べるチャンスがあると。

 

権謀術策(けんぼうじゅっさく)の力を得たとは言っても、所詮(しょせん)子供騙(こどもだま)しだ。相手はいくらペドフェリアの人格破壊者(笑)だとしても、この上流階級の集まる場に招待されているからには、数々の謀略や策謀で、ライバルを蹴落とし勝ち残ってきた猛者達である事はいうまでも無い。小さな自分が到底、(かな)う相手ではないのだ。絢辻詞は実際的な対抗手段を得る事――格闘術の習得を、可能な限り秘匿しつつ――が急務と感じていた。

 

(うさぎ)の件で、若い男使用人を罠に()めた時もそうだったが、絢辻詞は誰に教わる(まで)もなく「情報」の重要性について理解していた。此方(こちら)の手の内を如何(いか)(さら)さずにおくか、格闘技術においては尚更(なおさら)重要であると確信している。しかし習得する為には先ず、師匠を探さなくてはならない。秘匿以前に、少女には習う事すらままならなかった。

 

ある日の早朝――――。

 

静まりかえった屋敷の中を絢辻詞は思案しながら、あてもなく歩いていた。最近、考えなくてはならない事が多くて余り良く(ねむ)れていない。今朝も起床時間までベッドの中で悶々としているよりはと、早々に身支度(みじたく)を整えて自室を後にしてきたのだ。

 

――もう一層(いっそ)の事、通信教育の格闘入門講座にでも申し込もうかしらと自虐的な事を考えながら、屋敷二階の奥廊下に差し掛かった時、外から何か物音が聞こえた。廊下に面しているのは裏庭だった。絢辻詞はそっと、窓から裏庭の様子を(うかが)う。

 

裏庭で痩身(そうしん)の男が独り、武術のトレーニングをしているようだった。年の頃は三十歳半ば、背丈は百八十センチくらい。一見痩身に見えたが、どちらかと言えば、無駄を削ぎ落とし、良く鍛錬された体躯と言った方が正確かもしれない。

 

「――かねしろ、とかいったかしら?」

 

絢辻詞は二階の窓の端から、男の横顔を見下ろし記憶を辿(たど)る。たしか、姉の身辺警護として新たに加わった金城という男だ。男の動作は、素人目に見てもかなり素早く洗練されているように見えた。

 

「ほう――」

 

絢辻詞は、更にその男が繰り出すあまり見た事がない動きに興味をそそられた。金城などと、如何(いか)にも偽名(ぎめい)ぽい姓を名乗っているのだから、中国系かもしれない。恐らく本名は、(キム)何某(なにがし)とか言うのだろう。

 

しかし、これは千載一遇(せんざいいちぐう)のチャンスかもしれない――絢辻詞は、金城の動きを食い入る様に見つめ続けた。

 




「金城(かねしろ)」のイメージは、そのまま、若い頃の金城武さんでw
本文のなかでは、金城の姓を、「如何にも偽名」なんて書いちゃいましたが、金城武さんは、ご本名なので念の為。風評被害を起こさないようお願いしますよ。

前回の補足と独り言:
絢辻さんについてよく、裏と表や、黒辻さん、白辻さんと二極化して扱われたり、表現されていたりします(まぁ、インパクトありますし、モチーフとしてはその方が分かりやすいし、扱いやすいのは理解出来ます)が、個人的には絢辻さんはそんな白黒はっきりつけられる様な、単純な女の子では無いと思っていたりします(これはアマガミのキャラ達全員に言える事ですが)
前の話で、この世界における、絢辻さんの表の顔と、裏の顔が何故誕生したか語られましたが、裏の顔も実は本当の自分(素顔)では無い事に、あえて言及してみました。
どうも猫を被っていた、表の顔の化けの皮が剥がれてでてきた裏の顔は、本性だと思われている節が多々見受けられますが、果たしてそうでしょうか?
原作ゲームのスキbesルートだけだと黒白二極に感じられますが、なかよしの猫かぶりカミングアウトルートの絢辻さんだと、黒、白の間くらいな感じがあったり、最後の告白エピソードのセリフを深読みすると、そう単純では無いと感じられたりもしそうです。
まぁとにかく一つ確かな事は、コイツ何こんなトコで熱く語ってんだ?キモっ!って事ですw
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