実力主義のこの世界では、絢辻詞は拳と策謀で想いをつたえる~アマガミ×エクストリーム(序)絢辻詞編 作:vwview
クライアントとのプライベートな接触はプロとして慎むべきだが、その日、
「――詞お嬢様は格闘技に興味がおありですか?」
そろそろ引き上げ時と、腰を上げ掛けていた絢辻詞は、よもや声を掛けられると思っていなかったのか、驚いた表情でこちらを見つめ固まっている。金城は少女を怖がらせないよう、努めて笑顔で続けた。
「よく見にいらっしゃるのでそうなのかと思いまして」
少女は居住まいを正し、少し考えあぐねるような仕草をした後、ぽつりと口を開いた。
「かねしろさんは、おつよいのでしょう?」
「――え?」
「ひとをまもれるくらい、つよいってどんなかんじ?」
「強さ――ですか」
格闘技の体捌きなど、見た目の面白さに興味を惹かれたのだろうと、無邪気な返答を予想していた金城は、少女が返した言葉に意表を突かれた。そして、少女は少し
「じぶんをまもるのも、むずかいしのに……。すごいわ」
「…………」
もう行かなくてはと、スカートの乱れを正すと絢辻詞は、天使と見まごう微笑と完璧なお辞儀をしてその場から居なくなった。
金城は、絢辻詞が去った後も
金城は周囲の者に、絢辻家の姉妹について聞き込みをした。絢辻家の姉妹は、幼少の頃からその美しさと礼儀作法、立ち振る舞いの完璧さで、上流社会の社交の場では、かなりの有名人――名物姉妹なのだそうだ。
今自分が担当している姉の方は、少女から女性にと、更なる美しさの高みに登りつつある成長期のようで、特に少女に興味が無い金城でさえ、
しかしながら、それは外観だけであって、内面はと言うと、当初この娘は精神に問題があるのでは無いかと、金城が
常に心ここにあらずといった感じで、
これで、学校生活の方は大丈夫なのかと思ってしまうが、成績の方はというと、名門大学付属の一貫校で幼少の頃から学年トップの座を誰にも譲った事がない才女というから驚きだ。パーソナリティとしてはエキセントリックに見えても、周りに迷惑を掛けると言った言動も無い。社交の場での振る舞いも完璧。ちょっとふわふわとした世間知らずな振る舞いは、逆に愛嬌があるお嬢様というのが世間が持つ彼女の印象だった。
日本ではこう言ったパーソナリティの持ち主の事を「天然」という便利な言葉で好意的に受け止めるようだった。確かに、日常会話は噛み合わないが、警護上の約束事については一度で理解し、同じ事を繰り返し伝え直した記憶が、金城には皆無だった。
警護に支障が無いので、金城はそれ以外については無関心を装った――警護のプロとして、クライアントのプライベートに干渉するのは慎むべきというポリシーからだが――しかし、実際に会った印象と、客観的に見た振る舞いがどうにも一致しない。彼女の本心が掴みきれない点に違和感があるのは事実だった。
一方、次女の絢辻詞はというと「天然」な姉とは対照的に、利発な印象の少女だった。何事にもコツコツと地道に研鑽を積む優等生タイプらしく、幼少の身ながら、身の周りの事は、
確かに、
親の教育の賜物と言えばそれまでだが、様々な要人の警護をしてきた金城の経験からすると絢辻詞――いや、この家の姉妹はかなり異質だ。
これまで警護したどの家庭の子供も、外では自分の立場を