実力主義のこの世界では、絢辻詞は拳と策謀で想いをつたえる~アマガミ×エクストリーム(序)絢辻詞編 作:vwview
ある日の修練の時、絢辻詞はいつになく沈んだ表情だった。
「雇い人なら、簡単だ。辞めさせればいい」
「あたしのおもいちがいかも……。
まわりのひとにはなしても、きっと、きにしすぎといわれるだけだわ」
少女は困ったような、寂しそうな顔をこちらに向けた。
「――かねしろさんも、あのはなしはきいているのでしょう?」
「…………」
海運グループのオーナーとの件を言っているのだろう。どうやらあの事件の
「かねしろさん――おねがいがあるの
たんとうのおしごとではないけれど……」
絢辻詞の相談は、金城が絢辻詞の担当ではない事は重々承知しているが、それとなく自分の身の周りも見守ってほしいという事だった。
「かってなこといって、ごめんなさい……。
でも、ほかにたよれるひとがいなくて」
「仕事としては受けられない」
「…………」
金城の返答に、絢辻詞はかなり落胆した様子で、
「でも、大切な友達のお願いとして、受けさせてもらうよ。是非」
少女は俯いていた顔をぱっと上げた。金城はその顔に優しく微笑み返す。
「ありがとう……」
「友達が困っていたら助けるのは当たり前だろう?」
「――ともだち」
絢辻詞は、心から安堵した表情で、胸の前で両手を重ね合わせ、金城の言葉を噛み締めているようだった。
金城が絢辻詞の身辺を見守るようになって数日が経った――。
少女には業務の合間の時間のみ。いつでも傍で見守れる訳ではないという条件を伝えてある。それでも、自分の事を誰かが見守ってくれているという事実が彼女を安堵させているようで、たまに目が合うと、はにかんだ笑顔をこちらに向け嬉しそうな顔をする。
はたして、少女の云うことが事実がどうか
それにしても、絢辻家の家庭環境はちょっと異質というか、異常だ。姉の警護は、金城を含め6人体制であるのに対して、絢辻詞には誰一人付いていない。まだ年頃では無いという事を差し引いても極端だ。そもそも、誘拐といった犯罪に巻き込まれる可能性は歳が小さい方が高いのだ。
一度、セキュリティ部長にそれとなく進言した事があるが、小学生の時から周りに警護がごたごたと付くと、交友関係に影響がでるとかなんとかで、結局やんわりと却下された。それが絢辻家の主の方針であるというのなら