実力主義のこの世界では、絢辻詞は拳と策謀で想いをつたえる~アマガミ×エクストリーム(序)絢辻詞編 作:vwview
「俺は仮にもプロですし、特にこの業界は、約束事、契約に
「まぁそうでしょうね」
「今、俺は絢辻家と契約しています。そこで詞お嬢様と契約するとなると……。これは、二重契約になってしまいます」
「――そんなの……」
「いやいや。詞お嬢様が思っている以上に、この業界は掟が厳しいのです。二重契約をしている事が知れた時点で、この業界では生きていけません」
「…………」
絢辻詞は寝間着の
「あ――これでは、強姦魔にされようと、されまいと俺はこの業界では生きていけません。特に絢辻家には、恩も借りもございませんから、詞お嬢様にお
まるで舞台俳優のように大袈裟な
「あ、あなた!犯罪者になってもいいというの」
「確かに。前科が付くというのは
金城はくるりと振り向いて絢辻詞の方を見ると、人差し指を顔の前に立てた。
「こういうのはいかがでしょう。一度、絢辻家からお暇を
「うん、それよ!そうなさい」
「――しかしそうなりますと、俺は絢辻家に自由に出入りすることが出来なくなりますが、さて……詞お嬢様、
「…………」
絢辻詞は顔を真っ赤にして押し黙った。
金城の虚言を
先程までの鬼気迫る策謀家の姿は見る影もなく、すっかり意気消沈してしまった少女の姿を見て、金城はこのくらいにする事にした。
本来なら、もっと早くに切り上げて退室してしまっても良かったのだが、金城には気になる事が一つあった。
「詞お嬢様……」
「――なに」
今回の絢辻詞の謀略は金城に出会った時からと考えても、膨大な時間と労力を掛け、緻密に策を練ってきた事が容易に想像できる。それが
長い時間と労力を掛けた計画が破綻した時、「こんなはずでは無い」「まだ終わっていない」と現実を受け入れられず、
それに比べて目の前の少女、絢辻詞の態度は実に理性的で見事だった。帝王学を学んできた絢辻家の娘としての品格なのか、それとも――あまり関係性は良くないようなので、本人に言っても喜ばれないと思うが――リアリストな絢辻家当主の天性の素質を少女が色濃く受け継いるからかも知れない。
実際、金城にドアの鍵を掛けさせた所までは完全に少女の術中に
金城は少女が座っているベッドの
「――詞お嬢様。このように策を
「べ、別に助けてほしいなんて言って…ない……」
少女の声のトーンは語尾に行くに従って弱々しくなった。
「なに意地を張っているのですか。詞お嬢様と金城は友達ではありませんか」
「え、だって、それは……」
金城は静かに首を左右に振って、絢辻詞に最後まで言わせなかった。
少女はため息を一つすると、観念して肩の力を抜き、ぽつりぽつりと語りはじめた。