実力主義のこの世界では、絢辻詞は拳と策謀で想いをつたえる~アマガミ×エクストリーム(序)絢辻詞編 作:vwview
少女の語る半生はある意味、壮絶としか言いようが無かった。東南アジアのスラムで生まれ育った
物心つく前からの徹底した「躾け」によって、全ての行動が絢辻家、親のためだけの生活だった。そして、その事に全く疑念を持つ事無くこれまで過ごしてきたという。絢辻詞はそれを「洗脳」と言った。この言葉を一般的には親の過干渉に対する、比喩的表現として使われる事が多々あるが、絢辻家の場合は、客観的にみて、正にそれと表現するのが適切と思われた。
「親にとって、周りのものはみな自分の為の道具なの。それは家族といえども変わりはない。ううん、身内な分だけ扱いはより酷いかも」
海運グループ会長による強姦未遂の件も、大物とのパイプ強化の為に仕組まれたのだと絢辻詞は断言した。普通なら親が実の娘に対してそんな事をする訳がないと一笑に付す所だが、金城がこれまで絢辻家で感じてきた違和感からするとあながち間違いとも思えないのだった。
「――だから、あたしには自分を守るための力が必要だったの」
「それで、俺の弱みを握って、用心棒に引き入れようとしたわけだ」
「ううん。それはそれで有難いけど、護られてるだけでは、あなたが傍に居ない時、あたしは無力のままでしょう?だから、あなたから格闘術を教えてもらいたかったの」
「ええっ」
自ら体術を修得する為だったとは――これには、金城もさすがに意表を突かれた。大人である金城の力を利用する為に策を
「なるほどね……」
「もしかして、あなたの体術は門外不出だったりするの?」
金城の煮え切らない表情を見て絢辻詞が疑問を口にする。
「い、いや別にそういうものではないですが、詞お嬢様は、女の子ですし……」
「だからこそ、必要としているのよ」
絢辻詞の口調は静かだったが、金城を真っ直ぐに見つめる眼には熱がこもっていた。
金城は考えあぐねた。確かに少年だった頃の自分が底辺のスラムから這い出す事が出来たのは、格闘術を修得したお陰と言えた。金城と絢辻詞は生まれも育ちも全く違うが、置かれている境遇は酷似していた。
「ねぇ。あなた、本当に少女に興味はないの?」
「え、なんだって」
金城は思案に
「だから、あなたはペドフェリアではないの?」
「は?」
「自分で言うのも何だけど、その筋で、あたしは相当に価値が高いそうよ」
「いったい何を……」
絢辻詞は一瞬、躊躇するような仕草をした後、意を決したように金城を上目遣いで真っ直ぐに見つめた。
「もし……あなたが、あたしのお願いを聞いてくれるなら――あたしをあげる」