実力主義のこの世界では、絢辻詞は拳と策謀で想いをつたえる~アマガミ×エクストリーム(序)絢辻詞編   作:vwview

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第二十四話

それから(しばら)くたった、ある日の午後――金城(かねしろ)は、絢辻詞の姉に挨拶をする為、彼女の自室の前に来ていた。

 

絢辻詞に思い切り蹴られた(すね)がまだ少し痛む。

 

あの夜、絢辻詞と金城との間で「密約」が成立した。「秘密ですよ」という金城の言葉に「それで済むなら、二重契約とか言わずに最初からそうすれば良かったじゃない。あたしを(たばか)ったわね」と絢辻詞は不満顔だったが、金城を引き込むという当初の目的は果たせたので、金城の脛を蹴り飛ばして納得する事にした様だった。

 

この密約によって、金城が行動しやすいよう体制変更を画策する必要性ができた。絢辻詞は、この件については姉と話をしてみると言ったが、金城は、あの現実離れした天然の姉に、到底何か出来るとは思っていなかった。なので、警護対象の担当配置替えの辞令が下りた時には正直、驚きを隠せなかったのだ。

 

ドアを数回ノックするが返事はない――返事が無いのはいつもの事だ。「失礼します」と声を掛けて、金城は部屋に足を踏み入れた。当然ながら、ドアは開け放したままだ。

 

絢辻詞の姉――絢辻縁は、窓際に設置された一組(ひとくみ)のテーブルセットの椅子に腰掛け、テーブルに(ひじ)をついて窓の外を眺めている。こちらからは、表情を(うかが)い知る事はできない。金城が入ってきた事にも気が付いているかどうかすら怪しい所だが、そんな事を一々(いちいち)気にしていたら、彼女の相手は務まらない事を、金城は警護を担当して充分理解していた。

 

金城はいつもの様に、一方的に用件を伝える事にする。今回、辞令が下りて、詞お嬢様の警護を(おお)せつかったので、警護担当から外れる(むね)を絢辻縁の背中に向けて伝えた。

 

(いた)らない点、多々ありましたでしょうが御許(おゆる)し下さい。警護の担当からは(はず)れますが、絢辻家には引き続きお世話になりますので、今後共お引き立ての程、何卒宜しくお願い致します」

 

金城は頭を下げる――が、特に反応はない。最後までこれかと内心ため息を付きつつ、引き上げようとした矢先だった。

 

「金城。詞ちゃんを宜しくお願いね」

 

凛とした聡明な声が部屋に響いた。

 

金城は、はっとして顔を上げた。一瞬誰の声か分からず、思わず辺りを見回してしまった。目の前に居る絢辻縁には何の変化もない。相変わらず、窓の外を眺めているままだ。

 

しかし金城は、これで全てを理解した――金城は姿勢を正し、絢辻縁の背中に向かってもう一度、深々(ふかぶか)とお辞儀をすると、何も言わずにその場を後にした。

 

 

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