実力主義のこの世界では、絢辻詞は拳と策謀で想いをつたえる~アマガミ×エクストリーム(序)絢辻詞編 作:vwview
絢辻縁の部屋を辞した
目的のドアの前に立つと、
「失礼します。本日付けで、詞お嬢様専任の警護長兼使用人長を拝命いたしました」
「ようこそ。待っていたわ」
少女、絢辻詞が笑顔で出迎える。
「長などと、肩書きが付いていますが、部下もなく一人でなんでもやる、詞お嬢様専任のお世話係という感じです」
「金城一人の方が、動きやすくて好都合よ」
「まぁ、詞お嬢様が良ければそれで――」
「金城。名前はいらない」
「は?」
絢辻詞は、金城にしか見せない嗜虐的な表情を浮かべて言い放った。
「あなたが
早速これだ。まったくこの少女は――金城は苦笑する。金城は、改めて
「失礼いたしました――
「うん。それじゃぁこれからの事を話しましょうか」
――この日から二人の、二人三脚の生活が始まった。
金城が、絢辻詞と生活を共にする様になって驚嘆した事が二つあった。一つは、裏と表の仮面の使い分けの見事さだった。少女とは思えぬ、その切り替わりの巧みさには思わず舌を巻いた。
もう一つは、絢辻詞の
日中は、絢辻詞が主として振る舞い、稽古の時は、立場が逆転する訳だが、当初、日中の金城に対する絢辻詞の
一度、稽古の合間にこの事について絢辻詞に話した事があったが、少女はさも心外と言った
「自分の人生が掛かっていると分かっている時に必死にならなくて、一体、いつなると言うの?」
少女は言葉の通り、どんなに疲れている時も、稽古に一切の手抜きをしなかった。稽古が終わった後も、睡眠時間を削って自己修練で研鑽を積み続けた。成績が下がる事など絶対に許されない学業に加え、多数の習い事、公的行事への出席など、既に多忙を極める日常の中で、格闘術の自己修練を入れるには、只でさえ少ない睡眠時間を削る以外に余地がなかったのだ。その為、逆に金城の方が、オーバーワークで絢辻詞が壊れてしまわぬようコントロールする必要があった程だった。
――それから十年近くの時が過ぎ、高校二年となった絢辻詞は驚く程強くなっていた。
女性ならではの関節の柔らかさを活かした、広い可動域から繰り出す多彩な
今の絢辻詞であれば、その辺の格闘かぶれのゴロツキが束になっても、指一本触れられないだろう。
――しかし、お嬢様。いくらなんでも、無茶し過ぎでしょうが……。旧ボイラー室に潜入した金城は、積み上げられたダンボール箱の影で頭を抱えていた。