実力主義のこの世界では、絢辻詞は拳と策謀で想いをつたえる~アマガミ×エクストリーム(序)絢辻詞編   作:vwview

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第三話

声の主は対面の壁際にいるタンクトップの男だった。どうやらこの中ではヒエラルキーの上位に位置する男のようだ。肩のよく発達した三角筋や、引き締まった体系から見るに、何か格闘技の経験がある事が外見から想像できる。

 

「顔を隠してこんな所に来るようじゃ、おめぇも真っ当な筋じゃねぇんだろ?」

「…………」

 

絢辻詞は問いには答えず、ゆっくりと部屋の中央に歩を進める。

 

「なにが目的か知らねぇが、こんな派手な事して、ただで済むと思ってるのか?」

 

絢辻詞は肩をすくませて、さも困ったような仕草をする。

 

「貴方達のボスに会いに来ただけなんだけどね。なんだか意気投合しちゃって、盛り上がり過ぎちゃったのよ。ごめんなさいね」

 

タンクトップの表情が一気に険しくなった。

 

「――ここの事を何処まで知っている?てめぇ、何者だ?」

 

タンクトップはゆっくりと近づいてくる。その動きに合わせて、他の連中も絢辻詞を中心に間合いを取り始めた。

 

「あらあら剣呑ね。 “お友達”ではだめかしら」

「……答える気がねぇなら、体に聞くまでだ。足技には多少自信があるようだが、この数相手にどこまでやれるかな」

 

絢辻詞は周囲の動きに注意を払いながら、相手に気取(けど)られないよう、両腕に仕込んだトンファーをすぐ引き出せる体制を整える。

 

()ぐにふん捕まえて、そのムカつくマスクを引っぺがしてやる。もっとも、先にひん剥くのは下半身だがなぁ!!」

 

タンクトップの咆哮に続き、周りの連中も一斉に罵声を浴びせる。旧ボイラー室は静寂から一転、一気にヒートアップした。

 

男たちに取り囲まれている、渦中(かちゅう)の絢辻詞といえばびくとも動かない。その様子を見て、周りの男たちは誰もが、絶望的な状況に体が竦んで動けなくなったと理解した。もうすぐ「狩りの時間」がはじまると感じとった男達は益々ヒートアップする。

 

しかし、実際の絢辻詞の状況はといえば、全く違っていた。その時の彼女は、自身の中で膨張する嗜虐性向を理性で必死に抑え込もうとしていたのだ。ここにいる奴らを(ことごと)く病院送りにしてしまっては、流石にその後の関係に悪影響が出るのは必至だ。リーダー格を瞬殺して他の奴らを黙らせるつもりでいたが、こうなってしまってはもう収まりがつかない。そもそも、絢辻詞自身が内に膨れ上がる闘争への欲望を抑えきれなくなってきていた。

 

あの目だ――――。

 

自分を屈服させようとする時に、男たちが向ける爬虫類のような、あの目。

 

 

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