「うぉぉぉあぁぁ!!」
「ヒャーハッハッハ!そのままその力に食われちまえ!」
暴走し続けるラグナはテルミに翻弄されている。ジンとハクメンが抜けた穴は激情態になった程度では埋められないでいた。カードも使わずただ獣のように剣をふりまわすラグナをまるで遊ぶようにテルミは攻撃を切り返す
「あーあーあー!せっかくの力がもったいないねー?」
『アタックライド、ブラスト』
テルミは皮肉るようにわざわざカードを使い攻撃してくる
「さーて、お友達も消えたし...今度は人形どもでもぶっ壊すかねー?本当のお人形みたいに裸にひんむいてから...ヒャーハッハッハ!」
「!!...テルミぃぃぃ!!」
かつて弟を利用し妹を奪い、母のように暖かく見守ってくれた恩人を殺した男の下衆な言葉は更にラグナの怒りを激しくしていく。一方....
「ほう、子供...ですか。なら今日から君たちのお父さんは私ですねぇ。大丈夫ですよ、あんなゴミの血が流れているとしてもマイ嬢のお子さんならたっぷり愛情を注いであげますよ」
高城は仮面の下で笑顔を浮かべながらユキ達に話しかける
「貴方みたいな下衆野郎をを父さんと呼ぶ気はさらさらありませんね、変態さん」
「お母様に近づかないで下さい、変態」
「...おや、何か暖かいものが顔に...」
二人の罵倒につい高城は怯む
「はぁ、やはり彼の血が入ってしまっているからですかね。残念ですが...貴方達もぽいですね」
「!?」
その言葉を聞いたマイはユキ達を抱き寄せる
「おやおやマイ嬢、どうされたのですか?あ、もしかして母性本能が目覚めました?いやぁ、素晴らしい。なら早くそのゴミを片付けて私との愛の結晶にその母性を注いであげてくださいね?ですから早くそこを退いてください」
「...退くわけないじゃないですか。だって...私はこの子達のお母さんだから!」
「お母さん...」
「お母様...」
「マイ!その子達を連れて逃げて!」
「ノエル、みんな!でも...」
「....はぁ、邪魔するならしょうがない。ゴミ捨てついでにあなた達もだるまさんにしてしまいましょうか」
「うぉぉらあ!」
「はぁぁ!」
そこに再び変身した雄二とハザマが飛び掛かってきた
「ほう、まだ動けましたか?」
「はっ、そいつらに手を出させるわけにはいかねえな!後でラグナや...あのバカになに言われるかたまったもんじゃねえからな。おい、早く夏目とガキ連れて下がれ!」
「...何を言っているんです?」
「貴方こそ馬鹿のようですねぇ、この子達は『未来』から来た明久くんたちの子供。...それが何を意味するか分かるはずです」
「オーマ、ジオウ。...未来の僕」
明久は蒼の境界線と呼ばれる場所でオーマジオウと対面していた
「なあ、ここっていつかあのEsて子が門番をしてたあの門の先なのか?」
「...どうやらまだ記憶が安定していないようだな」
明久はナオトとしての記憶が甦ったものの情報に圧倒され口調が落ち着いていない
「...本来なら確かにあの門をくぐったさきがこの場所だ。だがお前の手にする、いや、既に手に入れた力によってあの裂け目が門の代わりになりここへたどり着いた」
「力?」
「そう、あらゆる平行世界に実在する平成ライダー、そしてかつて蒼を巡り戦ったお前達自身の力によってな」
「...なあ、皆は?」
「安心しろ...既に助っ人が向かっている」
「ぐぉあ!...はぁ、はぁ」
激情態ながらなんとか冷静さを取り戻しつつあったラグナだったが....
「さてさてー?ラーグナくん、これはなんのカードかなー?」
テルミが見せたカードの絵を見たときラグナは戦慄を感じた。なぜならそれは、
「スサノオだと!」
「そういうこと!」
『ゴッドライド、スサノオ!』
テルミはダークディケイドの姿から黒いハクメン、スサノオへと変わった。かつてスサノオと戦ったことがあるラグナだがその戦いもスサノオに勝ったとは言えないものだった
「な、何故あの姿に!」
「テルミめ、まさかあのカードでスサノオユニットを新たに生み出したというのか」
「...ふん、残念だったなラグナ=ザ=ブラッドエッジよ。これで貴様には万にひとつも勝機はない」
「くそ...」
スサノオ。かつてマスターユニットアマテラスの守護をしていたユニットのひとつである神のような存在。それはダークディケイドの強さを遥かに越えている。ジンとハクメンが動けない今、もはやラグナが勝利することはないとスサノオは確信した
「はぁ!」
「ぐぁぁ!」
強力な一撃を腹部に叩き込まれ吹き飛ばされるラグナ。変身を解除した彼の目の前には砕けたディケイドライバーがあった
「ラグナさん!」
「「ラグナ!」」
マイを連れて離れたノエル達がラグナに駆け寄る
「お、おまえら...くんな、逃げろ...」
「ほう、人形どもか。そうだな、やはり人形を先に壊すとするか。貴様の絶望した顔をまた見るのが楽しみだ!」
「でめえ...」
スサノオの言葉に怒るラグナだが、彼にはもはや戦うすべは残されていなかった。...その瞬間までは
『ファイナルアタックライド、ディ、ディ、ディ、ディケイド!』
「そうはいかねえな、はぁぁぁ!!」
「なんだと!」
スサノオは何者かに蹴り飛ばされた
「く、何者だ貴様は!」
「俺か?おいおい、たった今まで見てたんじゃないのか?」
「...な、なに!」
「あ、あんた一体!?」
そこに立っていたのは
「俺は、門矢士」
「通りすがりの仮面ライダーだ」
〝本物〝の仮面ライダーディケイドであった
「馬鹿な!何故貴様がここに!」
「おいおい、お前俺の姿真似してた癖に俺の事あまり知らないな?俺には世界を越える力がある、当然この蒼の力があった世界が生まれ変わったここにも来れるに決まってるだろ?」
「あんたが、本物のディケイド?」
「まあ、そうなる...しかし、情けない姿晒すなよ。俺が負けたみたいじゃないか」
「くそ、俺だって好きでやられたわけじゃ...」
「安心しな、お前のお友達は無事だ」
「なに!」
「そこの姉妹、早くこの世界の魔王の嫁さんに伝えてこい」
ノエル達は驚いた
「よ、嫁さん?もしかしてだけど、貴方!」
「ああ、俺は〝未来のお前ら〝とも知り合いだ。それとお前にはこれを」
門屋士が渡してきたのはディケイドのライドウォッチだった
「こいつは?」
「そいつにディケイドの力が込められている、起動すればもう一度だけ変身が出来るはずだ」
「だが、俺が変身したところで...」
「諦めるのか?」
「...」
「少なくとも俺が知ってるお前は可能性があるなら死に物狂いでしがみつく男だったがな」
「可能性...」
「お前は、可能性を救ったんだろ?だったら自分の可能性も救って見せろ!」
「ラグナさん...」
「「ラグナ...」」
ラグナは、かつて世界を救うためとはいえノエル達から自分の記憶を奪った事を思い出していた。あれは本当に最善の選択だったのかどうかと。もしかしたら自分が去る必要がない可能性があったのではないかと。世界を救うためと言いながら最初から自分の可能性を諦めていたのではないかと。自分を愛してくれた少女達を本当に救ったのかと
「そうだな、ならやってやろうじゃねえか。今度は、俺自身の可能性の為に!」
『ディ、ディ、ディ、ディケイド!』
ウォッチを起動するとラグナの腰に再びディケイドライバーが装着された。しかし今度のそれは白でもピンク「マゼンタだ」失礼、マゼンタでもなく赤い色をしていた
「このベルト...それに、このカードは!」
「やはりな。ラグナ、それがお前の可能性だ」
カードに描かれていたディケイドの姿は違う物になっていた
「...これが、俺の可能性」
「何を今更、貴様らは我が破壊してやろう!」
「ふん、何が破壊だ」
「...貴様、我に対してそのような口を聞くとは」
「悪いが、俺も破壊者だの悪魔だの散々言われてきたんでね。お前の破壊はな、ただのガキの癇癪みたいなもんだ。だがこいつがした破壊は愛するものを救うための破壊だ。例え全てを敵に回そうとも、人々の、世界の、あらゆる可能性を救い新たな世界を創りあげた。そんなこいつにお前が勝てるはずがないだろ?」
「なんなんだ、貴様らは一体なんなんだ!」
「言ったはずだ、テルミ...俺は、いや俺たちは!」
「通りすがりの...」
「仮面ライダーだ!変身!」
『ファイナルカメンライド、ディ、ディ、ディ、ディケイド!ブラッドエッジ!』
その姿はブラッドエッジのコートを纏い、荒正を持ち右目が赤、左目が緑のかつてのラグナのようであった。それこそまさにラグナがたどり着いた可能性。その名も仮面ライダーディケイド ブラッドエッジフォーム!
「な、なに!?」
「ん?これは...」
驚くスサノオをよそに更に新しいカードがライドブッカーから出てくる
「なるほど、これが俺たちの力か!」
『アタックライド、ベルヴェルク!』
『アタックライド、ムラクモ!』
「あれは、アークエネミー!?」
ノエル達姉妹が使ってた武器を呼び出したラグナはそれを昔から使ってたかのように使いこなしスサノオに攻撃を当てていく。信じられない程にパワーアップした能力に加え複数のアークエネミーの同時攻撃にスサノオは大きなダメージを受けている
「ば、ばかな...何故貴様が...」
「まだまだこんなもんじゃないぜ」
『アタックライド、イザヨイ』
今度は封印兵装十六夜の剣と盾を呼び出し攻撃していく
「あれは、十六夜!?」
「お次はこいつだ!」
『アタックライド、ユキアネサ!』
『アタックライド、ザンマオオカミ!』
今度はジンとハクメンの武器の二刀流で攻撃していく。いくらスサノオでもここまで変幻自在な攻撃には対応しきれず追い詰められていく
『アタックライド、ウロボロス!』
「ぐぁ!」
ウロボロスでスサノオを拘束し、更にカードを使う
「更にこいつだ」
『アタックライド、インパクトトンファー!』
「あれって、あたしの!?」
マコトのトンファーで強烈な一撃を叩き込み、スサノオは吹き飛ばされる
「まさか、ここまでやれるとはな。まだまだ行くぜ、テルミ!」
「英雄などと呼ばれているが私の時間ではこの戦い、完全に勝利することは出来なかった...」
「どうして?」
「私以外が倒れ伏したその光景に...自分の中の憎しみと怒りが、そして蒼の力が時空を越えて全ての平成ライダーの力を取り込みオーマジオウとなった私は奴らを殲滅した。...だがそれが奴らの狙いを把握できなかった原因となってしまった」
「皆って、、まさか!」
「安心しろ、誰一人死んでいなかった。だからこそ自分の愚かさに腹が立つ。...奴ら...いや、レリウス=クローバーの狙いは私をオーマジオウにする事だった」
「レリウス=クローバー!?」
レリウス、それはナオトにとっては因縁深い人物であった。スピナースペリオルとの戦いで腕と足を無くした彼に新たに作ったそれを付けてくれた恩人でもあったが。そして...
「なあ、あの子達って...もしかして...」
「...ああ、皮肉なものだな。...あの男の息子に、あの女の姉妹。...それが自分の子供なのだから」
「レリウス=クローバーの息子のカルルに、キイロの妹同然のEs...でも、あの子らみてればわかる。あいつらが誰の生まれ変わりだろうが...あんたがどれだけあの子達を愛しているか」
「当然だ。と、少しそれたな。レリウスの狙いは私をオーマジオウにして、世界の壁を破壊させ怪人をやってこさせる事だった。私がオーマジオウとして戦ったさいに起こった余波で完全ではないものの壁は壊れ、怪人がやってくるようになってしまった。...ほんの数年前までな」
「ん?今はもう平和なのか?」
「『今』はな。だが、ここ数ヶ月で私は自分の存在が安定していないことに気がついた。...この時間で暗躍しているのは、私の時間にいたレリウスだ」
「な!」
「当時まだ100%力を使いきれていなかったからか、奴が逃げ延びていることに気がつけなかった...奴はこの時間の自分と同化し更に実験を重ねようとしているのだろう。...ラグナの右腕を潰してまでな」
「じゃあ、あの事故は!?」
「奴の仕業だ...ラグナの腕に関しては歴史の改変が追い付いていないのか私の時間のラグナはまだ無事だがな。以前の世界と同じ状況にしてどのように歴史が変わるのかを確かめたい、おそらくそんな所だろう」
「...」
「私は以前、オーマジオウの力の使い方を理解したときある選択肢があることを知った」
「選択肢?」
「...歴史を破壊し、オーマの日をやり直す事...もしくは私の『歴史』をお前に継承させること...」
「...」
「...私の時間の戦いを無かったことにし、平和な世界を目指す。...だが、そのどちらも...」
「マイや皆、子供達も巻き込み犠牲にしかねない。ってとこ?」
「しかねないではない、確実にあの子達は私の巻き添えになり...歴史から消える」
「...」
「だから、私は家族や仲間を守るために平和な世界が続いていく歴史を創ることをあきらめ戦い続けた...私はまさに最低最悪の魔王というわけだ」
「別にいいんじゃないの?」
「なに?」
「誰だって自分の周りの人間が一番大切でしょ?知らない人たちはついででもいいんじゃないのか?」
「.......ふ、はーはっはっ!」
オーマジオウは高笑いをした。しかしそれは馬鹿にしたような笑いではなく晴れやかな笑いだった
「私は、何をしていたんだろうな?英雄と呼ばれ、子供達の為にもそうあるべきではないかと自分に問いかけ自分の周りの為だけに戦う事が罪であるような考えまで持って...本当に、馬鹿だな俺は。そんな開き直った考えだってあったろうに」
その声はオーマジオウではなくいつもの明久の声になっていた
「なら、俺がたどり着いて見せるよ。あんたが目指した未来に」
そういう明久の腰にはオーマジオウと同じベルトが巻かれていた
「...そうか。なら、頼むぞ」
「ああ」
明久は暗闇の中を歩いていく。自分がいるべき場所へ戻るために
「...だが、奴とのけりは俺がつける。...オーマジオウとしての私がな」
「無事...明久が、生きてる!」
「そうだよ、お母さん!」
「あんな男にお父様が負けるはずがありません」
マイ達は門矢士の伝言をノエル達から聞き喜んでいた
「うぉ!」
「うぁ!」
そこに雄二達が吹き飛ばされてきた
「坂本くん!」
「雄二おじさん!」
「おい、そのおじさんはやめろ。ってー、しかしやっぱ生きてたかあのバカ」
「当たり前じゃないですか」
「...なんと、本当に生きていると言うのですか」
高城は驚いた様子を見せる
「しかし、あんな状態でどうやって...まあ、今度は確実に殺して差し上げますか。それが彼へのせめてもの敬意ですし」
「誰を殺すって?」
一同はその声に振り向く。そこにいたのはまさしく明久であった。腕と足も何事もなかったかのように付いていた
「よかった...よかった...」
泣き崩れるマイを子供達やノエル達が支える
「あの野郎、心配かけやがって」
ラグナは戦いながら安堵の声を出す
「...あのベルト、まさか!?」
ハザマは明久の腰に巻かれていたベルトをみて驚く
「お父様...」
「お父さんの目が、いつもの色になってる!」
「いつも?」
明久の目は蒼い輝きを放っていた
「...みんな、心配かけてごめん。...行くぜ、高城。いや、スピナースペリオル。...変身!」
明久はベルトのボタンを押す。すると禍々しく感じる時計のような紋様が地面に浮かび上がりやがてジオウのマスクを思わせる形になった
『祝福の刻!最高!最善!最大!最強王!』
光が明久を取り囲み彼の姿を...
『オーマジオウ!』
オーマジオウへと変えた
「......これが、魔王の力か」
「な、なんだ、あれは...」
「この時間のお父様もたどり着いたのですね...」
「あれは...」
「お母さん、あれがオーマジオウ。...お父さんがたどり着いた力なんだよ」
「...いいや、まだ終わりじゃない」
ユキとマユの言葉を否定するようにオーマジオウは言う
「「え?」」
「俺は、約束した。未来の俺と。未来の俺が本当に目指した未来にたどり着くってな!」
オーマジオウが手をかざすと鎧が光となってその手の中に集まり...ウォッチとなった
「ね、姉さん!?」
「あれが、オーマジオウの可能性?お父様が本当に求めた力なのですか?」
『オーマジオウ!』
明久はオーマジオウの力が込められたウォッチを起動し元に戻ったジクウドライバーにはめた
「見せてやるよ...これが蒼の力、そして...最高最善の王の姿だ!変身!」
『キングターイム!』
『仮面ライダー、ジオウ、オーマー!』
その姿はオーマジオウを思わせる新たな姿だった
「明久...」
「あれが、真のオーマジオウ?」
「最高最善の、王様...」
「そうだ」
するとそこに再びオーマジオウが表れた。しかし、新たな姿になった明久とは別に。それはつまり
「ま、まさか!」
「久しぶりだな、高城雅春。いや、この時代でははじめてか」
「ユキくん、マユちゃん。あの人は...」
「はい、あの人が...」
「未来の、僕達の時代のお父さんだよ!」
「あれが明久だと?随分雰囲気変わったな」
「お祖父様を意識してるそうですから、変わるはずです」
「...マユ、明日からしばらくプリン抜きだ」
「そ、そんな!お父様、どうかそれだけは...」
「冗談だ」
しかし内心ばらして欲しくなかったと考えていたオーマジオウだった
「さて、おふざけはここまでにして...せっかくだ、私がやるとするか」
「「「「「??」」」」」
「祝え!あれこそまさに時空を過去と未来をしろしめす、真なる刻の王者!」
オーマジオウは宣言した
「仮面ライダージオウ、オーマフォーム!今、新たな世界とそこに君臨する王が誕生した!」
新しい世界の始まりを
破壊者と魔王が最強の姿へ!次回、最強チーム結成と新時代を告げる戦士誕生!