【完結】涅マユリ(偽)が第4次に召喚されたヨ 作:妖怪もやし
「…おや、なんだネここは」
理解できない。
俺はさっきまで「早く運営は戦闘オートを実装しろよ」と愚痴りながら種火周回をしていた筈。なのになぜこのような妙な所に居るのだろう。
目の前にあるのは狂気に顔を輝かせる青年。顔立ち自体は悪くないのだが、そのドス黒い瞳は明らかに並の人間とは違う精神を有していることが理解できた。視線をそらすと、血だらけになって倒れ、明らかに息絶えていると思われる二人の成人の男女の姿があった。動けないよう拘束され、恐怖と絶望の視線をこちらに送る少年の姿もある。察するに彼はこの二人の子供なのだろう。ご両親を殺されるなんてかわいそうに…。
そこまで理解すると同時に、頭の中に知識が流れ込んでくる。聖杯戦争。魔術師とサーヴァント。エトセトラエトセトラ…。
「…ふむ、察するにこれはfate/zeroの世界に飛ばされてしまったようだネ」
納得し、一人呟く。え、理解が早すぎるって?細かいことは気にしないのが優秀な男というものだヨ。そんな俺に眼前の惨劇を作ったであろう男が話しかけてくる。
「いやいや、マジ凄いね!こんな儀式ノリでやったもんで成功するなんて思わなかったよ!あんた、悪魔ってヤツ?変な姿してるしさぁ…。本当に本物と会えるなんて、儀式をやってみて良かったよ!」
うっとおしいマシンガントークに辟易としながら彼の顔を眺める。こいつの名は…雨生龍之介か。やりたい放題やって幸せそうに死んだゲス野郎。こいつのせいでどれだけの子供が苦しみ、遺族は悲しみに包まれただろうと想像すると胸が痛くなる。俺はハッピーエンドが好きで悪役キャラには報いを与えろという主義主張を持っているので、こいつはfate/zeroの作中でもぶっちぎりで嫌いなキャラだ。某ギャング組織の元ボスみたいに死に続ける目に合うのがお似合いだと思う。いやコイツの場合喜びそうか…。救えないな。
聖杯に刷り込まれた知識によると、こいつが俺のマスターらしい。あと、俺がBLEACHの涅マユリの姿と能力を得て召喚されたということも分かった。聖杯パワー凄い。目の前のグロい光景を見ても割と冷静でいられるのも、マユリ様のメンタルをゲットしたからかもしれない。
…マジ勘弁してくれよ。第4次とか優勝しても待ってるのは地獄じゃないか。それにマスターがこんなクズとか…。こんな地獄に放り込むとか、神様は余程俺が嫌いらしい。
ため息をつきたい気持ちを堪えながら彼に返答する。
「確認するけど、君が私のマスターということで間違いないかネ?」
「ん?ああ、そうらしいね。なんかマスターとかサーヴァントとか良く分かんないけどさ。その辺できれば詳しく説明してくれない?あ、名乗り忘れたけど俺の名前は雨生龍之介ね。よろしく、悪魔さん」
快活に自己紹介をする青年は、なるほどコミュニケーション能力は低くは無いのだろう。社会に順応する能力はあるが、人をいたぶって殺す事に快楽を得る。うーん、典型的なサイコパスだね。
「私の名は…まあキャスターとでも呼んでくれたまエ」
「キャスター?あれ、それって役職じゃ」
「それから、君は私によろしくと言ったが、よろしくするつもりは無いヨ。君は私の実験材料かつ養分だからネ」
いうと同時に、懐から薬品を取り出して彼の顔にかける。こんなクズと長々と話をする気はない。男でも濡れ濡れになる石田ボイスを聞くのは悪くないのだが、セリフが残念すぎる。ちなみに私は石田ボイスのキャラだと…良いキャラ多いから誰が好きと明言するの難しいな。あいつも良いキャラだしこいつも好きだし…。…あれ、今一人称が私になっていた。順調に汚染されているのかな。ま、是非もないネ。
「うわっ、きたなっ!…あれ、な、何だからだがががが…」
「君のことは大嫌いだが、形式上生きていてもらわなければ困るんだヨ。だから生かさず殺さずの状況で電池となって貰おうかナ」
今ぶっかけた液体により、雨生龍之介の身体がピクリとも動かなくなる。そんな彼をどこからともなく取り出したカプセルに入れ、ケーブルを身体の各所に繋ぐ。これで魔力供給に関しては問題なしだ。このカプセルは人の悪意や残虐心を吸い取り、サーヴァントに力として与える機能があるからネ。害意と殺意と嗜虐心の塊である彼は絶好の電池となるわけだ。
こんな便利アイテムを脈絡もなく出せるのがマユリ様の良い所ヨ。まあ俺はBLEACHのキャラでは日番谷と白哉と藍染が好きで、マユリはその次の次くらいなんだけどネ。こいつの有能さは認めてるよ。師匠の贔屓キャラだけはある。でも一番の有能キャラは浦原かな…。新しい鬼道ッスってお前…。そんな便利パワーが突然出てくるのは何時ものブリーチだから良いとして、なんで市丸が藍染に神殺槍を刺した時にその鬼道が発動しなかった。お陰で市丸死んじゃったじゃん。私は悲しい(ポロロン
「…あ、あの、おじさんは一体…。ボクは…」
存在を忘れかけていた。この少年をどうしよう。親は殺され、殺人鬼が訳の分からない儀式をしたと思ったら私のような変質者が出現。悲しみや絶望、恐怖を通り越してパニックになっているようだ。
「ちょっと眠って貰うよ」
「う…」
クロロに殺された人じゃないと見逃がしちゃう程の恐ろしく速い手刀を放つ。もちろん優しめにネ。少年はなすすべなく気を失う。そして再び懐から取り出したカプセルに彼の両親の遺体を入れておく。朝になるまでには蘇生処置は完了している筈だヨ。一度グレミィによって殺され、ゾンビ化した拳西やローズを元に戻したんだから、今さっき殺されたばかりの人を生き返らせることも出来る筈。いや出来る。私にはその確信があった。
午前5時前後。少年の両親の蘇生に成功した。マユえもんマジ凄い…。でもこの二人の寿命は少し縮んでしまったようだ。まあ原作でも日番谷たちの寿命は減ってたみたいだし、しょうがないネ。一命を取り留めただけマシだと思ってほしい。
手早く痕跡を消し、殺人鬼入りのカプセルを抱えてこの家を去る。この一家は今日の悲劇を悪夢として頭の中で処理してくれるだろう。
「さて、この家からはおさらばとして…とりあえず原作でこの二人が根城にしていた地下にでも向かおうかナ」
勝っても地獄負けても地獄な第4次聖杯戦争…。それに参加することになったわけだが、まあ何とかなるだろう。楽観的な気分で私は歩き始めるのであった。あ、一人称がもう完全に私がデフォになってる。汚染されてるネ…。怖い怖い。
つづく