【完結】涅マユリ(偽)が第4次に召喚されたヨ 作:妖怪もやし
水着ジャンヌが引けなかったショックで死んでました。
アーラシュ君に聖杯上げようかな…
「ネム、事態は全て把握したネ?」
「はい。聖杯戦争という出来事の全容と、此度の聖杯が汚染されているということも、マユリ様の目的も承りました」
「よろしい…では次だヨ。きたまえ」
ネムにあらかたの事情を話し終え、彼女を連れて寺の中のとある部屋に入る。殺人鬼入りのカプセルの機能を一時停止し、カバーを開く。彼は外の空気を吸ったことに何の反応も示さない。いや、示せないのだ。彼にかけた液体は今も効果を発揮している。その効果によって動きを封じている上に、ゲーブルによって悪意という感情や生命力を吸い取られ続けているのだから、動けないのも当然だといえるネ。
「さあネム、やってくれ」
「承知しました。マユリ様」
ネムはそつのない仕草で自らの手を雨生龍之介の手に重ねる。そう、令呪が刻まれたその手の甲に。
「雨生龍之介、自らの令呪をここに居る娘に移すことを宣言したまえ」
「…」
「おっとすまないネ。君の身体は私の薬品の効果で指一本、いや眼球一ミリたりとも動かせないのだったネ。『私の令呪を彼女に移す』…この一言だけ喋ることを許可するヨ」
「…『私の令呪を彼女に移す』…」
もはや彼はまな板の鯉。ろくに考えることすら出来ずに発したであろう移譲の言葉と同時に、令呪がネムに移る。
「…令呪の移動を確認しました」
「宜しい。これで第二段階クリアだネ」
喜ばしい結果に胸を撫でおろす。
いや、実際のところ聖杯戦争を行う上で、この下衆をどう扱うか考え物だったのだヨ。彼は仮にも私のマスターだからネ。これは最悪のケースを想定したものだが、切嗣あたりが私の拠点を特定し、カプセルに入ったこの男がマスターだと察知し彼の頭を狙撃したと仮定しよう。私もネムもまもなく消滅し、我がキャスター陣営の戦いはあっけなく終了だ。聖杯が汚染されていることに誰一人として気づかぬまま、聖杯戦争は続行される。そうすれば作中と同様に冬木を大火災が襲うことになるだろう。いや、冬木のみならず日本全国、そして世界が滅亡するという最悪の展開が起きる可能性もある。それでは困るのだヨ。
私は元々はブリーチとfateシリーズの一ファンに過ぎなかった。だが今はどういう原理かは不明だが、こうして涅マユリとしてサーヴァント業に勤しんでいる。死ぬ危険性は減らしておきたいのだヨ。
冬木市、いや世界の為に私の生存は不可欠なわけだ。ならば少しでも生存率を上げるのが上策というものだろうネ。次に考え付いたのが、令呪の移動だ。ケイネス先生はマスターの権利をソラウに譲渡していたし、お互いの了承さえあれば令呪の移動は可能の筈だと想定したのだヨ。
ネムは雨生龍之介を遥かに上回る身体能力を有しており、鬼道も使える。切嗣の狙撃やマスター同士の戦いにも十分に対応できるだろう。これでマスターを殺害されることで私が消滅するという危険性は大きく減ったわけだネ。
「マユリ様。この男はいかがいたしましょうか」
「このまま充電器として活躍して貰おう」
「了解いたしました」
あわれ龍之介君は再びカプセルの蓋を閉められ、寺の奥にあるろくに手入れもされていない倉庫に押し込められることになったのだ。悲劇だネ。まあ君はこの時点で姉を含む多くの人間を殺めているから、その業が彼自身に返って来たと思えば同情の余地など欠片も無いネ。むしろこの程度で済ませる私の優しさに、我ながら感動の涙が出るくらいだヨ。
仮に切嗣によって彼が狙撃されたとしても、私に大したダメージは無い。既に彼の悪意という力は吸収し、PCのバックアップを取るように別媒体に保存済みだからネ。加えて、この龍脈に満ちた寺を拠点としている以上は魔力が尽きることはない。…いや慢心はよくないネ。切嗣がこの寺ごと破壊するという可能性も考えられる。奴ならそうするだろう。某ロード殿の二の舞は御免だ。
「では、夜に備えて調合といこうかネ。ネム、お前も協力したまえ」
「勿論です、マユリ様」
私の拙い原作知識によれば、今夜あたりにセイバーとランサーの対決があるはずだ。そこにまずはライダーが、次にアーチャーとバーサーカーが乱入する。紆余曲折あったが、結果だけを言うとランサーのマスターが令呪一角を喪失し、セイバーの左腕がランサーの毒に侵されるという展開となる。
キャスター陣営は本来はこの戦いには参戦しない。放置しておけばセイバー陣営とランサー陣営がそれぞれ損をして終わるという結末になり、間接的に私にも得があるようにことが運ぶのだが…ここはリスクを承知で動いてみるとしようかネ。
「予定通り、派手にやっているようだネ」
「マユリ様の原作知識というものは素晴らしいものです。まるで未来予知ですね」
深夜の海沿いの倉庫街では、セイバーとランサーの戦いが始まっていた。互いに力量を認め合い、称賛の言葉を並べ合うその姿は、双方の容姿も相まって逢引のようにすら見えてしまうネ。
そんな戦いを眺めながら呑気な感想を示すネムの頭を後ろから軽く小突く。
「なに、カンニングペーパーを堂々と読みながらテストを受けるようなものだヨ。それよりも、無駄口を叩いてないで、早くバーサーカーのマスターの居所を探したまえ」
「了解いたしました」
私の視線の先では、膠着状態に苛立ったランサーのマスターが宝具の開放を命じていた。ランサーの整った貌に歓びの色が浮かぶ。受けて立つセイバーだが、原作通り左腕にダメージを負う。ランサー有利…というところで、ガチムチのライダーが轟音と共にはせ参じた。
「双方剣を収めよ!征服王イスカンダルの前であるぞ!」
堂々と真名を明かしたライダーは、戦いを見物している他の勢力にここに来るようにと叫ぶ。
「我が求めに応じぬ者は、このイスカンダルの謗りを受けると知れ!」
うむうむ。原作通りで実に良いネ。さて、どうしたものかネ…。
つづく
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