ただ、この瞬間を除いては
人の感情というものは時に制御できなくなる
強い怒りを示せば見境なく人に暴力を振るう
強い悲しみを示せば何も手がつかなくなる
人は感情に振り回されやすい
しかもそれは、負の感情にが圧倒的に人に作用するのである
京都府 某所 空手道場内にて
「おい!何をしている!」
その青年はコーチに止められ動きを止める
「何って、顔を殴られたから殴り返しただけですが?」
青年の顔に一切悪びれる様子はなく
ただ当然のように相手の顔面を殴り
鼻血を流させた
「顔を殴るのは反則行為だぞ!」
コーチは顔を真っ赤にして怒鳴った
しかし青年は一切眉を動かさず
「知ってますよそんなこと」
まるで相手の正気を疑うかのような表情で青年はそう言い放った
「だったらなぜ殴った!」
「だから、わざと顔を狙って殴ってきたから、殴り返した。それだけの事ですよ」
その道場内の全員が目視していた
確かに相手は青年の顔を
そして、拳が青年の顔に触れた瞬間
その何倍もの威力の正拳突きが相手の顔面にめり込んだ
「だからと言って殴り返していい訳無いだろう!」
青年の眉が一瞬動いた
「貴様空手をなんだと思っている!空手とはなぁ!」
「じゃあ、僕が悪いと?一番最初に狙ってきたのはこいつなのに?」
「当たり前だ!」
今この瞬間、コーチの説教が始まろうとしていた
その時であった、青年は鼻血を流している相手に
「おい」
近寄り胸ぐらを掴み上げた
「てめぇが顔面をわざと狙ってきたせいで俺が悪者にされちまっただろうが、どう責任取るんだコラァ!」
ついさっきまで怒る気配など一切なかった青年が激昂し
相手の顎を蹴り上げた
「てめぇが反則行為をしなければこうならなかったのによぉ!」
その後は凄惨なものだった
フラフラな相手に情け容赦なく蹴り続け
止めに入ったコーチ、師範おも蹴り倒し
最終的に警察沙汰になり青年は捕まった
その後、青年は傷害の罪で逮捕され禁固刑に処された
しかし、それだけでは済まなかった
なんと青年はあろうことか看守に暴行したのである
理由は単純明快
「態度が気に食わなかった」
そして、処罰が吊り上げられたのだが
何度も気に食わなかったという理由で
暴行し最終的に終身刑まで吊り上げられた
この青年はテレビでも大きく撮り沙汰された
「傍若無人な暴君」
「地上最悪の
その後、青年は刑務所内で病気を患い25歳という若さで
この世を去っていった
「ここまでが君の大まかな人生記だ、何か意見はあるかね?」
神々しい服装をした老人は青年にたいしそう言った
「まぁ、無いですけど、ここどこです?」
青年は当然の質問をした
すると老人は得意気な顔で
「ここは君たち人間のいうあの世というところだ」
「はぁ?・・・」
「覚えていないかね?君は刑務所で亡くなったんだ、そしてここに来た」
「へぇ、じゃあ何です?今から僕は地獄落ちって事ですか?」
老人はまた得意気な顔になりながら
「君のような罪人出会ったとしても天国にいかせる方法があるわけだ」
「はぁ・・・」
「君には新たな世界にて英雄になってもらう」
青年は異物を見るかのような目で
「頭大丈夫ですか?」
「いたって健康だ。新たな世界には魔王とその軍団長が蔓延っている、それらを退治し世界に平穏をもたらし人々から感謝されるのだ!」
青年は大きく溜め息を吐いた
「あなたがどこぞの気違いだということはわかりました」
「ふむ、まだ理解できていないのか、まぁ、問答無用さぁ行け!」
そして老人が叫ぶと、青年の足下が失くなりそのまま落ちていった
「お前の力と信念、信じているぞ」
とある戦場
魔王軍と連合軍が凌ぎを削っていた
その丁度端に連合軍の姫が戦線を離脱している途中
魔王軍の軍団長に追い詰められていた
「さぁ、我らと一緒に来ていただこうか」
姫は今まさに軍団長に連れ去られる寸前
しかし、突然上空から何かが地面に叩きつけられた
が、地面に叩きつけられたのは軍団長の方だった
「ふぅ、危ない危ない、怪我するとこだった」
青年は無傷で軍団長の上で立ち上がった
姫は怯えつつ青年に
「あ、貴方は一体・・・」
「ん?俺か、俺は