真名:???/???
性別:女性/女性
筋力:B 耐久:C 敏捷:B 幸運:C 魔力:B 宝具:EX
筋力:E 耐久:E 敏捷:C 幸運:E 魔力:A++ 宝具:A
スキル:騎乗A、対魔力A、嵐の航海者A、黄金律B、コンビネーションC+、災厄A+など
宝具:『???』
「なるほど、さっき俺たちの船に対空攻撃を仕掛けてたのはコイツらか……っ!」
絶え間なく続く爆発に巻き込まれ、度々四肢が散り散りになる痛みに耐えながらクロウはその二体のサーヴァントの攻略法を探り当てんと図る。その間にもセイバーは敵に一撃でも浴びせんとヒットアンドアウェイを繰り返すが、そのことごとくを片方のロングヘアのサーヴァントによる魔力障壁で食い止められてしまう。
「姉貴、こいつら案外しぶといぜェ?」
「そうねぇ……少し方法を変えてみるのも良いかも。」
クロウが睨み据えるサーヴァントたちは何やら会話を交わすと、その立ち位置を少しずらす。そしてもう片方の結髪のサーヴァントがずらりと並べたカルバリン砲の砲門を一斉に地面へ向けた。
次の瞬間、凄まじい爆風と共にまるで地面がバランスを失ったジェンガのように崩れ落ち、下方になぜか広がっていた空洞へとセイバーとクロウが重力のままに落ちてゆく。
「ヨーホーッ! これなら逃げ場もなく心臓から脳髄から粉微塵だなァ!!?」
同じくぽっかりとあぎとを開ける虚空の中へと吸い込まれていく二体のサーヴァントのうち、結髪のサーヴァントが自由を失ったクロウへと砲門を向け、自身の周囲を囲むように配置したその六門のカルバリン砲をガトリングのように回転させながら射出する。
「セイバー、防衛を!」
「了解したッ!」
直後、
そのまま事態は膠着し、一組のマスターとサーヴァント、それに相対する二体のサーヴァントはそこも見えぬ闇へと落ちて行くのだった。
ジャクリーンと二人のパイロットによる魔術工房探索もまた、膠着状態にあった。
「どこだここ……。」
「ジャック、こういうのは直感だぜ?」
「馬鹿言ってんじゃないよ。事態の把握は何よりも大事でしょ。」
「……あぁ、そういやお前仲間を堕とさないことに関しては天才的だもんな。他はダメダメだけど。」
「はぁ? 一応僕これでも撃墜王の異名も持ってるんですけど? バーサーカー適性も兼ね備えるほど戦場バカじゃないからね!」
「んだと? やんのかてめぇ。」
「おーまーえーらーっ!! おれを助ける気がないなら今すぐここでこの谷間に落として座に強制帰還させるぞっ!?」
互いに互いの胸倉を掴み、仁王が如き形相で睨み合うハンスとエーリヒの向う脛を蹴飛ばし、ジャクリーンは目の前の現実の対処法を考えるよう命じる。
現在ジャクリーンたちは更地の地下に来ているが、そこは巨大な地下渓谷となっていた。その渓谷内に造られた城塞のような施設の中で、一行は途方に暮れていたのだった。
「まるで風に聞くアトラス院だな……。行きはよいよい帰りは怖いって前に雲雀のセイバーが歌ってた。」
「地図もないしそこらじゅうに魔術的な仕掛けがあるし……こんなことならもっと魔術の勉強しておくんだったぜ……!」
がっくりとその場で膝をついて項垂れるジャクリーンをよそ目に、エーリヒは現在立ち往生している尖塔から尖塔への連絡橋のレンガの目を指でなぞって確認する。ハンスもハンスで暗黒に包まれた周囲の景色をアーチャー特有の視力で確認していく。
「割とデケェぞこの城。さっすがドリーム・フロンティアの大陸だな。こんな規模の砦が建てられる地下渓谷があるなんてよ。」
「う~ん、多分この渓谷は人工物じゃないかなぁ。あちこちに融かされた跡みたいな痕跡が見えるし。世に名高いリグセンルールの魔術工房だもの、それぐらいやっててもおかしくないでしょ。」
「……世に名高い、のか?」
「一部の界隈じゃ超一級の魔術家だよ。少なくとも雲雀のキャスターはそう言ってた。」
「あのオッサンが言うならそうなんだろうな。」
「彼と僕らの最盛期ってほぼ一緒だけどね。」
そう言いながらエーリヒはレンガの目をなぞって行き、やがて終点へと辿り着く。その場に積もっていた土汚れを払うと、その場にある何かを読み取り、ハンスに指示を飛ばす。
「ハンス、西南西の岩壁に何か描かれてない?」
「あん? あー……暗くてよく見えねぇけどありゃ獣か? 四足歩行のずんぐりむっくりな……。」
「この流れ的に熊かな……。ってことは始点のマークから考えるに……。」
ぶつくさと呟き続け、エーリヒは唐突に立ち上がって他の二人に告げた。
「リグセンルールの秘密は多分この下だ! 飛び降りるよ!」
「ふぇっ!?」
「はぁ!?」
言うや否や、エーリヒは何も見えない闇の中へとダイブしていく。ハンスとジャクリーンは顔を見合わせると、腹を決めたのか共にその場から飛び降りていった。
「ひゃああああ!! 無理、無理無理無理無理こんなの! 死ぬ! 死んじまうぅ!!」
「ハンス! ジャックを抱えてあげて!」
「お、おう!」
そしてエーリヒは落下しながら指笛を吹き鳴らし、鳴り響くその音に耳を立てて即座にハンスに伝令する。
「多分あと数十メートルで地面だ! 着地準備!」
エーリヒの言った通り、ぼんやりとだが一行の眼下に地表らしきものが見え始める。すぐさまジャクリーンを抱える腕を両腕に変え、ハンスは膝を曲げて衝撃に備える。
エーリヒは一足先に着地し、五接地転回法を用いて衝撃を緩和する。ハンスもつま先が地面に触れた瞬間にジャクリーンを上空へと放り投げ、五体を地面に触れさせるその着地術で無傷のまま体勢を戻すと、落ちてくるジャクリーンを片手で無造作にキャッチして前方へと手放した。
「う、わとと!」
ジャクリーンがぐらぐらする視界を回復させて前を見ると、そこには高さ十数メートルほどの巨大な洞窟の入り口が広がっていた。先程の城塞とは違ってこちらには松明の明かりが灯されている。
「なんだここ……?」
「あの城砦に秘密があると見せかけて、ってことなんだろうね。」
「それはさすがに安直すぎねぇか?」
「いや、あの砦にはたくさん魔術的な罠が仕掛けられてた……ってことは運よく入れた奴らは『ここにはきっと大事なものがある』と思っちゃうんじゃないかな。」
「ジャックまでエーリヒみたいなこと言いだしやがった……!」
唖然とするハンスを取り残し、ジャクリーンとエーリヒは臆面もなく洞窟の中へと突き進んでいく。ハンスも慌ててそれを追いかけ、松明の明かりに導かれるように奥へ奥へと入り込んでいった。
その数分後、それまでジャクリーンが迷子になっていた地下城塞の尖塔のうちのひとつが、中央の建物のドーム屋根を突き破って射出された魔力の光線によって根元から崩れて吹き飛んだ。
「お前ら……一体どこのどいつのサーヴァントなんだ!?」
城塞の中央広場で二体の赤毛の英霊と交戦しているセイバーの背中を見つめながら、クロウは爆風に巻き込まれて失った両脚の痛みを堪えて吼える。
「雇い主サマの情報を漏らしちまうほどあたいらも三流じゃねェぜ坊主!」
「とはいえ、あの更地に立っていたんだから、リグセンルールの敵対者ってことは自然と推察できるわよねぇ。」
「アインツベルン……!」
そのクロウの一言に反応してしまったセイバーが、したり顔でカルバリン砲を至近距離で炸裂させた結髪のサーヴァントによってクロウが倒れていた場所の背後にあった壁に叩きつけられてしまう。
「セイバー、気持ちを切り替えろ、今は敵だ!」
「――はい!」
すぐさまにセイバーは起き上がり、魔力放出スキルによってその気迫を増す。しかしクロウにもその苦悩は理解できた。いつぞやか『彼女』がアインツベルンとセイバーには浅からぬ因縁があると言っていた。ならばその一族の息がかかったサーヴァントと戦うのには若干の抵抗もあるだろう。
だがセイバーとて伊達に常勝不敗の王と呼ばれてはいない。セイバーは凪ぐ湖面のような瞳で赤毛のサーヴァントたちを見据えると、音高く地を蹴って結髪のサーヴァントの一斉砲撃の中へと飛び込んでいき、自身に着弾する瞬間に上空へ跳躍、反応の遅れた結髪のサーヴァントの胸を袈裟斬りに薙ぎ払う。傷は浅いが、結髪のサーヴァントは数歩下がってしまった。
「おい姉貴! 魔力障壁間に合ってねェじゃあねェか!!」
「ごめんなさい、私も判断が滞っちゃって……!」
だがその時、彼らの遥か下方で建物全体が立つこともままならないほどの大振動を起こすほどの爆音が鳴り響き、それを耳にしたロングヘアのサーヴァントが結髪のサーヴァントの肩を叩いてその場を離脱するよう促した。
「どうやらこの子たちの別動隊が私たちの欲しかったものを見つけてくれたみたいね! 行きましょ、フズール!」
「ケッ、手間取らせやがって……おいそこの甲冑女ァ! お前と会うことがまたあるかは知らねェが、そん時ァ絶対にお前を生け捕りにした後で爆薬積んだ小舟に乗せて遠くから砲撃してやるから、首ィ洗って待ってやがれよ!!」
言い残すと、赤毛のサーヴァントたちは壁を破壊し、城塞の真下へと飛び降りていった。それを確認すると、セイバーは歩行が不可能となったまま俯せになるクロウに駆け寄る。
「大丈夫ですか、クロウ。」
「おかしい……俺の体内にはお前の鞘があるはず……! なんでこの程度すぐに回復しないんだ?」
「宝具を封殺するような何かがどこかで起動しているのかもしれません。とにかく、すぐに蘇生を。」
「いや、そうは言ってもな――ッ!?」
途方に暮れるクロウの発言を遮り、セイバーは天井目掛けて手にした聖剣から魔力の光線を放つ。当然、その直下で倒れていたクロウの頭蓋骨に容赦なく瓦礫が直撃し、クロウの頭部は見るも無残にぐしゃりと潰れてしまう。しかしすぐに脊髄から頭蓋骨が、そしてそれを覆うように皮膚や筋肉が生成され、頭髪も眼球も戻ったところでクロウはあまりの理不尽に憤りの声をあげてしまった。
「お前なぁ!!?」
「申し訳ありません、クロウ。しかしこの剣でマスター殺しを行うわけにもいかないため、あえてこのような手段で。」
「お前から『アイツ』が生まれたのもなんだか納得できるわ……。」
脚も元通りに生え揃い、焼け焦げたズボンも新品同様になったところで、改めてクロウはセイバーと示し合わせ、赤毛のサーヴァントが落下していった深淵へと身を投げ出すのだった。