真名:シャルル・ダルタニャン
性別:男性
筋力:A 耐久:B+ 敏捷:A 幸運:B 魔力:B+ 宝具:A
スキル:対魔力B、騎乗C、直感C+、心眼(真)B+、無辜の怪物D+、勇猛C++、カリスマC、騎士の武略B+など
宝具:『喝采せよ、勇猛の一剣(アンプールトゥス・トゥスプールアン)』
→自らの内で燃え滾る魔力をすべてレイピアの剣先に集中させることで、神性すらをも打ち破る一撃を放つ宝具。視覚や触覚を含めたすべての感覚に使われる魔力をも込めるため、相手に命中させるには相応の覚悟とチャンスが必須となる。
『喝采せよ、四剣の英雄譚(アンプールトゥス・トゥスプールアン)』
→彼のレイピアそのもの。これを持った人間には四人の三銃士の叡智、篤信、怪力、勇猛の加護が与えられ、あらゆる精神的・物理的攻撃を跳ね除ける高位のアミュレットとなる。
「繧ュ繝」繧ケ繧ソ繝シ?√??縺吶$縺ォ蜷域オ√☆繧九?∬イエ讒倥?蜈医↓閨匁擶縺ョ鬘慕樟蝨ー轤ケ縺ク蜷代°縺茨シ」
キャスターが余裕のない表情で人外の言葉を吐き捨てると、コーニッシュは笑顔を捨て、唇を真一文字に結んでその場を離れようとする。
「待て――っ!?」
ルーラーが傍に置かれていた金属製のゴミ箱を放り投げ、コーニッシュ目掛けて蹴り撃とうとするも、それはキャスターが翻した黄衣により、無へと飲み込まれてしまう。
「ほら、時間稼ぎがしたいのであろう? 構わんぞ、もっと無為に時間を費やそうではないか、ルーラー!」
幼女とは思えぬぞっとするほど冷たい声で笑い、蒼炎に包まれた四肢でルーラーの肉弾戦に対抗するキャスター。しかし、一対一の決闘であったはずのその戦闘も、その数分後には多対一となっていた。
それは、半透明の海賊軍。即ち、バルバロッサ・ハイレッディンが宝具、『
今日まで、様々な場所を走ってきた。冬木、フランス、ローマ帝国、オケアノス、ロンドン、北米、エルサレム、ウルク、新宿、アガルタ、下総、セイレム――。時に笑って、時に泣いて。時に怒り、時に驚き、本当に様々なことがあった。
そもそも、セイレムを最後にレイシフトは凍結するとカルデアでは決められたはずだった。それが今こんな事態になっているのも、すべては藤丸の使命のため。
「ハサンさん、ルーラーは聖杯の顕現ポイント、教えてくれた!?」
「えぇ、でもどうやらルーラーさんはこっちの援護には来れないみたい。敵性サーヴァントと交戦中だったわ。私はあなたの護衛をしなきゃいけない。ルーラーさんの無事を祈るしか……。」
またロンドンに来るとは思わなかったが、今回は以前の十九世紀ではなく二十一世紀だ。あの時とは違って霧も無ければ殺人人形もいない。だが。
「それよりも厄介だよね……。」
「厄介ね。前にここに来たときはこんなにごろごろサーヴァントが現界していたわけじゃないんでしょ?」
「はい、いたのは精々が魔本か殺人機械、霧夜の殺人鬼程度で……。」
「殺人機械!? なにそれなにそれ、もっと詳しく教えてっ! ……って、いつもなら言ってたけど……そうも言ってられないわよねぇ、残念ながら。」
藤丸もハサンも、その場で足を止める。目の前には、やはり一騎のサーヴァント反応。だがその姿はどす黒い靄で覆われており、サーヴァントであるという情報以外の判別は難しい。
『――きさまは。』
「……。」
しかし、靄に覆われたサーヴァントとハサンには互いに面識があるのか、そこからしばらく問答を繰り返していた。
『なぜ、そのなを、なのる。きさまは、そのざに、ついては、いないもの。』
「なぜ? ふふ、私もわからないわよ、そんなの。でも折角ハサン・サッバーハとして召喚されたんだもの、その通りに振舞っちゃいけない道理はないわ?」
『ろうぜきを。われら、やまのおきな。じゅうくのせきに、おまえはいない。なもなき、にしのおんな。はさんに、こがれ。はさんを、めざし――はさんと、よばれた、おんな。われらは、きさまを、みとめぬ。』
「認めるのは世界と、初代様じゃなくって? この首がまだ残ってるんですもの、告死の晩鐘はまだ私をハサンと認めてくれているわ!」
そのやり取りに、藤丸は薄々と目の前にいる金髪碧眼の『ハサン』の正体に勘付き始めた。
「ハサンさん、もしかして貴方は……。」
「……そうよ、私は元々ハサン・サッバーハ――山の翁には数えられない人間。十九世紀のヨーロッパは某国で猛威を振るった『ただの暗殺者』。名も記録されず、素性も知られず、ただかつて
自嘲気味に薄く笑い、ハサンはそれでも目の前に立つ己の来歴を知る謎のサーヴァントに立ち向かわんとする。
「その声。その出で立ち。もう既にあなたはマスターを失い、本来のあなたとはかけ離れた存在になってしまったのね。それでも――私にはわかるわ。影剥のハサン。えぇ、私はあなたに立ち向かいましょう。私が生前終ぞ果たせなかった願いを見届けるために。我が真名はハサン・サッバーハ、人呼んで『機巧のハサン』! 人理を守る殺し屋、人類を守る殺し屋、少年を守る殺し屋!」
機巧のハサンはゆっくりと息を吐き。
「――
その宣言が終わると同時に、機巧のハサンの両袖の中から鋭利なブレードが零れるように突出する。それだけではない。まるで蜘蛛の八脚のようなアームが背面腰部から一斉に展開され、大地を踏みしめる踵からは魔力を放出するリアクターが閃き、アンカークローがアスファルトを砕いて突き刺さる。
最後にその顔面の下半分が鉄の仮面で覆われると、機巧のハサンは相まみえた真なるハサンを睨みつけた。
『いつわりが、しんなるを、うちやぶるか。』
「もはや問答は不要! 私は私の為すべきことを成します!!」
ガツン、ガツンと、機巧のハサンが機甲の剛脚を前へ突き出すたびに道が砕けて爆発していく。一歩、二歩、三歩――十三歩目で、ハサンの刃は影剥のハサンの喉元へと突き出された。
政宗はナイチンゲールによる緊急治療を受ける雲雀のセイバーから、コーニッシュと共に行動している幼児の姿をしたキャスターについての話を聞いていた。
「――あれを、キャスターと思うな。」
「ん、ん? どういうことだよ、そいつァ。つーか未だにオレらそのコーニッシュって奴と接触すらしてねーんだけど。」
「即ちあれは、神性の中でも最も性質が悪い。この惑星に紐づけられし神核ではないからだ。……フジマル……リツカ。」
政宗の言葉も聞いていないのか、そのまま雲雀のセイバーは面識も皆無なはずの藤丸の名を口にする。
「あれなら、知っているだろう。奴の本来あるべき座は『
やがて、雲雀のセイバーはおもむろに上体を起こす。右半身は肩から腕部を残してすべて回復しており、霊基の核すらもが完全崩壊から新品同然の状態にまで再生していた。制止するナイチンゲールを余所に、雲雀のセイバーは立ち上がり、路地の奥をじっと見つめた。
「……やれやれ。キャスターも詰めが甘い。彼女ほどではなくとも、このセイバーの神性も非常に高位であるとわかった上でとどめを刺さず放逐するとは……。」
コーニッシュだった。鳶色の髪をガリガリと掻き毟りながら、濃いクマが刻まれた三白眼で雲雀のセイバーの方を瞥する。
「あのォ、そこどいては頂けませんかねエ?」
へらへらと笑って、コーニッシュは雲雀のセイバーへ問い掛ける。しかし返事はない。警戒の面持ちで見つめるナイチンゲール、政宗とは違い、雲雀のセイバーの表情は無そのものだった。それを確認すると、コーニッシュは深く溜息をつく。
「――でしょうね、知ってました。……ですが私とて純粋な戦士のサーヴァント三名を相手に戦えるほど戦闘能力に特化していません。ですのでェ……!!」
言うが早いか、コーニッシュはくるりと踵を返し、その場から素早く逃走して路地を曲がり、消えてしまった。
「あっ、オイ待ちやがれ!」
政宗がすぐに立ち上がり、その後を追い駆け、路地の向こうへ走っていく。
「……。」
だが雲雀のセイバーは微動だにせず、じわじわと黄金色の靄のように再生しつつある右手を握っては開き、左腰に佩いた十束剣を握力も戻り切っていないその手で抜き放ち、それを見て拳銃を抜くナイチンゲールと共にその場でその一瞬を待ち受けた。
そして。
「――『
コーニッシュによる宝具の真名解放と同時に、大量のリビングデッド軍団を二振りの打刀で食い止めながら後退してくる政宗が、雲雀のセイバーたちの元へ戻ってきた。
「ははははっ! やっぱ英霊ってのは最高だなァ! まさかゾンビ映画の主人公になれる日が来るたァ思わなかったゼ!」
軽薄に笑って見せ、目の前の数十体を一気に斬り払う政宗。だがそこへ、半透明の海賊たちもまた数万体ほど合流してくる。
「……戦争、ですね。」
「元より合戦の覚悟でここへ降り立ったのだろう、看護師。」
「えぇ。今の私には、死傷者の根源を断ち切る力がありますから。これを行使せずに傍観しているのは、我慢なりません。」
「……佳い眼だ。人々を守護せしめん天の遣いかの如き瞳だな。」
「私が守るのは傷病者だけです。」
「……律儀と見るか、頑固と見るか……否、両者であろうな。何とも他人事とは思えんわ。」
ナイチンゲールにはその時、雲雀のセイバーが少し笑ったような気がしたが、次にはっきりと表情を見た時には既に普段通りの毅然とした無表情に戻ってしまっていた。
いつの間にか一人で六振りの刀を自在に振り、リビングデッドと立ち向かう政宗の隣へ支援に向かおうと雲雀のセイバーが足を踏み出した直後、彼女の横をひとつの人影が追い越し、政宗の背後に立った。藍色のショートカットヘアに角縁の眼鏡をかけたその青年は、眼鏡を指で持ち上げ、ポケットから剣士を模したチェス駒のようなモニュメントを取り出す。
「我が愛しのアローは、『
「よォ、マスター! ちょっと手ェ貸してくれねぇか!?」
それは、政宗のマスターであるアーレルスマイアー現当主、ランベルト・ランプレヒト・アーレルスマイアーであった。ランベルトは眼鏡をおもむろに外し、前髪を掻き上げると、そのヘマタイトのように輝く魔眼をリビングデッドと海賊たちへ向け、大きく見開いた。
「さぁ煌めけ――我が『
次の瞬間、死の河の流れがびたりと緩む。
「……ヘマタイトは生命力の宝珠。如何に魔力を動力源とするリビングデッドであろうと、生命力に置換された魔力が減衰しては動くこともままなるまい。」
そして手にした剣士のチェス駒を握り砕くと、ランベルトの右手に赤雷を纏う大剣が現れる。真紅と銀を基調とする鎧を右腕にだけ装着し、先程の言葉の続きを紡ぎ出す。
「アローは……優しい子だ。真面目な子だ。決して優秀とは言えない自分自身にできることを必死に探して、見事答えを見つけてみせた。だから兄として、妹の背中を押してやらねばな。」
直後、政宗の瞳の色がガラリと変わる。目の中に宿った光は薄れて行き、六振りあった日本刀も燭台切ただ一振りのみとなる。それを鞘に素早く仕舞いこむと、瞼を閉じ、背後に立つランベルトの電雷の音に耳を澄ます。
「あの子が家長やそれに類する地位に立つことは将来にかけても絶対にあり得ないだろう。だがそれでいい。足りないものが多いから、ヒトはヒトであろうと――絆を結ぼうと考えるのだろう。私にその感覚は理解できないが、しかし。」
右手の大剣を天井へ掲げると、鍔が展開し、雷によって形成された光刃が高く伸びていく。
「――きっと、尊いものなのだろうな。」
雲雀のセイバーが腕を組み、頷くのと同時に、ランベルトと政宗の宝具が一斉に死と暴虐の豪流目掛けて放たれた。
「我は英雄にあらず。その
「我が劔の一閃、城を断とう。一族郎党、諸共に絶とう。画竜点睛、独眼の神龍は幽世の廓をここへ顕み出さん!! ――『