真名:繝上Ρ繝シ繝峨?繝輔ぅ繝ェ繝??繧ケ繝サ繝ゥ繝エ繧ッ繝ゥ繝輔ヨ
性別:女性
筋力:E 耐久:D 敏捷:B+ 幸運:D 魔力:EX+ 宝具:EX
スキル:陣地作成C、道具作成B+、領域外の生命EX++、神性A+、生前存在証明C++など
宝具:『???』
君だけの騎士 ①
ズーハオが気が付くと、そこは燃え盛るバッテリーパークだった。途方も無く長い夢を見ていた気もするが、最も優先すべき事項は目の前で膝をつくランサーに魔力を補給することであると断じ、懐から魔力を籠めた宝珠を数個取り出す。
「――……。」
「ズーちゃん?」
違和感が奔る。ランサーの顔を、声を認識したのが、もう十年以上前のことのような。だが、背後で俯くゾーエを見るのはさほど懐かしいことではないような。
「ランサー……?」
「うん、どうしたの? ボクはズーちゃんだけのサーヴァント、ランサー・森成利だよ。」
そう言って、女性のように見えてしまう顔立ちをした少年はニッコリと笑って見せる。しかしすぐに表情を引き締め、ズーハオを促す。
「行こうズーちゃん、はやくあの二人を追い駆けなきゃ!」
「二人……。」
「コーニッシュたちだよ!」
その名を聞いた瞬間、ズーハオは第六感で漠然と悟る。
「いや……最も考慮すべきはコーニッシュではない、その隣にいたキャスターだ!」
「ズーちゃん……?」
「根拠はハッキリとは言えん、オレの直感頼りの意見だ。でも……でもどうしようもなく、そんな気がするんだ!」
「……わかった。最優先はあっちのキモい女の子。直感って大事だもんね、わかるよ! とにかく行こうズーちゃん!」
「……すまないな、なっちゃん。――あぁ、なんだか懐かしい響きだな。」
そんなことをぼやくズーハオを、ランサーはにっこりと笑って立ち上がらせる。同様に背後で蹲っていたゾーエも介抱して起き上がらせ、共にコーニッシュ達が消えて行った場所へと向かう。即ち、エンパイアステートビルである。
エンパイアステートのガーゴイル像付近というのは、数多のハリウッド映画でも舞台とされてきたが、とかく足場が狭い。そのような場所でサーヴァントが戦闘を行おうとすれば、マスターに被害が及びかねないのは自明であった。ならば空中で戦えば良い、というのは、ズーハオですら思いつかなかったが。
「おやおや、いっぱしのサムライ風情が空も飛べるものなんですねェ?」
「ボクは昔から覚えが良かったからね! 剣士を見らば剣の術、弓兵を見らば弓の術、妖を見らば体骨の組み替え方。何でも覚えたものさ。だから空だってやろうと思えば飛べるのさ!」
「飛んでいる……というよりは、跳ねているという方が的確なようですがねェ。」
屋内で見守るズーハオとゾーエの方へキャスターが向かわないよう、空中で相手取るランサー。その戦闘を見守るうち、ズーハオはもやもやとした、しかし確信に近いような感覚を覚える。
すなわち、ランサーの人間無骨による連撃を自らの双腕からしなる舌で防ぎ、文字通り火花を散らすキャスター。彼女の存在はいちサーヴァントに留まって良い物ではないと――。
「っぐ……!」
直後、ズーハオが立つ場所のすぐ直下で、ガラスの破砕音と鋭い悲鳴が鳴り響く。見下ろしてみれば、左腕から大量の出血を負ったランサーが、右手に握った槍をビルの壁に突き刺し、ぶら下がっていた。左腕だけに限らず、ランサーの全身は既にズタズタだった。
それもそのはず、ライダーの宝具を借り受けたとはいえ、大量の魔力を消費してバッテリーパークを焦土と帰したのだ。まともに戦闘できる魔力が残っていたことが驚きなほどである。
「ランサー!」
「ズーちゃん、下がってて! 狙われるよっ!! ゾーエちゃんもいるでしょ! こいつらの相手はボクがする……、とにかく下がって、下がってて!!」
そう言われてすごすご下がるズーハオではない。そもそもランサーだってその状態からキャスターを撃退せしめるだけの力は発揮できないはずだ。ならば使うべき時に使うべき手段を行使せねばなるまい、と。
「――令呪を以て命ずる! ランサー、お前の限界はそんな程度か!?」
瞬間、ランサーの傷が全快し、ズーハオの手の甲に刻まれた令呪が一画、その輝きを失う。
「っはは……ズーちゃん、その言い方はないんじゃない? ――っとぉ!」
槍を外壁から引き抜き、脚部に満身の総力を込めて跳躍。再びキャスター目掛けて飛び掛かるランサー。
「令呪ひとつ使い潰してェ……。ハハハハッ! そうまでして我々を仕留めたいんですかァ!?」
「あぁ、仕留めたいね。お前たちはここで止めなければならない。直感がしきりにそう警鐘を鳴らすもんでな。」
そう嘯き、ズーハオは物陰に隠れていたコーニッシュの頭上に躍り出る。
「ッ!?」
「ぜ、――あッ!」
裂帛の気迫と共に剣の如き蹴撃を振り下ろす。英霊の腕力であればいかに低級なコーニッシュであっても、ただの魔術師に過ぎないズーハオの蹴りなどいとも容易く防ぐことが可能なはずだった。少なくとも、コーニッシュは
だが。
「な……!?」
その踵落としの衝撃は防ぐように掲げたコーニッシュの腕の骨髄にまでハウリングし、コーニッシュの左腕は痙攣して使い物にならなくなってしまう。
「これは……。」
「我が父より継いだ
「父母の名に懸けて……と。随分と英雄のような物言いをしますねェ、青二才が!」
「青二才と侮れば足を掬われるぞ、医学者!!」
宣言通り、コーニッシュの両足を払ってそのバランスを崩して見せるズーハオ。そのまま払ったその脚でコーニッシュの丹田を蹴り抜き、エンパイアステートから突き落とす。
「アハハハハハッ!!! おやおやおややァ? ご自分から私を遠ざけるような真似をしてしまいましたねェ!!? 頭に血が上りすぎているのではありませんかァ? アーーーッハハハハッッ!!!」
声高に嘲笑しながら風を切り、重力に身を任せて地上への片道ロケットを愉しむコーニッシュ。しかし、その表情は次の瞬間には凍り付く。
「お生憎様だ。オレは至極冷徹だぜ。そうあれとなっちゃんに言われたからな。」
そう言って微笑んで見せるズーハオは、コーニッシュを追い駆けて、自らも中空に身を投げ出そうとしていた。
「"
遠坂家に伝わる魔術の詠唱を唇に乗せながら。
「"
身体軽量化、重力の調整、制御。ズーハオの双脚には魔術刻印が浮かび上がり、その大空の旅を補助せんと輝く。そして、星空に目と腹部を向けるような体勢で落ちて行くコーニッシュの眉間目掛けて、右手の人差し指を真っ直ぐに向ける。
握った左手から零れ落ちた五色の宝珠が、煌めきながらその人差し指の周囲をくるくると旋回し始め、やがて散り散りに粉砕すると同時に人差し指の先端に強力な魔力が集中する。
「確実に――、」
それは、本来病魔の呪いであるが、『フィンの一撃』とも称されるほどに物理破壊力に特化した遠坂家及び北欧に連なる魔術師が用いる呪術、ガンド。
「殺すッ!!!」
剥き出しの殺意と共に放たれたその呪は、逃げ場のないコーニッシュの頭蓋を的確に突き叩く。そも、魔術師が英霊に勝ることなどありえない。勿論、その一撃にしてもコーニッシュからすれば大打撃になりこそすれ、致命傷には至らなかっただろう。
それでも不意の一撃にコーニッシュの落下速度は急上昇し、エンパイアステートのエントランス前に豪快な音を立てて墜落した。
「――なっちゃん、着地任せた!」
ズーハオの信頼から来るその依頼に、ランサーは悲鳴をあげるゾーエを抱えた状態でビルの壁面を疾駆することで彼に追いつき、そこから多少荒々しくキャッチすることで応えて見せた。
土煙が舞うエンパイアステートビル、エントランス前道路。NYPDのサイレン音が近付いてくる中、ランサーとコーニッシュ、キャスターは再び対峙する。キャスターの表情は明確に憤懣に支配されていた。
「ハ……ハハハハッ……! いやはや、少々舐めすぎましたねェ……。」
頭部から滝のように血を流しながら、コーニッシュはふらつく足、震える手で白衣からシリンジを取り出し、キャスターに突き立てようとする。
「さ、キャスター。今の私ではどうにもお役に立てませんからねェ。よろしくお願いしますよォ?」
しかし。
「――いいや。」
その腕を、細指で阻むキャスター。驚愕するコーニッシュの顔を睨むキャスターの表情は、この世のものとは思えぬほど狂気に彩られ、悍ましく妖艶であった。
「……
次の瞬間、無数の軟体生物の触手が虚空から出現し、コーニッシュの五体に絡み付く。
「なッ……! なぜ! なぜですかキャスター! 私は! 私はぁッ!!」
「貴様ほどの執念があればあるいは神にも挑めるかとも思ったが……やはり見込み違いだった。どこまで行こうと貴様もまた地球の知性体。稚拙な存在に過ぎなかったというわけだ。精々私の腹の足しにはなってくれたまえよ、ロバート・コーニッシュ?」
触手が徐々に、徐々にコーニッシュの体躯を圧縮していく。
「ひギッ……! アッ、ぎいぃ!! イタイ、イタイ! 潰れ、わた、しのカラダ、が――!!」
助けを乞おうと伸ばした手を見下ろし、ただニヤニヤとその様を愉悦に満ちた瞳で見守るキャスター。
「あ――。」
ぐしゃ、ぐしゃと。まるで紙屑でも丸めるように、触手がコーニッシュを小さく、コンパクトに収縮させていく。内臓も一緒くたにひとつに捏ねられ、最後に頭蓋が果汁を絞るフルーツのように簡単にくしゃっと捻り潰される。最期の一瞬まで伸ばし続けた左腕は千切れてぽとりと地に落ち、触手はその内部に人間がいるとは到底信じられないほどにまで小さくなってしまった。
「……っ!」
その一部始終を凝視してしまったゾーエは青ざめた顔で口元を抑え、我慢しきれなくなって咄嗟に体の向きを変えて吐瀉物を路上にぶちまける。
「まったく、こんな下等生物、本来ならば口にも入れたくないが……。」
そう呟いた途端、キャスターの上半身と下半身が腰で裂け、咢の如くばっくりと大きく開く。そこには何故か銀河が広がっており、その内部へ圧縮されたコーニッシュを触手ごと放り込み、また再び全身を元通り、まるで人間体のように治して見せる。
「さて、手間を取らせてしまったな、地球人。」
「貴様は……一体……っ!」
ズーハオの誰何の問いに、キャスターは高らかに笑って答える。
「フハハハハッ!! そうだな、今ならば名乗っても良かろう! 我は虚空の放浪者、英霊にして生者、生きながらに『向こう側』を漂う烙印を押された者! ラヴクラフト! 『ハワード・フィリップス・ラヴクラフト』!! キャスターのサーヴァントだ!!」
しかし、それに反駁するはランサーの肩を借りて必死に立ち上がるゾーエ。
「嘘だ! 彼は『死後に自分が別の場所へ征くなど確実にあり得ない』と明言している!」
「言った気もする。というか実際、そのつもりだ。私は死するその一瞬までは己の運命を享受するが、死して後は安らかに眠るつもりだ。だが……私は
「生きたまま英霊になったと言うのか……!?」
それには応とも否とも答えず、耳まで裂けそうなほどに歪めた口の端から牙を覗かせながら、じっと二人を見つめ続けるラヴクラフト。
その直後、ゾーエの足元からコーニッシュを圧殺したあの触手が勢いよく飛び出し、彼女に襲い掛かった。
「――っ!」
だが、それはゾーエに触れることはない。ゾーエの前に飛び出した一人の青年が振るった剣によって触手は斬り払われ、ゾーエは九死に一生を得る。
「貴様……っ!」
その青年の正体に、ラヴクラフトは眉をひそめる。そう、本来ならばあり得ない事象。あってはならない事実。しかしそれは真実としてそこに立っていた。右手にレイピアを、左手にマスケットを握って。
「よう、お嬢。」
懐かしい声がゾーエの耳朶に触れる。とてもとても、懐かしい声。もう何十年も前に聞いたような、それでいてつい数時間前に聞いたような。懐かしくも安堵する軽薄な声。
「ライ――。」
「ああ。」
鳶色の髪に華美な鎧装束のその銃士は、ゾーエの方を振り向いて笑って見せる。
「シャルルみてーだがシャルルじゃねー
即ち、ゾーエの、ゾーエだけの
「――サーヴァント、ライダー。真名『ポルトス』。かわいいお嬢さんの悲鳴を聞きつけて英霊の座より再び推参つかまつったぜ。」