身長:162cm
体重:56kg
属性:中立・善・人
好きな物:おしゃれ、スイーツ、カワイイもの
苦手な物:裏切り、汗まみれの筋肉
咄嗟の判断で『セイバー』の刃を手にした十字槍で弾き、再度『セイバー』から距離を取るも、腹部の傷が原因でその場で膝をついてしまうランサー。その足元から炎の渦が巻き起こり、ランサーを包み込む。その炎が消え去ると、ランサーの現代風の服装が軽装の和服に変貌していた。それと同時に鳩尾に空いていた傷も消えており、凛とした眼差しで『セイバー』を睨み据え、彼の剣術を嘲笑った。
「セイバー……って言ったっけ。確かに腕は良いね。でも、君の剣の腕には『道』がない。剣に迷いがある。その剣術でセイバーになれたって言うのなら、セイバーで現界した場合の僕の方が腕は上だよ。」
「なんじゃとぉ……?」
その言葉に、『セイバー』はぎりっと歯ぎしりをし、赤黒いエネルギーを全身から迸らせ、菅笠の向こうからでもはっきりとわかる怒りの面持ちで怒号を吐き捨て、ランサーへと飛び掛かった。
「今……わしの剣をわろたな? 誰にもォ!! わしの剣はァ!! 笑わせんッ!!!」
激昂するままに刀を振るう『セイバー』の様子を見たランサーはひとりほくそ笑み、飄々とした静かな笑顔でその剣を手に持つ十字槍で全て捌ききって見せる。
「ほぉら、そうやって根拠のない自信を馬鹿にされたからってすぐ怒る。本当に腕の立つ剣士ならそんなことはないよ。現に今槍使いの僕を相手に剣の間合いで僕に一太刀も与えられてないでしょ? 君は『セイバー』じゃない――一度剣を捌かれてしまえば太刀打ちが難しくなる……言い当てて見せよう、君はアサシンだ!!」
「黙りやぁッ!!」
しかし、その戦いにも終止符が打たれる。ランサーが後退を始め、それを追うように刀を振るい続ける『セイバー』を防ぎつつ、石畳が始まる地点までやってくると、十字槍を大きく振るい、それを躱すように『セイバー』も大きく距離を取った。
その直後しびれを切らした様子の『セイバー』が、刀を鞘に納め、くるりと踵を返し、一言告げてその場を去ろうとする。
「やめじゃやめじゃ、これ以上やりあっても時間の無駄ぜよ。」
歩き出す『セイバー』を見たランサーは一息吐くと、石畳を廃れ寺の方へと登って行こうとする。
と、次の瞬間。
「敵に背を向けゆうたぁえぇ度胸じゃかぁ!!?」
一足の元にランサーの背後に迫った『セイバー』は、神速の抜刀でランサーに斬りかかった。しかし、ランサーもまるでそれを予測していたかのように即座に振り向き、その斬撃を槍の柄で防ごうとする。しかし、その攻撃は。
「わしの『
ぱきんと英霊の所持品となったことで硬度の増した槍の柄を叩き斬り、瞬時に体幹の位置をずらしたランサーの左肩口に深い傷を作った。
「ぐぅ――っ!」
その直後、槍を持ち直したランサーは、力の入らなくなった左腕を槍に添え、『セイバー』の宝具に対しぞっとするほど冷たい瞳と語調で、宝具を放った。
「――嗤えよ。『
その槍撃は『セイバー』の胸部を貫通し、路上におびただしい量の血の海を生み出す。
「かっ……は――!?」
ランサーは『セイバー』が突き刺さったままの十字槍の穂を天高く掲げ、『セイバー』から流れ落ちる血の雨を頭から被った。しばらくじたばたともがき苦しんでいた『セイバー』もやがてガクリと力尽き、光の粒となって虚空へと消え去っていった。
主の元に帰ったランサーを待ち受けていたのは、静かな怒りを雰囲気に漂わせたズーハオの姿だった。
「……白昼堂々と宝具を使いやがったな。」
「ず、ズーちゃん! あの場は宝具を使わざるを得なかったんだって! まだあの雑魚アサシンが相手だったから
「喜べだと? 野良サーヴァントだからよかったものを、これであのサーヴァントの裏にマスターがいたらどうするつもりだったんだ!?」
「だ、だとしても僕のことを
ランサーの言葉にズーハオは大溜息をつくと、懐からエメラルドを取り出し、屋根の下にいるランサーに放ってよこした。ランサーは慣れた手つきでエメラルドを握り砕くと、その粉末を左肩に擦り付けた。すると、見る間に肩の傷が塞がっていき、やがて元通りに完治する。
「やっぱり優しいなぁ、ズーちゃんは……。」
「何か言ったか?」
「ううん、何も!」
にこやかにはぐらかし、ランサーはひと跳びでズーハオの元に着地して見せる。ズーハオはこめかみに青筋を立てながら、低い声でランサーに言い渡す。
「……あれほど何度も霊体化しろと言っているのに、聞けないのか?」
「えー。だって霊体化したらおしゃれできないし……。」
「魔力消費が激しいんだよ! いざという時にバックアップできなかったらどうするつもりだ!」
「ズーちゃん、嘘は良くないよ。」
「なっ……。」
「ズーちゃん、自分でこの場所に来た時に僕に言った言葉、忘れちゃった? 『ここは古い霊脈が未だに生き続けているから、ここに居座っていれば魔力の枯渇については問題ないだろう』って、自分で言ってたじゃない!」
図星を言われ、そっぽを向いてもぐもぐと唸るズーハオに、ランサーは優しい笑顔を浮かべ、その髪を撫でながら諭す。
「ズーちゃんは勝ちたいんだもんね。できるだけ強い姿を見せて勝って、リンちゃんに僕らの強い姿を見せたいんだよね。でも、冷酷で厳格な人間が皆強い訳じゃないよ。ズーちゃんも知ってるでしょう? 僕の前の主様とか、僕の兄さんとか。確かに主様も兄さんもすごく冷徹な人間だったけど、二人とも同じくらい優しい人間だった。自分の正義を貫いて、どこまでも部下を信じて戦った。……無理して僕に冷たくしなくても、ズーちゃんは充分立派に強い人間だよ!」
ズーハオは吃驚したような表情を見せ、目と鼻の先でその可憐な眉目を惜しげもなく晒すランサーから目を背けると、耳まで真っ赤になった顔でわざとらしく咳ばらいをし、話題を変えた。
「……ひとまず! 今のところはこの冬木にたかり寄ってくる野良サーヴァントを何とかしなくっちゃあな。」
「だねぇ。」
野良サーヴァントとは、マスターを失ったサーヴァントのことである。十年ほど前、この冬木の地で冬木の聖杯が破壊されたのは良い物の、その膨大すぎる魔力の残滓は未だに大気中に高濃度で混じっており、マスターを殺されてもなお命の聖杯に固執するサーヴァントたちがこの冬木に集ってくるのだ。
「まったく、どうしてこんなに野良サーヴァントが増えたんだか……。」
「そりゃ、サーヴァントよりもマスターを優先して殺してる陣営がいるんでしょ。」
「いっぷち!」
フランスはパリ、世にも高名なエッフェル塔の頂上でくしゃみをする、手にライフルを持った白装束の幼女がいた。
「どうしたチビ、さすがの死神様も高高度の空は堪えるか。」
「おかしいな……あたいがくしゃみするなんてあり得ないんだけど……。」
兎に角、とランサーはもう一度十字槍を手の中に呼び出し、それを景気よく頭上でぶるんと振って見せる。
「今のところの目標は野良サーヴァントの殲滅ってことで良い?」
「……なっちゃん。」
「どったの?」
目を閉じ、ズーハオは手の中にあったルビーをぎゅっと握りしめる。
「……改めて、今までも、これからも、ありがとな。」
その絞り出すような声を聴いたランサーは、感無量といった様子でズーハオに飛びついた。
「うぉっ!?」
「う~ん! これだから
「離れろって! オレに
ズーハオに振り払われ、しょんぼり顔で立ち上がったランサーは、気を取り直し、いつも通りの笑顔で今後の指標を再確認した。
「それじゃあ、冬木を散策しまくって、野良にせよ野良じゃないにせよサーヴァントがいれば見敵必殺! それで構わないね?」
「あぁ。できる限りのサポートはする。お前は戦闘面ではあまり優秀なサーヴァントではないのだから、危なくなったら無理をせず退却するか、オレを呼ぶんだぞ。」
「うん! 頼りにしてるよズーちゃん!」
ランサーは屋根から飛び降りると、また歪んだ竹のトンネルをくぐり、夕暮れの冬木の街へと繰り出した。勿論索敵もしたが、ランサーが乗り気で街へと降りて行った理由は、索敵という名目でデパートやショッピングモールの中を散歩できるからだった。
『……真面目に索敵しているのか?』
そんなズーハオの言葉が頭の中に響いてくるほど、ランサーはウィンドウショッピングを謳歌していた。やがて日も暮れ、購入予定の品物の目星がつき、満足顔で夜の冬木を歩いているランサーの直感に違和感が奔った。
それは、海浜公園で冬木大橋を眺めながら氷菓子を食べていた時のことだった。冬木大橋のアーチの頂部に、人影が立っていたのだ。魔力が感じられることからサーヴァントではあろうが、果たして何のクラスなのかはさっぱりわからなかった――はずだった。
しかし。
「そん……な。」
ランサーには一目でわかった。カップの中の氷菓子を一飲みで完食し、再度その人影に注目する。確かにその影はまさしく
「あっ――!」
言うよりも早く、ランサーは駆け出していた。車通りも少なくなった冬木大橋の路上で制止し、アーチの上にいる人間を見上げ、声高にその名を呼んだ。
「あっ……主様!」
ランサー――即ち、
「信長様ッ!!!」
彼女に最後の一瞬までも付き従った律儀な"男"、森蘭丸こと『森成利』が見間違えるはずなどなかろう。
「ん――? おぉ、蘭丸ではないか! なんじゃ、蘭丸も此度の聖杯戦争に参加していたのじゃな!」
彼女こそ、天下布武を世に敷き、天下人目前にて忠臣に裏切られその命を自ら断った日の本最高の覇王、第六天魔王と名高き暴君、『織田信長』であった。