祖龍と紅龍の力を持つ青年がダンジョンで一族復興を願うのは間違っているのだろうか 作:三本線
「あー・・・今から何年前だったかなぁ・・・もう覚えてねぇけど。俺、【ゼウス・ファミリア】ってファミリアに居たんだ。」
といって語りだしたハント。それを聞いた二人は酷く驚くが、ハントから修行を受けた身としてハントの強さは十二分に知っている。彼はどんな武器でも使いこなし、二つ名の通り、狩り人のような戦い方をし、獲物を狩る。
徹底的に弱点をつき、少しでも敵に隙が出来ればそこに攻撃をねじ込む。彼の教えも狩人らしいものだった。
「いいか視野は広く持て。常に敵を視界の中心に入れながら、地形の把握に努めろ。強敵と出会い逃げるにしろ、地形を利用するにしろ地形の把握は出来る限り速く行え。」
「怪物も生きてる以上、弱点がある。それの把握を戦いながら行え。それと、それが分からなかったら、まず目を狙え、次に鼻。この二つをつぶせば狩りは楽に出来る。」
これが彼のダンジョンで強敵と戦う際のアドバイスだったし、修行の最中、一字一句覚えるほど教えられた。
そんな彼が最大派閥の一つであった【ゼウスファミリア】の冒険者だったとしてもおかしくはない。
そしてハントが言葉を続ける。
「んで、うちのファミリアなんだが・・・知ってのとおり【隻眼の竜】の討伐に失敗しちまって、【ヘラ・ファミリア】と仲良く壊滅しちまってなぁ・・・んで、仲間の多くも死んじまってどうしようかと途方に暮れてなぁ・・オラリオの外で旅してたんだわ。んで、ある時、【闇派閥】って呼ばれる連中がお前らと同じ龍人族の子供を拉致するのを見つけて、助けるために連中に喧嘩吹っかけてなぁ・・・なんとか連中は全員殺して攫われた子供も助かったんだが俺も大怪我しちまって・・・んでそこでお前らの両親が偶々死にそうだった俺の近くを通って俺とその龍人族の子供を助けてくれたんだ。」
とここで一息いれて
「だけどな、そんときの俺は荒れててなぁ。「なんで助けたんだ。」だとか「俺なんか生きててもしょうがねぇ。生きる理由がない。」だとかお前らの両親に言っちまったんだ。そしたらお前らの両親に、説教されちまってよ。「生きる理由がない?子供みたいなことを言うな。大人ならば自分で考えろ」だとか「死ぬ理由に龍人族の子供を利用するな。」だとかさ。それで、なんか吹っ切れてさ、そのまま助けた子供を両親の元に連れて行くっていうお前らの両親の護衛を兼ねて、一緒に旅してたんだよ。それでその旅が終った後、命を救った変わりにもし自分達になにかあったらいつか生まれる子供達を育てて欲しい。って頼まれてな。それで龍人族でも大丈夫そうなこのポッケ村を見つけて、お前ら家族に手紙を送ったんだ。」
と自分の過去を語ったハント。それを聞いたボレアスとクシャは難しい顔をしているが当のハントは苦笑しながら
「まぁ過去の話だ。そら、そんな難しい顔してねぇでお前らがオラリオに着いた後の予定をもっかい確認するぞ。」
といいながらオラリオに着いた後の予定を確認していく。
「まずは、今オラリオの治安はいっちゃあれだがかなり悪い。恩恵なしのお前らが龍人族だと知られたらすぐにやみ派閥に狙われる。だからファミリアに入るまでは、俺が護衛する。ここまでは何回も言ったな?んで次に入るファミリアだが・・・ある程度規模がでかくないとお前らの後ろ盾として不安だから今、規模を大きくしてる【ロキ・ファミリア】か、【フレイヤ・ファミリア】がいいと思う。それに【ロキ・ファミリア】にはちとコネがあるしな。まぁ規模だけで言えば他にも色々あるが・・・探索メインのファミリアだったらこの二つだろう。」
と説明してくれるハントに頷くボレアスとクシャ。それを見たハントは微笑みながら
「よし。じゃ明日も朝早いからな。さっさと寝るんだぞ。」といいながら席を立つ。
そして、二人も寝床へと足を進める。
そしてベットへ入るとクシャが呟いた。
「いよいよ・・・だね。明日からやっと私とおにいちゃんの夢の一歩が始まるんだね。」
「うん・・・そのために、今までハントに修行してもらったんだ・・・絶対に夢を叶える。」
と、クシャの呟きに答えて決意を新たに決めるボレアス。
そして翌日
「久しいな。アイルー。オラリオまで頼むぞ。」
「ミャー。任せとけニャ!ミャーの馬車は特別製ニャ!3日日間で届けてやるニャ!」
とアイルーと呼ばれた猫人族の少女は答える。見た目こそ少女だが昔はハントとパーティーを何度も組むほどの凄腕のレベル4の元冒険者でハントが引退してから商人に転職したらしい。なんでも自身の持つ魔法で場所を引く馬のスピードを上げることができるらしく、商人としてだけでなく配達屋としても人気があるらしい。
そしてそんなアイルーに言われ、クシャと共に馬車に乗り込む。
そして3日日間、ときたま現れる盗賊や怪物をアイルーとハントが見守りながらボレアスとクシャが対処して、オラリオへの道を進んでいく。
そして、なんどめかの盗賊の襲撃を、返り討ちにした後、ハントから話があると呼ばれたボレアスとクシャ。
そしてハントの下へいくと
「お前らが持ってきた武器、俺が整備のしかたを教えてやってなんとか使い続けてきたけどそろそろ限界だ。だからホレ。」
といいながらボレアスには双剣と大剣を、クシャには弓を渡す。どちらもいままで使っていたものより数倍値が張りそうなものであった。
「そいつらは俺がまだレベル2くらいのときに使ってた獲物達だ。もう十何年も前のだが、素材はたしかなもんを使ってるし整備も定期的にやってたからまだまだ使えるぜ。」
というハントに
「え・・・ほんとに貰っていいの?ハント・・・たしかに今までつかってたのより全然いいものだっていうのはわかるけど・・・」
「うん・・・今までの弓よりすごく手に馴染む・・・・それに矢の威力も多分比べ物にならないくらいあがるとおもう・・・」
とボレアスとクシャがハントに向っていうと
「いーんだよ。それくらいの武器ならいくらでも家に置いてある。それに大人からの好意は無駄にしないもんだ。」
「「ありがと!ハント!!」
と声を揃ってお礼をいったところでアイルーから
「速く乗るニャ!もうあと少しでオラリオに着くニャ!!」
と言われ3人で馬車へと乗り込む。