祖龍と紅龍の力を持つ青年がダンジョンで一族復興を願うのは間違っているのだろうか   作:三本線

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入団試験

「フィン。少し話がある。」

 

ちょうど希望者全員との模擬戦を終えたフィンにリヴェリアが声を掛ける。目を向けるとリヴェリアの後ろには2人の子供と一人の男、そしてその男を警戒するかのように見るロキの姿があった。

 

「どうしたんだい?リヴェリア。それに後ろの方達は・・・」

 

「あぁ、この後ろの子供達に入団試験を受けさせたい。今から頼めるか?」

 

「別に構わないけど・・・・いいのかい?ロキ。」

 

【ロキ・ファミリア】は今では【フレイヤ・ファミリア】とならんでオラリオ屈指のファミリアであり、そのファミリアが本来の入団試験に間に合わなかった者に入団試験を受けさせる。そんな贔屓を行ったと広まれば【ロキ・ファミリア】の評判が下がったり、もしかすれば今から試験を受けるこの子供達に手を出す悪党がいないとも限らない。そのため主神であるロキに確認したのだが・・・

 

「かまへん。それより、早く始めてくれへんか?ガレスは試験終った冒険者達を帰らせといてや。どうせ合格者0やろ?」

 

「まぁ、そうなんだけど一応今から審査するっていって待たせてるんだけど・・」

 

「適当にガレスがあしらうやろ。そんなことよりフィン、団員に武器もってこさせーや。試験やるで。」

 

「はぁ・・・わかった。じゃぁ・・君達二人は少し待っててくれ。今武器を用意させてるから・・・。ところで名前はなんていうんだい?」

 

「ミラ・ボレアスです」

 

「ミラ・クシャです」

 

「ボレアスにクシャだね。よし・・・武器も用意できたみたいだし行こうか。」

 

と言い歩き出すフィンに続いて修練場に入るボレアスとクシャ。さらにリヴェリアとロキ、ハントも続いて修練場に入ってくる。

 

「よし。好きな武器を取るといい。」

 

といい団員に用意された武器を見せるフィンそしてそれを注意深く観察するボレアスとクシャ。すると突然ボレアスが口を開いた。

 

「すいません。武器を2つ使うのは禁止でしょうか?」

 

「いや、別に構わないさ。2つでも3つでも使うといい。」

 

「わかりました。ありがとうございます。」

 

といいまた武器選びに戻るボレアス。クシャは先ほどのボレアスとフィンの会話を聞いて、弓の他に短剣を持ち待機していた。

ボレアスも3分程で選び終えたようなのでフィンが声を掛ける。

 

「二人とも選び終わったかい?」

 

その問いに「はい。」と答える二人。ボレアスは両手にナイフを持ち背中にロングソードを斜めに背負っているという姿。どうみても自分の背丈を越しているロングソードなど明らかに子供が使う武器ではないがかれなりの考えがあるのだろうと思い、クシャに目を向けると彼女は弓の他には短剣一本とボレアスと比べると少々地味だが、遠距離も近距離も対応できるようにしているのがよく分かる装備。

そんな二人の観察を終えたフィンが改めて口を開く。

 

「よし。じゃぁ今から試験を始める。試験内容は僕と1対1での10分間の模擬戦。それと、模擬戦ではあるけど僕を殺す気でかかってきて欲しい。」

 

殺す気できてほしいと聞いた瞬間ボレアスとクシャの目つきが変わる。それを見たフィンは先ほどの希望者達より期待が持てるな、と内心で呟きながら

 

「じゃぁ、まずはボレアスからいこうか。」

 

と言われナイフ2本を両手に逆手持ちで構えるボレアス。それに相対するフィンも片手でショートソードを構える。

 

「じゃぁリヴェリア開始の合図を頼むよ。」

 

「わかった。両者準備はいいな?」

 

といわれ頷くボレアスと「うん。」と呟くフィン。

 

「では、試合開始!!」

 

とリヴェリアが言った瞬間、全速力でフィンに突っ込むボレアス。狙いは喉元。最高速でフィンに近ずき、右手でもつナイフをフィンの喉元目掛け横から斬りつけるように振るう。寸止めなどすることなく、殺すつもりで。

だがしかし、放った斬りつけが狙い通りにいくことはなく、フィンのショートソードで防がれる。そのまま鍔迫り合いになるかと思われたが、ボレアスは防がれた衝撃を利用して半歩後ろへそれた。そして間髪いれず、体勢を低くし、フィン目掛けて一歩踏み出す。次の狙いはフィンの心臓。心臓にナイフを突き刺すため、フィンの懐に入り込み、心臓目掛けて左手のナイフを振りかざす。が、それも簡単に、フィンのショートソードにまたもや防がれる。

その後何度か懐に入って一撃を狙ったが全て簡単に防がれてしまっていた。恐らく恩恵の有る無しに関わらず、武器を使う技術の差は圧倒的にフィンガ上。当たり前だ相手は二大ファミリアの団長。だが、フィンは防ぐだけでこちらを攻撃してこない。ならば一泡吹かせてやろうと、背中のロングソードを使うことを決意し、フィンから距離を取る。

 

 

(さっきまでの希望者達よりよっぽど冒険者としての才能がある。)

とボレアスの攻撃をいなしながら考えるフィン。

 

(最初の喉元への攻撃。その後の心臓への攻撃。その後も目、足、腕へと続いたボレアスの攻撃その全てが全て明確な殺意をもって振るっていた。先ほどの希望者達のように自分と相手の力量差を測れず、寸止めなどして勝ち誇ることなく、相手との力の差を理解差しているのも高得点だ。それに僕が防いだ後、癖なのか反撃を警戒してすぐに武器を構えるのも良い。冒険者に必用な警戒心をこんな年で持っている。それにナイフ捌きはまだ荒削りだが、。恐らくレベル2冒険者、もしかしたらレベル3冒険者に匹敵するレベルだ。)

等とボレアスの攻撃を防ぎながら考えているとボレアスが模擬戦が始まってから初めて距離をとった。そしてなにかを決意した顔をしている。

 

(やっとロングソードを使うのかな?僕としては充分合格点なんだけど時間はまだ残ってるからね。楽しませてもらおうかな。)

といいながらショートソードを構えなおす。

 

 

「なぁリヴェリア。あれほんとに10歳の子供か?さっきまでの希望者との模擬戦がお遊びに見えるで。」

 

「あ、あぁ私も驚いてる。なぁクシャお前もあれだけ戦えるのか?」

 

「私は、お兄ちゃんみたいに接近戦するより、弓矢が中心だからあそこまではできないです。でも弓矢はお兄ちゃんより得意です!」

 

「そ、そうか。らしいぞロキ。」

 

「・・・もう二人とも合格でええんやないか?リヴェリア。」

 

「あぁ、私もあれを見せられたらそう思う。」

 

と驚くロキとリヴェリアをよそにクシャが呟く。

 

「でも・・・なんかお兄ちゃんいつもよりちょっと窮屈そうな戦い方してる気がする。」

 

それを聞いたロキは

 

「はぁ?!あれで窮屈そうやって?普段はもっとすごいんか?!」

 

それを聞いたハントが呟く。

 

「多分、武器の差だろうな。いつも使ってる双剣じゃなくただのナイフを両手に持ってるからな。長さや重さ。そのわずかな差のせいで窮屈に戦ってるように見えるんだろう。まぁボレアスもクシャも天才だ。だから自分達で気づかないうちに使ってる武器にあわして体が勝手に動くんだろうな。」

 

それを聞いていたリヴェリアやロキは驚愕し、クシャのみが「ふーん」と理解していないような声を上げていた。

そして正気に戻ったリヴェリアとロキがハントを問い詰めようとした時、ハントがまた呟く。

 

「聞きたいことは後で全部説明するから今は試合を見てやれ。ほら、ボレアスが仕掛けるぞ。」

 

 

 

 

 

フィンと一旦距離をとったボレアスは一息ついて、両手のナイフを構えなおし、フィンへと突っ込む。

そして両手のナイフを上へと構え、加速の勢いのままフィン目掛け振り下ろす。それに対してフィンは下からの切り上げで両方のナイフを防ぎ、そのまま振りぬく。そしてその切り上げの衝撃を利用してボレアスは上へと飛ぶ。

(狙い通りだ。)とボレアスは内心で笑う。

そして空中から両手に持っていたナイフをフィン目掛けて投げる。フィンは少し驚いた顔をしていたが難なく、投げたナイフを捌く。だがナイフを捌いてる間にボレアスの準備は終っていた。

ロングソードを空中で抜くと自由落下も利用しフィンへと全力でロングソードを振りぬく。

フィンは一瞬でこれは片手では防げないと思ったのか両手でショートソードを握りボレアスを迎え撃つ。

そして、修練上に轟音が響いた。

その音にロキとリヴェリア。クシャが顔を顰め、瞬きした後、目の前には折れたロングソードが転がっていた。

そして

「くっそー・・両手を使ってはもらえたけど武器のほうが耐えられなかったんじゃしょうがないな。」と笑うボレアスと

 

「僕もまさか両手を使うことになるとは思わなかったよ。それに、ボレアス、あんなロングソード使えるなんて君何者なんだい?あきらかにあれは君くらいの子供が振る武器じゃない。」

 

「・・・・その辺は合格して入団できたらちゃんと話します。」

 

「・・・・そうか。わかった。」

 

「じゃぁ次はクシャの入団試験だけど・・・・」

 

「やらんでええんやないか?ボレアスがあれだけやれたんや。クシャちゃんも強いやろ多分。」

 

「そういうわけにもいかないよロキ。団長としてそこは譲れない。」

 

「はぁ~頭かったいなぁフィンは。わかったわ。じゃぁクシャちゃん準備しぃや。」

 

「わかりました。」

 

と答えて弓を構えてボレアスと入れ替わりでフィンと相対するクシャ。

 

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