甲戦線第一塹壕ラインにて
小隊長「指示があるまで顔を上げるな、一応着剣しておけ。」
隊員「「「「「了解。」」」」」
既に敵はこちらまで500㍍位の距離まで迫って来ている。
目視でも、姿形が分かる程の距離だ。しかし、まだ攻撃の指示である砲撃は始まっていない。
もし今、塹壕から顔を上げようものなら、滅多撃ちにされて影すら残らないだろう。なので、声も潜めて話している。
小隊長(一体提督は何をやりたいんだ?この島を守るんじゃなかったのか?)
敵が近くに来ている恐怖から、疑心暗鬼に陥り始めていた時、何の前触れもなく、後ろで砲声が鳴った。攻撃の合図だ。
小隊長「弾幕を張れっ!」
自分が喋り終わるよりも早く、隊員たちが銃を撃ち始める。
この時、甲戦線全ての塹壕、トーチカ等から一斉に銃弾、砲弾が撃ち込まれ始めた。
油断し、体を晒してやって来た深海棲鬼達が、突然の銃砲撃に、体を伏せる間もなく血飛沫を上げながら、地面に倒れる。
本来、深海棲鬼にはシールドが張られているのだが、この弾幕の中では、まったく意味を成さなかった。
それでも鎮守府補側にも多くの犠牲者が出た。
タ級elite「クソッ、トーチカニ弾ヲブチコメ!」
複数の深海棲鬼達が体を晒して砲撃をする。トーチカのそばで巨大な土埃が舞い上がった。しかし、喜ぶ暇もなくその体は蜂の巣にされた。
直後、トーチカ内で爆発が起こった。
そこから空いた弾幕の隙間を縫って、深海棲鬼達が忍び寄る。が、
兵士12「ばんざぁぁーいっ!」
兵士13「皆殺しだぁっ!」
幾人もの兵士達が雄叫びをあげながら、白兵戦を深海棲鬼達の真横から仕掛けて来る。
深海棲鬼たちは、前だけを見ていたので反応が遅れた。結果、対応しきれず、あっという間に殲滅されてしまう。
火炎放射手1「くらえぇっ!」
別箇所で接近しても、躑弾で、体を粉々にされるか、火炎放射で焼き付くされるかのどちらかの道を選ぶこととなった。
ツ級「ッ!ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!アヅイ!アヅイッ!」
甲戦線で敵の第一波は、海頭堡を立てる拠点すら占領できずに押し返されることになった。
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乙戦線にて
長門「撃って撃って撃ちまくれ!」
大井「魚雷装填完了したわっ!」
白露「煙幕展開します!」
長門「・・・いやっ、やめておけっ!」
白露「っ!了解‼」
大和『敵、そちらに2個中隊ほど抜けましたっ!』
長門「分かった‼」
乙戦線では、1個大隊もの敵が間断なく攻撃を続けていた。予備として取っておいた、第8艦隊も既に投入されてしまっている。
高速修復剤などの資材も使用率が、加速度的に上昇していた。このままでは、長期戦になってしまったときに持ちこたえられなくなってしまう恐れがあった。
長門「吹雪、白露、曙‼魚雷発射!」
吹雪「待ってましたっ!」
何本もの魚雷が敵へと向かって駆けて行く。そのほとんどが敵に命中した。この量の割にはかなり、落ち着いた対処ができている。
主な理由として、大和達が敵を大量に沈めていて、こちらには多少の余裕がまだあるから、という事もあるだろう。
そして、もう一つ理由があると私は思う。それは、吹雪だ。
吹雪「そこだぁっ!」
敵に見事に命中する。先程から吹雪の放つ弾は、命中または至近弾ばかりだった。むしろ外すときの方が珍しいという異常っぷりだ。
元から真面目で、日々の訓練を怠らない子だったが、それでもこの命中率はおかしい。
大和「そっちにまた2艦隊程度抜けましたっ。」
大井「チッ!次から次へとっ!」
だが、今はそんなことを考えている場合ではない。
気になるが、そんな命中率云々の話は、また後から聞いたり、考えたりすればよいのだ。
長門「了解したっ!」
私は再び敵の方に向き、41㎝相当弾(艦娘が遠征等で取ってくる鋼鉄で作られた弾丸)の雨霰を降らせるのだった。
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丁戦線にて
こちらでも散発的に戦闘が発生していた。
だが、甲、乙戦線程の攻撃は加えられていなかった。
無理もない、この戦線には先程の砲撃によって数を減らされ、統率の乱れた敵部隊が宛がわれているのだ。
金剛「・・・全く敵が来ないネー。」
時雨「・・・もどかしいね。」
夕立「凄い暇っぽい。」
その量は、艦娘が戦闘にいかなくても十分対応できてしまう位しかなかった
敵は全く攻勢に出ないので、上からの射角を取ることの出来るこの戦線では、一方的に撃ちまくる事が可能だった。
おかげで、沿岸部には、敵の屍の山が築かれ、それが味方の士気を向上させ、より、うず高く屍の山が築かれる原因となっていた。
摩耶「もういっそのこと他の戦線の援護に回った方がいいんじゃねえのか?」
陽炎「私もそう思う。」
ここの戦線には一個艦隊しか宛てられていないのにこの余裕っぷりだ。
霧島「一応、提督からの命令ですから、逆らう訳にはいけません。」
陽炎「だよねー。」
夕立「ぽいー。」
摩耶「分かってるけどよ・・・」
金剛「仲間が心配なのは分かるケド、敵がいつ押し寄せて来るかわからない戦線を離れる訳にはいかないネー。こういった考えが、負けに繋がった戦いも今までに何回もあるねネー」
摩耶「・・・はぁ。」
霧島「まぁ、気長に待ちましょう。」
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執務室にて
今日の戦闘では最初からかなり有利な状態で戦う事が出来たので、空襲より少ない犠牲者で乗り切る事が出来た。
しかし、艦砲射撃で高射砲が何基か壊されてしまったのが痛かった
南渡「何とか敵を押し返す事が出来たな。」
多譯「えぇ、ただ被害もあまり無視出来ませんが・・・」
南渡「・・・私は戦争に来たばかりの初心者だから、あまり偉そうな事は言えないが、よくやれたのではないか?一番勢いのある第一波を跳ね返したんだ。
さらに敵が完全に油断していた所に一撃を与えられたからな。敵も警戒して、進行速度も遅くなるだろう。こちらも、あちらの二の舞にならないようにしないといけないが。」
多譯「そうですね・・・。あぁ、そういえばー」
そこで、軽やかなノックの音が響き、ドアが開いた。
???「失礼します。」
名前も何も言わなかったが、しゃべり方から長門かと思い顔を上げる。
しかし、そこに現れた人物は全くの別人だった。
???「おひさしぶりですな!」
ーそこにいたのは
???「いやー、案外上手くいったので驚いたのであります!」
ー現陸軍所属で、同期の、
???「南渡少尉。いや、南渡特命中将殿でしたか!」
ーあきつ丸だった・・・。
僕は、渋い顔になってしまうのを隠せなかった。
ー艦娘養成所についてー(大本営検閲済み)
東洋帝国の艦娘養成所は現在、大宮にのみ設置されており、海軍士官学校も同じ敷地内にある。正式名称は大宮海軍艦娘科養成所。
6歳から入所することができ、入所後は完全に寮生活となる。両親などの外部の者、または、ここを卒業した艦娘の面会は、原則認められていない。
外部または、艦娘養成所併設幼学校から一定の条件を満たすことで、ここに入所することが出来る。
・艦娘所養成所併設幼学校について
ここへは、主に親の事情等により、子育てが出来なくなった子供が入学できる。中にはまだ1歳にもなっていない赤ちゃんもいる。役割としては幼稚園とほぼ一緒である。基本的にここにいた子供は艦娘養成所に入所し、駆逐艦娘となる。
・外部入学について
6歳~24歳までの女性が入所できる。ここへは、親子間の問題や、金銭的な問題などを抱えている女性や、艦娘を将来の夢としている女性がやってくる。毎年の入所定員は約2000名である。駆逐艦娘になる者も居れば戦艦や空母艦娘になれる逸材も中には居る。
・カリキュラムについて。
ここでは図に示しておく。
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艦娘養成所併設幼学校
↓
大宮海軍艦娘科養成所←外部入所生
↓
1年~4年最低限の海軍や艦娘、一般常識についての教育を受け|る。
↓
艦娘適正審査→落第者:艤装科などに転所または転校。
↓(合格率:平均、約65%)
合格者:実践的な学習、そして艦娘が使う艤装を扱う為の薬物が投与され始める。しかし、中にはそこで落第になる者がいたり、■■■■■■■■■■■。
↓
最低2年上記の学習を受ける。
↓
第一次卒業試験→落第者:艦娘適正審査の落第者に同|じ
|↓
|合格者:駆逐艦娘、小型艦娘になるため①に送られ|る
↓
優性合格者:大型艦娘になるための学習を受ける。
↓
特別棟で1年~2年の間上記の学習をする。
↓
第二次卒業試験→落第者:■■■■■■■■■■
↓
合格者:大型艦娘になるため①に送られる。
・①:通称「丸1」。合格したときの証明書に大きく丸が一つ書かれているのでこの名称が付いた。合格通知後すぐに、大宮から遠く離れた、演習場付の小島に送られる。
そこで艦娘に、艤装が初めて個人専用のものとして支給される。その際に、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。
ちなみに優性合格者は二重丸が付いていることから、特別棟が「丸2」と呼ばれる事もある。この言葉は主に教官が用いており、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。
・試験について
¤艦娘適正審査:ペーパーテストで、一般的な学生が習う数学などの教科や、艦娘になるために最低限必要な知識、そしてその後の訓練に耐えうるかの、体力テストが実施される。
¤第一次卒業試験:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。
¤第二次卒業試験:基本的には第一次卒業試験と一緒である。ただし、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。