<第41鎮守府補>は、25年前に作られた場所だそうだ。
10年ほど前まで、敵もほとんどいなかったため、左遣された士官が多く居たそうだ。
そもそも鎮守府補とは、何か。そこから説明しよう。
現在の帝国海軍では、簡単に纏めると、大本営が考えた骨組みを鎮守府で肉付けし、鎮守府補がそれを実行するという制度を採っている。
勿論、戦闘となれば鎮守府、鎮守府補での共同戦線を張ることも珍しくない。
まあ、だいたいこんな感じだ。
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僕は今、執務室に向かうため廊下を歩いている。
そしてすごい、艦娘たちに注目されている。
そこまでは、普通だろう。
問題は各々の反応だ。
僕を見た瞬間にびくりと体を震わせ、怯えたようにこちらに目を向ける者。
僕を親の仇のような目で睨んでくるような者。
慌てて逃げ出すもの。
・・・一体どうなっている?面倒事の香りしかしない。
今はただ、睨んで来てる奴に後ろから撃たれない事だけを祈ろう。
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やっと執務室に着いた。
今すぐベッドに行きたくなるぐらいには疲れた。
南渡「ふぅ。・・・では、曙?でいいよな?来たばかりなのに申し訳ないがいくつか質問したい事がある。」
曙「はっ、はい。なっ、何でしょうか?」
さっきよりも怯えている気がする。気のせいか?
南渡「まずここの兵力を教えてくれ。」
曙「はっ、現在この鎮守府補には、水雷戦隊一つ、海戦隊第11大隊、第14大隊、そして重輜大隊が一つあります。」
南渡「対空砲などは?」
曙「す、すいません!12.5センチ高角砲が4門4基、25ミリ連装機関銃が26門13基あります。」
南渡「ふむ、念のため聞いておくが、ここの仕事は、物資を全線に送り届けるだけだよな?」
曙「はい、そ、その通りです。」
良かった。少なくとも死の危険性は少ないようだ。
南渡「分かった。では、仕事に取り掛かろう。具体的に何をすればよいのだ?まったく聞いていないのでな。」
曙「え、は?仕事をなさるのですか?」
南渡「・・・いや、貴様は私を馬鹿にしているのか?職務怠慢は、軍法に触れてしまうではないか?」
・・・一体何を考えている。わからないことだらけだ。
曙「ひっ、申し訳ありません‼本日の内容は、こ、こちらになります!」
そう言いながら差し出した書類をもっている手は、震えていた。
南渡「・・・分かった。」
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幸いにも書類仕事は、簡単なものばかりで2時間程で終わった。敵が来ないのならここでの生活もいいかもしれない。
南渡「ふぅ、終わった。」
曙「・・・・・・・・」ガタガタ
このあとの予定もないので気になっている事を聞いてみることにした。
南渡「なぁ、貴艦は、そんなに何に怯えているのだ?」
曙「ひっ・・・あぁあぁぁぁぁぁっ!お許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しください」
ー突然曙がパニックになった。
南渡「待て待て一回落ち着け、私は、貴艦に何かしたか?」
曙「お許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しくださいお許しください」
一回どうにかして落ち着かせないといけないと思い口を開いた時だった。
バンッと音を立てて執務室のドアが開いた。
???「・・・やっぱりあんたもそういう奴なのね。」
そういう奴?誰の事を指している?
乱入者は僕の横を通り過ぎて、曙の元へと歩いていく。
???「曙ちゃんもう大丈夫よ、疲れたでしょ!私のアイスあげるから、一緒に食べにいきましょ。」
そうして暫く彼女は曙の背中を撫でていた。
曙「・・・ひっぐ、ひっぐ。」コクリ
5分位経ってなんとかおさまってくれた。色々助かった。が、撃たれるかと思う位の怒気を彼女は僕に放っていた。
南渡「す、済まない、有難う。因みに名前は?私は南渡だ。」
???「大井よ」
そっけなく彼女、大井は言葉を返した。
南渡「一体曙に何があったんだ?話掛けただけでこの怯えようでな、」
大井「後にしてちょうだい。この状況を見て貴方は、そんなことを聞くの?」
南渡「う・・・すまない、有難う」
確かに今のは配慮にかけていたので何も言い返す事が出来なかった。
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提督寝室にて
兄が家出をしてから、時々悪夢をみるようになった。
突然家に押し掛けてきた銃を持った男たち。兄を撃ち殺して、こちらに銃を向けたところで必ず目が覚める。
南渡「くそっ。なんだってんだよ。」
鎮守府補に配属された夜もその夢を見た。大抵その後には、ろくなことが起こらない。
外は深い霧に包まれていた。
帝国海軍法より一部抜粋
第11条:艦娘は直属の上官の正当な理由による命令または他人に危害なき限り、自由な発言及び、行動をとることができる権利を有す。
第12条:艦娘は、提督が艦娘に暴力行為、又は艦娘の同意なく猥褻な行為をしようとした場合、又はした場合、憲兵団の調査の上、軍法会議にかけることができる権利を有す。