対深海棲艦対戦史   作:とっしー1041

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それぞれの世界

 結局あれから僕は、眠ることができなかった。

怖い。あの夢をみることがどうしても怖い。でも自分でも原因がわからない。

 あの日から、両親は、僕を悪魔か何かのように見るようになった。そしてこれも原因がわからない。

 生まれてこの方、僕に対して、この世界は、無理解と無慈悲に満ちている事を僕に理解させるための出来事を起こしているとしか思えない。まったく、くそったれな世界だ!

 

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 今日、本当は曙にこの鎮守府補を案内してもらうつもりだったのだが、昨日の出来事から考えてそれが不可能だと感じた。だから、今僕は一人で鎮守府補内を歩いている。

 

南渡「とりあえず、海戦隊の所にいってみるか。」

 

そう思い、海戦隊基地があるところに歩を進め始めた。

 

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いーち、にー、さーん、しー、と言いながら彼らは訓練をしていた。どうやら今日の訓練はランニングがメインのようだ。

ボーッと眺めていたとき、誰かが話かけてきた。

 

???「どう思われますか?今の練度は。と、いってもランニングだけじゃ判断に困るかもしれないですが。」

 

階級バッジ(この作品内では、階級はバッジで表されている。)を見てみると、大佐の型が彫られていた。

 

南渡「・・・貴方は、この鎮守府補の大隊長殿であられますか?」

 

???「ええ、私は第11大隊大隊長、多譯 芳(おおわけ かおる)と申します。」

 

南渡「私は南渡、南に渡るとかいて、みなみどと呼びます。貴方方の奮戦ぶりを楽しみにしています。」

 

多譯「・・・南渡『少尉』殿に一つ言いたいことが」

 

南渡「?、何でしょうか?」

 

多譯「貴方は、特命であるもののこの鎮守府補の長であられるのです。そのようなへりくだった態度を取っていると、周りの方々から舐められてしまいますよ。もっとえらいそうな態度がちょうどよい、と思いますよ。例え本当の階級が私より下であるとしても、です。」

 

南渡「りょ、了解いたしま・・・よし、分かった。」

 

多譯「それでよろしいのです!」

 

多譯の態度には、海軍士官学校の先生を彷彿させるような雰囲気があった。それでもまだ40歳前半くらいだろうか?ちなみに士官学校の先生は、だいたい50歳ぐらいのじいさんばっかりだった。

 せっかくなのでこの鎮守府補の事を聞いてみることにした。今度はきっと曙みたいな事には、ならないだろう。

 

南渡「ここの艦娘の事なんだが、だいたいの奴が俺を怖れているように見えるんだ。一体昔のここに何があったんだ?」

 

多譯は渋い顔をして、答えた。

 

多譯「・・・私は海戦隊員なのであちらの方にはあまり行きませんでした。ただ彼女らは、先代提督から全員とはいかなくても、性暴力を含む『指導』を受けていると部下が噂しているのを聞きました。また、部下が報告にいくと、大抵、秘書艦がアザをつくっていたそうです。彼には、あまりよい噂はありませんね。」

 

南渡「そうだったのか。」

 

・・・先代提督は一体何をしていたんだ。確定だとは言えないが、軍規違反ではないか。そもそも人間としてどうかと思うのだが。

 

多譯「辛気臭い話はまた今度にしましょう。代わりに私が案内しますよ。」

 

多譯自身もあまりこの話をしたくないのだろう。

露骨な話題転換をしたように感じた。

事実、僕もサイコパスやSの性質は持っていないので(勿論Mの性質を持っているわけではない)、この話は、結構心苦しく感じていた。

 

南渡「では、案内してもらおう。」

 

多譯「では、こちらから・・・」

 

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執務室にて

 

 施設は案外充実していた。入渠施設から工廠まであった。

 さらに飛行場もあった。多譯曰く中攻(大型爆撃機のこと)も飛行場を軽く整備し直せば、離陸可能なのだそうだ。もっとも、使われていないが。

 

南渡「そんなことよりも、だ。」

 

これからどうすればよいのだろう?彼女らとの距離感をどうすればよいのかさっぱりわからない。

 話が分かる奴がいればなんとかなるのだが。

大井は、どうだろう、と思ったが一瞬で無理だと悟る。僕をずっと睨んで来てる奴とまともな会話が出来ると思えない。曙は、論外だ。

 と、なると他の誰かを当たるしか選択肢がない。

では、艦娘寮にいってみるか?これも無理だな。大井に会う。彼女らも理由なく襲ってくる奴らでは無いだろうが、僕は彼女達のことをまったく知らない。逆鱗に触れようものなら一瞬で、とはいかないだろうが殺されてしまうかもしれない。

こんなことなら、もっと資料を読んでおくべきだった。今更どうしようもないが。

 

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第41鎮守府補執務室にて、

 

???「ふざけるなッ‼このゴミどもがっ‼」

 

???「はぁ?これはあんたのミスじゃない!どうして私達のせいにされなくちゃいけないの!?」

 

???「なんだと?てめえ、艦娘の分際で生意気だぞっ‼自分の立場をわきまえろっ‼」

 

話にならない。このクソ提督 黒磯 部落(くろいそぶらく)は、いつもこんな感じだ。作戦の詰めが甘いばかりに、敵の猛攻撃を私達が受ける羽目になるのだ。挙げ句の果てには私達にその責任を押し付けて来るという無能っぷりだ。

 はぁ、何でこんなところに配属させられなければいけないのだろう。この世界は私に不理解と不条理を理解させるためにこんなことをしているとしか思えない。まったく、ホントにくそったれな世界だわ!

 

 

 

 

 

 

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