土下座とは日本に古くから伝わる最大の謝罪の形。地面に直接座り、額を擦り付けるという日本人の伝統的文化である。アニメ、ゲームなどの主人公が女の子の裸、または身体に触るなど一線を一時的に踏み込んだ場合によく発動させる。見ている方はいい。ただ眺めて「あははっ!」「マジかよ?ありえねーww」「必死かよ?」と感想を述べて終わるのだから・・・
雪風の発言より約0.5秒、彼女の上官はそれはそれは綺麗な土下座をしていた。あるものは笑い、あるものは驚き、あるものは呆れ、あるものは寝ていた。しかし彼の号泣しながらの弁明のおかげで結果的に全員の誤解を解くことが出来た。この一件で鎮守府の男性用トイレの設置を決定。この出来事は後に「土下座便所革命」と呼ばれる事になる。この革命が後日、日本中の鎮守府に大きな衝撃を与えるなど今の山田には知るよしもなかった。
その後、朝礼は終わりそれぞれ会場から退出する。残ったのは壇上の大淀、明石、そして弁明に成功した達成感で右腕を上げたまま燃え尽きている山田だけになった。
「今回、初めて朝礼やったけどやっぱりダメね~~。馴れない事やるもんじゃないわ~~。」
「お疲れ様、でも結構、様になってたよ?大淀。」
「ありがとう、でもまさかこんな事になるなんて思わなかったなぁー。」
「仕方ないでしょ?私達の提督なんだから。土下座の時は驚いたけど、言い訳もせず堂々としていて好感が持てるよ?私は。」
「そうね、どこぞの色ボケ親父とかあのイケメンよりはいくらかマシかも。」
「それより大淀、今さらだけど口調が素だけどいいの?」
「いいのいいの。この人、さっきから右手上げたままだし、どうせまたお得意の気絶でしょ?私本当は敬語嫌いなのよねぇー。なんつーか疲れる?みたいな?」
大淀が衝撃の告白をしたと同時に山田の右手が下に動いた。
「明石。」
「あっ、はい。」
突然、山田に呼ばれて明石は驚きながら答える。一方大淀はやってしまったという表情で固まっていたが、次第に今までの自分の会話を思いだし、顔が青ざめている。そんな事を知ってか知らずか山田は続ける。
「そろそろ教えてくれないか?ここはどこで、俺はなぜここにいるかを。」
山田の真面目な質問に緩んでいた明石の顔もキュッ!と引き締まる。
「わかりました。それでは執務室に行きましょう。そこですべてをお話します。ついてきて下さい。」
足早に明石は出口に向かっていく。山田も後についていくが途中で止まった。大淀の前で。
「大淀。」
「はいぃぃぃ!」
「トイレをなるべく早く作ってもらいたい。頼めるかい?」
「はいっ!今すぐに妖精さんに頼んで今日中にでもっ!」
「ありがとう。」
「いえいえっ!当然の事ですのでっ!」
「あと・・・」
「はいっ!」
「ストレスになるようなら敬語使わなくてもええよ?俺も敬語嫌いだしな。」
「えっ?」
予想外の言葉に唖然とする大淀に山田は握手を求める。
「お前とは、なんか長い付き合いになりそうだ。そんな気がする。だからよろしく頼む。」
「・・・・・・。はいっ!こちらこそよろしくお願いします。提督。」
握手を終えた後、ダッシュで明石を追いかけていく山田を見ながら大淀は思った。
この人が私達の提督になってくれて本当によかったと。
きれいにまとまったかな?