もうツッコミの気力も無くなり素直に明石からヘルメットを受けとる。見た目は全体が黒で、そこら辺に見かける普通のヘルメットそのものだった。中身を覗くと赤やら青やらいろんな色の小さい光が点滅していて前の部分には液晶になっていて何やらロゴが映っている。なんだかカッコイイ。
「ささっ、ググイッと被っちゃって下さい!」
明石が身を乗り出して催促してくる。山田はそんな彼女の勢いに怯むと深呼吸をして大きく息を吐く。覚悟を決めてヘルメットを被る。
ウィィィィ。
音とともにロゴが消え画面が暗くなる。しばらくして明るいbgmが流れ出す。始まるのか?画面が黒から白に変わる。
「「なぜなに艦これー!!」」
小さくディフォルメ化された明石と大淀が大きくてを振っていた。
「ようこそ!艦これの世界へ、山田孝夫さん!!」
「今からこの世界の事、そして私達、艦娘の事をより良く知ってもらう為、分かりやすくお教えしまーすっ!」
「説明を担当する大淀とっ?」
「解説を担当する明石でぇす!」
「「よろしくお願いしまーす!!」」
・・・・・・・・・。
「まず、この世界は山田さんがいた世界ではありませーん。」
手を×の形にする大淀。
「ここは山田さんがいた世界のもう一つの可能性、パラレルワールドなのですっ!」
えへんと胸を張る明石。
「こちらの世界は山田さんの世界より科学が進歩していて車や電車、飛行機などの移動手段は無く、みんなワープホールを使って人間はみんな移動しているよ。」
「らくちん、らくちん♪」
「そんな中、突然海の中から異形の化け物、深海棲艦が現れたの。」
「そして奴らは次々と人間を襲いはじめたのよ。」
お互いの体を抱き合ってブルブル震える大淀と明石。
「人間も武器や兵器を駆使して対抗したんだけど・・・」
「まったく効かなくて被害は広がるばかり。しかも奴らは人間が使っていた武器、兵器を吸収して更に強くなっていったんだ・・・」うつむく二人。
「そんな時、奴らに対抗できる唯一の存在が現れたのです。それが・・・」
大淀の目がキラキラ光る。
「私達、艦娘でーす!!」
ピースする二人。
「その後、なんやかんやあって人間と協力して深海棲艦を倒していったんですが、」
「ある科学者が艦娘など奴らと同じだ。信じられるかと反発し、なんと核弾頭を撃ってしまったのです。」
うつむきながら話を続ける二人。
「その行動が全国に衝撃を与え、各国でも同じような事が起きるようになったの・・・」
「放射能で住めなくなった人類は最低限の人間を残し、宇宙へ避難しました。今は木星に住んでいるんだ。」
「私達、艦娘はそのままでも深海棲艦にダメージを与えられますが、指揮をする人間、すなわち提督がいればより強力な力が出せるという事がわかったのは人類が宇宙に行って二日後だったの。」
「そこで人類の技術を結集して、あなたの世界、パラレルワールドから提督の素質がある人を連れて来ようって事になったんだ。」
「確実に優秀な人を連れて来る為、艦娘の育成、管理がシュミレーション出来るアプリ、通称艦これを作って山田さんの世界に普及させたのです。」
「そして優秀な人材、山田孝夫さん、あなたが選ばれここに呼ばれたという訳です。」うつむいていた顔を上げて、にこやかに笑う二人。
「あなたは・・・」カポッ!ヘルメットを脱ぐ山田。
「・・・・・・・・・・・・。」
「あれ?これからがいい所なのにもう脱いじゃうんですか?提督?もう少しでディフォルメ化された水着の私と大淀をVRで堪能する事ができたのに。」
「えぇっ!そんなの聞いてないわよ!?明石。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「提督?・・・あっ、VRのスイッチ入れてない。それで脱いじゃったんですね?それならそれで最初から言ってくれればいいのにー。」
「ちょっと、明石!話聞いてるの?ねぇ!」
「・・・笑う。」
「「え?」」
「俺のキャパを余裕で越えてて笑う。」
山田の目に光は灯っていなかった。