俺の鎮守府   作:やんやんいやん

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キリングミーソフトリー


16、めぐりあい便所

その後、男性トイレに向かう途中、妖精について聞いたみた。大淀によると妖精は大きく2つに分けられるらしい。一つ目は艦娘の武器、装備の修理、改修、開発を得意とする妖精。そしてもう一つは建物の建造、増築、警備を得意とする妖精。

 

妖精さんも深海棲艦、艦娘と同じ時期に発見されたらしい。個体にもよるが大体は真面目な性格で、仕事はキッチリやってくれるらしい。好物はスルメで仕事をこなした報酬として受けとっている。人間でいう給料みたいなものだ。あと仕事の錬度により成長して大きくなるらしい。はて?どこかで聞いたような・・・。まぁいいか。

 

それでもまだ謎が多いそうで細かい生態はまだよくわからいそうだ。

 

そんな事を聞いてるうちに、トイレについた。俺はふと回りを眺める。やはりそうだ。ここは俺が川内をおぶり、命を懸けて駆け抜けた場所だ。なぜおぶったのかあまり覚えていないが、アイツ、笑ってたな。顔は見てないけど俺がおぶってる間ずっと。

 

 

 

 

「浜辺に埋めてやる・・・。」

 

「埋めるー?何をー?」

 

「なんでもない。」

 

俺の発言に北上がツッコんできた。多目的ホールから出るとき、暇だからあたしも行くー。とついてきた。男性トイレは女性トイレの横に造られていた。そんなスペースなかったような気がするが、ツッコんだら負けだ。

 

俺の頭に乗っていた妖精さんはトイレに着いた途端、俺の頭から降り、俺のズボンを引っ張りながらトイレのドアを指差している。開けろという事か、おやすいご用だ。ドアは押すタイプで男性のマークが書かれている。パーフェクトだ、妖精さん。ドアを開けるとそこから複数の妖精さんが出てきた。1、2、3、4、5。結構いるな。ドアから出てきた妖精さんはスルメを持った妖精さんの周りに集まった。するとスルメを持った妖精さん(これから隊長と命名)が他の妖精さんにスルメを手でちぎって配っている。

 

 

チクショウ、きゅん死にさせる気か。

 

 

 

スルメを配り終えた隊長は俺の方を向き敬礼をしてきた。つられて他の妖精さんも敬礼をする。俺も咄嗟に敬礼を返した。なんかカッコいいなこういうの。すると廊下の奥の方へ走っていってしまった。キュートだぜ。

 

気を取り直してドアを開ける。内容はとてもシンプルで小便器と大便器と手を洗う蛇口のみ。男は俺しかいないし、丁度いいだろう。大便の方は何故かドアが閉っているが、十分だ。

 

俺は後ろを振り向き二人に話す。

 

「じゃあチョイと試してくるから」

 

「どうぞ。」

 

「ごゆっくりー。」

 

大淀と北上を一瞥しドアを閉める。

 

 

 

 

丁度、小を催してきたしさっそく・・・。

 

ジャー!!

 

「ふぅー。」

 

蛇口を回し手を洗う山田。ふとドアが閉まっている大便器の方を見る。

 

「確認してみるか。」

 

 

後にこの行動が彼にさらなるトラウマを与える事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギィィィィ。

 

「さて、どんな感じかな?」

 

あまり考えず、己の衝動のみでドアを開ける。見慣れた洋式だろうが妖精達が造ってくれた出来立てほやほやのトイレだ。ぜひ見たい。心なしかワクワクしながらドアを全開にする。へぇ~、これが・・・・・・

 

 

時は止まった。

 

 

 

決して魔法の類いではない。

 

 

 

彼は自ら止まったのだ。

 

 

 

 

彼の脳にフラッシュバックが起こる。

 

 

 

ーあっはははははぁー!!キッモチイイィィ♪

 

 

 

ーーいいえ、妖精さんといっても個体差がありますから・・・

 

 

ーーーあんなに大きい妖精さんを見るのは初めてです・・・。

 

 

ーーーー私達の鎮守府に・・・。

 

 

 

山田は瞳から光が消えていく。遠足が突然中止になった事を知らされた小学生の様に。

 

 

光輝くスキンヘッド、立派なヒゲ、紺色のネクタイ、そして体を覆い尽くす黒光りした筋肉のおっさんが当たり前のように便座に座っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

変態だぁぁぁぁぁぁ!!誰か来て・・・

 

 

山田が助けを求めると同時におっさんが立ち上がり、凄いスピードで動き、山田の口を手で塞ぐ。

 

 

「うむぅぅぅぅぅ!!んんんんんっ!!」

 

虚をつかれた山田はひたすら暴れる。生きる為、外の二人に気づいてもらう為。無我夢中だった。

 

だがおっさんはものともしない。片腕だけで山田を押さえつけている。するとおっさんは空いている片手の人差し指を唇に当て、まるで静かにしろと言わんばかりの眼光を山田に飛ばす。殺される。山田はそう思った。

 

「提督?どうかしました?」

 

トイレの中から物音と声が聞こえて不審に思ったのか、大淀が声をかけてくる。

 

 

大淀っ!助けてくれ!殺される!そう叫びたかったが今の俺には何も出来ない。どうすればいい?そう考えているとおっさんが咳払いをして

 

 

「いや、なんでもない。テンションが上がって、コケただけだ。」

 

 

と話した。コイツ、俺の声で話しやがった!!声帯模写かっ!!おっさんはドヤ顔で俺を見てきやがった。コノヤロウ!!

 

「そうですか、気をつけてくださいね。」

 

大淀っ!気づいてくれっ!俺はっ!

 

「あぁ、もう出るよ。」

 

もう出る?俺を殺さないのか?キョトンとおっさん見ると手を話してくれた。おっさんは首をコキッコキッと鳴らすとヒゲに手を当て話始めた。

 

「手荒なことをしてすまない。我輩は妖精だ。君に危害は加えない。」

 

もう危害は加えられてるよ、心に。

 

「貴殿に会うのはこれで2度目だな。」

 

2度も地獄を見せられた俺の身にもなってくれ。

 

「存分に貴殿と語り合いたいが残念な事に時間がない。」

 

時間、よくやった、グッジョブ。

 

「これを。」

 

おっさんはネクタイから手紙を出し、俺に渡した。

 

「この鎮守府に慣れたら、我が大本営に来てくれたまえ。それには大本営の門を通る際、必要な書類とカードキーが入っている。ではっ!」

 

 

そういうとおっさんは床に吸い込まれるように消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

ギィィィ、バタン。

 

 

「提督っ、お怪我はありませんでしたか?」

 

「もー、提督ー。遅いよー。何やってたのー?」

 

「・・・・・・。」

 

 

 

 

「?」

 

「どうしたのー?提督ー?」

 

「大淀」

 

「はい?」

 

「北上」

 

「んー?」

 

「どちらでもいい、俺を強く抱き締めてもらえるか?」

 

 

 

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