「トイレから出てきて、突然抱きしめてくれって・・・一体何言ってるんですか!?」
と少し興奮した状態で大淀が山田に答えた。
違う、違うんだ大淀。俺は決して邪な想いでお前達に抱きしめてくれと言ったんじゃあない。俺は今、ギリギリで精神を保っている。先程のボーイミーツガールならぬニートミーツマッスルの出来事で俺の精神がもう半分死滅してしまったんだ。
人間、不安な時や辛い時、誰かに慰めてほしいとか頭を頭を撫でてほしいとかってあるだろ?今まさにその状態なんだよ。大人のくせに何いってるんだ。我慢しろよ。とか思った奴は出てこい。そして俺と同じ体験してみろ。
トイレのドア開けたら、無表情のボブ・◯ップが座ってたんだぞ。そして一瞬で俺との距離を縮めてそれと同時に俺の口を鷲掴みしてチラッとほくそ笑んだんだ。恐怖そのものだぞ?超展開過ぎて走馬灯が走ったわ!!おまけになんか香水のようないい匂いしたし・・・。もうっ!なんなんだよっ!なんなんだよっ!意味わかんねぇよ!もう帰してくれよっ!帰してくれないなら抱きしめてくれよぉっ!!
山田の精神が極限状態に突入しようとした時。
そっと山田の右肩に何かが置かれた。
「提督も大胆な事言うねー。でも女の子にいきなり抱きしめてなんてセクハラで訴えられちゃうよー?」
山田の横から北上が自分の右手を山田の右肩に置き、肩を組む状態になる。
「抱きしめるのは嫌だけどー、これならいくらでもしてあげるよー。」
北上は少し目を細くして山田に言った。
山田の顔にみるみる活気が戻ってくる。
パシャ。
「北上、ありがとう。俺頑張るよ。」
「うん。期待してるよー。」
しばらくして、肩を組む状態を解き、山田と北上は向かい合って握手を交わしている。大淀はもうどうでもよくなったのか窓から空を眺めている。彼女も段々山田の扱い方がわかって来たのだろう。
ヴヴ~~。
大きなサイレンが鎮守府内に響いた。
「えっ、何っ?敵かっ!?」
突然の音に山田が驚きながら反応する。
しかし彼女達は落ち着いている。何故だ?答はすぐわかった。
「えぇ?もうお昼?早いなぁ。」
大淀が呟いた。
「お昼?昼飯か?すごい音だな。」
敵が来たのかと思うほど大きな音だったな。そういえばもうほとんど全滅に近いとか言ってたっけ。山田がふと思い出していると。
ドタドタ、バタバダ、タッタッ、ドスドスドス!!
今度は下の階から複数の足跡の音がする。
「おぉぉぉ、凄い揺れだ。やっぱり敵か?」
「いえ、おそらく食堂の席取りをするための足音かと。」
眼鏡の位置を直しながら大淀が説明してくれた。
「席取り?こんなに広いのにそ・・・ぐえっ!!」
突然、襟を掴まれ強く引っ張られた。北上に。
「提督っ!なにやってんの!早くしないと駆逐艦共にいい席取られるよっ!」
さっきまでのまったりとした顔が一変、阿修羅のような顔をしている。さっきまでの母親のような笑みは何処にいったの?
「引っ張るなっ!苦しいっ!」
「いい?席を取れないって事は駆逐艦の◯◯◯に×××されて△△△△されるのと同じ事なのっ!そんなのあたし耐えられないっ!!」
「お前っ!よくそんな汚い言葉でるなっ!怖いわっ!」
山田の声を無視して襟を掴んだまま北上は進む。
「いやいやいやっ!俺は後でいいからお前だけで行ってこいよっ!」
「だが断る!!」
「何でだっ!!」
北上は山田をグイッと脇に抱え走り出した。
パシャ!パシャ!
「いやぁ~、またいいのが撮れました。ネタが全く尽きませんねぇ♪嬉しい限りです。」
「・・・・・・・・・。」
「さて、提督も行ってしまいましたし、私達もお昼ご飯食べに行きますか?」
「・・・・・・・・・す。」
「え?何です?」
「握り潰す。必ず。」
「あーらら、目が据わっちゃってまぁ。こりゃあ提督も大変ですねぇ。」