俺の鎮守府   作:やんやんいやん

18 / 53
アンケートは次辺りかな。


18、尻太鼓

「で?食堂ってどこなん?」

 

北上の脇に抱えられながら山田は聞いた。

 

「地下の一階っ!!」

 

俺の質問に簡潔に答え、北上はひたすら階段を降りる。てゆーかよく俺を片腕で支えられるな。普通、人間が人間を片手で持てるなんて相当な力持ちか映画やアニメのキャラクターぐらいだろ?こんなアッサリとバックみたいな感覚で持たれるとは夢にまで思わなかったよ。

 

ちなみに今の俺は北上の左腕に腹をシートベルトのようにガッチリと挟み込まれている状態だ。そうだな、サーフボードを抱えるサーファーを想像してくれ。そんな感じだ。北上とは逆の方向に担がれているから、前がどうなっているのかさっぱりわからない。

 

「うおぉぉぉぉ!!」

 

「いっちばぁぁぁぁぁんっ!!」

 

「どけぇぇぇぇっ!!」

 

「やらせないよぉぉぉ!」

 

階段をどんどん下に降りてくと、雄叫びのような声が聞こえてきた。ナニコレ?すごく怖いんだけど。近づきたくないんですけど。すると俺の前に複数の艦娘達が勢いよく現れた。こちら側に走ってくる。どうやら彼女達も北上と同じ考えらしい。すると北上は階段を少し左に動いて、空いている右腕を横に伸ばした。まるで通せんぼしているようだ。階段の幅は大体、横に二、三人並べるかくらいの長さしかない。北上め、自分より前に行かせないようにバリケード張りやがったな。

 

「お前・・・。」

 

「・・・・・・・・。」

 

とうとう俺の事をシカトし始めやがった。だがその勝利に対する執念。嫌いじゃない。

 

 

 

「北上っ!アンタ、ズルいわよっ!!通せんぼなんて・・・え?提督さんっ!?なっ、何やってるのっ!?」

 

北上のすぐ後ろに付いていた瑞鶴がギョッとする。

 

 

「お前は・・・瑞鶴か?」

 

持たれながら階段を降りてるせいか、頭がガクガク動いてまともに相手の顔が見れない。でも格好と声でなんとなくわかった。

 

「うん。そうだけど。てかなんでそんな状態になってるの?」

 

瑞鶴が驚きながらも走りながら聞いてくる。器用だなぁ。

 

 

「案内してもらっていた途中で拉致られた。」

 

「拉致られたって・・・なさけないわねぇ。男のくせに。」

 

「それな。」

 

言ってくれるな、俺だって好きでこんな事されてるんじゃない。普通の道なら抵抗も少しはしただろうが、ここは階段だ。もし落ちて変な所に当たったら死ぬかもしれん。けして、もう面倒くさいとか結構楽しいかもなんて思っていない。マジで。いやマジで。

 

階段が終わったのか、揺れが少し落ち着いてきた。瑞鶴以外にも続々と艦娘が増えていく、段々この状態が恥ずかしくなる。だって俺より小さい子も一生懸命走っているのに大人の俺が抱えられて楽しているんだもん。情けないというか、男として恥ずかしい。

 

 

おぉ、いい匂いがしてきた。カレー?揚げ物?焼き魚?いろんな匂いが混ざって、まさにザ☆食堂って感じがする。そのとき北上の足が止まった。着いたのか?首を右、左に動かす。入り口付近に大量のコップとその隣に水と書かれたサーバーが見える。すごい大きさだ。後、メニューもある。板に品名が書かれていて取り外せるようになっている。以外に少ないな。

 

 

他の艦娘はどうしたって?北上が止まったとたんに横からどんどん抜かしていったよ。巣を襲われたスズメバチのようにな。すれ違うたびに俺に気づくといろいろな反応を見せてくれる。

 

「うぇっ、なんで?」

 

「何遊んでんの?司令官?」

 

「暇だね。提督。」

 

「キモッ!」

 

「度し難いな・・・」

 

 

 

 

 

「誰だっ!!今キモいっていった奴!!落ち込むから本当に止めてくださいっ!!」

 

山田が涙ながらに叫ぶと声が聞こえた。

 

 

「おーい。北上~、提督~こっちだクマ~。」

 

「おぉー。姉さんさすがー。」

 

突然の声に北上が答えた。口調が戻っている。

 

すたすたと歩き出す、おそらく呼ばれた方向に向かっているのだろうか。後ろ向いているからさっぱりわからん。てか着いたなら下ろしてくれよ。

 

「食堂が開く30分前から店の前でスタンバっていたクマ~。」

 

「大変だったにゃ。」

 

「違う、待ってたのは俺だ。姉さん達に命令されて渋々並んでたんだ。」

 

「あははー、木曾は大変だねー。」

 

なにやら会話をしている。だから下ろしてくれよ。俺の尻に目はついてないぞ?

 

 

「提督~。遠慮しないでここに座るクマ~。」

 

パンッ!

 

「にゃ、にゃ、にゃ。」

 

パンッパンッパンッ!

 

「・・・・・・・・・。」

 

さわっ。

 

「お前ら人の尻を何だと思ってやがる。」

 

無防備な俺の尻を何人かに叩かれた。

 

「北上、下ろしてくれ。俺の尻をいじめたソイツらに天誅を下してやる。」

 

北上は山田を支えていた腕の力を緩めるとすぐに力を入れ、今度は山田を肩に担いだ。

 

「えっ?」

 

戸惑う山田をよそに北上は山田の尻を叩いた。

 

パンッパンッパンッパンッパンッパンッパンッパンッパンッパンッパンッパンッパンッ。

 

 

「「「イヨォォォォォォォ!!」」」

 

パンッ!!

 

食堂内に和太鼓のような音が響く。

 

「やんややんやクマ~。」

 

「いい音にゃ。」

 

「だ、大丈夫か?」

 

「いやー、さすが提督だねー。いい尻してるよー。最高ー。」

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

この時の山田の顔を見た他の艦娘は皆、口を揃えて言った。

 

 

 

 

 

あれはヤバいと。

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。