「といってもだ。」
初めて立ち向かう姿勢を見せたが、一つ重要な事が書いておらず山田のやる気は一気に冷めてしまった。
「迎えに行くってあるけど、何日の何時に来るのか書いてないんだもんなぁ。」
「ですね。」
この際、文章内にあるおネエ系の言葉には目を瞑ろう。だが会ったことのない人間にこんな失礼な手紙を出すか?普通。あっちは俺を知ってるとか言ってるが俺はソイツに会ったことも名前を聞いた事も無いんだぞ?おまけに連れてきておいて、迎え出すからこっちに来い?逆だろが。本当にこの国を守る軍人さんなのかねぇ。
矛盾だらけの手紙に少しイラついていると・・・
ぐぅ。
可愛い音がした。
「お腹減りましたぁ~。」
お腹を抑えた明石が力無く言った。
「あぁ、すまん。どれ食堂行くか。」
空腹の明石に気づき、二人は食堂に向かった。
「なぁ、ここの食堂ってさ。」
「はい。」
「営業時間とか決まってんの?」
「いいえ?ほぼ年中無休のハズですけど・・なんでです?」
「いや、席を取るだけであんなに急ぐって事は食う時間がないのかと思って。」
「あぁ、アレですか・・・。」
明石はなるほどねと頬を掻いた。
「席を確保する事はとても重要ですからね。」
「重要?」
「えぇ、私達艦娘は深海棲艦を倒すという共通の目的があります。人間で言えば仕事みたいなものですね。」
「仕事・・・」
「そう、いわゆる私達は仕事仲間なのです。最低限のコミュニケーションはとりますが、それだけです。全員が全員と仲がいいとはお世辞にも言えません。」
「あぁ・・・何となくわかる気がする。」
「なので基本、業務以外は姉妹艦や同じ艦種の人と行動する事が多いのです。姉妹がたくさんいる艦は全員で食事を摂る場合、相当なスペースを確保しなければなりません。勿論、他の艦種の方とも仲良く食事を摂る人もいますが。」
「だからなるべく他の艦と相席にならないように早く食堂に着いて席を確保しなければならないという事か。」
顔は知ってるが、話したことがない人と飯を食うより、姉妹とか大体同じ歳の奴と食う方がいいよな。ん?
「明石よ。」
「はい?」
「お前の歳って・・・」
ブォォォン!!
山田の左耳に何かが勢いよく通り過ぎていく風の音が聞こえた。
「提督。長生きしたいのなら歳の事は聞かない方がいいですよ?」
薄目で笑う明石が山田の顔の左側に拳を突き出していた。
「復唱!!」
「はいっ!!」
明石の恐ろしいプレッシャーに山田はただ従うしかなかった。
「我々艦娘はっ!!」
「我々艦娘はっ!!」
「歳という概念に囚われずっ!!」
「歳という概念に囚われずっ!!」
「永遠の美貌、可憐さを保つ!!」
「永遠の美貌、可憐さを保つ!!」
「美女、美少女の集団であるっ!!」
「美女、美少女の集団であるっ!!」
魁◯塾のキャラクターの様に顔を変化させ、たくましく宣言をする明石に山田は誓った。
女性に歳を聞くのはもう止めようと。
そんな事をしているうちに食堂に着いた。最初、北上に抱えられながら来た為か、正面から食堂を見ることはなかった。吹き出しの形に整えられた木材に縦書きで「食堂」とだけ書かれた看板が入り口の端に置かれていて、潰れかけの定食屋みたいな寂しい印象を受けた。
「ほら、早く行きましょうっ!!」
腕を掴まれ、食堂の中に入っていく。改めて思うけど君たち本当に力強いよね?
何回も出入りしたが、やはり人が多いな。結構広くて、テーブルも椅子もたくさんあるけど、艦娘全員が同時に食事をするには少し無理があるだろうと感じる。トイレに行く為にすれ違ったあいつらは、時間をずらして飯を食いに来てたんだな。
「んー。どれにしようかな。」
明石が調理場の壁にあるメニューを見て悩んでいる。メニューは至るところに書いてあるみたいだ。
入り口のウォーターサーバーにチラホラと水を汲む為、艦娘が並んでいた。
「どうしたの?」
ふと後ろから声をかけられた。
振り返るとスクール水着を着た少女が立っていた。
「お水欲しいの?イクが取ってきてあげるの!!」
潜水艦、伊19は俺の反応を待たず、コップの中に水を汲んで持ってきてくれた。
「はいっ!!お水なの!!」
「あ、ありがとう。」
イクからコップを受け取りお礼を言う。ナノマシンのお陰か初対面でもあまり気にしなくなっている。そこにいるのが当たり前のように。感覚が少しずつおかしくなっている事に少し恐ろしくなる。
「・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
「どしたん?」
「飲まないの?」
先程から動かないなと思っていたら、俺が飲むところを見たかったのか?いや、違う。誉めてもらいたいのか。
・・・・・・可愛いじゃねぇか。
「んっ、んっ、んっ、っあぁ!!生き返った!!マジで旨いわ!!ありがとよ。」
俺はイクの頭をガシガシと撫でた。
「えへへ、もっと撫でて欲しいのね!!」
頭を撫でられたイクは嬉しそうに跳び跳ねている。
撫で撫で・・・ボヨン!!ボヨン!!
そんなに嬉しいか。いいな、こういうの。俺ももし親父になって娘が出来たらこんな感じなのかな。
撫で撫で・・・ボヨン!!ボヨン!!
でもまぁ、童◯=年齢の俺が嫁が出来て、子供作るなんで天文学的にも無理な話か・・・。
撫で撫で・・・ボヨン!!ボヨン!!
「oh.......」
その時、山田は衝撃を受けた!!
目の前に広がるその二つの球体に目を奪われてしまったのだ!!
左の球体は左回転。
右の球体は右回転。
布を一枚羽織っているせいか、明確ではないが恐らく内部ではそうなっているのだろうと予測は出来た。
山田もアニメや漫画でしか見たことない程の重量圧力にはビビった!!(ジ◯ジ◯風)
「wonderful......」
明石もイクに気づいた。
「あぁ、イクさん・・・っ!!イクさん!!肩に蜘蛛がっ!!」
明石がイクの肩を見て驚きながら叫んだ。
「えぇ!!どこっ?どこっ?取ってっ!!早く取って!!」
自分の肩に蜘蛛がいると指摘され、振り落とす為、イクは横に体を振った。
ブルン、ブルン!!
「excellent.....」
なんとその球体は違う動きを示したのだ!!
縦の動きとはまた違う、その球体は遠心力の力を利用して更にその威力を高めた。!!
「なんて奴だっ!!」あまりの威力に山田は怯えた。
この場面にずっといたい。永遠に眺めていたいと思った。
しかし、彼はっ!!(ジ◯ジ◯風)
「ほれ、取ったぞ。」
「あ、ありがとうなのね!!助かったのね!!」
イクの肩の蜘蛛を取って床に落とした。
ホッとした顔をするイクに暖かな視線を送り、微笑む(変態)紳士がそこにいた。
「さっきお水をくれたお礼さ・・・」
「提督ぅ!!」
イクに抱き付かれても表情を変えない。まさに(変態)紳士そのものだった。
それからイクと別れ、また明石と二人になった。
「提督・・・なに食べるか決まりました?」
明石からの質問にしんし、いやっ!・・・変態は答えた・・・
「紅しょうがを乗せたチャーハン・・・二人前だっ!!」
性欲を食欲に変え、戦え山田っ!!頑張れ山田っ!!くたばれ山田っ!!俺達の戦いはこれからだっ!!
短い間、この「俺の鎮守府」を見てくれた方々。本当にありがとうございました。ここまで続けてこられたのも貴方達のお陰です。ここで一旦、この物語は幕を閉じますが、貴方達が信じて待ってくれればいつか再び帰って来ます。
二日後か三日後くらいに。