俺の鎮守府   作:やんやんいやん

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鳳翔

Cv堀江◯衣


48、ごめんね、鳳翔

神通の拳から手を離し、そっと彼女の頭に手を乗せ軽く撫でる。

 

 

「神通ちゃんのあんな顔、初めてみたわ」

 

 

 

子供の意外な成長を見たかのように優しい声で話す鳳翔。

 

 

 

「鳳翔さん、これは・・」

 

 

 

しかし、撫でられている神通の顔は何故か青ざめていてひどく怯えているように見えた。少し離れている川内のでさえも、歯をカタカタいわせて明らかに様子がおかしい。その表情は何かに恐怖をしている顔だ。

 

 

「どうしてこんな状況になったかについては、後でお話を聞きましょう・・・」

 

 

神通の言葉を待たず、鳳翔はゆっくりと、そしてはっきりと声を出して言った。その言葉を聞いた、神通と川内の二人は背筋をピシッと伸ばし、新兵のように姿勢を正す。

 

 

「私は提督に用がありますので、二人は一旦、お部屋で待っててもらえますか?」

 

 

鳳翔は微笑んだ。一般の人が今の彼女の笑顔を見れば、とても可憐で魅力的な顔だと思うだろう。しかし彼女達は知っている。鳳翔の笑う薄目の中に隠される真の感情を。

 

「「はいっ!!」」

 

 

神通と川内は返事をすると同時にものすごい速さで階段をのぼっていった。

 

 

先ほどまで賑やかだった場所が一気に静かになる。今、この場にいるのは山田と鳳翔の二人だけ。

 

 

「はぁ・・」

 

 

 

初めて彼を見た時は度肝を抜かれた。まさかあの場、皆の前で土下座をするなど誰が想像できようか。私は呆れた、いい年の男が土下座など情けないと。しかし彼がこの鎮守府の提督になってしまった以上、仕方がない。これから彼がどんな人間なのか見極めていこう。そう思った。

 

 

 

ーーーーーーー。

 

 

 

 

「大淀さん、明石さん応援を頼みたいのですがっ!!」

 

 

 

突然、青葉が勢いよく食堂に入ってきた。

 

 

 

「おー、青ちゃんだぁ。どーしたのそんなマジメな顔ぉぉー↑へへっ」

 

 

 

「明石さん、実は司令がですね・・・」

 

 

 

 

 

「はいっ!!元気ですっ!!」

 

 

 

明石の隣でビールのビンを枕代わりにして寝ていた大淀が青葉の「司令」という単語に反応に立ち上がった。食堂にいるすべての艦娘の視線を浴びながら彼女は、ただ、ただ輝いていた。それを気を留めず鳳翔は青葉に尋ねる。

 

 

 

「青葉さん、提督がどうしたのですか?」

 

 

 

「あ、はい。司令がカクカクシカジカで・・・」

 

 

 

青葉の言葉を聞いた鳳翔はニコニコ微笑みながら、小首を傾げる。

 

 

 

 

「ふざけているのですか?」

 

 

 

 

「えぇ?いや、だからカクカクシカジカで・・」

 

 

 

 

「なんですか?カクカクシカジカとは。意味がわかりません。しっかりと説明してください。でないと・・・」

 

 

 

 

鳳翔はピンポン玉を持つような軽いジェスチャーをしながら青葉に言った。

 

 

 

 

 

 

 

「抉りますよ?(目玉を)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っっ!!」

 

 

 

 

「あはっ!!青ちゃん、青ーい☆青だけにっ!!あひゃひゃひゃひゃ!!」

 

 

 

「はいっ!!メガネはおやつに入りますか?提督!!」

 

 

 

 

ーーーーーーー。

 

 

 

 

その後、青葉さんから提督と金剛の事を聞いた。彼女は比較的酔いが軽い明石ちゃんを連れて、提督の所に向かった。たぶんなんの役にもたたないと思うけど。それから少したった後、食器を片付けて食堂を出た私は、青葉さん達の様子を見に行く事に。

 

 

 

 

「あ、明石さーん、大丈夫ですよね?おーい」

 

 

 

 

「・・・・・」(白目)

 

 

 

 

 

「これは一体、どんな状況ですか?」

 

 

 

 

 

壁はへこみ、床はあしあとやホコリで汚れ、しまいには天井には穴が空いている。あのチェーンソーはどこから持ってきたのだろう。そして地面に倒れこむ明石ちゃんと金剛。何故こんな状況になっているのか、改めて当人に聞くしかないだろう。

 

 

「あの、青葉さん」

 

 

 

「なんでしょう?」

 

 

 

「山田提督はどちらに?」

 

 

 

「あぁ、トイレに行くとかで階段を・・」

 

 

 

青葉は山田が上っていった階段を指差す。

 

 

 

「そう、ちょっといってきますね」

 

 

 

鳳翔はそう言うと足早に階段を上っていく。青葉はその背中を見つめ続け、しばらくたった後、こう言った。

 

 

 

 

 

 

 

「あの、この状況・・・どうすれば?」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー。

 

 

 

 

 

 

 

山田孝夫、ようやく彼と話す事が出来るのだ。言いたい事はたくさんある。聞きたい事もたくさんある。朝礼の件に金剛との件・・・そして日頃、温厚で優しい彼女が何故、あなたに危害を加えようとしていたのか。いけない、いろんな事が頭の中を駆け巡って少し混乱している。息を整えて、落ち着こう。

 

 

 

「はぁ・・・」

 

 

 

 

「・・・・・」

 

 

 

息を整え、背中側にいるであろう山田を意識しながらゆっくりと向きを変え、前で手を組みながら、軽く会釈をする。

 

 

 

「初めまして、私、鳳翔と申します」

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

 

しかし山田からの反応は無く、静かに時間が過ぎるだけだった。

 

 

 

 

「?」

 

 

 

 

不振に思った鳳翔は頭をふと上げた。挨拶をしたというのに無反応とは失礼にも程がある。一発殴ってやろうか?そんな事を脳裏でスッと考えながらも次の言葉をかけるために声を出そうとした瞬間、彼女は目を疑った。それはその筈、目の前に誰も(・・)いなかったのだから。

 

 

 

 

「・・・」

 

 

 

 

 

そう、彼女は。

 

 

 

 

 

「・・ふっ」

 

 

 

 

 

話したのだ。

 

 

 

 

 

「・・ふふっ」

 

 

 

 

 

念願の。

 

 

 

 

 

「あはははっ!!」

 

 

 

 

 

壁と。

 

 

 

 

 

 

 

「あんっのぉっ!!クソガキィィィィィ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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