ーごめんね。私が願ったからこんな事になってしまったの。
ーーだけど、あなたしかいない。私の姉妹達を助け出してくれる人は。
ーーーあなたは臆病でおバカでおまけにスケベ、本当にどうしようもない人だけど。
ーーーー私は知っている。
ーーーーーあなたは気づいていないでしょうけど、あなたには人を引き寄せる魅力があるの。
ーーーーーーだから大丈夫。あなたなら出来る。信じて。
ーーーーーーーどんな事があっても決してくじけないで。
ーーーーーーーー今の私には祈る事しか出来ないけど。
ーーーーーーーーーあなたの周りには私達がついている。
ーーーーーーーーーーあなたに会えないのは辛いけど。
ーーーーーーーーーーー私、いつまでも待っているから。
ーーーーーーーーーーーーだからね?提督。
ーーーーーーーーーーーーーいつか私を。
ーーーーーーーーーーーーーー迎えにきてね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
「うっ、うぅん。・・・ここは?」
起きて始めに見たものは染み一つない真っ白な天井。ゆっくり起きて周りを見渡してみる。大きな本棚、学習机のようなものに、壁には地図が貼られている。あれは茨城か?
部屋は広くはない。せいぜい人が2、3人入れるくらいか。俺が寝ている右側にはガラス張りのベランダ広がってそこから海が見える。あぁ、俺はーー「ガチャ」
部屋の奥のドアから誰か入ってくる。
「あっ、提督。起きたんですね?よかった、よかった。」
明るい声で部屋に入ってきたのは明石だった。なにやら・・・痛っ!!なんだ?頭が痛い。
「だっ大丈夫ですか?提督。体調が悪いならもう少し寝ててください。」
明石は俺の布団を直して寝るように促す。お言葉に甘えよう。本当に痛い。
「驚きましたよ。いきなり倒れるんですもん。あの後五月雨ちゃんと二人でここまで提督を連れてくるのには苦労しました。」
「その話は止めてくれ。最大級のトラウマになっちまうわ。」
あれ?言葉が、敬語じゃない、それになんだ?まったく緊張もしない。浜辺の時はチェリー丸出しだったのに。どういう事だ?
「うん、効果はあり、と。」
明石が何やら紙に記入している。
「あのさ。」
「はい?なんですか?提督。」
「お前、さっきから何書いてんの?」
「いやぁ、大したものではないですよ、全然。艦娘に対するコミュニケーション良好っ、と。あっ、提督。」
「なんだべさ。」
「部下にパンツを取ってこさせるほど欲求不満なんですか?」
「ちがわいっ!!俺がそんな事させるわけねぇだろ!あんないい子を悪の道に引きずり込むほど腐ってねぇわ!!」
「嘘ですよ。五月雨ちゃんからちゃんと話を聞きましたから・・・うん、問題なしっ!さっすが私。完璧な調合ね。」
「調合?」
俺は考える。調合?何の調合だ?調合って薬とかの?・・・っ!俺は直感的に自分の腕を見る。腕の間接部分に四角の小さいガーゼが貼られている。注射とか点滴後に貼るあのガーゼが。
「お前、俺に何か盛ったな?」
ギクッ!肩を震わす明石。
「な、なななな何をですか?盛る?私のは天然ですよぉ?」
なにが?
「わかりやすいな、お前。俺がこんなに初対面の奴に軽口叩けるわけあるまい。まさかこれの副作用で頭が痛いのか?」
「あ、それは提督を連れてくる時、私がうっかり落としてしまったからですね。だって提督の髪、私の足にチクチク刺さって痛かったんですもん。・・・あっ。」
「言っちまったな。言わなくていい部分も言っちまったな。お前なぁ、もし「まぁまぁまぁ」」
明石は俺の口に何かをあてる。先端が×の形になっている棒状の物を。これってあれだろ?どら・・・
「いいじゃないですか、細かい事は。体に害のあるものではありませんし、むしろ私に感謝する事になりますよ?まぁ、今日は1日ゆっくり休んで下さい。難しい話はまた明日って事で」
俺の言葉を遮り、明石はそそくさと部屋から出ようとするがピタッと止まった。
「提督、カーテン閉めます?」
「いや、まず謝れよ。第一なんでこんなに明るいのにカーテンなんて・・・」
海が見えるベランダの方を向くと。
「司令官、大丈夫ですか?」
「なによ、ピンピンしてるじゃない!このクソ提督!!」
「ちゃんと生きてるクマ~。」
「当たり前だろ、姉さん。」
「どもども~♪元気そうですね。記念に一枚っ!」
「ふん、情けないな。提督よ。今度私が鍛え直してやる。」
大中小様々な艦娘がガラスの向こうに立っていた。小さい子なんてもうガラスにへばりつく形になっている。
「明石」
「はい。」
「お願い。」
「はぁい。」
シャーッシャーッ。
「ではまた明日。お休みなさい。」
バタンッ!カーテンを閉めてくれた明石が部屋から出た後、俺は布団にくるまり目を瞑る。もう寝よう。明日は明日の俺が何とかするさ。
ドンドンッ!
「テイトクゥー!!なぜ閉めるのですカー!開けてくだサーイ!!」
「お姉様っ!ガラスを叩かないでくださいっ!壊れてしまいますっ!」
「・・・・・・頭にきました。」
「照れ屋さんですね、提督さんは。」
「大人の私に照れたのね。」
「それはない。」
「私に頼ってくれればいいのに。」
「何を?なのです。」
絶対寝れない。