もこっち以外の視点で描くわたモテSS   作:umadura

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黒木はどうでもいいし、大地移籍したってよ

 

 

 

 

 7月12日――――

 

 この日は私たちにとって特別な一日だ。っていうか明日も特別なんだけど、取り敢えずこの日がまず歴史的一日だ。

 

「今年はファン投票でオールスターに選ばれたんだよ。ロッテの選手が。6年ぶりの快挙で久々の晴れ舞台だから、全力で応援しよう」

 

 2013年に井口監督が当時セカンドで選ばれて以来の快挙。ありがとうレアード。本当にありがとう。

 

「こみちゃん、本当に夜はこみちゃんの奢りでいいの?」

 

「いいよ。今日は出前で寿司を取ってるから。レアード選手のレフトスタンド上段への弾道の高いホームランを見届けて握り寿司食べるのが今年の目標だったんだ」

 

 それがオールスターで叶うなんて……ペナントの順位は5位だけどほぼ5割をキープしてるし、2位とも1.5ゲーム差。これもしかしてAクラス空いてる?

 

「ことが何言ってるかわからない時は黒木さんどう対処してる?」

 

「あー……なんかシュールを履き違えたボケで滑ってる若手芸人見る時と同じ感じで見てる……かな」

 

「そう。私は宇宙人と交信してるみたいで楽しいけど」

 

 なんか伊藤さんと黒木が普通に喋ってるのが変な感じだけど……今日は最高の一日になりそうな気がする。いや、絶対なる。

 

 ロッテから選ばれたのはファン投票1位のレアード以外にも3人。成長著しい4500勝投手の二木、前半戦首位打者の荻野、そしてロッテの魂鈴木大地。

 

 二木は本当に嬉しい誤算だった。ドラフト6位だけど身長190cmの恵体でワンチャンとは思ってたけど……ロッテでこんなに順調に投手が育つなんて。ストレートはそんなに速くないけど、やっぱりあの身長だとフォークの落差が凄いんだな。一度味わってみてぇ……打席で見たら、ジェットコースターでグワァンて下に落ちる時みたいなあの感じが味わえそう。10勝して欲しい。ロッテ生え抜きの日本人で10勝は貴重だからな……石川以来出てないし。

 

 荻野は本当に信じられない。まさか春の妖精が夏の夜の夢になるなんて……このまま妖精王(しゅいだしゃ)になってくれるよね。でも正直こんなに活躍しちゃうとFAで獲られそう……Cランクなんだよな……あークソ、私が石油王ならパイの実とチョコパイを盛りまくって妖精を魔の手から守ってあげられるのに……! 自分の無力さが恨めしい……!

 

 大地は本当に凄い。万年.260で8本でもロッテには貴重なユーティリティ、なんて昔の話。今年は何試合大地が決めてくれた事か。もしロッテが巨人並にメディアを支配してたら今頃●●並のスーパースターだし、ソフバン並に支払いが良かったら今年で3億円プレイヤーだったのに……

 

「ことが何考えてるかわからない時、二人はどうしてる?」

 

「えっと……こみちゃんがこっちに帰ってくるまで見守ってる……かな?」

 

「どうせ気持ち悪いこと考えてるから極力近寄らないようにして、目を合わせてきたら覚悟を決めて迎え撃つ。飛んだゴキブリへの心構えと同じだね」

 

「そう。私は未知の生物の生命活動を見ているみたいで楽しいけど」

 

 なんか私抜きでコソコソ話してるのが気になる……

 

 でもそれより今日は、この面々にロッテの選手たちを知って貰いたい。ロッテにもこんな選手がいるんだって知って欲しい……!

 

 特に幕張のスピードスターはいなくなるのもハイスピードだから、一般人はまず知らない……

 

「面白い動画があるんだけど、見る?」

 

「え? どんなの?」

 

 成瀬さんはこういうの、すぐ食いついてくれるよなー。たまに天然でムカつくこと言うけど、やっぱり性格いいわ。

 

「……」

 

 伊藤さんは2人の時だと普通に乗ってくるけど、今みたいに何人かいると一歩引いてることが多い。私以外の子と仲良くしてるのあんまり見ないし、実は人見知り? そんな感じはしないけど……

 

「わざわざ『面白い』ってハードル上げるくらいだから、ちゃんと爆笑出来る動画なんだろうな? 【爆笑】とか【腹筋崩壊】とか頭に付けてるクソつまんねーgifまとめじゃないよな?」

 

 このクソムシはどうでもいいとして……

 

「あんたが期待してるのとは違うかもしれないけど、爽快感にあふれた夏にピッタリの動画だよ。ほらこれ」

 

 

『千葉ロッテマリーンズ 荻野貴司 驚異の快足集』

 

 

「……なんか知らないおじさんが延々と走り続けてるんだが」

 

「おじさんじゃねーよ! いや、今はそうかもしれないけど、その頃の荻野選手はまだ20代半ばなんだよ!」

 

「つーか、知らない男が真顔で走り続けて人の脚を刈ろうとしてる動画見せられてもな……お笑いどころか恐怖映像じゃねーか」

 

 恐怖映像!?

 いや……でも確かに、荻野選手の場合はスライディングする度にいつ怪我するかハラハラするって意味では恐怖映像集かも……

 

「あっでも、この人足凄く速いね」

 

「そうなんだよ成瀬さん! この荻野選手はかつて球界最高のスピードスターになるって言われてて、福本豊選手が持ってる年間106盗塁を超えられる唯一の存在で……!」

 

「スピードスターって、ジースみたいな?」

 

「いやバータだろ。あれ、どっちだっけ?」

 

「……(すごい黒木さん。ことの訳わからない会話を一瞬で話題転換させた。内容はわからないけど)」

 

「つーか、なんでもドラゴンボールに例える風潮ってなんなんだろうな。私達全然ドラゴンボール世代じゃないのに『え、それ知らないんですか? 常識なさ過ぎじゃないですか?』みたいな同調圧力ってどうなの? スラムダンクとかワンピースもそういうとこあるよね。安西先生知らないだけでボロクソ言われたりさ」

 

「いや知らねーよ」

 

「ふふふ」

 

「……(言ってることはやっぱりわからないけど、あの他人を引かせることに定評のあることが引いてるし、きっとことの弱点をピンポイントで突いた話で主導権を強引に奪い返した。出来る)」

 

 伊藤さん、心なしか前のめりになってるような。見たかったのに遠慮したのか?

 

 にしてもあのクソムシ……せっかく神動画を紹介したのに、なんかグダグダになって成瀬さんまで興味をなくしたじゃねーか。

 

 なんでこんな奴に、急に友達が増えたんだろうな……

 

 いや待て。待て待て待て待て。

 

 こいつの人生……ロッテと好不調が連動してやがるのか……!?

 

 去年は59勝81敗で一昨年は54勝87敗。正直目も当てられない成績だ。中三の頃のこいつは知らないが、私や成瀬さんと知り合った中二の時にはロッテが3位に入ってCS出場も果たしていた。

 

 そして今年はほぼ5割。いや、去年もオールスター前までは5割どころか貯金あったんだけど、正直チームが疲弊してるのは薄々感じていたし、後半キツそうな予感はしていた。的中して欲しくはなかったが……

 

 けど今年は違う。荻野と大地が上位で安定した出塁をして、前半不調だった井上も復調して点が取れてる。奨吾の長打も頼もしい。何より、大ベテランの細川さんの存在が心強い。マリンのフライくらいフラフラするロッテ投手陣のメンタリティが、この人のおかげで安定してきている気がする。

 

 それに、井口監督も2年目になって、やりたい野球が選手に浸透している……と思う。勝ちパの確立もその証だ(綱渡りだけど)。CSに出られるかどうかはわからないけど、去年よりは明らかにチーム状態は良い。

 

 このロッテの状態と今の黒木が妙にシンクロしてる。

 

 黒木本人が変わったようにはとても見えない。クズのままだ。クズがクズを呼んだのかもしれないけど、パッと見た感じこいつ並に性格の悪そうな奴はいない。学食の金髪だって、柄は悪いけどこいつと友達になるタイプには見えない。

 

 正規の方法で友達が増えたとは思えない。だったら理由は一つだ。ロッテの好調がこいつになんらかのスピリチュアルなエネルギーを与えて、それに何人かの女子が引き寄せられたとしか……

 

 ロッテが好調な時は私もエネルギーを貰っている。だとしたら――――

 

「黒木、あんたもしかして、隠れロッテファン……?」

 

「え? 動画怖がっただけでそこまで言われんの?」

 

「どういう意味だよ! なんでロッテファンが蔑称になってんだよ!」

 

 クソ……一瞬とはいえ身近にロッテファンがいるかもって心がザワついた自分が情けない。そもそもこんなカスがロッテファンだからって嬉しいこと何もないのに。智貴くんがそうだったら天国だけど、サッカーやってる時点でそれは100%ないからな……

 

「こと、そろそろ休憩は終わりにしないと」

 

「あっ、そうだね。再開しようか」

 

 この集まりは一応、勉強会ってのが名目だ。このメンツで『オールスター観よう』って言っても集まる訳ないから。その延長でオールスターも観る。金曜の夜だから夜更かしもOK。

 

 もしこの中の誰か一人でもロッテに……いや野球に興味を持てば、そのまま語り合ってこっちに引きずりこめるかもしれない。

 

 私たちも、もう高三だ。来年には離ればなれになってるかもしれない。何か一つ、これっていう繋がりがないと、永遠に接点がなくなるかも……

 

「あー、こみさんの意味不明な動画のせいで休憩時間がキンクリったから、休んだ気がしねーわー」

 

「でも涼しくなったよ」

 

 あのクソムシとは永久にお別れしたいが……そうなると智貴くんと私の接点がなくなる。ここは我慢しないと……

 

「こと、出前は何時頃届くの?」

 

「あっうん。18時半に届けて貰うように言ってる」

 

 オールスターが始まる時間にしておかないと、レア―ドのホームランをオカズに寿司を食べられないし。あー早く食いてーなー。

 

 初戦はファン投票の選手が中心だし、きっとスタメンだ。東京ドーム開催だから主催地補正はパリーグには関係ないし。

 

 それに外野は柳田選手が怪我で出られないから、荻野がスタメンかもしれない。いや、成績的にもスターターに相応しいのは荻野しかいない……!

 

「ふふ。なんか不思議な感じ」

 

 ……成瀬さん? 

 

「何が?」

 

「えっと、最近はスカイプで一緒に勉強する時間が多かったから、みんなでこんなふうに集まって勉強しても久し振りって感じがしないなって」

 

「あー、あるね」

 

「こみちゃんとは少し疎遠になった時期があったけど、こういうふうに自然な感じになれるなら、これからも大丈夫だよね」

 

 ……そっか、成瀬さんも私と同じ気持ちだったのか。

 

 多分、成瀬さんも感じてたんだろな。去年までとちょっと違う感じになってるの。

 黒木にやたら友達ができて、私も伊藤さんと一緒にいることが多くなって、成瀬さんにも学校の友達がいて……

 

 去年の夏みたいな時間は、きっともう二度と来ないんだろうな。

 

 今思えば、去年はやたら一緒に遊んでたよなー。虫採りなんて小学生みたいな事もしてた。

 今年は受験勉強で夏の大半は潰れそうだし……あれが私の夏のアオハルだったのか。

 

 普通は、女だけの青春なんて虚しいんだろうけど、そんなに嫌な思い出じゃないな――――

 

「いやゆうちゃん、世の中そんな甘くないよ。国民総カメラマンの時代だから、盗撮してる現場とか簡単に撮影されて通報されるよ。犯罪者予備軍には厳しい時代なんだよ」

 

「そっかー……」

 

「予備軍じゃねーから。あと成瀬さん?」

 

 普段がこんなだから麻痺してるのかも……

 

「こみちゃんは将来の事とか考えてる?」

 

「あー……いや、これってハッキリしたのはないかな」

 

 なんとかロッテの球団職員になりたい。でも求人情報チェックしても毎回『現在、求人募集は行っておりません。』なんだよな。

 

 マリンのウグイス嬢もやってみたいけど、谷保さんが強すぎるからな……私があのレベルに達するまで何年かかるか。

 

 大学通いながらビール売り子って道もあるけど、なんか去年やたら『可愛すぎる売り子』とか騒がれてる女がいたからな……私の顔面レベルじゃ売れないかもしれない。別に売れなくてもいいんだけど。

 

「ことはどの道に行っても大丈夫」

 

「……伊藤さん?」

 

 急にどうしたんだろう。いつもクールな伊藤さんの言葉が熱を持ってる気が……

 

「2年の時にあれだけの事があったのに、こうしてブレずに生きてるから、ことは不滅だよ」

 

「伊藤さん!?」

 

「……お前何やったんだよ」

 

「な、なんでもねーよ……」

 

 別に私の中ではそこまで大した事じゃないけど、このクソ女に知られると智貴くんにまで知られるかも……それだけは避けないと。

 

「とにかく、ことは大丈夫だから」

 

 伊藤さんは口が堅いから、こんなとこで暴露はしないと思うけど……焦らせないでくれよ全く。

 

「光ちゃん、こみちゃんの事を信頼してるんだね」 

 

「……」

 

 大丈夫……だよな?

 

「智子ー! ちょっと来なさい」

 

「え? 何?」

 

 黒木のお母さんか……あの人も智貴くんと同じでまともなんだよな。黒木は父親似なのか? それとも黒木の血脈は隔世遺伝でクズを代々生み出してるとか……?

 

「だから夕食はいらないって」

 

「そういう訳にはいかないでしょ」

 

 ……なんか扉の向こうで揉めてるな。これ私が寿司とった所為か?

 

 黒木に助け船出すのは釈然としないけど、この件は私が動かないとダメだな。

 

「ちょっと行ってくる」

 

「こみちゃん……?」

 

 大人相手に意見を言うのは緊張するな……

 

「あー、すいません。今日は私がみんなを誘ったんで、もう出前を頼んでて」

 

「あらそうなの? でも……」

 

「食べながらオールスターを観たいんです。この部屋で」

 

 本当はロッテの選手、って言いたいけど、それだとおかしな奴だからな。

 

 井口監督が、ロッテの選手が成長しているんだ。それにこいつも……

 私だって変わらないと。

 

「そ、そう。それじゃ智子、ちゃんとお礼を言っておきなさい」

 

「あっうん」

 

 誠意が通じた……!

 

 これで、みんなで一緒にオールスターが観られる。

 きっと智貴くんも、もうすぐ帰ってくる。智貴くんのいる建物の中で、ロッテの選手が出ているオールスターを観られるんだ……!

 

 

《ピーンポーン》

 

 

「あ、来た」

 

「私が頼んだから、私が取ってくる」

 

「おっ、おお……」

 

 ちょうどオールスターも始まった頃だ。

 

 始まる。至福の時間がこれから――――

 

 

 

 

「あれ?」

 

 寿司を構えて準備万端……の筈だった。

 なのにオールスターが始まってない。オールスターなんだから地上波でやらない訳ないよな……?

 

 あれ? BSやCSじゃないと試合開始から放送しないんだっけ? いや、そんな筈は……

 

「つーかこれ並じゃね? ネタしょぼくない?」

 

「もこっち、そんなこと言っちゃダメだよ。並でも十分美味しいよ」

 

 あのクソ……いや、今はあいつに構ってる暇はない。もし荻野がスタメンなら一番だってあり得る。早くチャンネル合わせないと……

 

 そうだ、番組表! 番組表を確認すれば……

 

 え……19時から?

 なんで?

 

 あっ、そうか。今日は平日だから19時始まり。18時半は明日だった……!

 

「ゆうちゃん、この食欲湧かない色合いの貝食べる? 私は要らない」

 

「あっうん、どうしようかな」

 

「私食べてもいいけど」

 

 ペース早!?

 

 3人前がもう半分以上ない……

 普通に4人前頼むべきだった……? でも流石に出費が嵩みすぎる。

 

 みんなそんなに食べるイメージなかったからケチったのが仇になった……このままじゃ30分持たない。

 

 レア―ドのパフォーマンスと同時に全員で寿司を握るポーズをとって食べるのが理想だったのに……!

 

「ふぅ……食った食った」

 

 結局私の分以外完食……まだ19時前なのに。

 

「食う物も食ったし、勉強会はおひらきにするか。大分遅いし」

 

「は!? いや、本番はこれから……!」

 

「お前だってオールスター観るっつってたろ。早く帰らないと間に合わないんじゃね?」

 

 ……あ。

 

 そっか、私……ハッキリ言ってなかった。『みんなで観たい』『一緒に観よう』って。

 

 伝わってると思ってた。でもそうだ、野球に興味ないこのメンツで、そんな以心伝心は通用しない。

 

「あ……あの……!」

 

 言わなきゃ……!

 

 この最高の一日を、2時過半~3時間を、みんな(と智貴くん)と過ごす為に……!

 

 

「一緒にオールスターを観よう……!」

 

 

 言え……た……

 

 

 

 

 

 

 

 

「は? 普通に嫌なんだが。野球にロクな思い出ねーし」

 

「え、いや、でも……」

 

「あっ、寿司ごちそうさん。それじゃお疲れ」

 

 

 ……。

 

 

 …………。

 

 

 ……………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

・7月12日 東京ドーム

 

 レアード(6番サード) 3打数2安打

 

 荻野(8番ライト) 4打数2安打1打点

 

 

「しゃあああああああああああああああああああああああ!」

 

 見たかクソムシ! これがロッテの精鋭の力だ! ざまあああああああああ!

 成瀬さん、これが今年の荻野選手なんだよ! トップバッターだけど得点圏でも凄い打つから!

 

 

・7月13日 阪神甲子園球場

 

 鈴木大地(途中出場、4番セカンド) 2打数0安打

 

 レアード(途中出場、代打) 1打数0安打

 

 二木(4番手で登板)1イニング1失点1被本塁打(鈴木誠也)

 

 

 あー、今日は駄目だったかー!

 でも大地がパの4番を打っただけで全然満足だから!

 

 鈴木誠也はホラ、いずれ日本の4番打つバッターだし!

 プレミア12でも絶対活躍するレベルの選手だしドンマイ!

 伊藤さん、この経験を経て来年は大地も二木も凄い成績残すから注目してて!

 

 

 色々あったけど、みんなとこうしてオールスターを観られてよかった。

 

 2人とも一緒に楽しんでくれたし……1人はアンチ活動ウザかったけど。

 

「何か飲み物持ってくるね」

 

 まだ野球に興味持ってくれるかはわからないけど……これから時間をかけて良さを知って貰おうと思う。

 

 今はこの時間を楽しみたい。

 

 だって大切なのは試合の内容や結果じゃなく……

 

 

 

 

「琴美ーごはんー」

 

 

 あ……

 

 

『僕が千葉ロッテマリーンズを好きという気持ちは、決して嘘ではありません。そして変わることもありません。ただ自分の中で野球選手として、ひとりの人間として大きく成長する、挑戦するという選択、決断をさせて頂くことになりました』

 

 

 あ……ああ……あ……

 

 

「ごはんって言ってるでしょ? 琴美……どうしたの? 何一人で泣いてるの」

 

「え? 泣いてないよ? だってこれ夢でしょ? 大地が同一リーグ移籍なんてするはずないし、大地はこんなこと言わない。全然辛くないし。本当の大地は来年もロッテでたらい回しにされても文句一つ言わず開幕スタメンからのOPS.850越えキャリアハイで46年振りのレギュラーシーズン1位だから」

 

「琴美!?」 

 

 

 

 

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