ガンダムビルドファイターズセルリアン   作:ジャッジ

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FGOのが完結してないにもかかわらずまた新作です。
言い訳に聞こえるかもですが、FGOの2次創作って考えること多すぎて大変ですよね?



オキタ・アカリの誤算

千葉県のなかで一番有名な場所といえば新浦安にあるディズニーランドだろう。あれがなんで東京のものだと言われているのか、それが納得いかない。どうして頭に千葉の名前を付けなかったんだろう。そうすれば、我が千葉県はパッとしない印象を払拭できたかもしれないのに。

そもそも──いや、これ以上いうとキリがない。ともかく、新浦安の外れにある住宅街の一帯は青華町と呼ばれている。私の通う高校はそんな青華町の一角にある。正式名称を「私立青華学園高等学校」という。創立してまだ5年目のまだまだ新しい学校で、生徒数もまだそんなに多くはない。

さて、我が母校の紹介を済ませたところで、私自身の紹介もしておこう。私の名前はオキタ・アカリ。現在、2年生になった私は青華学園の「ガンプラ部」に所属している。

ガンプラ部というのは何か。決してガンダムのプラモデルを作って、部員同士で自慢しあったりするありきたりな同好会ではない。最高のガンプラを作り、特殊な粒子を使ってガンプラを動かして戦わせる「ガンプラバトル」を行うことを趣旨とした部活だ。もちろん全国大会もあって、各都道府県にいる強豪たちと戦うことが私たちの目標だ。部員は私を含めて4人。去年の先輩方が8人も一気に卒業してしまったので、経営はかなり厳しいところだ。

そんな小さな部活で、私は副部長という大役を仰せつかっている。まだ新入部員はいないが、他の先輩方には内緒で新しいチーム名も考えてみた。

青華学園高等学校ガンプラ部副部長。

我ながらなんと素晴らしい響きだろう。

後は新入部員と、地区大会の季節を待つだけだ。

 

「新入部員の勧誘って、こんなに大変でしたっけ?」

始業式の日、新入生の勧誘を終えた私は、部室に帰ってきてすぐ中央にある長机に突っ伏した。その理由はただ一つ、新入部員を集めることの難しさを体感したからだ。

部員勧誘と言っても、特に難しいことをするわけじゃない。学園の広場に部活のスペースを設け、道行く入学生に声をかける。たったこれだけの簡単なお仕事だ。加えて、ガンプラバトルは最近のトレンドだから、呼び込まなくてもある程度は入ってきてくれるだろうとは思っていた。

だけど、それはちょっと。いや、かなり現実とは違っていたようだ。

「まさか、こんなに勧誘してたった一人の新入部員も獲得できないとは」

「あったりまえや。そんな簡単に獲得できるんやったら、廃部の危機にはならんて」

パイプ椅子の背もたれに体を預けているのは、一つ上の先輩で我がガンプラ部の部長ことツルハ・シンジ。生まれも育ちも千葉のはずなのになぜか関西弁で喋るよくわからない人だ。

「それにや。去年だって先輩方とめっちゃ頑張って勧誘したのに、お前しか入ってこーへんかったやんけ。もう忘れたんか?」

「あー、やめてください部長。現実を見たくないです」

私は耳を塞ぐ仕草をして、部長の話を遮った。

でも実際、部長の言う通りだ。私も最近になって知ったことだけど、去年の部員勧誘も全くもって上手くいかなかったらしい。結局、入部したのは最初からガンプラ部への入部を決めていた私一人だけだった。そんな前歴があるにもかかわらず、何の改善もせずに部員だけ増やそうというのは、流石に甘い考えだったんだろうか。

「流石に今年の新入部員はゼロ。というわけは無いやろうけど……。せめて3人、欲を言えば5人は欲しいところやな。このままじゃ、廃部どころの騒ぎちゃうで」

部長はそう言って、腕を組んでウンウンと唸っている。確かに、新入生が入らなかったからと言ってすぐ廃部になるわけじゃない。学校の規定では「部員の数は3人以上いなければならない」と決められている。ただ、部長が言っている通り問題はそこじゃない。本当に深刻なのは、メインの活動であるガンプラバトル選手権への出場資格のほうだ。

「うちの部。4人のうち、ファイターは2人しかいませんもんね。私はビルダー専門でバトル苦手ですし」

「もう1人はファイターでもビルダーでもないマネージャーだ。ファイターが3人いないと3on3はできない。つまり、全国大会どころか地区大会に出ることすらできないってことだ。これは本当に深刻だぞ」

ガンプラバトルは主に2種類の人間がいる。ガンプラを作るビルダーとガンプラを使って戦うファイターだ。私は作る方が得意で操縦する方が苦手だから、自分のことはビルダーだと思っている。操縦できるのはできるけど、バトルで勝てるかどうかまた別だ。

そして実績がなければ部を存続させることができない。でもファイターがいなければ大会に出ることもできない。これじゃあ八方塞がりだ。

「アカリさ。やっぱ今すぐ練習して、ファイターに転向したら?」

「できることならもうやってます。でも、なかなか上達しなくって。それにバトルの練習するよりもガンプラ作る方に触手が動いちゃって……」

そう言って私は、腰のポシェットからモノクロームカラーのガンプラを取り出して、机の上に立たせる。今回、私が作ったのは『機動戦士ガンダムUC』に登場するシナンジュという機体だ。

部長はだらしない姿勢から勢いよくガバッと起き上がると、私のシナンジュを手にとった。時折、可動域を確かめているのか手足を動かしている。

「ほう、シナンジュかいな。スミ入れに塗装、ディティールアップもしっかりできとる。かなり丁寧に作ってあんな」

「シナンジュって特に弄らなくても十分強い機体だと思ったんで、大きな改造とかはせずに完成度を高める改造をしました」

「確かにそうやな。けど問題は、お前がこれを使いこなせるかやねんけど。いけるか?」

部長はニヤリと皮肉混じりの笑みを浮かべながらシナンジュを机に置いた。

私にはそれがいつもの冗談だとわかっていたが、何と返事すればわからなかった。自慢じゃないけど、私自身このガンプラの完成度の高さはかなりのものだと思う。ガンプラの出来栄えを競うアーティスティックガンプラコンテストに出せば上位入賞も夢じゃないだろう。けれど私は、このガンプラをバトルで活躍させるために作った。できることなら、私が操縦したい。

「(けど、私って操縦下手だしなぁ)」

そう思って私はシナンジュを手に取って眺める。頭のなかではいつも、原作のように通常の3倍のスピードで戦場を駆け抜けながら華麗に敵機を撃墜するイメージを思い浮かべている。もっとも、それが現実になるのは遠い未来だろうけど。

「お、おーいアカリちゃんや。ごめんな、さっきのは冗談やってん。気を悪くしたんなら謝るわ」

おっといけない。物思いにふけっている間に機嫌を悪くしたと思われたらしく、部長が手を合わせて申し訳なさそうな顔をしている。その様子はちょっと面白かったけど、流石に罪悪感が芽生えてきた。そろそろ止めた方がいいかな──

と思った瞬間、ガラガラと引き戸を開ける音が聞こえた。誰か来たのかと思って振り返った。

「よぉミサキちゃん。お疲れさん」

入ってきたのは部長と同じ学年で我が部のマネージャーをしているヒュウガ・ミサキ先輩だった。先輩は手にした書類を机に放り投げると、メガネの位置を直した。

「お疲れ様です。それ、今日の部活会議の資料と来週までの提出書類。ちゃんと目を通しておいてね」

「りょーかい。今回の資料もまた分厚いなぁ、もうちょい薄くならんのかぁ?」

「資料は基本的に去年の使い回しみたいだから、文句なら去年の生徒会に言って」

部長は渋々といった表情で資料に手を伸ばした。もしかしなくても、来年は私が見なきゃいけないのか。そう思うと気が重くなってくる。

「それと、入部希望の子がさっきからずっと廊下に立っていたけど?」

な、なんだって!?

私はパイプ椅子を蹴飛ばす勢いで立ち上がり、大急ぎで廊下に飛び出した。するとそこには真新しい制服を着た新入生らしき女の子が1人、廊下に立っていた。

「わ、わぁっ?!」

急に出てきた私に驚いたのか、女の子は足をすっとんきょうな声をあげた。同時にバランスを崩して尻もちをついた。なんというか、ずいぶんとビビリな子だ。私は「大丈夫?」と声をかけて手を差し伸べる。

「あ、ありがとうございます。すみません」

女の子もおずおずと私の手を取った。

 

「ようこそ、我らがガンプラ部に! わいは部長のツルハ・シンジや。よろしゅうな!」

「わ、私はモモヤマ・アキと言います。よろ、よろしくお願いします」

元気のいい部長の挨拶に対して、アキちゃんは気弱そうな声で返した。ところどころ舌を噛んでいるし、もしかしたら緊張しているのかもしれない。私はアキちゃんのとなりにパイプ椅子を置いて座った。

「私はオキタ・アカリ。もしかしてだけど緊張してる? 大丈夫だよ。リラックスして」

「は、はいぃ。だ、大丈夫……です」

ああ、これは全然大丈夫じゃない。めちゃくちゃ緊張してる。無理もない、始めての学校で年上の先輩たちに囲まれたら誰だって緊張する。こういう時、どうしたらいいだろう。

「せや、アキちゃんはどのガンダムが好きなん? わいは1年戦争のが好きやねん。特に08小隊とかブルーデスティニーとかがお気に入りかな」

部長のファインプレーに私は心の中でガッツポーズした。好きなこと話しなら緊張なく話せるかもしれない。部長にしてはなんと気の利いた話題なんだろう。

「す、すみません。私、ガンダムのアニメは見たことなくって……」

「あっ。そ、そうなんや……」

前言撤回、やっぱり部長に気の利いた話題を提供するのは無理みたいだ。

それよりも、ガンプラ部に入部希望なのにガンダムを見たことがないとは珍しい。なんでウチの部に入ろうと思ったんだろう。

「えっと、アキちゃんはガンプラを作ったことってあるん?」

「あ、ありません。友達のをたまに手伝うくらいで……」

「そうなんや。じゃあ、ビルダー希望?」

「い、いえ。一応ファイター志望です。ガンプラは持ってませんけど……」

「おおっ! ついに待望のファイターの新入部員がきたで!」

部長は1人で馬鹿みたいに騒ぎまくってるけれど、私は余計に混乱してきた。ガンプラ好きの友達と一緒にビルダーとして入部するならわかる。なんでファイターなんだろう、全く理由が思いつかない。

「よっしゃ、そんじゃあ新米ファイターのためにおススメのガンプラ探しに行こか! アキちゃん、この後は予定あるか?」

「い、いえ特にありません。お供します……」

「いい返事や! ミサキちゃんはどうする?」

「そうね。特に予定もないし、私も行ってみようかしら」

うわぁ、なんだかどんどん話が進んでいく。もしかして気にし過ぎてるのかな。そんなに考えなくてもいい事なのか。

「あっ、私も、私も行きます!」

「よぉし、アカリちゃんも行くと決めたし、全員で行こか!」

そういうと部長はテキパキと荷物をまとめて部室を飛び出した。ああ、なんだかどんどん流されている気がする。私も遅れないように荷物を持って部室を出る。それにしても、アキちゃんはどうしてウチに入ろうと思ったんだろう。やっぱり、どうしても気になってしまう。

 




読んでいただきありがとうございます。
はい、またガンダムです。自分でも思いますが、よくもまあ飽きないことですよね。ただ、それだけ好きってことで勘弁してください。

最後に、
人々はビルドファイターズ「セルリアン」と呼んだ。(呼んでない)

いや、やっておくのが礼儀かと思ったので。
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