僕は吉井明久。この文月学園に通う高等部2年生だ。この文月学園は普通の学校とは少し違う。だけど今はそんなことを説明している暇はない。なぜなら。
『まてーーー!!』
「「待てるかーーー!!」」
風紀委員と追いかけっこ中だからだ!
「おい明久!おめぇのせいでこんなことになっちまったじゃねぇか!」
「何でさ!俺は雄二のせいだろ!」
僕と並走して風紀委員から逃げているのは坂本雄二。僕の悪友だ。赤い髪と鋭い眼光が特徴の男だ。
「てめぇ、人のせいにするのか!?」
「だってそうだろ!雄二がもっとマシな差し入れをしてくれればよかったんだ!」
「してやっただろが!」
「ダイエットコーラにこんにゃくゼリーにところてんってなんだよ!もっとカロリーのあるもの持ってきてよ!」
「人が買ってきたものに文句言うんじゃねぇ!」
くっ、こいつは僕のカロリーの重要性を知らないからこんなことができるんだ!だって今月は金欠なんだから仕方ないだろう!
「全部趣味に投資してるからそんなことになるんだ!ちったぁ我慢しろ!」
「仕方ないでしょ!それに1週間くらいなら問題ないし」
「1週間水と塩だけで生きていけるのお前だけだ!」
「失礼な!ちゃんと砂糖だって食べてる!」
「調味料を食べるとはいわねぇよ!」
くそっ、ああいえばこういう奴だ!
「待つんだ吉井くん!」
今後ろから聞こえてきたのは風紀委員の久保くんだ。久保くんは頭も顔もいいから生徒からも教師からも信頼されてる秀才だ。風紀委員だからきっと将来はいい役職に着くんだろうな。
「吉井くん、僕がキミに常識を教えてあげるから!さぁ、僕と一緒に勉強しよう!」
なんだろう、さっきから悪寒が止まらない。最近久保くんを見ると毎回こうなるな。
「くそっ、こうなれば」
雄二はおもむろにポケットから首輪を取りだした。それを首に着けた。すると雄二のスピードが増した。
「あっ、雄二ずるいぞ!」
「うるせぇ!お前を囮にして俺は逃げる!」
「くそっ、なんて汚い奴なんだ!」
雄二の能力は”その道を進む者(ファラウェイ)”。その力は自信の身体能力の向上。あいつ、このまま僕を置いてとんずらする気だな。だが、雄二がやるなら僕だって!
[房有神術 能縮地脈]
僕は小さく呪文を唱えると、その場から消えたように見えるようなスピードに入った。
これは縮地。これは古代中国の神仙伝に登場する技術で仙術として分類されている移動術だ。それにこれは日本の武術でも使用する人物がいたらしいがそんなことはどうでもいい。僕は先行していた雄二を追い越してさらに先に行った。
「あ、てめぇ!」
雄二がなんか言ってるけど聞いてる時間なんてない。僕は風になるような感覚で走った。
ここまでくれば大丈夫だろう、と思い術を解こうと思ったら。
「待たんか吉井!それに坂本!」
後ろから聞こえてきたのはこの学園の生徒指導の西村先生こと鉄人。鉄人に捕まれば指導室まで連行
される。その後は最低2時間は拘束される。そんなのは嫌だ!僕は術を解くのをやめ、そのまま走っていったがあろうことか鉄人は身体強化している雄二に追いつくばかりのスピードで走り、そのまま雄二を拳一発で沈めた。
「くっ、やはりあのチンパンジー人間じゃない!」
「吉井、貴様も逃がさんぞ!」
さらに鉄人はスピードを上げた。
ウソだろ!普通に走ってるならともかく縮地に入った僕に接近してくるだと!?確か鉄人は何の能力も持っていないはず。それなのに何でそんな人外紛いなことができるの!?
「待たんか吉井ィィ!!」
「うわああぁぁぁぁ!!」
それから数十分後、僕も鉄人に捕まったとさ。
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