駄文ですが、どうぞ。
2時間の鉄人の説教からようやく解放された僕と雄二は心身ともに疲弊していた。
「はぁ、ようやく解放された・・」
「まったくだ。ったく鉄人のやろう覚えてろよ」
そんなことをボヤキながら僕らは寮への道を歩いていた。時間的には6時過ぎでもう夕方だ。周りにはほとんど人がいない。この学園都市では6時を過ぎると学生はみんな夕食のために寮にいるからね。
「ようやく来たのじゃ」
「・・・待ちわびた」
「あれ、秀吉にムッツリーニ?」
後ろから声をかけられ振り向くとそこには秀吉とムッツリーニこと土屋康太がいた。
「お前ら、どうしてここに居んだ?」
「来るのを待っててやったとゆうになんじゃその言葉は」
「・・・待機」
「じゃあ、ずっと待っててくれたの?」
「じゃからそう言うてるじゃろ」
そっか、こんな遅くまで待っててくれたのか。それは申し訳なかったね。こんな遅くまで待たせちゃって。
「また鉄人に捕まったのじゃろ。まったく、お主らも懲りぬのう」
「まったくだ、少しは自嘲しろ明久」
「お前も少しは反省しろ!」
っと、いつもの掛け合いをしながら僕らは寮への道のりを歩いた。僕らは同じ寮だから1年の頃から何かと交流を持ってたし。何よりみんなと居ると楽しいしね。偶に変なことに巻き込まれるけど。
「もう6時過ぎか。急がねぇとメシに間に合わねぇな」
「えぇ!それを早く行ってよ!早く行こ!」
「お主、また昼食を食べておらんのか?」
だってしょうがないじゃないか。朝と夜は寮でご飯を貰えるけど昼は各自でなんとかしなきゃいけないんだから。最近お金ないから朝と夜以外何も食べてないし。
「まったく、全財産ゲームにつぎ込むからそうなるんだ。そのせいで今日だってこうなっちまったんだしよ」
「・・・自嘲」
「うっ。そ、それより早く帰ろう!」
「話をそらしたのう」
秀吉、それは言っちゃいけないよ。僕はみんなを急かすようにして寮を目指した。すると少し離れた方から音が聞こえた。
「ねぇ、今何か聞こえなかった?」
「ん?さぁ、気のせいじゃねぇか。どうだ秀吉?」
「う~む、何となく聞こえたような気がするのう」
「・・・ここから10時の方向から」
どうやら2人にも聞こえたらしい。それにしても一体何だろう?
「ねぇ、行ってみない?}
「そうじゃのう、少し気になるしの」
「ったく、しゃあねぇな」
「・・・(コク)」
「なのは、はやて。大丈夫?」
「大丈夫だよフェイトちゃん」
「問題なかよ」
よかった無事で。それにしてもあの人は一体誰なのだろう。顔をフードで隠した怪しい人。いきなり私たちを攻撃してきて。それにさっきの攻撃、危なかった。咄嗟に防御してなきゃやられてた。
「あなたは何者ですか?なぜこんなことを?」
「・・・」
私の問いかけに答えず、ただこちらをジッと見つめるだけだった。
「どうやら応える気はないようや」
「とりあえず応戦しつつ隙を見て逃げよう」
「それがいいの」
私たちはデバイスを起動させ、臨戦態勢を取った。それを見た相手は懐から紙を1枚取り出し、それをこちらに投げた。するとその紙が大量の水が発生し、こちらに向かってきた。
「魔術師!?」
「今は回避や!」
はやての指示の通り私たちは飛んで避けた。しかし、次の瞬間水から木の蔓が延びてきて私たちを絡め取った。
「つ、蔓!?」
「これは!?」
「五行相生 水生木」
相手がひっそりを呟いた。けど私たちはそれを気にしてる余裕はない。必死に脱出を試みても体が一向に動かない。
「バルディっシュ!」
〈Yes,sir〉
空中にいくつもの魔力で生成したスフィアを生み出し、それを蔓に打ち込んでいく。そして蔓の力が弱くなったので私たちは何とか拘束から出ることができた。私は地に降り、相手にデバイスを向けて警告する。
「理由は分かりませんが無駄です。それにこの騒ぎを聞きつけて風紀委員か管理局員がすぐに来ます。大人しく投降してください」
「・・・」
それでも相手は無言を貫く。どうやら投降する気はないようだ。
「フェイトちゃん、どうやらおとなしくする気はないようや。ここは一旦逃げよ」
「そうだね。それに学園に戻れば先生もいるの。それで助けを求めればいいし」
「そうだね。それじゃ私が気を引くから2人は学園へ向かって飛んで」
2人は小さく肯く。それを確認して相手に魔力弾を放つ。相手はそれを何なく弾いた。結界か何かはわからないけど相手の気がそれた。私たちは飛び立とうとしたが出来なかった。なぜなら。
「あ、あれ!?」
「体が動かん!」
「なんで!?」
まるで何かに縛られているかのように動けないのだ。体の自由が利かない!
「捕まえた」
相手が喋った。そして左手を懐に持っていき、何かを取りだしそれをこっちへ飛ばしてきた。その物体は小さい。せいぜい親指程度の大きさだ。かわそうにも体が動かない。もうダメかと思った時、どこからか声が飛んできた。
[バン、ウン、タラク、キリク、アク]
その声と同時に紙も一緒に飛んできた。それによってこっちに飛んできた何かは阻まれた。
「え?」
「だれや!?」
私たちは飛んできた方を向くとそこには3人の男の子と1人の女の子がいた。
音のする方へ来るとそこには女の子3人とフードをかぶった怪しげな人がいた。
「あれ、あの3人どこかで見たような・・?」
「ありゃあ、魔法科のやつじゃねぇか?」
「・・・高町なのは、八神はやて、フィイト・T・ハラオウン」
ムッツリーニが3人の名前らしきものを口にした。あれ?ていうかそれって。
「聞いたことあるのう。確か魔法科の中で注目されておる奴らじゃなかったか?」
「・・・(コク)教師からも信頼が厚い」
「なるほど、優等生ってわけか」
「けど、なんかヤバそうじゃない?」
少し離れたとこから見ていると3人は木の蔓に巻きつかれた。ていうかあれは。
「ありゃ魔術か?」
「うん、あれは陰陽術だね」
「ふむ、魔術については詳しくは知らんがすごいのう」
「・・・美少女、蔓、拘束(タラタラ)」
またムッツリーニが良からぬことを考えていそうだけど今はそれどころじゃないね。そして3人は拘束をなんとか説いたが、その後は動かなくなった。いや、動けないのかな?
「あん?なにやってんだ?」
「なにやら苦悩そうな顔をしておるのう」
「おそらく動けないんだ。あれはおそらく不動金縛りの術」
「ということは振りなのかのう」
「おそらく術のことを知らないんだろうね」
魔法と魔術は似ているようで違うし。魔法は技術の発展や犯罪者などの戦闘に使われるけど魔術は魔法的災害や呪いの解呪、研究などに使われる。つまり使われる用途が違う。だから魔導士が魔術を学ぶことも、魔術士が魔法を学ぶこともあまりないのだ。
「仕方ねぇ、それじゃ加勢するか?」
「そうだね」
僕はカバンから霊符を取りだした。霊符とは紙や木などに文字や絵、記号のようなものを書きつけた呪力のある御札のことで陰陽術などによく用いられる。僕はそのうちの1枚を飛ばした。
[バン、ウン、タラク、キリク、アク]
短い詠唱をし、簡易の防御壁を張った。それに何かが弾かれた。
「え?」
「だれや!?」
あっちも驚いているようだ。とりあえず出ようか。
「えっと、大丈夫?」
「え、あ、う、うん。怪我はないの」
サイドポニーの子が返事をしてくれた。けどまだ動けないようだ。つまりまだ術は解いてないんだね。僕は向かいの相手に顔を向けた。
「キミは誰?」
「無駄だ明久。どうせ答えないだろ」
「雄二の雄二の言う通りじゃろ。それに名乗るならこのようなことはしないじゃろうし」
「だな、それで名乗るのは明久ぐらいだろ」
「失礼な」
相手はこちらに構いもなく再び霊符を投げてきた。っていうか何も言うことないのかよ。相手の霊符は火を帯びて飛んできた。火行符か。
「危ない!」
「急々如律令」
後ろの子が叫んだけど僕には問題ないよ。僕も霊符を投げた。投げた霊符は水行符。霊符は大量の水を出し、相手の火を消しそのままの勢いで相手に向かっていく。
「五行相剋 水剋火」
「急々如律令」
相手も再び霊符を投げた。そしてフードの人の前に土の壁がそびえ立ち、水をせき止めた。土剋水か。僕はすかさず霊符を2枚投げた。
「急々如律令」
最初に投げた符からは木の蔓が延び、土の壁を突き破る。そして2枚目の符からは火が発生し、木の蔓に燃え移り、大きく燃えだした。
「五行相克 木剋土からの五行相生 木生火」
木は根を地中に張って土を締め付け、養分を吸い取って土地を痩せさせ、木は燃えて火を生む。これは陰陽術の根底にある陰陽五行説に基づいている。
木は火を生み、火は土を生み、土は金を生み、金は水を生み、水は木を生む。これを相生と呼び、
木は土を滅ぼし、土は水を濁らせ、水は火を消し、火は金を溶かし、金は木を切る。これを相剋と呼ぶ。
「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」
フードの人はすかさず九字を切る。それによってとっさに結界を張ったのだ。張った結界によって僕の攻撃は防がれちゃったよ。これまでの戦いを見ていた3人は目を丸くしていた。
「これが、魔術師の戦い」
「こうして見んのは初めてや」
さて、相手はどう出るかな。
僕はすぐに対応できるように準備をする。けど、相手は背を翻した。
「逃げるの?」
「もうすぐ管理局も来るだろうし、ここは引かせてもらう」
そう言って相手は姿を消した。
「うわぁ!」
「おととっ」
相手が居なくなったことによって術も解けたようだ。
「みんな大丈夫?」
「ええ、ありがとう」
「それにしても何なんだあいつは」
「さぁ、私たちもいきなり襲われただけだから」
雄二の疑問に金髪の子が答えた。結局何がしたかったのかな?そんなことを考えていたら周りがうるさくなってきた。
「どうやら風紀委員が先に来たようじゃな」
「それじゃ僕らは帰ろうか」
「そうだな、これ以上巻き込まれるのはゴメンだ」
「・・・(コク)」
風紀委員が来るってことはもう大丈夫だろう。僕らはそのまま帰路に就こうとした。
「え、ちょっと待って」
「うん?どうしたの?」
「いや、君たちも残った方がいいんじゃないの?」
「俺たちは風紀委員に目ぇ着けられてるからな。関わりたくねぇ」
そうだよね。これ以上問題起こしたくないし。
「それじゃあね」
僕たちは彼女たちを置いてそのまま寮へと帰った。
呪文は、東京レイヴンズと少年陰陽師を参考にしました