戦姫魔晶シンフォギアD   作:イビルジョーカー

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訳題『道化師は笑う』



気付けば、お気に入りが105件。とても嬉しいです。

今まで書いてきた作品で、100件以上のお気に入り登録はなかった為
、この小説が初めてになります。

これからも頑張って執筆していくので、よろしくお願いします!!






第21話  The clown laughs

 

 

 

 

 

 

 

side K

 

 

 

 

「結界……それが厄介だと?」

 

「そー! ホントにチョー頑丈なヤツ」

 

 

ジェスターは杖を振り回しながら軽く投げ、受け止めるといった他愛ない動作を仰々しくしながら、ニンマリと笑いそう言う。

 

 

「といっても、それは別に単純に頑丈って話じゃないんだよ。ンン〜?

分かるかな?」

 

 

自分の言っている意味が分かるか、と暗に問いかけて来るジェスターに嫌気を差しつつ、Kは答えた。

 

 

「何かしら厄介な特性があるんだろ?」

 

「ビンゴォォッ!!」

 

 

どうやら正解らしい。ハイテンションにジェスターは、解説を始めた。

 

 

「その結界には、ある効果があってね。まず一つに『吸血』。血を集める為なんだから、当然だよね? んでもって特定のものを見えなくする『不可視』。吸血は単純に死なない程度の一定量を身体から外へ出す感じだから、自分の血が傷口もないのに出て来るなんて、もーパニックは不可避!! それを見えなくする為にあるってワケ。そんで、『魔力遮断』。まー、コレはKチャンには関係ないかな。魔力を遮断することでバレさせない為のヤツだけど、もう今バレちゃったカラ!! とまー、こんな風なんだけど、実はもう一つあるんだよね」

 

 

振り回していた杖をピタリと止める。そして勢いよく杖の先端をKへと突きつけた。

 

 

「こ・れ・が!! 一番厄介なワケ!! なんとなんと! 結界そのものが魔力を吸収して、結界全体を維持する為のエネルギーに変換しちゃうのよ!!」

 

 

「……確かに。それは厄介だな」

 

 

悪魔の結界を破る方法は、同じく悪魔の力である魔力を用いた手段でなければならない。

 

魔具か魔術か……あるいは、魔を祓うことに特化した祓魔式錬金術か。

 

いずれにしろ、コレらは全て魔力を用いて行使される為、やったとしても結局吸収されて終わりだ。

 

だから実質"魔力を伴わない攻撃"が必要になる。

 

 

「イヤイヤ、魔力を伴わない攻撃って無理じゃね? 無理無理」

 

「でも〜、そ〜しないと〜、無・理・な・の! アーハッハッハッハッハッハッ!!!!」

 

 

グリフォンは言う。悪魔の生み出した結界を魔力を使わない手段・攻撃で壊すなど不可能だと。

 

だがジェスターは嘲笑いながら言う。それ以外に何もないと。

 

 

「なら、フォニックゲインを使うしかないな」

 

 

しかし、それで重く悩むKではなかった。

 

悪魔の結界は、いかにそれが核兵器と同等威力であったとしても、物理法則に縛られた攻撃・手段では僅かな針の穴さえ開けることも叶わない

 

だからこそ、悪魔の力である『魔力』が介在する手段・攻撃が必要不可欠なのだが、もし。

 

魔力の代替品に成り得るものがあったとしたら……どうだろうか?

 

ソレをKはフォニックゲインだと結論付けた。

 

 

「イヤイヤイヤ!! 待てってK!! フォニックゲインつったらアレだろ? シンフォギアってヤツに使うエネルギー……だっけか?」

 

「ああ、そうだ」

 

「んなモンが代替になるなんて、どーいう頭してたらそーなるンだよ!

 

 

捲し立てるグリフォンだが、その意見は間違いではない。フォニックゲインは確かに既存の物理法則に縛られない特殊なエネルギーだろう。

 

しかし、だからと言ってソレが結界を破壊できるに足るとは。

 

些か早計過ぎる浅はかさ、だと言わざる得ない。

 

それでも。Kは確信をもって答える。

 

 

「だが、既存の物理的な手段で幾千幾万、幾億とも知れない確率で臨むよりも遥かにマシだ。それに……やってみなければ分からないものだ、こういうのは」

 

「ブラボー! ブラボー!!」

 

 

頭の位置に手を上げ、そこから拍手をしながら『ブラボー』、と。

 

形だけの喝采称賛を見せるジェスター。

 

それだけKの言葉は彼女にとって的を得ていた(・・・・・・)

 

 

「さっすがKチャン! もうホント目の付け所がイイってカンジ! あんまり良すぎてあたしのハートの中身見えちゃった? アッハッハッハハハハうぉッ?!」

 

 

ジェスターの嘲りに満ちた小馬鹿な大笑いが癪に障らない訳もなく。案の定、Kはバールを突きつけ警告する。

 

 

「いい加減その喧しいお喋りをやめろ。無理なら無駄にバカ高い笑いを止めろ。二つに一つだ」

 

「あ〜ハイハイ。わかりました。んじゃ、さっきの話に戻すけど、フォニックゲインを代替に結界を破るってのはすご〜く的を得てるワケ。実のところフォニックゲインと魔力は性質こそ違うけど、元は同じ(・・・・)なの」

 

「同じ?」

 

「そ❤︎ 魔力もフォニックゲインも元は『イレイ』っていうエネルギーから派生したもの。イレイは地球の地下に張り巡ってる『レイライン』っていう、一種の龍脈に沿って止まることなく流れてるワケ」

 

 

それなりに悪魔関連における知識を持つKだが、それは知り得なかった事実だった。

 

内心驚きつつもそれを顔には出さず、ジェスターの話に耳を傾けた。

 

 

「そんでもって『イレイ』は地球だけじゃなくて、宇宙全てに満ちるチョー特殊なエネルギーでもある。既存の科学技術じゃ利用することはおろか、観測さえできやしない…錬金術を除いて、ね」

 

「錬金術ゥ? んなモンがこの世界にもあんのかよ」

 

 

Kの言う通りに沈黙を貫いていたグリフォンは、『錬金術』というワードに反応した。

 

向こうの世界にも錬金術は存在し、それを扱い行使する錬金術師は存在した。

 

グリフォンの元主であるムンドゥスは、彼らに対し利用価値を見出し、悪魔の力を求める多くの錬金術師たちを信奉させ、そしてあるもの(・・・・)の建設を命じた。

 

人界と魔界に大規模なトンネルを形成すること双方の世界を繋ぎ、大量の悪魔を人界へと呼び込む役目を担う巨塔。

 

その名は、『テメンニグル』。

 

更にムンドゥスは、強大な力のせいで人界では存在を維持できない性質を克服する為、天使の如き翼と筋骨隆々とした身体を有する神々しい男性像を依代として作らせたりと。

 

様々な面で彼等を利用していた記憶がグリフォンの脳裏を過っていた。

 

結局のところ、テメンニグルは塔の管理・護衛を任されていた上級悪魔たちと共にスパーダによって、封印されてしまったが。

 

 

「いるよー。ゴキブリみたいにコソコソ隠れ偲んでいるけど。まー、そこら辺は置いておいて」

 

 

錬金術師に対し、ジェスターは害虫とほぼ同列だと酷評をしつつ、話を戻す。

 

 

「あ、あとは聖遺物とかの異端技術ね。とにかく、この世界の魔力やフォニックゲインとかの特異なエネルギーってのは基本的にイレイが元になってるのよ。性質が違うだけで元は同じ。ならなら、十分に干渉できなくもないって理屈」

 

「けどよ、肝心のフォニックゲインはどーやって用意すんだよ。そもそも、結界ぶち壊すだけの威力できんの?」

 

 

ここでグリフォンはKに問いを投げる。

 

 

「フォニックゲインを使うには聖遺物が必要がある。その聖遺物は…ここにある」

 

「?」

 

「おぉ〜。初めて見るね。『ガングニール』」

 

 

そう言って、コートの裏の懐から取り出したのは菱形に近い形状の何かの欠片。

 

グリフォンは疑問符を浮かべるが、ジェスターは何かを悟ったように笑みを深め、その欠片の正体を言い当てた。

 

 

「の、欠片だけど」

 

「えェェ?! こんなゴミが聖遺物?! オイオイ、マジかよ。始めっからご破算じゃん!」

 

 

失礼極まりない使い魔の発言が腹に来たのか。無言で再びグリフォンの嘴を掴み、放り投げる。

 

 

「ンギャッ!」

 

 

軽く悲鳴を上げるグリフォンをとりあえず捨て置き、Kは話を続ける。

 

 

「そう。ガングニール。シンフォギア装者の一人…天羽奏が使っていた聖遺物だ。コレは、奴が最期の戦いの際に破損させたガングニールの一部。それを拝借したものだ」

 

「な〜るほど。でもでも、ソレのフォニックゲインを引き出すには歌って共鳴させるんでしょ? じゃなきゃ、結界を壊せるだけの力は引き出せないヨ〜?」

 

 

聖遺物は、完全に形を保っているもので、且つ『一度起動されている状態』であれば、適合者の歌でいちいち引き出す必要はなく、常人でも使用可能となる特徴がある。

 

だが、そうではなく、あくまで欠片程度でしかない聖遺物の場合は適合者の歌で出力を上げ、維持しなくてはならない。

 

 

「当ては、ある。お前に言う必要はないがな」

 

 

道化師の悪魔を決して信用しないという、そんな意味合いを含んだ言葉を吐くKは、ガングニールの欠片を懐へと戻す。

 

 

「お前の情報の真偽は、直接確かめればすくに分かる。だから今ここで結界の情報の信憑性を議論するつもりはない。だがな……これだけは問わせて貰う」

 

 

お前は、何故私がリンクできることを知っている(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

 

「!!」

 

 

その言葉にグリフォンは気付く。よく考えてみれば、そうだ。

 

ジェスターは結界についての詳細を語る際、Kがアンノーウスと繋がることで、ケルベロスの居場所を知り得たことを、まるで既に知っている風な口ぶりだった。

 

それはつまり。ジェスターがKの特殊な能力を把握しているということに他ならない。

 

 

「ワッ、ワワワ。気づいちゃった? ウソん」

 

 

わざとらしく慌てる素振りを見せるが、あまりに見え透いた児戯のような道化っぷりを見せつけるジェスター。

 

その態度が……Kの神経を逆撫でる。

 

 

「おい、いい加減…」

 

「オォォォっとっとっと。イイの? イイの? ジェスターちゃんにかまっちゃってて、ホントにイイの〜?」

 

 

匂わせるようにして言う思わせぶりな台詞だが、直感的ながらもそれが単なる誘導や誤魔化しの類ではないことをKは感じていた。

 

なら、どういうつもりで言っているのか?

 

その疑問の答えに辿り着くことなく、遠回しでぬらりくらりとした煽りの後に続いた言葉は、Kにとって大きな動揺を齎すものだった。

 

 

「あのアイドルちゃんと……ガングニールを受け継いだヒヨコちゃん。二人揃ってお陀仏! ってありえるかもよ〜?」

 

 

 

 

 

 

 





5のスペシャルエディション……早くバージル使いたい。

もうすぐとは言え、待ち遠しいです。
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