戦姫魔晶シンフォギアD   作:イビルジョーカー

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更新が遅くなってしまい、すみません(−_−;)

別の小説に時間を割いてたのと、ニコ動での実況動画に夢中だったのが原因です。はい。

あと、タイトル変えました。



第7話 Nightmare Revival part3

「ヒャッハァァッ! あの世に行けクソども!」

 

 

 グリフォンがそう叫ぶと共に彼の身体から迸る雷が実体なき悪魔の肉体を蹂躙、破壊し尽くす。

わずか一発食らっただけで何匹かのメフィストが命を散らし、煙のように薄っすらとその姿が消えるように死んでいく。

 

 しかし、ただやられてばかりではない。

 

 3匹のメフィストたちが鋭い人差し指から火、水、毒霧、と三種類の魔術を行使してグリフォンへ攻撃を仕掛けた。

 

 

「はー。雑魚の癖に魔術とか芸がイイじゃねぇーか」

 

 

 棒読みとしか言えない感心声を吐き出すグリフォンだが、そんなものは当然煽りの一種でしかない。

 

 より言ってしまえばフェレス族程度の魔術なぞ、グリフォンにとってはチャち臭い手品でしかないのだ。

 

 

「だが、んなもんはオレに通じねェよ!!」

 

 

 グリフォンの雷撃が宙を駆け迸る。

 

 向かう先はメフィストの3匹がそれぞれ放った火と水と毒霧の魔術攻撃。威力が同程度ならば相殺で終わったが、生憎それで終わるほど雷撃は甘くなく、火の魔術を打ち消し、水の魔術を蒸発させ、毒霧の魔術を胡散させるもその勢いを止めることはなく。瞬く間にメフィストを三体喰らい消滅させた。

 

 

「グォォォッ!」

 

 

 低い雄叫びを上げるシャドウはその自在且つ、しなやかに素早く形を変える己の能力を利用して鋭さを持った円錐の針を作り、メフィストを問答無用で刺し貫いていく。

 

 しかし、メフィストは実体を持たない霧状の身体を持つ悪魔。

いや、正確に言えば霧状の魔力の衣を纏っていると言った方がいい。

 

 そのせいで物理的な攻撃を無効化してしまっている為、シャドウの針による刺突は無意味に終わっている。

 

 

『フォォ……!!』

 

 

 自らが優勢にあると理解したメフィストたちは、不気味な鳴き声を発しながら、その鋭利な爪に魔力を込める。すると人間で言うところの人差し指だ。

 

 その部位の爪が淡い黄色の光を放つ。

 

すると同時にシャドウの攻撃のように伸び、勢いと共に刺突技を繰り出した。

 

 シャドウはそれを紙一重で避ける。

 

 魔爪の刺突をかわされながらも、それで驚くメフィスト達ではない。続いて今度は魔力を全身に迸らせ身を錐揉み状に回転、突撃し出したのだ。

 

 当然先程の円錐の針もそうだが、自分の身体を武器のソレへと変化させて当てるだけの単純な攻撃では、メフィストの魔力の衣は引き剥がせない。

 

 それを素早く知性的に且つ、本能的に悟ったシャドウは自身の尾に魔力を収束させる。躱す等造作もないのだが、ここは敢えて迎え撃つと言う手段を選ぶ。

 

 限界まで尻尾に魔力が集まった事を知覚した瞬間。尾の先端を鎌の如く変化させ、更には刃に赤紫色の魔力が上乗せするようにもう一つの刃の部位となって輝き、人間の動体視力では確実に捉えてられないであろう音速でしなやかに動く尾の刃は、メフィストの回転的突進をその身体ごと切り裂いた。

 

『ブレイドイーター』。

 

 シャドウが保有する攻撃手段の内の一つ。

 

 メフィストのように単純的な物理攻撃が一切意味を成さない悪魔に対し、効果を発揮する。

 

 この攻撃は文字通り“刃が喰らう”のだ。しかし喰らうのは血肉や骨と言った物質的なものではなく、魔力という、実体を持たないし目視もできないエネルギーそのもの。

 

 メフィストを切り裂くことができたのも、魔力を喰らうというブレイドイーターの特性を利用して霧状の魔力の衣を喰い剥いだからだ。

 

 そして、その餌食となったメフィストたちは断末魔の叫びも上げる暇もなく、僅かな一瞬の間に回転を、その生命活動ごと停止させられ消滅した。

 

 

「◼︎◼︎◼︎────ッ!!」

 

 

 いつもより甲高い咆哮を上げ、勝利を誇る。

 

 今ので6体を同時に仕留めたがまだ敵はいる。

 とは言え、グリフォンにナイトメアがいれば、例え数千という数で来ようが問題ないだろうとシャドウは踏んでいた。

 

 この世界に来る前の自分達は、実体なき悪夢の化身であるが故に悪魔を殺せず、契約者だった男にトドメを刺してもらう他なかったが今は違う。

 

 確固とした存在として現世に在り得ている。

 

 そのおかげで前以上に力が漲るのを感じる。

 

 何故、自分達が明確な一つの命となってこの世界に顕現したのか。その理由は皆目見当もつかない。が、今のシャドウにとって些細な事に過ぎない。

 

 今はただ戦って、敵を討つ。

 

 今世の契約者であるKの為に。

 

 そんな殊勝とも言える心境に思考が浸かっていたシャドウだが警戒していない訳ではなく、証明に自身の背後を狙って攻撃して来たメフィスト二体をブレイドイーターで切り裂いた。

 

 グリフォン、シャドウが戦いを優勢に進めている中でKは、ナイトメアに人間2人を任せ、ファウストを相手にしていた。

 

 デスシザーズはいつの間にか逃亡し、消え失せていたがKにしてみれば、面倒が減って好都合なのには違いない。

 

 ファウストの攻撃手段は基本的にメフィストと同じで、魔力を帯びた爪による攻撃と突進だが魔術を行使していたメフィストがいたように、ファウストはそれよりも数段強力な魔術を繰り出して来る。

 

 

「フゥッハアアアア────ーッッッ!!」

 

 

 両手からは紫煙を吐き出す黒炎の玉を生み出し、それを不気味な奇声と共にKへと差し向けるように放つ。

 二つの黒炎は上。下。右。左。定まった方向もなく曲がりくねった滅茶苦茶な動きだが確実にKに迫っていた。

 

 

「フンッ!」

 

 

 Kはバールに魔力を込めて振るう。魔力によって打ち消す事が可能となったバールは黒炎を一つ、分かつ様に切り裂く。

 

 続いて振り向き、横一線に黒炎を切り裂いた。

 

 しかしそれでは消えなかった。

 

 それどころか四つに増えてしまった。

 

 

「チッ、面倒だな」

 

 

 一旦距離を置く為に後方へと跳ぶ。四つの黒炎はユラユラと宙で揺れ、こちらの隙を伺っているようにも思えた。

 

 

『我ァァが、魔術はァァ!! 中小位の悪魔の中とは言え最高峰! そして、この幻影剣術もまた最高峰ォォォォッッッ!!!!」

 

 

 相変わらずハイテンションなウザさを吐き散らかすファウストにKは顔を顰める。が、油断はしなかった。

 

 次の瞬間、ファウストの両手全ての鉤爪がネオンのように妖しく、蛍光のソレに似た輝かしさで発光。そして光はファウストの鉤爪の形を模した魔力の武器となって浮かび上がる。

 

 

『ヒィィヤッハァァッ!!』

 

 

 甲高い奇声が響き渡る。

それを合図にでもしたのか、浮かび上がった魔力爪が互いに交差し打ち鳴らすことで金属同士が衝突する際によく出る甲高い反響音に似た音が空気によって伝達されていく。さながら楽器のようだ。

 

 もしそうであったなら良かったが、生憎悪魔の扱うモノに碌なものはない。

 

 魔力爪がその典型だ。

 

 音を打ち鳴らすだけではなく、それらは宙を右往左往と縦横無尽に飛び回り、様々な角度からタイミングまでバラバラに次々と襲いかかって来た。

 

 

「ぐっ!」

 

 

 斬る。突く。薙ぎ払う。

 

 普通の人間では目で追うことも、ましてや躱すことさえ叶わない高速の魔力爪による剣戟。

 これに対し、Kは一応程度には渡り合うことはできていた。

 だが魔力爪は徐々に速度を上げていき、鋭利さを強くしていく度に身体の所々に傷跡が付けられ、その都度、鮮血が吹き出す。

 

 

「ヒィィッヒヒヒヒヒッ!! どうです? ええ? 中々に鋭く恐ろしいでしょう?」

 

 

 デスシザースに負けず劣らずの気色悪さを滲み出した笑い声を上げ

、魔力による妖光で輝く自身の鉤爪を、まるで演奏の指揮者のように大振りに。

上や下やらと曲がりくねらせる動きに何の恥もなく余裕綽々に。

 己の奇行をさも上品で雅なものだと語りたいと、そんな斜め上を軽く超える自惚れ具合を晒す姿にKは言葉ではなく嘲笑で答える。

 

 

「……ンン? なぁぁにが可笑しいので?」

 

 

 笑われる筋合い等ありはしない。少なくとも、ファウストはそう思っている。だからこそ自分が追い詰めている獲物であるKがまるで馬鹿にするかのような嘲笑いに納得が行く筈がない。

 

 追い詰めているのだから、恐怖しろ。

 

 怯えろ。苦しめ。そして己の愚行を呪え。

 

 そうでなければ……人間を負の心理に貶める悪魔として、立つ瀬がないだろう。しかしKにしてみれば、そんな些事如き、配慮する道理などない。

 

 

「そんなものが最高峰? その程度の再現など容易いが?」

 

 

 そう言ってのける。その顔に威勢がいいだけの虚仮威しと言った嘘偽りはない。彼女はそれをすぐに証明して見せた。

 

 

「狂え。幻影は入り乱れる刃と成り果てる」

 

 

 Kが特殊な詩を口遊む。

 

それは俗に言う呪文と呼ばれるものに近い。

 

この一節が鍵となり、彼女の魔術が行使される。

 

 Kの頭上背後に光が何処からともなく灯り、その色は橙に近い赤色

。やがて、それは形を刀へと変え、縦横無尽に飛び交いその全てが不規則な動きでファウストを攻め伏せる。

 

 

「ギィッ! ガァァッ!!」

 

 

 なんとか己の幻影爪で防ぐものの、その全てを防ぎ切ることはできず。

 

 ダメージと共に魔力の衣を剥がされてしまった。

 

 

「ハッ。それが、お前の本当の姿か」

 

 

 闇のように漆黒の衣が剥がされ……ファウストは、その滑稽な姿を晒す破目になってしまった。

 

 一言で表すのなら、虫。

 

 そう、虫だ。硬質な外骨格に脚や身体に見られる節。おまけに身体は細く、人間界の虫で例えるのなら、ナナフシ、と呼ぶべきだろうか

 それだけに貧相な身体付きだと言わざる得ず、衣を剥がされる前にあった高貴な雰囲気はもはや微塵も感じられない。

 

 

「ギィッ、ギィィィィィィッッ!!」

 

 

故に堪らず、ファウストは金切り声を上げて叫び散らす。

 

 

「クソクソ、クソがァァァァァッッ!! 見られたくねー所をよくも、なんてことしてんだァッ! クソアマがッ!!!!」

 

 

 耳が痛くなる程の甲高い奇声を上げ、そこから罵詈雑言を吐き散らかす。

その様は、高貴などヘドロ塗れの溝川に放り捨てたとでも言わんばかりに大変見苦しく、目が汚れるとしか言えない醜態だった。

 

 

「やかましい」

 

 

 そんなファウストに配慮する様子は微塵もなく、その価値すらない

、とでも言いた気に眉間に皺を寄せるK。

 更に幻影刀が、容赦なく、釘を刺すが如くその汚らしい口を黙らせる為にファウストを刺し貫いていく。

 

 

「ガバァァッ!!」

 

「さっさとそのドブのように汚い魂を魔界に還すんだな」

 

 

 パチンッ。

 

 Kのフィンガースナップが周囲に響き渡る。

 

 そしてそれが合図となり、Kの幻影刀が爆散。

 

 ファウストの肉体を徹底的に破壊して、その命を停止させた。

 

 

「終わったカ〜Kチャン!!」

 

 

 グリフォンが飛んで来ては、軽快な言葉を投げ掛けて来る。Kはすぐには答えず、無言で腕を出すとグリフォンはその腕へと降り立つ。

 

 

「見ての通りだ。大した悪魔じゃなかった」

 

「ま、ファウストなんて所詮、魔界産の害虫だからな。俺たちの敵じゃねェのは当然ってこった」

 

 

 そんな会話をしている間にシャドウが戻って来た。ナイトメアは周囲に悪魔がいない事を確認してから、泥が溢れ出るように液化状態で出現。

内部に収容していた女の子と少女を解放し、あのゴーレムのような人型となった。

 

 

「ヨォ〜メアちゃん! メアちゃんもこっちに来てたとは、コイツは驚きだァ! つーか、隠れてたのかよ」

 

 

 久し振りの再会に喜ぶと同時に自分達が戦って間に、何処かに行ったのかと片隅ながらに思っていたグリフォン。

 人間2人を守る為に隠れていたと知り、小さな疑問が解消されたようだ。

 

 

「まァ、あんまし派手に暴れたら危ねェしナ

 

「……ともあれ、ここから引くぞ。結界が解かれた以上“アイツ等”が介入して……ッ!!」

 

 

 突然Kは言葉を途中で噤み、バールを振るう。

 

 ギィンッ! 

 

 直後。バールに何かが当たり、弾かれる。

 弾かれた何かは重力に従い、抵抗なく少し離れた位置に落ち、よく見てみれば、それは変わった形状をした小刀の類だった。

 何も知らない者から見れば、ただ変わった小刀で終わるが、Kにとってソレは、非常に見慣れたモノ懐かしささえ覚えてしまうモノだった。

 

 が、タイミングがあまりに悪い。

 

 コレが放たれて来た、と言うことは、“彼女”が来ている証明なのだから。

 

 

「……」

 

 

 何も言わず、心を冷静にさせて小刀が飛んで来た方向へと視線を移す。

 その先……隣接するビルの給水塔の上に“彼女”はいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 蒼きシンフォギアを纏う、“風鳴翼”が。

 

 

 

 

 

 

 

 

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