その日はクロスとめっちゃ狩りしまくった。
流石元トッププレイヤーなだけて、クロスはめっちゃ上手かった。圧倒的な防御力にものを言わせてサブマシンガンでのゴリ押しで狩りをする姿はもはや狂気も感じた。
一方の僕はと言うと、ステータスを素早さに全振りしておいた。これで接近戦に一気に持って行けるようになった。
ちなみに、クロスが手伝ってくれたこともあって、レベルはあっという間に10まで上がった。その分、素早さにステータスをふり続けたので気づいたらかなり早くなっていた。
1日しかしていないにしては、もう初心者の強さではなくなっている。やったぜ。
「んー、とりあえず明日はお友達連れてくるんだよね?」
「あぁ……明日までだからな、俺がやるのも」
「ほんとかなー」
「さぁな」
そう言うとクロスはログアウトして行った。クロス……今日楽しそうだったしなんだかんだまた始めそうだなぁ。
僕がログアウトして時間を見た時、既に1時を回っていた。すぐさま寝ようとしたけどなかなか寝れないで……今学校だけどめっちゃ眠い……
「眠そう」
と、僕の隣の席の女の子に声をかけられた。
「ねむぃぃぃぃ」
「静かにして」
「うい」
彼女の名前は零野ツバキ。僕のゲーム仲間。
そのゲームスタイルは決していいものとは言えないバーサーカースタイルで僕は彼女のことを戦闘狂と呼ぶほどの人だ。ALOをやっていた時はよくパーティを組んでボスをぬっ殺していたんだけど……
「で、その感じからして久々にゲームにでもハマったの?」
「そそー、GGO」
「意外だねぇ…ほのかは剣のゲームばっかりやるのかなと思ってた」
確かに僕は剣を振るのが1番しっくりくる気もするけど今は気分的にこっちが楽しい。
「まぁ、とりあえず寝とけば?」
「一応授業中なんだけどねー」
普通に喋っているが今は授業中なのです。
まぁ、ぶっちゃけ聞かなくても何とかなるから大丈夫大丈夫。
「ちなみにALOに戻ってくる気は?」
「んー…もしかしたら近いうちに戻るかも…」
「意外。なんで?」
「今度教えるよ」
ツバキからまた質問された気がしたがもう眠いので寝よう。授業中だけど。
「んー、来たはいいけど集合時間まで結構あるなぁ」
僕は今日、さっさと宿題も終わらせて早めにGGOに来ていた。
「あ、そうだ」
髪を染めてきた。銀髪から紅髪になっていつもの感じがかなり増した。鏡で見ても、間違いなくこっちの方が似合ってると思う。
「なぁ、あの亀どうするよ」
鏡を見ていると隣を団体さんが通って、話が聞こえた。なんのことだろー
「何の話してるんですか?」
「うわびっくりした……見ない顔だね、始めたばっかりかい?」
「昨日から」
「ホントに始めたばっかりなんだね……」
団体さんの中には若そうな人から少しオッサンっぽい人まで様々だ。
「で、なんの話ししてたのー」
「あぁ、一昨日から巨大亀がアップデートで出現したんだが、どうやっても倒せなくてな……フォトンソードですら傷が少しつくだけでな…」
フォトンソード……たしかこの世界唯一の剣で、某黒の剣士が使ったから浸透したとかいうやつか。
「ねーねー、そいつの情報他にもある?」
「んー…あるけど初心者のアンタには無謀な相手だと思うぞ」
「それはどうかなー、ふふふ」
そして男達は渋々情報を教えてくれた。
よーし、目的決まりー。
「よぉ」
「遅いぞクロス」
「集合時間ピッタリだっただろうが!!」
「女を待たせるなんて……」
「お前なぁ」
クロスはしっかり集合時間にお友達を連れて、やってきた。
「で、その人が友達のスナイパーさん?」
「あぁ、シノンだ。仲良くしてやってくれ。シノン、こいつがスカーレット。とんでもないことを突然するやばいやつだけど良い奴だから」
ひでぇ、紹介だ。
「うん、向こうで聞いてる。よろしくね、スカーレット」
「シノンさんよろしくー。にしても…どこかの黒の剣士は元気してるかな」
「元気すぎてエクスカリバーを手に入れたわ」
うわあいつやってんなぁ………
あ、そうそう。黒の剣士ことキリト…まさにクロスの防御を無視して一撃死させた張本人とはALOで仲良くしている。
「まー、とりあえず今から巨大亀を狩りに行くよー!!これまではクロスも付き合ってね」
そういった瞬間にシノンさんは顔を歪めた。
「あの対物ライフルでもフォトンソードでも傷が少しつく程度の化け物をどうするつもりよ」
この感じ、シノンさんは1回やられてるね。
「だいじょーぶ!!僕がこいつで何とかしてやりましょう」
僕は腰に下げていたフォトンソードをオンにして慣れた手つきで振り回した。
「はいはいそれは分かったから。というかよく買えたな、それ」
「昨日の狩りでめっちゃ稼げたしー」
このフォトンソードは昨日の狩りで溜まっていたお金で買った。
「とりあえずいってみよー!!僕が言う通りにすれば多分大丈夫だからー」
ということで巨大亀ことクイーンタートルの目撃情報のあった洞窟に到着した。
「でかいねぇ」
亀は直ぐに見つかった。動きはかなり遅く止まっているように見える。
「じゃ、言った通りによろしくー」
「ひとつ言うけど、死ぬなよ?」
「大丈夫だ、問題ない( - ̀ω -́ )」
「大丈夫要素を感じないのだけれど」
シノンさんに心配されたのを無視して、僕はフォトンソードを展開し、猛スピードで亀に接近した。
そのタイミングで重い音がして亀の甲羅に命中した。シノンさんの狙撃だ。
僕は亀がそっちに気を取られたすきに甲羅の上に乗り、ちょうどシノンさんが狙撃して少し削れた所をフォトンソードで斬りつけた。
ダメージを受け、僕に気づいた亀は攻撃に移り始めた。
でも僕は知っている。この亀どうやら、攻撃までの時間には数秒猶予がある。なので僕は甲羅をフォトンソード斬りつけながらも、逃げる準備を済ませた。
そして、亀は回転をはじめ、遂には目にも止まらない速さになった。これがこの亀の攻撃手段にして、圧倒的な火力を誇る技、スピンだ。普通の人ならカスっただけでもお陀仏する系のやつだ。
僕はそれを空中にジャンプしてやりすごした。瞬発力が高いので結構高くまで飛べた。
亀のスピンは確かにやばい技だが、その技の持続は短め。しかも、一度使うと次使えるようになるまで20秒ほど動きが止まる。
そして、スピンが終わるとほぼ同時に僕は再び亀の甲羅に降りて、さっき傷つけた所を滅多斬りにした。シノンさんも対物ライフルでドンドン撃っている。
もちろん亀は咆哮を上げ、暴れ回ろうとするが、スピンでなければそう容易くは振り落とされない。
しかし、亀は再びスピン体制に入った。
今度は亀の甲羅から素早く降りて攻撃が当たらないギリギリに着地し、スピンを始め、回転している亀の甲羅の傷ついた場所を的確に狙ってフォトンソードで斬りつけた。
すると亀はスピンをやめて、痛みに耐えるような咆哮を上げた。
「クロス出番!!」
「はいはいわかってってから!!」
ここでクロスも甲羅の上に乗り、手元にあるサブマシンガンで傷がついて弾丸も通るようになっていた甲羅に容赦なく撃ちまくった。
おまけで僕のフォトンソードとシノンさんの対物ライフルの攻撃を絶えず行い、遂に亀のHPゲージは消失し、亀は爆発四散した。
「おーわーり!!」
「ほ…ホントに倒しやがった……」
「なんか呆気なさすぎて……」
亀の爆散した場所を見ると……重そうなライフルと亀の甲羅の破片が落ちている。
「というか、スピン中の亀に的確な攻撃なんてよく出来たわね」
「シノン、こいつの動体視力を舐めない方がいい。こいつの最大の武器はそれなんだ。しかもこの瞬発力だしな。ちなみにこいつリアルでもめっちゃ目が良くてな……」
二人の会話は他所にとりあえず僕はライフルに近づいて見てみる。
「これ……対物ライフル?」
「そうね……アキュラシーインターナショナルAW50……私のへカートIIより少し重い、狙撃に特価させたSRね」
「なるほどー……重っ…」
試しに持とうとしたが全く持ち上がらない。
「そりゃ、お前なぁ。瞬発力に全ブッパしてるんだろ?持てるわけないない」
「持てた」
「はぁ!?」
クロスが驚きのあまり素っ頓狂な声を上げた。
「んーっとね、さっきの亀で上がったレベル分、筋力に全ブッパした」
「HAHAHA、お前。冗談キツイぜ、それを持つためにってなると、レベル20分くらいのポイントを筋力にふらないと無理だぜ?チートか?」
「えっと……今ね、僕レベル30」
「「…………」」
クロスと、隣のシノンさんも一瞬理解出来てないような顔をした。
「あの……いや待て、ってことはあの亀からレベル10からレベル30に上がる分の経験値貰えるってことか?」
「そうみたいだね……」
「そうみたいね……」
「「「……………」」」
僕達はあまりに衝撃的すぎて言葉を失った。
だって……昨日はレベル10にするために3時間かかったんだよ……?
「行くぞー!!あの経験値亀もっとブッコロセェェェ」
「あいさー!!」
「……はぁ」
クロスが叫び、僕が返事して、シノンさんがそのノリについていけずため息。
とりあえず、その日は1時間くらい亀を狩り続けた。僕のレベルは60まで上がった。
圧倒的経験値っ…!!これが亀っ…!!