WISH and DREAM   作:樋夜柊

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第九話 荒波の狙撃手と酒場の狙撃手

「やぁ」

「あ、エマ‼」

 例の依頼勝負『クライアントデュエル』以降、僕はミイとよく話すようになった。今では名前を呼び捨てで呼び合う仲だ。

「どう? 勝てそう?」

「う~ん‼ わかんない‼」

 と気持ちのいいくらいの笑顔で僕の方を見て言ってきた。

(なんでこの子は感情系のSCじゃないんだろう)

 と思いつつ、

「本当に大丈夫?」

 と不安になり聞いてみると、

「エマ‼ そこはポジティブシンキング、だよ‼」

「ポジティブ・・・何?」

「明るく、前向きに考えていこうってことだよ‼」

 あはは、と明るく笑って準備を終えたミイはギルドの外に向かって歩いて行った。そんなミイを僕は見ていると

「エマ、準備はいいか?」

 とラットは肩を叩いて話しかけてきた。僕は、

「あぁ、大丈夫だ」

 と頷いて答えた。

「俺らは前衛だ。正面突破で目指すはギルド『荒波リヴァイア』。途中奴らのギルドの兵もいるだろう。覚悟はいいな?」

「あぁ、バッチシ」

「行きましょう」

「あぁ、んじゃ・・・」

「行くぞ‼」

 おう‼ と僕達はハイタッチしあった。

 

                   ◇

 

(・・・行動が早いな)

 船での奇襲もそうだったが、俺らの近く街、例の王国とやり合った街には荒波の兵がもう到着していた。俺とエマは戦いながら、

「・・・ラット。何かおかしくないか?」

「あぁ、俺もそう思う」

 と話していた。幸い街の住民はこの戦いが始まる前から念のため避難はさせていたが、敵陣の動きが早すぎるのだった。

(・・・まるで、うちのギルドの様子がわかるかのように・・・・)

 と思ったその時、

 

バンッ‼

 

とそんな銃声が聞こえたのと共に俺は横腹を撃ち抜かれた。あまりの痛さに俺は倒れた。

そんな俺にエマが駆け寄ってくるが、

「・・・来るな、エマ‼」

 と叫ぶ。俺は一瞬で理解できた。俺は撃たれた横腹を抑えながら立ち上がり、

「お前ら‼ ここには腕利きのスナイパーがいる‼ 気をつけろ‼」

 と叫んだ。そして、俺は物陰に隠れた。すると、俺のさっきまでいた所に銃弾が撃ち込まれた。

 俺は撃たれた横腹を見た。幸い軽傷で済んだようだった。俺の所にカレンが駆け寄り、傷を治した。

「すまんな、カレン」

「ここで、ラットが戦闘不能になっては困りますから」

「そうか」 

 と呟き、カレンに

「おかしいと思ったんだ」

 と言った。カレンは首を傾げ、

「何がですか?」

 と聞いてきた。

「敵の行動が早すぎる。だからたぶん、俺の事を撃った奴はギルドの様子を少し前から伺(うかが)っていた。それももっと早い段階から」

「スナイパーの位置の特定とかできてますか?」

「いや、まだだ。銃声しか聞こえなかった」

 普通銃には『マズルフラッシュ』といって、撃った時に発射火薬が銃口付近で燃焼し、光が発生し、それで場所を特定することができる。

 しかし、それが発生しなかったところを見ると、とても高性能な銃であることが予想できた。

(さて、どうするか・・・)

 俺は考えていると、

「みんな、安心して前に進んで‼」

 とそんな声が聞こえ、そして、

 

ドンッ‼

 

 という音がギルドの方から聞こえた。

 その音を聞き、俺は思い出した。うちのギルドの狙撃手を。

 俺はさっきの声と銃の音に反応して、ギルドの方をみるカレンに、

「行くぞ、カレン」

 と立ち上がって言った。

「行くって、どこに?」

「荒波のギルドだ」

「でも、狙撃手が・・・」

 俺はそう言うカレンに、

「大丈夫だ。忘れていた。俺らのギルドの狙撃手を」

 そう忘れていた。最近、酒場の仕事で王国戦のような表舞台にも顔を出さないあの人の事を。本当は身体強化SC五感系能力『聴覚強化』のSCを持ったうちの狙撃手コノエ・ノースのことを忘れていたのだった。

 

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