(緊急事態発生‼ ギルドにスパイが忍び込んでいて、情報が漏れた。敵の容姿は灰色のマフラーを付けた一つ結びの女なんだ。服装は軽装で『プリテンダー』と名乗っていて、もし知っている人がいたら教えて!)
そんなコルからの情報が頭の中に届いたのは僕とラット、アカネ、そして、コールスが四人がかりで例のクラウンと名乗る女と戦っている時だった。
なるほど、これで敵の出方が早かったのにも納得がいった。
「・・・・おっと、よそ見かい? 余裕だね」
そう言って、クラウンは僕のお腹にストレート。考え事をして、油断していた僕はそれをまともにくらい、前かがみになった。そして、そんな体勢になった僕を回し蹴りで蹴り飛ばした。
バンッ‼ バンッ‼
そんな銃声が聞こえるが、クラウンは銃弾が見えているかのように容易くかわし、そして、
「危ないなぁ‼」
と銃を発砲したコールスに跳び膝蹴り。
「君は面白い能力だね。風を操り、銃弾の軌道を変えているのか。けど、直前でかわされたら意味がない」
そう言って、倒れているコールスを踏みつぶそうとするが、
「・・・チッ」
と舌打ちし、後ろに下がる。すると、さっきまでクラウンが立っていた場所が凍った。ラットの攻撃だ。
「あんたの相手はそいつだけとちゃうで。四対一いうこと忘れちゃあかん」
「・・・知っているよ。油断なんかしてない」
そう言って、刀を抜こうとしたアカネの手を右足で止め、もう一方の片足で顔を蹴り飛ばした。
「ほら、四人がかりなんだろ? 私を倒して見てよ」
そう言って女はにやりと笑った。
風
(・・・・灰色のマフラー)
私は黒いマリンキャップの男と戦っていると黄金の大蛇、コル・ソニアの声が頭に入って来て、それに反応した。
(おい、お前はコルでいいのか?)
試しにそう聞くと、
(うん、コル・ソニアだよ。何か知ってる?)
(あぁ、そいつは私と互角に戦った奴だ。アカネといううちのギルドの者も使う技だが、姿を木や石ころに変えて身代わりする『身代わりの術』を得意とする。動きも早い、気を付けて戦え)
(わかった!)
そう言って、目の前に男の方を見た。
「ところで、お前、まだ本気出してないだろ?」
「は? 俺が本気を出してないだと?」
「あぁ、それともそれが本気か?」
「まぁ、そうだな。戦ってれば・・・」
「・・・なっ‼」
早かった。いや早いだけじゃなく、パンチの威力も全然違った。
「・・・そのうちわかるんじゃないか?」
そう言って立ち上がる私の前でそう言った。私も負けずに、拳を握って男の元へ駆けて行った。
~
(・・・・あ~、だりぃ・・・・)
なんだっけ、こいつ。コラップサーとか言ったけ。こいつ。頭が眩しいくらいはげてるなぁ。
ドンッ‼ バンッ‼
目の前で爆弾が爆発すした。地雷か。
(あ~うるさい・・・)
爆弾の音がうるさい。だりぃ。後ろに下がって二、三個爆弾まで投げてきた。俺はかわす床にくっつき爆発した。粘着する爆弾だ。だるい武器使ってるなぁ。
「ぐにゃぐにゃぐにゃぐにゃ・・・・気持ちわりぃな‼」
そう言って、床を思いっきりぶん殴った。地面が爆発。俺はそれをかわし、男の顔面を殴った。しかし、
「効かんわ、もやし小僧」
そう言って男は俺の腹を思いっきりパンチした。俺はなんとなく危険を感じて後ろに下がる。
その瞬間目の前が爆発した。男はグローブを付けていた。きっとそれが何か関係しているのだろう。
(はぁ、めんど・・・)
俺はそう男をじっと見た。