神山思いつき集   作:神山

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オリンピックということで、スキージャンプペアを見ている作者です。

今回はご都合主義満載ですので、覚悟してご覧になってください。


AMON4

バベルに到着した不二子達はまず血だらけのアキラを風呂に放り込み、綺麗になった後に能力測定を開始することにした。各種運動能力、サイコキノ、サイコメトリーなどなど。素の能力値とアモンとしての能力値双方を測らなくてはならないために数日を要したが、ついに結果が到着する。

 

結果は合成能力者変異型(呼称デビルマン)レベル7。日本初のレベル7の誕生だった。

 

「凄いですね、彼の能力は……」

 

「うむ、これこそ彼を憂いた神の贈り物と言っても差し支えが無いほどネ。これで彼の目標も少しは楽になるだろう……って、何だねこれは!」

 

アキラが運動場での飛行実験や口からの炎の温度測定などをしている中、桐壷たちは離れたところでアキラを見守っていた。そして桐壷が研究班から渡された資料をめくると、そこには信じられないことが書いてあった。

 

『計測不能』

 

時折計測が出来た結果が記載されているものの、アモン化しての能力値のほとんどは現代の機械では計測不能と書いてある。桐壷は近くにいた研究班の一人を引っ掴まえ、詳しくじんm……もとい、聞きだしていた。

 

「こんなんじゃ国に提出できんだろうがぁー!アキラ君にどう説明しろって言うの!?」

 

「無理な物は無理なんですぅー!」

 

詳しく聞くところによると、計測しようとした機器が軒並みオーバーヒートして使い物にならなくなったそうだ。しかもまだまだ力を出せる状態で駄目になったため、アキラの能力を完全に計測するためにはあと十年は必要と予想が出た。それでもアキラも成長するために、現時点でのおおよその予測しか出来ていない。もしかすると完全計測は出来ないかもしれないということだった。

 

アキラにそれを伝えると、アキラは気にした様子もなく淡々と頷き、自身の計画のためにもこれは良い足掛かりになると喜んだ。まぁ結果的には日本初のレベル7が登場したということで、大々的に発表されることになった。桐壷も計測結果に不満はあれど、アキラの実力が立証されたことにことのほか喜んだ。それはもう祝賀会を自費で開くほどに。

 

「おめでとうアキラ。あなたのおかげで久しぶりのおいしい物がタダで食べれるわ」

 

「ありがとう姉さん。でも食っちゃ寝してたら太ぐふっ」

 

「な・に・か?」

 

「……フルフル」

 

開かれた祝賀会はここ数日共にいたバベルの研究班数名と不二子、開催者の桐壷、秘書だけが来ていた。こじんまりとしたものだが、アキラはそれで十分だった。

 

祝賀会も終わり、アキラは飲み潰れた不二子をサイコキネシスで浮かせ、彼女の部屋へと向かっていた。筋力面で考えれば背負うことも出来るのだが、何分身長は6歳児のために引きずることになってしまう。アモンとして夜に歩くのも流石に不味いため、仕方なくこうして運んでいた。

 

「ごめん姉さん、こんな運び方で」

 

「いいのよー。私も楽できるから」

 

他愛のない会話をしながら部屋へと向かう姿は、不二子の若さもあって本当の姉弟に見えなくもない。どこか微笑ましい空気をしながら到着した部屋に不二子を下したアキラはそのまま倒れ込む不二子を見つめていた。

 

「んー?どうしたのアキラぁ。あ、一緒に寝る?」

 

「あとでね。まずはこれ」

 

ざくん、とアキラは変化させた腕を浅く斬り、血を側にあるカップに入れ始めた。超回復するために何度も何度も。まさかそんな姿を目の前でされるとは思っていなかった不二子は少し固まった後に飛び起き、アキラに詰め寄る。

 

「アキラッ!あなた何してるの!?」

 

「必要なことなんだよ、姉さん」

 

「何を言って……」

 

ある程度までカップに血を溜めたアキラはこれ以上腕を傷つけるのを止め、カップを不二子へと差し出した。そして淡々と説明を始める。

 

「俺の血は、姉さんにとっての……いや、人間にとっての万能薬なんだ」

 

「……どういうこと?」

 

アキラは語る。自分のデーモンの血は超回復からわかるように並はずれた生命パワーを持っている。そしてそれを飲んだものは細胞単位で若返ることが可能なのだ。普通の人間ならば受けた傷がたちまち治り、生きていくことが可能だろう。ノーマルならそれだけだが、不二子のような高レベルエスパーならば話が違う。

 

兵部や他の事件と対峙するため、細胞単位での操作が可能な彼女は年齢や能力を超能力中枢に多大な負荷をかけることで無理矢理誤魔化していた。それはいつ超能力中枢が駄目になり死亡するかわからない状態である。だがそれも、アキラの血を飲むことで無用になるのだ。全てが若返り、誤魔化す必要が無くなる。

 

ここまで見ると最高の秘薬とも言えるアキラの血だが、もちろんデメリットもある。細胞の超回復による尋常じゃない激痛だ。それが半日、悪ければ数日は続く。肉体は若返ってもショック死しては意味がない。

 

そしてこれは飲む量や自身の細胞の劣化具合を細部まで確かめてからではないと大変なことになる。最悪赤ん坊以下まで細胞レベルが落ちるかもしれないのだ。今まで人間が培ってきた抗体も何もかもが無いまっさらな細胞となり、空気に触れるだけですぐに死んでしまう。本来うまく機能するはずの酸素すら毒となりえるほどに。

 

「でも姉さんは自分で細胞を弄れるし、俺がいるから万が一ってこともない。量も最適にしたから、これ以上ないくらいに万全な状態になれるはずだ。それに――――」

 

「待って、アキラ。この際私の事をわかっていたことはどうでもいいわ。あなたどうして私にそれを言ったの?」

 

「……」

 

不二子の疑問はもっともだ。アキラの血は、話に聞く限りでは不死の秘薬と言える。歴史の中で多くの権力者が欲してやまなかった神話の霊薬。これが世間にバレでもすれば、アキラの血が無くなるまで搾り取られるか永遠に血液を供給させるためのモルモットとして使われることだろう。制限の有無は関係ない。それが出来ることが問題なのだ。

 

それをまだ会って数日の不二子に明かした。それはどれほどの思いだったか。この数日間大いに悩んだことだろう。下手をすればすぐさま捕まって人生の終わりなのだから。

 

「俺は、姉さんに死んでほしくない。俺がどうなっても、姉さんが生きているなら同胞も守ってくれるはずだし……なにより、守るべき人は守らないと」

 

「――――っ!」

 

不二子は見た。見てしまった。無表情に話しているアキラの腕が震えていることを。

 

当たり前だ。自分の命がかかっていて怖くない人間などいるものか。ましてや彼は早熟しているとはいえ6歳だ。怖いに決まっている。しかも一度親しかった人間に裏切られている彼からすれば、もう一度信用した不二子がどう返事をしてくるか不安でならないに違いない。それでも彼は、不二子の確実な生存を願った。守るべき人を守るために。

 

「ぅ……うぅっ……」

 

不二子の視界が涙で歪み、嬉しさで胸がはち切れそうになる。たった数日でここまで自分を信用してくれた事実が嬉しくて、また自分の命を軽々しく投げ捨てようとしたことを怒る感情もあって、頭の中がごちゃごちゃしていた。しかも彼は早速あの時の宣言通りの行動を成し遂げている。彼なりの精一杯の行動であった。

 

「ぁ……姉さん、やっぱり嫌だよね。うん、ごめんなさい。これは捨ててくるから、また――――」

 

「馬鹿っ!」

 

カップをサイコキネシスで取り上げ、無表情ながらどこか慌てているアキラを一度ひっぱたき、不二子はすぐさま抱きしめた。

 

「あなたの精一杯の気持ち、嫌なはずないじゃない……この涙は嬉し涙よ?それに、私がこれしきのことであなたをどこかにやると思う?」

 

「……うん、ごめんなさい」

 

「わかればいいのよ。わかれば……本当に、ありがとうね」

 

「うん、うん」

 

お互いに抱きしめ合い、お互いに嬉しくて泣く。この時初めて二人は本当の家族、姉弟となったのかもしれない。そう、二人は後に語ったと言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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結果から言えば、不二子は血を飲んだ。丸三日激痛に苛まれ、アキラが側に付きサイコメトリーなどで緩和しなければ発狂していたとは彼女の言。

 

しかしその効果はあり、今まで酷使していた超能力中枢は回復し、年齢も30ほど若返ったとのこと。本来であれば最盛期である十代後半から二十代前半まで戻してやりたかったアキラだが、おそらく超能力中枢の回復に大部分の回復を持って行かれたのだろうと推測した。

 

未だに能力の使用は必須だが、今までのように酷使する必要はなくなった。これにはアキラの血による進化と二人は結論を出したものの、結果的に寿命を延ばしただけに過ぎず、これからも長生きと能力の温存をしたければ今までのように冬眠するか血を一年置き程度で飲むかだった。が、あの激痛をまた味わうつもりはない不二子は速攻で冬眠を選択。というか精神の疲労が大きいのでどちらにせよ回復しなければいけなかった。

 

「んじゃアキラ、後はよろしくね~」

 

「うん、わかった。おやすみ姉さん」

 

「おやすみアキラ……あ、ちょっと待って」

 

「ん?なんむぅっ!」

 

立ち去ろうとしたアキラへ不二子の突然のキス。しかもディープまでしっかりと。これには流石のアキラも硬直した。

 

「むふふふ~、今回のご褒美よん!あとは弟のファーストキスをどこぞの阿婆擦れに取られたくない姉心と乙女心をブレンドね?じゃっ、おやすみ~!」

 

完全に硬直したアキラに満面の笑みで語りつくすとすぐさま寝付いた不二子。アキラが回復したころには不二子は完全に眠っていた。

 

「姉さん……俺の細胞のデータコピーしたらどうなるかわからないのに……それにしても」

 

なんというか、色々と凄かった。

 

そう言い残してアキラはそそくさと去っていった。




今更ながら東方の二次、三次にハマっている作者です。

デーモンの血肉はそれだけで凄いものだと信じてやみません。合体なんてのがあるんだし、これくらいは出来るだろう。

ちなみにアキラの手が震えていたのはちょっと斬りすぎてプルプルしてたからです。そのあと痛すぎておお泣きしました。というのが真相。
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