神山思いつき集   作:神山

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Vaultの7話でも前書きに書きましたが、あちらは近々それ単体に移します。

それとこのメガテン小説。思ったよりも進んでいますが、単体化したほうがいいでしょうか?


女神転生5

中に入るにつれて変わる空気の重さを肌に感じながら、新人一行はホープとその後ろを難無く歩くフリンについていく。

 

そして到着したナラク・勇み名を馳せる階・第一層。扉を開けると目の前には螺旋階段があり、その下はすぐに悪魔の巣窟だ。全員の背筋がピンと伸びた。

 

「訓練の内容はこうだ。各々で悪魔と戦い、倒してもらう。まずはフリン!あそこに丁度手ごろなのがいる。手本を見せてやれ」

 

「はい」

 

そう言ってホープに言われた通り進みだすフリン。少し離れたところには悪魔がたむろしているのがわかる。そして、後ろの方で息を呑む新人達も。だがそれに待ったをかける者がいた。

 

「待ってください!彼も僕たちと同じ新人なのですよ?ここは普通お頭が手本を見せると言うところではないのですか!?」

 

「そうだぜ!手本も無しにあんなたくさんいる所にいきなり放り込むなんて、おかしいんじゃねえの!?」

 

「私もそう思います。お頭のやることですから何か思うところがあるのでしょうが、そんな、いきなりなんて……」

 

それはやはりヨナタンであり、震える身を抑え、先程出来たばかりの友のために発言をしている。それは彼の優しさであり、美徳だ。素直に心配してくれる彼をフリンは嬉しく思うし、その後に続くように進言する二人も同様だ。

 

だがそれはフリンの強さを知らないからこそ。知っているホープからすればうるさいだけである。友のために上司に苦言出来るのは美徳であるが、減点対象であるのには変わらない。ホープはため息をつき、フリンに確認を取った。

 

「いけるな?」

 

「造作もありません。真正面から行った方が?」

 

「いや、今回は奇襲で良い。見せる機会もそう多くないので丁度いいしな」

 

「わかりました」

 

フリンはホープの確認に頷きを返し、丁度良い場所にいるなと螺旋階段の上から見える悪魔を見下ろした。そして後ろで止めてくれた仲間に笑顔で振りむき、感謝を述べた。

 

「皆、ありがとう。でも俺は大丈夫。そしてよく見ておいてくれ。これが、悪魔との戦いだ」

 

「フリンッ!」

 

とん、と螺旋階段の上から飛び降りるフリン。ワルターの制止が聞こえたが、フリンはすでに頭を切り替え、刀を抜き放っていた。眼下に見えるのは邪鬼ラームジェルグ。身体中に剣の刺さった茶髪の男性型の悪魔だ。

 

「ハァアアアアッ!」

 

気合一閃。着地と共に振り下ろされた刀はラームジェルグを頭から真っ二つにし、一瞬のうちに消え去った。そして近くにいた青いドロドロした体を持つ外道スライムを二体立ち上がり様に斬り裂いた。

 

「ぬぅ!?何だ!?」

 

「ウオオオオン!オマエ、オレサマ、マルカジリ!?」

 

奇襲に驚いている妖魔ケンタウロス、妖獣グリフォンの群れ。他にも別のスライムとラームジェルグがおり、計8体。初心者には中々の大群だ。しかしフリンは刀に付いた血を振り落とし、その群れに向かって何の戸惑いもなく駆け出した。

 

そして滑るようにして次々に敵を斬り倒していくフリンを上から見ていた新人一行は、そのあまりの手際の良さに見惚れていた。それと同時に、悔しさも湧いてくる。同じ新人なのにこうも違いがある。真っ先に敵に向かっていったフリンとは違い、自分達は何をしていた?怯えていただけだ。

 

それがたまらなく悔しいと思えるほど、彼らの心は強かった。だが同時に疑問も出てくる。なぜあそこまで動けるのかと。

 

「お頭、なぜ彼はあそこまで動けるのです?敵は初めて見る悪魔、それに……こう言っては何ですが、彼は武術も何も知らないカジュアリティーズのはずです。それともワルター、これは僕の勝手な見解なのだろうか?」

 

「いや、間違っちゃいねぇ。普通カジュアリティーズは喧嘩に明け暮れていたりしない限りは戦う事なんてしねぇよ。ラグジュアリーズのように武術を習う時間もねぇしな。まぁ、体はしっかり鍛えられるけどよ」

 

「ではなぜ彼はあんなに動けるのかしら?」

 

最もな疑問であるが、ホープにもそれを説明する事は出来ない。彼もフリンのことを何も知らないし、何より何も聞かないことを宣言していたのだから。

 

「わしにもわからん。実際昨日の儀式で少し話しただけだからな。しかしこれだけは言える。やつは悪魔との交戦経験があるのだ」

 

「え!?」

 

「なんだって!?」

 

ホープの言葉に、新人一行は驚きを隠せない。今初めて会った悪魔との交戦経験があることも驚きだが、同時にこの言い方では外にも悪魔がいるようではないか。ナラクから外に出さないためにこうしてサムライが頑張るのではないのかと。

 

「お前達の疑問ももっともだ。普段であれば、ナラクから悪魔が出る事は無い。だが時折、我らの目をかいくぐって出てくるものもいる。そして、一番厄介なのが自然発生した場合だ」

 

悪魔の自然発生。この事例は東のミカド国においてそう頻繁に起こることではない。しかし、ナラクより漏れた不活性マグネタイトが国中を漂い、それが一か所に集まってしまうとこの現象が起きる。そこに人間の欲望が加わればより強力な悪魔が出てくることだろう。

 

フリンのキチジョージでの悪魔退治の経験はこの自然発生した下級悪魔を倒したことによるものだ。

 

「ヤツからは村の森で一人で悪魔を倒した経験が何度かあるということを聞いている。おそらくヤツは人知れず一人で戦い続けていたのだろう。何しろ相手は御伽噺の中の悪魔だ。誰に言っても普通は信じてもらえまい。ゆえに村を守るため、家族のために一人で戦っていたのだろう……そうでなければ説明がつかん」

 

「そんな……!」

 

衝撃の事実というのはこのことを言うのだろう。今まで自分達が普通に生きていた中で、彼は人知れず民を救うために戦ってきたのだ。誰にも言えず、誰にも褒められることはなく、しかしその誰かのために命を差し出す。彼の在り方こそ、真のサムライと言うべきものではないか!

 

「おいおい、カッコいいじゃないの!」

 

「あぁ。彼が僕たちの同期であるということを誇りに思おう。そして、これからは彼を支えていこうじゃあないか」

 

「そうね。彼はもう一人じゃないわ」

 

各々の胸の内に何かしらの決意をもたらしたことに、ホープは満足げに頷いた。こうして自然と友のために動き、発言できるというのは彼らにとって今後大きな力になることだろう。ただがむしゃらに任務をこなすだけではなく、何かのために行動することは意欲にもつながる。

 

実際の所フリンの悪魔退治は経験値稼ぎの面が大きかったものの、村を守るということも確かにあった。ゆえにあながち間違ってはいないが……まぁ、言わぬが華というものだろう。

 

「あ、終わったわ」

 

「ひゅう、さっすが!」

 

「では迎えに行くとしよう。今度は僕たちの番だ」

 

フリンの戦闘が終わり、三人はフリンを迎えに行くために駆け出していく。新たな友を称賛するために、そして次に続く自分達を見てもらうために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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全員の戦闘が一通り終わり、フリンやホープの指摘を受けた後、ホープは新たな訓練内容を伝えた。

 

「これより新人諸君のみでの実地訓練を行ってもらう。そろそろガントレットの方も起きるころだろう」

 

「え?それはどういう……」

 

ヨナタンの疑問の途中でそれぞれのガントレットから起動音が響き渡る。そうしてガントレットからAR化された画面が眼前に浮かび上がる。それは、フリンにとってはあまりにも慣れ親しんだ存在であり、戦いにおいて最も近くにいた相棒の姿だった。

 

彼女はフリンの顔をまじまじと見つめた後、ほっとしたように笑うと一度咳をして調子を整えた。その機械よりも人間らしい仕草もまた、昔のままなことにフリンは安堵した。

 

『マスターの再認識を完了。他のシステムとのリンクOK。起動も問題なし……改めて、Hello,human.私はバロウズ。ナビゲーションAIよ。おかえり、マスター』

 

「あぁ……ただいま、バロウズ」

 

緩みそうになる涙腺をなんとか抑え、他の仲間に聞こえないように返事をした。そんなフリンにバロウズはクスクスと笑い、からかうように話し始める。

 

『フフ、マスターってば私の知らない間に泣き虫になっちゃった?』

 

「……そうかもな。でも、お前も覚えてくれていたことが嬉しくて仕方がないんだ」

 

『あらあらお得意の口説き文句?それで何人の女の子悪魔が堕ちていったことやら……なんてね。私も嬉しいわ』

 

バロウズとの再会を済ませ、一応今は訓練の途中だからと話を切り上げる。すると丁度全員話も終わったのか、ホープが内容の説明の続きを口にし始めた。

 

「これからはガントレットの精霊バロウズを介して貴様らに指示を出す。先程のように常に誰かが守ってくれることはもう無いぞ。自分の命と民の命は貴様ら自身にかかっているのを忘れるな。では、次の訓練だが――――」

 

「あー!いたいた、そこの白い鎧着たイケメンのお兄さーん!」

 

「ん?」

 

ホープの言葉を遮るように発せられたどこか幼い声。そちらを向くと、三体の女性型悪魔がこちらに向かっていた。それに対して戦闘態勢を取る新人達だが、フリンとホープによって止められた。

 

「何故です!?相手は悪魔ですよ!」

 

「まぁ見ておけ。これが今回の訓練の内容だ。我らサムライ衆はその身一つだけで戦うのではない。このガントレットの機能を使い、悪魔を使役し共に闘うこともサムライの能力の一つだ。フリン、引き続き手本を見せてやれ」

 

「……わかりました。でも、成功するかどうかはわかりませんよ?」

 

「こういうものはやって経験していくものだ。失敗しても構わんさ。それに奴らはお前をご所望だ」

 

ホープの言葉にフリンは肩を竦めながら彼女達に向かっていく。悪魔との会話は随分と久しぶりになるのだが、成功するのだろうか。それだけがフリンには不安だった。

 

「遅れてすまない。どうした?」

 

「んーとね、さっきから見てたんだけど、お兄さんすっごく強いじゃない?ここにいる他の人間も悪魔も目じゃない感じ?」

 

「だよねー。私達なんて、しゅんさつ?されちゃうよー」

 

「人の子の枠組みとしてありえないほどの強さね」

 

妖精ピクシー、妖精ナパイア、天女アプサラス。下級女性系悪魔の代表格と言える三体がフリンを取り囲んできゃいきゃいと盛り上がる。時折フリンの顔に触れ、綺麗だとか女顔だとか言ってくるが、フリンは涼しい顔でむしろ感謝を述べた。

 

「あははっ、でね?今回話しかけた本題なんだけどー」

 

「ズバリお兄ちゃんに聞きます!誰が一番ヒロインでしょうか!」

 

「遠慮しないで正直な気持ちを答えればいいわ。ふふ、まぁわかりきってることだけど」

 

ふむ、とフリンは三体の容姿と先程までの会話から結論をだそうとじっくり見つめていく。正直な話とても答えにくい質問だ。下手したらこの近距離で魔法が飛んできかねない。記憶の中の自分達が女性への返答は気を付けろとささやいてくる。

 

だからフリンはかつて東京で得た『ギャルゲー』という知識を参考にすることにした。これには三番目の記憶の知識も多分に含まれており、色々と偏っていることを彼は知らない。

 

「そうだな……まず言っておくのは、女の子は誰しもがヒロインであいどるなのだ」

 

「えー、なにそれ。決めらんないってこと?」

 

「最後まで聞け。一概にヒロインと言ってもいろいろあるんだ。例えばだな――――」

 

それから語られるフリンのヒロイン講座。姉系、幼馴染系、妹系……三体に当てはまることから順番に説明し、さらにそこから細分化される系統を事例も含めて詳しく話した。最初は何のことやらさっぱりだった三体も次第に聞き入り、それに釣られた他の女性系悪魔も集まってきた。

 

これにはフリンの三人分の経験による会話術もそうだが、王や救世主として培ったカリスマ性や様々な知識も多分に発揮されていた故だった。しかもそれぞれの美点を説明しながら悪魔自身に触れ、徹底的に褒めあげる。頬や顎、髪や腕、様々な場所に巧みなテクニックで触れて悪魔が物欲しそうな顔をしたところでやめるのだ。

 

これには悪魔も不完全燃焼であり、フリンにもっと触って褒めてほしいと彼に近づくがフリンはまた焦らす。しかも時折その溢れんばかりの生命力を微弱に吸わせているのだからもう堪らない。堕ちたな、とフリンは陰でニヤリとした。

 

「――――と、まぁこんな所か。さて、話が終わったなら俺は行くぞ」

 

「ま、待って!ねぇ、このままにして行っちゃうの?」

 

「このままとは?」

 

「~っ!もうっ!わかってるくせに!」

 

顔を赤くして地団太を踏むナパイアだが、フリンは涼しい顔で受け流す。とことんまでの焦らしプレイ。だがそれにもう耐えられなかったのか、頬を上気させたアプサラスが飛び出してフリンにしな垂れかかった。

 

「もう我慢できないわ!ねぇ、自由に出来る姉系の女が欲しくない?」

 

「あ!ずるい!私も!」

 

「私も!」

 

「私も!」

 

「……(計画通り)」ニヤリ

 

こうして女性系悪魔を次々と仲魔にしたフリンは意気揚々とみんなの元に戻っていく。今回の交渉で仲魔になった悪魔は最初の三体に加えて途中参加した天使エンジェル、地霊カハク、妖獣チャグリン、地母神ペレだ。最初はバロウズにストック出来る数が少なかったが、アプリポイントが引き継ぎされていたために難無く収納することが出来た。しかも仲魔強化パックやプラグインなども取得したため彼女達の能力は一気に強化されている。

 

「ん?どうしたんだ皆?」

 

フリンが戻ると新人の男性陣は前かがみになり、ホープは呆れ顔、イザボーは顔を真っ赤にして手にしていたメモ帳を隠した。実は密かにフリンの言う女子力とやらをメモしていたイザボーだった。そして男性陣が前かがみなのは触れないのが鉄則である。

 

「お前というやつは……まったく」

 

「お、お前は大人だな……」

 

「じょ、女性達と、あああのような……」

 

「うらやまけしからんぞ!フリン君!」

 

「そ、そんなに顔に接吻の後を付けて……ふ、不潔ですわ!」

 

フリンがイザボーに言われ顔に触れると確かに彼女達のキスマークが至る所についていた。それをポーチに入れていたハンカチできれいに拭いていると少し香水の匂いが付いてしまったことに気づく。後で洗わなくては、などと思いながら慣れた手つきで処理していく。

 

それを見たホープを除く男性陣は、密かにフリンを尊敬した。

 

「あのようにやれとは言わん。しかし悪魔が仲魔に出来ることは分かったであろう?バロウズのアプリをうまく使い、三体は仲魔にしてくるのだ。そら行け!」

 

多少直りながらも未だ前かがみな三人はそそくさと動きだし、イザボーは真っ赤な顔でバロウズと話し込みながら駆け足で去っていった。なんともわかりやすいことである。

 

「フリン、お前はもう戻って良いぞ。明日もまた別の事を説明する。今日はご苦労だった」

 

「わかりました。では、一足先に寄宿舎へと戻らせていただきます」

 

ホープに一礼し、ナラクから駆け足で去っていくフリン。

 

そうして寄宿舎に到着したフリンを待っていたのは彼女達による猛烈なアピールだったわけだが、当然フリンは一晩かけてそれを征した。お互いスッキリ、片方は腰砕けな結果となったのは言うまでもない。




うちのフリンは私と同じむっつりです(キリッ)

初ニヤリが出ましたが、いかがだったでしょうか?とりあえず女性系悪魔を仲魔にし、今後はちょこちょこ増えていきます。合体もしますしね。

本来のナラクにいない悪魔がいたのは、漫画版から拝借しました。あとは近いレベル帯から持ってきています。正直あれだけのはずがないですし。どっかのガントレットにはアレスが入っていたんですからこれくらいいるでしょう。

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