スッキリした翌日。フリンはすがすがしい気持ちで朝を迎えていた。すでに準備は終えており、再びナラクへの召集がかかってることをバロウズから聞いたフリンは軽い足取りでナラクへと到着した。
「おっ、来たなフリン」
「今回は君で最後だよ。しかし、まだお頭の姿が見えないのだ」
到着した先にはすでに他のメンバーは集まっており、装備の最終点検を行っていた。しかし、その場にホープの姿はなく、フリン達は各々の行動をしつつ待機した。
しばらく後、バロウズの通信画面からホープの指示が下る。
『新人諸君に告ぐ。これより行うのは最後の実地訓練である。周囲の地形を把握し目的を成すのも、サムライに求められる必須事項だ。ナラクの第二層にある貴重品を隠しておいた。それを入手してアキュラ像広場に戻ること。また、これは順位を競ってもらう。先に貴重品を手に入れた者が出次第訓練は終了となる。なお、貴重品に関していらぬ詮索はせぬように。以上だ』
命令を告げ、バロウズのクエストとして登録すると画面が切れる。
「競争か……いいね!やってやろうじゃないの!」
「フリン、今回は僕も負けないよ?」
「望むところだ」
「カジュアリティーズなんぞに僕らのようなラグジュアリーズが負けるはずはない!」
「まったく、殿方って……」
イザボーに呆れられながらナラクへと進んでいく新人一行。昨日の戦闘で慣れてきたのか、フリンが見る限りでは悪魔との戦闘に迷いが無くなり始めていた。ここが一番肝心なところではあるのだが、人間一度痛い目に合わないとわからないものだ。一応目を光らせておこうとフリンは思った。
「よし、準備運動も終了だ。ここからは別れようぜ?」
「そうだね。お頭も競争と言っていた。朝一番の確認も終わったのだから、これからが本番だ」
「殿方ばかりに恰好を付けられるのも面白くありませんわ。負けませんわよ?」
「ふ、ふん!結果はすでに見えているのだよ!」
各々が挑戦的な口調で去っていき、残るはフリン一人。彼はとりあえずペレ、ピクシー、天使アークエンジェルを召喚し、自身の後衛として配置した。ナラクの狭い通路ではこれ以上出すわけにはいかなかったのだ。
「んー、お肌ツヤツヤ!」
「なにするのー?」
「はぁ……あなたを見たらまた……」
三者三様の言葉をかけて引っ付いてくる三体を引き連れ、フリンは軽快にナラクを進んでいく。出てくる悪魔達はペレのマハラギ、アークエンジェルのハマ、ピクシーのマハザンで蹴散らし、時折まだ仲魔になっていない魔獣などを仲魔にしていった。
ちなみにフリンの精を受けた彼らのレベルは軒並み上昇しているため、エンジェルはすでにアークエンジェルへとハイレベルアップを済ませていた。一晩で虜にされた彼女?は堕天を恐れていたが、愛を知ることもまた天使の務めであるとしてフリンのために成長することを選択したのだ。言い包められたとも言う。
「てきとーに倒してるけど、今日は何するの?」
「サムライの最終訓練だ。ナラク二層で探し物」
「なんだ、簡単じゃない。さっさと済ませよーよ」
「しかし警戒を怠ってはなりませんよ。不意打ちで怪我をされては困りますから」
過去のサムライ達が設置していた途中の空き部屋でフリン達は一時的な休憩を取っていた。このナラクは広い。洞窟は曲がりくねった作りになっていて、様々な場所に抜け道がある。記憶にあるのと実際に体験するのではやはり違うことをフリンは改めて実感した。
敵の落としたチャクラドロップをころころと舐めて休憩することしばし。フリン達は二層へと一気に移動できる穴を発見し、飛び降りる。アークエンジェルに先行させて安全も確認しているので問題はなかった。
「よっと」
「ざっと見てきましたが、まだご友人達の姿は見えません。フリン様が一番ですわ」
「ありがとう、それが聞けて少し余裕が持てた」
隣で羽ばたいているアークエンジェルに礼を言い、時折換金できる魔法の遺物を回収しつつ先に進み扉を開けると開けた場所に出る。前を見れば看板があり、『頭上に注意、新たな道を発見したとの報告あり』と書いてあった。
「あ、ピクシーがさ、なんか通れそうなとこあるって」
「私が見つけたんだよー!褒めてー!」
顔にくっつくピクシーを撫で、よくやったと褒めたフリンは看板通りに上を見る。そこには分かり辛いが確かに登れる場所があり、よじ登れば上がることが出来るだろう。しかしフリンの身体能力をもってすればこのくらい他愛ないものだ。三角飛びの要領で壁を蹴り、一気に登りきる。と、同時にフリンはその場を飛び退いた。
そこには狭い通路の中悪霊達がひしめいており、バロウズの解析では「災いの群れ」という群勢型だった。狭い通路で戦うのは得策ではないのだが、フリンは群れの後ろに宝箱を発見した。おそらくあれが今回の目標だろう。
「あー!いきなりなんてずっこい!」
「こんな狭いとこに密集しすぎ!」
「戦闘ですね。フリン様、お怪我はありませんか?」
「問題ない。蹴散らすぞ」
遅れて登ってきた三体と共に戦闘態勢を取るフリン。
唐突だが、サムライ達は悪魔と心を通じ合わせることでその悪魔の魔法やスキルを受け取ることが出来る。ウィスパーイベントと呼ばれるその儀式は、本来人が持ちえない魔法を流し込むことでサムライを強化する方法の一つだ。同じ魔法でも何度も力を受ければ効率を良くすることも可能であるし、上位スキルと交換することも可能だ。もっとも人によってキャパシティが違うために何個も覚えられる者もいれば、数個しか覚えられない者もいる。フリンはもちろん前者であった。
「妖花烈風!」
「マハザン!」
「ヒートウェイブ!」
「マハラギ!」
時折来る物理攻撃を避けながら着々と数を減らしていくフリン達。実はフリン、クーフーリンの鎧を付けてから彼の独自スキルである妖花烈風を使用できるようになっていた。剣であるがゆえに使い勝手は違うものの、剣自体に風を纏わせ、強力な一撃を放つという根本は変わっていない。これも彼からの贈り物であるとして、フリンは好んで使っていた。
疾風属性が弱点だった災いの群れはフリンとピクシーのスキルに加え、撃ち漏らしも確実に仕留めるアークエンジェル、風によって勢いのついたペレの炎によって完全に討ち取られた。
「よっし、しゅーりょー!」
「思ったより楽だったね。私達強くなってるし」
「慢心はいけませんよ。でも、今だけは勝利の余韻に酔うくらいいいですか」
きゃいきゃいと強くなった実感を得た彼女達が盛り上がり、フリンはそれを褒め称える。そして宝箱へと近づき、中を開けると女性ものの指輪が入っていた。それを手に取ると、ホープより通信が入る。
『新人諸君に告ぐ。貴重品の確保を確認した。今回の訓練はこれにて終了とする。アキュラ像広場へと戻ってくるように。以上だ』
『フフフ、また私のマスターが一番よ。他のバロウズに自慢してやろっと』
嬉しそうなバロウズの声を聴きながらフリンは微笑み、指輪をポーチに入れて戻っていく。階段を見つけるのは面倒だったため、途中で仲魔にした魔獣グリフォンを呼び出し、彼の背中に乗って一層へと戻った。撫でてやるととても嬉しそうに鳴くためにフリンは彼等魔獣型を気に入っていた。
「クゥ~ン、サマナー 撫デルノ 上手イ!モット オレサマ 撫デロ!」
「すまん。すぐに広場に向かわないいけないから、帰ってからな。今日はこれで終わりだから我慢してくれ」
「ウムム、仕方ナイ……メス共ヨリモ 先ナノガ 条件ダ!」
「わかってるさ」
帰りに好きな物を聞いて買ってやろうか、などと思いながらグリフォンと彼女達を戻し、ナラクを出る。広場へと向かうと、またもやフリンは最後の到着であった。まぁ、指輪を手に入れるために奥まで行っていたのだから当たり前だが。
「……全員、生還したな」
全員を見渡し、ホープが頷く。するとヨナタンが手を挙げ、ホープへと質問した。
「お頭、帰還命令が出たということは誰かがクエストを達成したのですね?」
「期待させておいて申し訳ないが、この私ではないのだよ!」
「……」
ナバールの茶々が入り、ワルターがげんなりしていたがそれを無視し、ホープはフリンへと近づいて肩を叩く。
「一等は、フリンだ」
ホープが告げるとヨナタン、イザボー、ワルターの三人はそれぞれ称賛し、同時に悔しがった。しかし悔しがることを隠さず告げ、次は負けないと話す彼らに嫌味など微塵も感じない。そしてどこにあったかやどんなものかを聞き出したりと色めき立つも、ホープの咳払いによって我に返った。
「フリン、その指輪は返してもらう。サムライとして、また少し成長したな」
「ありがとうございます」
『クエスト達成、お疲れ様』
ホープに礼を言い、頭を下げるフリン。それにホープは頷くと、今日の訓練の終了を宣言した。そして解散を告げて去っていく。それを見送り、新人同士で向かい合うと、ナバールがフリンへと不機嫌顔で近づいた。
「君、ね。一応おめでとうとは言ってやるけどね。増長はしてくれるなよ?」
「ナバール、悔しい気持ちはわかるが、言いがかりはよそう」
彼の思っていることは、フリンは分かっている。ラグジュアリーズの自分を差し置いてトップとなったフリンが気に入らないのだ。能力面でもフリンが勝っているという事実すら認めたくない。ゆえに、こう口走る。
「……カジュアリティーズのくせに」
「なんだと……?」
「今日の屈辱、忘れないからな!……失礼させてもらうよ」
フリンに肩をぶつけるようにして去っていくナバール。ワルターはそれを厳しい目つきで睨み付けるも、フリンは気にするだけ無駄だと、しかしありがとうと言ってワルターを鎮めた。ワルターは渋々元の位置に戻っていく。
悪くなってしまった空気。それを払拭するためにヨナタンはわざと明るい声で話し始めた。
「皆、気分転換に城の屋上に行かないか?風にでも当たろうじゃないか」
「おっ!賛成だぜヨナタン!俺、一度行ってみたかったんだよな。フリン、お前も行くだろ?」
「あぁ、いいな。イザボーはどうする?」
「悪いけど、私は部屋に戻らせてもらうわ」
「そうか……残念だな。それじゃあまた明日」
「えぇ、また明日」
ヨナタンの提案には結局男子勢三人が賛成し、共に行くことになった。イザボーの不参加にワルターは愛想のない女だと評したが、彼女にも彼女の予定があるとヨナタンが嗜める。そしてヨナタン先導の元三人で屋上に向かう。
そこには国中を見下ろせる絶景が広がっていた。
「おぉ……国中が見下ろせるぞ。まるで王様になった気分だぜ」
「ははは、大げさだなワルター。でも、気持ちはよくわかるよ」
絶景に感嘆の声を上げるワルターにフリンも頷き、見慣れたヨナタンが笑う。そしてしばしゆっくりと景色を眺めた後、ワルターがしみじみと言った具合に声を出した。
「しっかし、驚きの連続だったな。いきなりサムライになれって言われて……いきなり悪魔と戦わされて、まったく面食わされっぱなしだぜ」
「僕も衝撃を受けている。この平和な国に悪魔がいたなんて……修道院にお勤めの父上からもそんな話は聞かされてなかった」
「まぁ俺は田舎で稼業を継ぐなんて嫌だったし、サムライになれてよかったぜ。悪魔との戦いも刺激的で悪くない。俺はサムライが性に合ってるようだ」
「僕もサムライに選ばれた事を光栄に思っているよ。サムライの使命はこの国と民を守ること。やり甲斐のある仕事だ……僕はこの平和がずっと続くよう、生涯をかけてサムライの役務を全うする」
気楽に構えるワルターと、決意を新たにするヨナタン。二人には二人の想いがあって、それは自分が目指すものとは違う。そして彼らはいずれ自分の障害になるだろう。道を違えた友とぶつかり合うのは確実な事である。この最初の一歩をまざまざと見せられた気がして、フリンは少し目を逸らした。
「お前はどうなんだフリン?」
「俺は……まだよくわからない。でも、サムライの仕事が合っているってことは認めるよ。そのために鍛えたのだから。どうやら、村から国に規模が変わってよくわからなくなってるらしい」
ワルターに聞かれ、フリンは咄嗟にそう返す。自分が目指すは秩序でも混沌でもない、どちらも内包した人間と悪魔が共存する世界。それを手伝ってくれることは出来ないか。そう聞ければどれだけ楽か。
「あはは!それはそうさ。でも、君にもそういうところがあるってわかってホッとしたよ」
「だな。お前無表情だからよくわかんないとこあるし」
「ひどいな……」
三人で笑いあい、夢を語るこの瞬間。それぞれが期待に胸を膨らませて明日を夢見る。こんな時間がいつまでも続けばいいのにと、フリンは思わざるを得なかった。
レベルアップについてはレベ99の主人公がクエストクリアした時の経験値の入りようを参考にしてください。わからない方は主人公基準にして経験値が入っていくと思っていただければ大丈夫です。レベルごとに必要経験値は違うわけで、それが99を基準として与えられるものだったら?
あとは女性悪魔(同意の元)限定でフリンの精が直接与えられることでスキルアップやステータスアップを行うことが可能です。まぁ、メガテンではお約束ですよね?本来は堕として仲魔にするだけですが、今生を含めて四つの魂を持ち、混沌と秩序両方を内蔵している一種の超人や魔人であるフリンだからこそ出来る事です。そっちも英雄なのは私の作品ではお決まりなので、見ている方はいつもの作者のむっつりかと思ってくだされば(笑)
ちなみにアークエンジェルのイメージに関してはメガテン2とかの感じと同じように思ってください。前書きにもあるように基本的に天使は両性具有で性別チェンジ可能という風にしてますから、あれのお姉さんバージョンと思ってくだされば結構です。
ここからは日記というか喋りたいだけなので読まなくても大丈夫です。
バサラ買いました。大体はネタで知ってたけど初バサラなのでワクテカしてたら予想を裏切らない滅茶苦茶っぷりで笑いながらプレイ中。筆頭や熱血を差し置いて直虎ちゃんを一番にプレイした私は悪くない。そしてオリキャラで直虎ちゃんに勝ってデレるヒロインにしてにやにやするストーリーを一瞬で組み立てた私も悪くない。
あと、今更ながらウォーキングデッド視聴中。面白いですねー。
あそこにデッドライジング、学園黙示録、デッドスペース、フォールアウト3、NVといった殺伐とした世界を転生しまくって目が死んでる見た目バイオのレオン君の主人公をぶち込みたくなった。バイオだと思って引き継いだアイテムや能力をさらに鍛えまくってたけどアンブレラ社なんてねーじゃんと、軍を辞めて地元でリックとショーンの後輩として保安官やっててリックへの見舞に向かう途中に発生。パワーアーマー着てミニガンぶっぱ。メルル助ける。
とか。全部妄想です。シリーズ見終わったら書くかも。それか誰か書いてください。