桐須先生が可愛すぎて書きました、後悔はしていない。
まずいまずいまずい‼︎ これは本当にまずい事になっちまった‼︎
いつも通り桐須先生の部屋を片付けた後に勉強を見てもらったのはまぁいいとして、そのまま二人揃って寝こけるとかどんだけだ俺たち‼︎
「平静。唯我くん、とりあえず一度落ち着きましょう。落ち着いて朝食を食べてからこの後の対策を考えるべきよ」
「なんでそんな落ち着いてるんですか先生‼︎ テンパりすぎて一周回って落ち着いたとでも言うんですか‼︎ 朝食なんて摂ってる時間あるわけ無いでしょ‼︎」
「……それもそうね、たしかに時間が無い事だし……仕方ないわ。私の車に乗って行きなさい」
「…………いや…………それはちょっと、ご遠慮願いたいのですが……」
「矛盾。散々時間がないことを説いた君がそれを言うの? 車で行けば遅刻は万に一つもありえないわ」
たしかに時間は大丈夫かもしれませんが俺の心臓は大丈夫ではないんですよ。あのドリフトを思い出したら今でも寒気が……。
「朝食は……ドライブスルーで何か買うとしましょう。育ち盛りの君にはもう少し栄養価の高いものを食べてもらいたいのだけれど、ファーストフードで我慢して」
「……良いんですか⁉︎」
「驚愕っ‼︎ 何をそこまで喜んでいるの‼︎」
「いや、ファーストフードなんて高級品家では食べないものでつい……本当に良いんですか?」
「本来教師が一個人の生徒に奢るというのは良くないのだけれど……君には返しきれないほど色々助けてもらっているから、絶対に内緒よ?」
「勿論です‼︎ ありがとうございます、先生‼︎」
「では手早くシャワーを浴びて来なさい。忙しい朝だとしても身嗜みは重要よ」
ちくしょう‼︎ 返す言葉が見つからない‼︎
「でも……良いんですか? 俺がこの部屋のシャワー使っちゃって」
「愚問。…………今更にもほどがあるわ」
「それもそうですね」
先生に促されるようにシャワーを浴びて即座に制服へ着替える。先生がタオルを用意しておくと言ってくれたが、掃除した次の日にめちゃくちゃにされるのも馬鹿らしいので自分で準備しておく。その事に関して先生は若干むくれていたけれど、女性ってよくわからないね、文乃姉ちゃん。
「お待たせしました、行きましょう」
「当然。少し飛ばすわよ」
あ、俺この先生の車に乗るんだった……免許とったら安全運転にしよう。絶対に。
約束通りファーストフードの朝食を車内で取り先生本人にとっては安全運転なのだろうけれど、俺にとっては寿命が縮む思いをした登校風景となってしまった。車って怖い……いや、厳密に言えば怖いのは桐須先生かもしれないけれど。普段とはまた違う意味で。
「提案。唯我くん、さすがに校内に入って二人で車から降りるというのはまずいと思うの。だから君には申し訳ないのだけれど少し離れたところから降りて徒歩で向かってもらえるかしら」
「そうですね、誰かに見られたら何が発生するかわかったものじゃないので、それで行きましょう」
「悪いわね。じゃあこの辺りで、まぁまたすぐ会うことになるのだけど……行ってらっしゃい」
「…………行って…………きます…………?」
おいなんだこのやり取り、まるで家族……いや深く考えることは無しにしよう。そうそう今日のみんなに教える範囲を復習しておかないとな。
唯我くんを置いてそのまま車を駐車場に入れて、自分の発言がどれほど浅はかだったのか気が付いた。気が付いて、しまった。
「不埒。どうしてあんなことを言ってしまったのかしら……普通にまた後でといえばそれで済む話だったのに……」
唯我くんも唯我くんよ、どうしてあそこで『行ってきます』だなんて返したのかしら。これじゃあまるで……「私と唯我くんが……」いえ、ダメよ。私たちは教師と生徒なのだから‼︎ 最低でも唯我くんが卒業してからじゃないと……。
「困惑。寝不足が祟っているのかしら……こんな思考……意味なんてないのに……」
けれども、唯我くんとならそう言う未来も悪くない……そう思ってしまうのは止められそうにないわね。今日の予定を反芻しないと落ち着けそうにない。