DECADE×IS/世界の破壊者は何を見る――?   作:ちーたら

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 お久しぶりです。ちーたらです。
 この数ヶ月色々と忙しかったことや今後の展開などを考えていたらかなり遅くなりました。
 その色々考えた結果、やはりディケイドならば原作の展開をある程度(もしくは片っ端から)壊していかねばならないと思い立ちました。
 その結果、原作を用いたイベントの圧倒的減少や登場人物のある程度のキャラ崩壊などを引き起こす可能性がありますので、ご注意ください。


RIDE4:IS学園二日目

 一週間。

 一週間しかないと考えるか、一週間もあると考えるか。

 心理学分野でのこの質問はそれなりに有名な話であるが、少なくともセシリア・オルコットは一週間もあると考えているようだ。

 入学式翌日、つまりIS学園一学期二日目。

 マゼンタと黒、白の三色で構成されたバイク、マシンディケイダーを走らせて教職員用の駐車場に停めて登校した士は、学園の校舎に併設された学生寮から出てくる女生徒たちの注目の的になっていることを気にせずに自らが割り振られた教室に入った。

 入って、既に登校していたセシリアに絡まれた。

「あら門矢さん、お早いですのね」

「そっちもな」

 少しばかり皮肉を混ぜた言葉に、セシリアは少し眉をぴくりとさせる。

「……門矢さん、女尊男卑云々の前に、その態度はレディに対して失礼では無くて?」

「生憎、愛想は無い方でな」

 そう言ってトイカメラのフィルムを巻いてシャッターを切る。そうしてから思い出したように、

「そうだ。昨日撮った写真を現像してきた。お前にやる」

 そう言って士は学生鞄の中から封筒に入った二枚の写真をセシリアに渡した。

 渡されて、セシリアはその写真を見てぎょっと目を見開いた。

「な、なんですのこの写真は!」

「なにって、お前の写真だろう」

「ええ、そうですとも。たしかにこれはわたくしですわ。でも、なんなんですのこれは!」

 若干ヒステリー気味に叫ぶセシリア。士に向けて今さっき彼が渡した写真に文句を言う。

 それは無理も無い話だろう。彼女が写っている写真……腕を組んだ仁王立ちのセシリアの姿がぶれている、だけでなく、その体に暈された妙な青色のなにかが心霊写真のように写り込んでいるのだ。

 それは、士が写真を撮ると起こる現象であった。

 写真内の被写体が歪む……一言でいえばそれだけの現象。仮にも写真館で働いている身であった士であるが、彼の撮る写真はいつも何故かこうなってしまう。

 それは彼が単にこの『世界』の人間ではないから、と言うわけでもない。同じ境遇にある夏海や栄次郎、そしておそらくユウスケもこんな奇妙な写真を撮ることは不可能だ。

 結局の所、士は過去に与えられた役割を全うし、様々な世界を巡る新たな旅を始めた今でもその被写体は歪む。原因など不明で、もしかしたらそもそもそんなものは無いのかもしれない。

 なので、理由不明のその現象を、士は自分の解釈で講釈する。

「それは『世界』が俺に撮られたがっていないからだ。『世界』は俺を拒絶している……だからこんな写真になった」

「はぁ……?」

 士の弁に、セシリアは胡散臭い占い師を見るような目を向けてくる。実際、士が分け合って一度記憶を失った際に流れ着いた光写真館での居候時代に、夏海にも同じような反応をよく返されたものだ。

「いらないなら好きにしろ」

 そう言って士は席に座ると鞄から昨日持ちかえった参考書類を取り出した。

「あら、寮に持ちかえってまで勉強したんですの?随分と勉強熱心ですわね」

「俺は寮に入ってなんていない。それに、勉強なんてものもした覚えはないな」

「寮に入っていないって……IS学園は全寮制ですのよ? そんなおかしなことがあるわけ……」

「そんなこと俺が知るか」

 にべも無く言葉を突っぱねる士。セシリアはその言い草に呆れたのか、はたまた言葉を失くしたのか、黙り込んでしまった。

 ――なんなのだ、この男は。

 まるで退屈しのぎに雑誌を読む暇人かのようにIS起動操縦に関する参考書のページをめくる士の姿に、英国代表候補生は奇異の目を向けるしかなかった。

 自分のことを知らなかったことはこの際置いておくとしよう。一応は昨日の彼の言い分にも一理はある。即日でIS学園に入学することになったという話ならISについて調べることはできなくても仕方なく、自分を知らないことにも理解はできる。

 だが彼の立ち振る舞いは、現在の世界情勢……女尊男卑という女が偉く男が偉くないという風潮にそぐわないものだ。

 そしてなによりも、セシリア・オルコットの持つ男性像とは全くの正反対のものでもある。

 セシリアは、士から渡された二枚の写真に目を落とす。ピントの合っていない、ぼやけた自分の姿とそれに纏わりつく青色の何か。霧のように霞んでいるのでそれが何かよくはわからないが、しかしこんな普通ではない現象が普通ではない門矢士という一人の青年がこの世界に生み出した産物であることはまず間違いないことだ。

「……門矢さん」

「なんだ」

「この写真、このセシリア・オルコットが有り難く頂いて差し上げますわ。光栄にお思いなさい」

 そう言うと踵を返し、長い金髪を遠心力で靡かせながら自分の席に戻る。

 幸い、期間は一週間もあるのだ。

 彼の本質を見定めるのに、十分な時間はある。

 

 

 

 

 

 セシリアが傍から立ち去ってから十分余りが経ってから、教室に一夏がやってきた。

「おはよう士。いやぁ、昨日は大変だったぜ」

 やけにさわやかで嬉しそうに話しかけてくる一夏。士は参考書から目を上げて言葉に乗る。

「大変って、何がだ?」

「おう、実は予定してたのより早く寮に入ることになってな。なんか急遽部屋割を変更して箒と相部屋になることになって、俺も悪いんだがトラブルになって部屋から締めだされちゃって、周りはみんな女だけで、もう生きた心地がしなかったぜ」

「呑気だなお前は。昨日姉貴に放課後まで居残りさせられただろ」

「ああ、でも大丈夫だ。山田先生にわからないことは大体聞いたし、とりあえず死ぬ気で頑張れば一週間後には間に合うと思うぜ? それに、箒も協力してくれるらしいしな」

 箒、と聞いて一夏がやってくる五分ほど前に教室に来たポニーテールの少女のことを士は思い出す。

 篠ノ之箒。一夏の話ではISの開発者篠ノ之束の実妹で、ISの開発を転機に転校を余儀なくされてしまったという少女。

 昨日見た感じでは、常に眉間に皺を寄せている張りつめた糸のような少女だと感想を抱いた。一太刀浴びせられるとぷっつりと斬れてしまう、そんな雰囲気。

 嘗て士が旅してきた世界の一つに、強くあろうとしている女性がいた。

 世界に現れた怪物。その怪物に対抗するために戦闘用のパワード・スーツを警察組織内で開発していた女性だ。

 彼女にはパートナーと呼べる男が居て、しかしその男は自らに降りかかった異変に彼女を巻きこまないためにその姿を晦ました。

 そして女性は、その男と共に作り上げたパワード・スーツの実用性を証明し続けようと躍起になっていた。

 もっとも、女性自身に深くかかわったのはユウスケの方で士は故あってそのパートナーだった男の警護をしていたので、これは殆どユウスケからの言葉なのだが。

 まるで、篠ノ之箒は彼女にそっくりだ。

「……一夏」

「なんだ?」

「篠ノ之の事は気をつけておけ。ああいうタイプが一番腹の中に不満をため込むものだ」

「?」

 士の言葉に首を傾げる一夏。その理由を問いただそうとするも、直後にチャイムが鳴り響きSHRが始まった。

 ISについての勉学に追われるうちに、一夏は士の言葉のことなど、すっかり忘却の彼方に追いやってしまった。

 

 

 

 IS学園には複数のIS格闘用のアリーナが存在する。

 IS操縦の実技授業にて使われたり、今月末にあるクラス対抗戦の会場となっていたり、はたまた来月のツーマンセルトーナメントの会場に使われたり、そして一部の申請のあった勉強熱心な生徒が自習実習として使ったり。

 そんな様々な役割を持つ野球場のような観客席まであるアリーナに、一人の少女が腕を組んで仁王立ちしていた。

 肩までは無い短い薄青髪に紅蓮の双眸。どこか大物然とした余裕な雰囲気。

 IS学園生徒最強、生徒会長更識楯無(さらしきたてなし)その人である。

「さて、お姉さんがつい昨日入学したばかりの新入生君をここに呼び出した理由について、本人が一番よくわかっていると思うのだけど、そこのところどう?」

「今時下駄箱に手紙を入れてくるから何かと思ったが随分と物騒な物言いだな。少なくとも俺はここで何かをした覚えは無いが?」

 その生徒会長の眼前にふてぶてしい態度で対峙するのはIS学園の男子用制服に身を包みトイカメラを首から下げた青年、門矢士である。

 現在時刻は十六時半、午後四時だ。今日一日の授業が終わった後、帰宅しようとした士の下駄箱に一通の手紙が入っていたのだ。

 それには第三アリーナに来てほしいという旨の内容が記されており、その通りに来てみたらこうなっている、というのが現状である。

「へぇ、それじゃあお姉さんが聞いた『世界の破壊者』とかいう話は嘘だって言うのかな?」

 楯無の挑発気味の言葉に、士が反応を示した。

 世界の破壊者。

 嘗て士に使われた別称。創造を産むための破壊をする存在である士のもう一つの顔。

 一度はその運命を受け入れて、全ての『仮面ライダー』を敵に回して悪魔と忌み嫌われた、士の破壊面での象徴。

「またそれか」

 だが士はそれに動揺などすることなく、むしろ呆れた感想を持った。

「その話、誰から聞いた……と、言うまでも無いな。見ているんだろ、鳴滝」

 すると士の言葉に反応するかのように、アリーナに銀色のオーロラが発生した。

 その揺らめく蜃気楼かのような現象の奥から影が現れる。その正体は他でも無い、士が嫌という程見慣れてしまった中年男性だ。

 くたびれたコートにチューリップハット、そして親の仇を見るかのような目を士に向けてくる眼鏡の男性、鳴滝。幾度も士たちの前に立ちはだかった預言者を自称する人物だ。

「久しぶりだな、ディケイド」

「なんのつもりだ、鳴滝」

「お前の存在はここにあってはならない」

 いつも通りに士の質問に答えず一方的な言葉をぶつけてくる。

 言いたい事だけを言って気が済んだのか、鳴滝は楯無の方に向き直って言葉を続ける。

「このままではこの『世界』……『ISの世界』はディケイドによって破壊されてしまう。それをここで、ディケイドを斃して止めるんだ」

 楯無は手元に持っていた扇子を広げた。

「一つ聞くけど、門矢君、否定はしないのね?」

「ああ、そうだな。確かに俺は世界の破壊者だ。事実、この世界の法則……ISの起動条件を俺と言う存在が破壊しているしな」

 それは一夏も同様のことだが、そもそも一夏はこの世界の人間である。この世界内でのイレギュラーである一夏と違い、士はこの世界外からのイレギュラーと言えよう。

 それは間違いなく、門矢士という存在が、ISの世界の法則の破壊をしていることになるのだろう……あくまでこじつけであるが。

「それで、どうするんだ」

「まあ、やるしかないわね。私だって、あの子がいるこの場所を、世界を、破壊させるわけにはいかないもの」

 次の瞬間、楯無の体を眩い光が包み込む。

 次の瞬間にそこに存在したのはライダースーツのように体のラインを際立たせる衣装に身を包み、両手両足に機械の手足を装着し、そして巨大な槍――名を『蒼流旋』という――を携えた楯無の姿だった。

 『霧纏の淑女(ミステリアス・レイディ)』。かつてロシアにて『モスクワの深い霧』と呼ばれていた機体を自由国籍取得の際にロシアの代表候補生となった楯無が独自に改造したISである。

「それがお前のISか。大体わかった」

 対し、ISを纏った楯無の姿に怯むことなく士はとある物体を取り出した。

 『ディケイドライバー』。士の力そのものであり、士に仮面ライダーの力を与える装置だ。

 士はディケイドライバーを自分の腰部に押し当てる。その直後にディケイドライバーから伸縮自在のベルトが展開し士の腰に固定される。

 そしてディケイドライバーの両端部にあるパーツを左右に引き、中央部を九十度回転させ、ヴゥン! というエンジンを吹かせるかのような音と共に一枚のカードを『ライドブッカー』から取り出した。

「変身!」

 左手で持ったそのカードの表裏を逆転させ、九十度回転したディケイドライバーの中央部にカードを挿入する。

《KAMEN RIDE》

 ディケイドライバーから音声が流れる。それに自分が何度もしてきたこの行動を脳裏に思い浮かべ、士は両端部のパーツを中央部へと押し戻した。

 九十度、先ほどの軌跡とは真逆の形でディケイドライバーが閉口する。

《DECADE》

そして同時にディケイドライバーにバーコードに双眸がついたかのようなエンブレムが浮かび上がり、そして一瞬の内に一連の現象が巻き起こった。

まず士の体がモノクロ写真のような全身スーツへと包まれた。楯無はそれをフルスキンのISかと一瞬誤認しそうになるが、しかし次に起きた出来事がそれを否定する。

 エンブレムがディケイドライバーに現れたと同時に、士の額の斜め上延長上に現れた半透明の赤系色のクリスタルの材質を思わせる七枚のプレート――奇しくも自分のミステリアス・レイディの装甲の一部に似ている――が全身スーツに包まれた士の頭部に突き刺さったのだ。

 そして、突き刺さってモノクロ写真のようなスーツは変色する。廃墟の外壁のような複眼を思わせる両目はエメラルドグリーンに、斜め掛けしたかのような白と黒の十字周辺の肩のアーマーを含めた一部の色はマゼンタに。そして顔に突き刺さった七枚のプレートは漆黒に。

 士は……否、士の変身した『仮面ライダーディケイド』は二回、両手を打ち合わせてはたきながら言った。

「さあ、始めようか」

 




ライダー情報:仮面ライダーディケイド
【出典】仮面ライダーディケイド
【変身者】門矢士
 平成ライダー十周年記念作品『仮面ライダーディケイド』の主役ライダー。モチーフはバーコード。
 その能力を簡単に説明すれば『他のライダーに変身できる』という一言に尽きる。劇中では昭和ライダーに変身できないという描写があったが、後の映画『仮面ライダー対スーパー戦隊』にて新1号に変身していることから現在は変身できるのかもしれない。
 その正体は士の正体・大ショッカーの大首領の装備であり、言わば対ライダー用ライダー。敵ライダーに対して相性のいい他のライダーの力を行使して倒すことをコンセプトとしているようで、実際に『ディケイド完結編』にて他のライダーの力を行使してスカイライダー、スーパー1、カブト、J、龍騎、ブレイドを一方的に斃し、アルティメットクウガにも相討ち近い形で勝利している。
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