志貴のステータスはロアに生命力奪われてたりなんで耐性がめっちゃ高いです。魔力は型月の魔術師の平均が分からないのでなんとなくですが
ではどうぞ
志貴が最初に感じたのは、椅子が引き抜かれたような感覚だった。
いや、まるで椅子が
そのため座っていた体勢が崩れ、地面に尻持ちをつく。
あの光に包まれた直後のことだったが尻持ちをつけるということは空中に放り出されたとかではないらしい。
暫くして光がやみ、生徒達は各々目を開ける。
ここがどこか。という疑問の前に目を開けた志貴の目には大きな絵画が飛び込んだ。
縦横10メートルはありそうなその絵画には、後光を背負い長い金髪を靡かせてうっすらと微笑む中性的な顔立ちの人物だった。背景には草原や湖、山々が描かれ、それらを包み込むように、その人物は両手を広げている。全くの素人の志貴はその絵の価値を知り得ないが、ここまで大きな絵は初めて見たのでなんとなく気圧されていた。
周りを見てみると、どうやら自分達は巨大な広間にいるらしいということが分かった。白っぽい素材の石なので庶民派の志貴には縁遠い大理石だったりするのかな?なんて考えているあたり志貴はかなり余裕があるらしい。
美しい光沢を放つ滑らかな白い石造りの建築物のようで、これまた志貴には価値の分からない彫刻が彫られた巨大な柱に支えられ、天井はドームのようになっている。
聖堂、いや大きさ的に大がつく。
大聖堂という言葉が自然に浮かぶ荘厳な雰囲気である。
ちょうど視界の隅、そこには唖然、呆然としてへたり込む白崎の姿があった。わけも分からずキョロキョロしている八重樫も確認する。流石に凛とした雰囲気は少し崩れていて、かっこいいがかわいいになっている。
とりあえず双方には怪我はないようなのでほっとした。
そして、おそらくこの状況を説明できるであろう台座の周囲を取り囲む者達へ視線が移る。そう、この大聖堂らしき場所には志貴達クラスの人間だけではない。
少なくとも三十人近い人が、志貴達の乗っている台座の前にいたのだ。まるで祈りを捧げるように跪き、両手を胸の前で組んだ格好で。
彼等は一様に白地に金の刺繍がされた修道服というか法衣のようなものをまとい、傍らに
その中の一人、法衣集団(志貴命名)の中でも特に豪奢で煌びやかな衣装を纏い、高さ三十センチくらいありそうなこれまた細かい意匠の凝らされた
見るからに全員日本人ではないので文化が違うのか?
というかここどこ。
そんなことを考えていれば、その老人は手に持った錫杖をシャラシャラと鳴らしながら、外見に良く似合う深みのある落ち着いた声音で志貴達に話しかけた。
「ようこそトータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」
そう言って、イシュタルと名乗った老人は、好々爺然とした微笑を見せた。如何せんその笑いにレッテルのようなものを感じたが、とりあえず今は気にしないでおこう。
そしてイシュタルはこんな場所では落ち着くこともできないだろうと、混乱覚めやらぬ生徒達を促し、落ち着ける場所ーーーいくつもの長テーブルと椅子が置かれた別の広間へと誘った。
よく分からぬまま生徒達はその部屋にトボトボとした足取りで歩いていった。
既に立っていた八重樫はとりあえず、と言ったように比較的落ち着いた足取りで歩いこうとしたが、未だボケっとしている白崎が目に入ったようだ。
ともすれば俺と八重樫の考えることは同じで二人で白崎の元まで寄っていく。
「香織、とりあえず行きましょう」
「ああ、とりあえず行こう。なにせここがどこだからもわからないんだ。あのイシュタルとかいう人の話ぐらい聞いておこう。立てる?」
俺が手を差し伸べるとなかばその手をしっかり掴み、立ち上がる。
「ーーーうん、そうだね!とりあえず話を聞きに行こう!」
どうやら切りかえたようだ。
流石に緊張や不安はどうしようもないようで笑顔が若干作り笑いのように見えたので、無理するなよ。とだけ言ってみんなが向かった部屋に向かった。
なお、それを聞いた白崎は先ほどの作り笑いと一変して花が咲くような笑顔で「うん!」と言って志貴のすぐ横を歩き出した。それを見聞きしていた八重樫が少しだけ羨ましそうな顔をしたがすぐに気づいて表情を整えていたそうな。
無論それは、志貴の知らないお話。
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ここに案内されるまで、誰も騒がなかったのは未だに認識が追いついていないからだろう。そういう面でさっきの白崎は認識が、理解が早かったのだろう。
気づかなかったが天之河がみんなに声をかけていたらしい。
教師よりも教師らしく生徒達を纏めていたのか俺や白崎、八重樫が追いついた頃には愛子教諭は涙目だった。
全員が着席すると、絶妙なタイミングでカートを押しながら給仕係、いわゆるメイド達が入ってきた。
それを見てなんとも神妙か気持ちになる。
遠野の家にちゃんと帰れたらメイドの一人やふたり見れたのかな...
一度決めた事だったのだ。俺が、遠野志貴が自分で考えて自分で決めたことだったのだ。出来ればまげることはしたくなかった。ここがどこだかもわからない今、自信を持って今日中に帰れるとは思わなかった。
メイドーーーというより遠野の家には置いてきてしまった秋葉がいる。どんなに恨まれていようがまず一度しっかりと謝りたかった。
ーーーしかし、何故だか志貴にはそれが当分は叶わないような気がしてならないのだ。
クラスの男子はメイドを欲望と探究心、いわゆる下心満載で眺め、否。凝視している。
もっともそれを見た女子の視線は氷河期のように冷たいものだったが。
志貴の傍に来て飲み物を給仕してくれたメイドをそんなことを考えながら眺めていると左右から嫌な感覚がして視線を逸らしながら軽く会釈する。
メイドが離れていったあと、恐る恐る左へ、右へと顔を向けると目が全く笑っていないのにニコニコと、いや満点の笑みを浮かべている白崎と八重樫がした。いや、目が笑っていないから減点か?....もしこんなことを考えていたことがバレればただじゃ済みそうにないので満点の笑みを正しい読みであるところの満天の笑み。に訂正しておこう。
志貴はその二人の顔をひとまず見なかったことにした。
全員に飲み物が行き渡るのを確認するとイシュタルが話し始めた。
「さて、あなた方におかれましてはさぞ混乱されていることでしょう。一から説明させて頂きますのでな、まずは私の話を最後までお聞き下され」
そう言って始まったイシュタルの話は実にファンタジーな内容で、どうしようもないぐらい勝手なものだった。
要約するとこんな感じだ。
まず、この世界はトータスと呼ばれている。そして、トータスには大きくわけて三つの種族がある。人間族、魔人族、亜人族である。
人間族は北一帯、魔人族は南一帯を支配していて、亜人族は東の巨大な樹海の中でひっそりと生きているらしい。
この内、人間族と魔人族が何百年も戦争を続けている。魔人族は人間に数は及ばないものの個人の持つ力が大きいらしい。
その力の差で人間に対抗していたのだとか。戦力は拮抗し大規模な戦争はここ数十年起きてないらしいが、最近、異常事態が多発しているという。それが、魔人族による魔物の使役だ。
魔物とは、通常の野生動物が魔力を取り入れ変質した異形のこと、らしい。
実際、その生態はまだ全くわかっていないらしいが、強力な種族固有の魔法が使えるらしい。
ある程度わかりやすく言ってしまえば、犬や猫といった普通の動物がいる中でポ○モンも混じってる世界、ということ。
そしてそのポケ○ン....魔物を人間族に行使できる者はいなかった。使役できてもせいぜい一、二匹程度だという。その常識が覆されたのである。これの意味するところは、人間族側の"数"というアドバンテージが崩れたということ。つまり、人間族は滅びの危機を迎えているのだ。
「あなた方を召喚したのは"エヒト様"です。我々人間族が崇める守護神、聖教教会の唯一神にして、この世界を創られた至上の神。おそらく、エヒト様は悟られたのでしょう。
このままでは人間族は滅ぶと。それを回避するためにあなた方を
そこで一度言葉を切ったイシュタルは、「神託で伝えられた受け売りですがな」と表情を崩しながら言葉を続けた。
「あなた方には是非その力を発揮し、"エヒト様"のご意思の下、魔人族を、打倒し我ら人間族を救って頂きたい」
イシュタルはどこか
....神託。神様のお告げ、みたいな感じだよな。
いろいろと訳が分からなくて混乱しているが、さっき言ってたエヒトとかいう神は人間族の約九割以上に信仰されているらしく。度々降りる信仰を聞いた者は例外なく聖教教会の高位につくらしい。
なんだかよくわからないが、この目の前の老人の信仰心にはとてつもなく危ういものを感じた。異教徒死ね的な。
すると突然。猛然と立ち上がり、抗議する人が現れた。
愛子教諭だ。
「ふざけないで下さい!結局、この子達に戦争させようってことでしょ!そんなの許しません!ええ、先生は絶対に許しませんよ!私達を早く帰して下さい!きっと、ご家族も心配しているはずです!あなた達のしていることはただの誘拐ですよ!」
ぷりぷりと怒る愛子教諭。彼女は今年二十五歳になる社会科の教師で非常に人気がある。
百四十センチ程度の低身長に童顔、ボブカットの髪をはねさせながら、生徒のためにあくせく走り回る様はなんとも微笑ましく、その何時でも一生懸命な菅田と大抵空回ってしまう残念さのギャップに庇護欲を感じる生徒は多いだろう。
"愛ちゃん"と愛称で呼ばれ親しまれているのだが、本人はそう呼ばれるとすぐに怒る。そこは少し"先生"に似ていると思った。
生徒達も愛子教諭の様子を見てすっかり和んでいたようだが、イシュタルの次の一言で凍りついた。
「お気持ちはお察しします。しかし......あなた方の帰還は現状では不可能です」
場に静寂が満ちる。重く冷たい空気が全身に押しかかっているようだ。誰もが何も言われたのかわからないという表情でイシュタルを見やる。
「ふ、不可能って......ど、どういうことですか!?喚べたのなら帰せるでしょう?!」
愛子教諭は叫んだ。
「先ほど言ったように、あなた方を召喚したのはエヒト様です。我々があの場にいたのは、単に勇者様方を出迎える為と、エヒト様へ祈りを捧げるため。人間に異世界へ干渉するような魔法は扱えませんのでな、あなた方が帰還できるかどうかもエヒト様のご意思次第ということですな」
「そ、そんな.........」
愛子教諭が脱力したようにストンと椅子に腰を落とす。周りの生徒達も口々に騒ぎ始めた。
「うそだろ?帰れないってなんだよ!」
「いやよ!何でもいいから帰してよ!」
「戦争なんて冗談じゃねぇ!ふざけんなよ!」
「なんで、なんで、なんで.....」
パニックに陥る生徒達。
かくゆう志貴も平気ではなかった。
とはいえ戦争しろ、なんて突飛なことを言われた時点で嫌な予感がしていたのだ。.....嫌な予感的中して、かつもっとも嫌な真実を告られただけ。
ーーー全然、
ああ、秋葉...俺、最悪一生
誰もが狼狽える中、イシュタルは特に口を挟むでもなく静かにその様子を眺めていた。
だが、志貴はそのイシュタルの目の奥に潜む侮蔑の感情に的確に気づいていた。
まるで、「神に選ばれておいて何故喜べないのか」とでも思っているようだ。
未だパニックが収まらない中、天之河が立ち上がりテーブルをバンッと叩いた。その音にビクッとなり注目する生徒達。天之河は全員の注目が集まったのを確認するとおもむろに話し始めた。
「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないんだ。......俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って、放っておくなんて俺にはできない。それに、人間を救うために召喚されたのなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。......イシュタルさん?どうですか?」
「そうですな。エヒト様も救世主の願いを無下にはしますまい」
「俺達には大きな力があるんですよね?ここに来てから妙に力が漲っている感じがします」
そうだ。実のところ、今なら1回のジャンプで2mぐらい飛べるんじゃないかと思うほどに身体能力が上がっているように感じる。どことなく体調もいいような....?
「ええ、そうです。ざっと、この世界の者と比べると数倍から数十倍の力を持っていると考えていいでしょうな」
「うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も救ってみせる!!」
ギュッと握り拳を作り、そう宣言する天之河。歯がキラッキラしている。
同時に、彼のカリスマは遺憾なく発揮した。絶望の表情だった生徒達が活気と冷静さを取り戻したのだ。天之河を見る目はキラキラ輝いていて、まさに希望を見つけたという表情だ。
女生徒の半数以上は熱っぽい視線を送っている。
正直、戦争なんてまっぴらだ。
イシュタルは天之河がこの集団におけるもっとも影響力のある人間だと見抜いていた。この世界について話す時も"正義"は人間で"悪"は魔人族。と発揮に分けて話していた。
天之河の正確を察したのだろう。こう言ったら、このタイプの人間ならこう反応する、というのがわかっている。
だいたい戦争に正義も悪もない。確かに人間側からしたら魔人達は悪だろうがそれにしたって誇張しすぎだ。
魔人族がどういった存在なのかは知らない。
だけどこれは戦争なんだろ?
それはせいぜい、魔人族が知性体という証明だ。もし相手がコミュニケーションすらまともにとれず「じょうじ」としか喋れないような連中ならこれは戦争ではなく駆除とか抹殺とかそういった類のもののはず。ということは魔人族だってほぼ人間だということになる。もう一度言うがこれは戦争だ。
たかが高校生に人が殺せるか?
ーーーあくまで考えなだけなのでまずは魔人族を見てみたいといけないな。
これを口に出せば、生徒達ももう一度考え直すかもしれないが、天之河のおかげで希望を見出した
いつの間にか話は纏まっていたらしく、生徒達は戦争参加を決意していた。
それを見てイシュタルは満足そうに笑みを浮かべる。
しかしこれは好々爺のような笑みではなく策士としての笑みにも感じられてならなかった。
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戦争参加の決意をした以上、志貴達は戦いの
しかし、そこら辺の事情は当然というべきか先方は把握していたようで、イシュタル曰く、この聖教教会本山がある【神山】の麓の【ハイリヒ王国】にて受け入れの態勢が整っているらしい。
王国は聖教教会と密接な関係があり、聖教教会の崇める神ーーー創造神エヒトの眷族であるしゃ......しゃーばる・ぼーんみたいな名前の人が建国したらしい。(シャルム・バーン)国の背後に教会があるのだからその繋がりの強さがわかるだろう。
志貴達は聖教教会の正門にやってきた。下山してハイリヒ王国にいくためだ。
しかしどうやら志貴達のいる場所は山の頂上らしかった。
山なんて昇ったこともない志貴には高度の高い場所の息苦しさなど、よく分からないものだが、せいぜい今はそんなものを感じないので魔法かなにかのおかげなのかな、と考える。
外に出て気づいたが、北の国だけあって空気が違う。
こう、島国特有のジメジメした暑さや寒さではなく、スッキリしたような感覚だ。気持ちいい。
魔法で階段的なものを作ったイシュタルはどこか誇らしげで、わりと悪い人じゃないんじゃないかとか思うぐらいであった。
生徒達は魔法を見て大興奮。無論志貴もテンションが上がっていた。
八重樫と白崎と軽く談笑しながら歩いていたら気づけば王宮のすぐそこまで来ていた。
ちなみに、魔法の階段は螺旋になっていて傍から見たら本当に神や天使の降臨っぽい感じがするのだろう。いや、この場合"神の使徒"か?
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王宮に入ると、志貴達は真っ直ぐに玉座の間に案内された。教会に負けないぐらい煌びやかな内装の廊下を歩く。道中、騎士っぽい装備を身につけた者や文官らしき者、メイド等の使用人とすれ違うのだが、皆一様に期待に満ちた、あるいは畏敬の念に満ちた眼差しを向けてくる。志貴達が何者なのか、ある程度知っているらしい。
志貴は八重樫と白崎に囲まれて歩くような形になっていたが、集団での位置は前の方だった。ちょうど目の前に天之河がいる。二人に囲まれてるのは天之河的にダメかな?と思ったが、本人は前しか見ていないのでバレていないなら俺も気にしないことにした。天之河って
自分の考えたことながら少し面白くて少し笑ってしまった。
二人にどうした?という目で見られたのでなんでもない、と軽く答えた。
美しい意匠の凝らされた巨大な両開きの扉の前に到着すると、その扉の両サイドで直立不動の姿勢をとっていた兵士?騎士?の二人がイシュタルと勇者一行が来たことを大声で告げ、中の返事も待たず扉を開け放った。
イシュタルは、それが当然というように悠々と扉を通る。
それに続いてせいも入ってゆく。
扉を潜った先には、真っ直ぐ延びたレッドカーペットと、その奥の中央に豪奢な椅子ーーー玉座があった。玉座の前で覇気と威厳を纏った初老の男が
その隣には王妃と思われる女性、その更に隣には十歳前後の金髪碧眼の少年、俺達より二個三個下くらいの年齢の同じく金髪碧眼の少女が控えていた。更に、レッドカーペットの両サイドには左側に甲冑や軍服らしき衣装を纏った者達が、右側には文官らしき者達がざっと三十人以上並んで佇んでいる。
玉座の手前に着くと、イシュタルは生徒達をそこに留まらせ、自分は国王の隣へと進んだ。
そこで、おもむろに手を差し出すと国王は恭しくその手をとり、軽く触れない程度のキスをした。
「?」
普通逆じゃないのか?
と思っていると隣の八重樫が小声で話してくれた。
「建国に宗教が関わってる国だから、王様より教皇の方が立場が上なのかもしれないわね」
それを聞いて納得する。そういえば建国について、そんな話されたな。
納得納得と、すっきりした気持ちでいたら自己紹介が始まった。
国王の名前、王妃の名前ときて王子と王女の名前。
ちなみにその王子が白崎の方を吸い寄せられるように見ていたので、異世界でもこの子は可愛いらしい。
それが済むと晩餐会が始まり、異世界料理を堪能することとなった。あまり地球の洋食と変わらない感じだがなんだか食欲を唆らない色をしたソースとか飲み物がでたがそれはそれで美味しかった。
王子ーーーランデルくんがしきりに白崎に話しかけていたが、やっぱり惚れられたか、と思い軽く「これで女王さまになれるな」というと本人にわりとマジでキレられた。
………なにがダメだったんだ?
晩餐会が終わり解散になると一人一人個室が用意されていたようで、そこに案内された。
天蓋付きのベッドに愕然としたのは俺だけじゃないはず。
それでも普段使う布団の数段気持ち良かったので寝転がってみれば、あっという間に意識を手放すことになったらしい。
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翌日から早速訓練が始まった。(風呂入ってなくね)
まず、集まった生徒達に十二センチ×七センチ位の銀色のプレートが配られた。不思議そうに配られたプレートを見る生徒達に、騎士団長メルド・ロギンスが直々に説明を始めた。
騎士団長が訓練に付きっきりでいいものかと思いメルドに聞いてみたところ"勇者様御一行"に半端者をつかせる訳には行かないらしい。
本人は「むしろ面倒な雑用を副長に押し付ける理由ができて助かった!」と豪快に笑っていたくらいだから大丈夫だろう。副長さんには申し訳ないが………
「よし、全員に配り終わったな?このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」
非常に気楽な喋り方をするメルド団長。彼は
志貴達もその方が気楽で良かった。ゆとりな自分達にはあまりに堅苦しすぎるのは息が詰まるのだ。
「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所有者が登録される。"ステータスオープン"と言えば自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ?そんなもん知らないからな。神代のアーティファクトの
「アーティファクト?」
アーティファクトという聞きなれない単語に天之河が質問する。
「アーティファクトっていうのはな、現代じゃ再現できない強力な能力を持った魔法の道具のことだ。まだ神やその眷族達が地上にいた神代に創られたと言われている。そのステータスプレートもその一つでな、昔からこの世界に普及しているものとして唯一のアーティファクトだ。普通は、アーティファクトと言えば国宝になるもんなんだが、これは一般市民にも流通している。身分証明に便利だからな」
ちなみに、このステータスプレートを作製するアーティファクトも存在していて、毎年、教会の厳重な管理のもと必要に応じて作製・配布されている。お金みたいだな
それ等の説明に「なるほど」と頷きつつ、生徒達は顔を顰めながら指先に針をチョンと刺し、プクと浮き上がった血を魔法陣に擦り付けた。すると、魔法陣が一瞬淡く輝いた。
するとステータスプレートが青と水色の中間ぐらいの色に染った。
それに唖然とす志貴達にメルド団長が説明を加える。曰く、魔力というものはそれぞれ違う色を持っているらしく、プレートに自己の情報を登録すると、所持者の魔力色に合わせて染まるらしい。
ちなみに白崎は
「珍しいのは分かるが、しっかり内容も確認してくれよ」
苦笑いしながらメルド団長が確認を促す。
志貴は自分のステータスプレートに視線を落とす。そこには....
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遠野志貴 十六歳 男 レベル:1
天職:退魔師 殺人鬼
筋力:80
体力:90
耐性:130
敏捷:85
魔力:150
魔防:70
技能:全属性適正・状態異常適正・退魔
術・体術・縮地・気配探知・魔力探知
・限界突破・天職隠蔽・生命力増加・
直死の魔眼・言語理解
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殺人鬼....?
ちょ、ちょっとおいなんだよこれ。どういうこーーー
「遠野くん、ステータスどんな感じだった?」
ーーーとにかく今は隠さねぇと?!
志貴とみんなの関係 志貴視点。
天之河と坂上
天之河
白崎と八重樫と話してるとなんだか申し訳ない。
坂上
いいやつ