殺人貴はトータスに行く   作:あるにき

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どうもこんばんは
お久しぶりです
1話1話を長くかこうとした結果の投稿ペースです。
あと、僕の別の作品を読んでくれている方がいましたらその方達にはアンケートがあります。出来れば参加してもらいたいです。(>人<;)オネガイ





ではどうぞ


いざ迷宮へ

その後なんとかステータスにあった天職隠蔽を使って天職を隠すことに成功した。

正直かなり怪しまれた気もしないでもないが殺人鬼なんて見せられたものじゃない。

なんでも天之川とステータスの平均が同じくらいだったらしくメルド団長にも「規格外な奴め!」と笑われた。嫉妬とかそういうのじゃなかったからよかったけどクラス中から「お前運動出来たっけ?」という目で見られた。白崎は「遠野くんすごーい!」と呑気に驚いてたものの、みんな、天之川なら納得だろうが体育すらろくにやらない、できない俺が天之川と同じくらいの力なのは違和感があるな。俺も申し訳ないが心当たりはない。八重樫は納得、といった顔をしていたが意味わからん。

前の剣道のやつならまぐれだと思うんだが。あと天之川には不満そうな顔で見られた。

 

 

 

ステータスについてだが、技能=才能である以上、先天的なものなので増えたりはしないらしい。唯一の例外が"派生技能"だ。

これは一つの技能を長年磨き続けた末に、いわゆる"壁を越える"に至った者が取得する後天的技能で簡単に言えば出来なかったことが、ある日突然、コツを掴んで出来るようになる。猛烈な勢いで熟練度を増すということだ。

戦闘系の天職は少ないという話だったが、クラスには剣士とかそんな感じの戦闘向きの天職がめっちゃいた。退魔師はグレーゾーンらしい。それじゃあ殺人鬼は....とも考えかけたが、現実を直視するのが嫌になって考えないことにした。

あと死霊術を使える人もいるとか。ちょっと天職の系統にてるなァ。

一人錬成師という奴がいたが、戦闘向きじゃない天職のため檜山達に笑われていた。そう南雲だ。

詳しく聞いてみると、錬成というのは地球で言う錬金みたいなものらしい。確かに戦闘向きじゃなさそうだ。便利そうだが。

剣とか出せたら凄いかもな

 

あと愛子教諭の天職は作農師だったらしいが「この世界の食料関係が一変するかもしれん!!」と教会に連絡を急がせ、メルド団長がどっか行ってしまった。

南雲のステータス一般人レベルだったらしく、愛子教諭にトドメを刺され撃沈している。な〜む。

愛子教諭の生徒のために相変わらず一生懸命だが空回りする姿にほっこりとした。

とりあえず今から始まる訓練のため各自ストレッチから始めるのであった。

 

 

......メルド団長が居ないことに気づいて、一番最初に声を上げたのは天之川だったとか

 

 

 

 

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志貴達がこの世界に来て早二週間。

あと三十分もすれば訓練が始まるが、それまですることも無く部屋のベットに転がっていた。

志貴達は身の安全のためにも城と国立機関、というより王立機関や施設に以外には行けないことになっている。

流石に勇者とその御一行を誘拐なんてしようとする人間はいないだろうにしても、俺達は実践のじの字も知らぬ小僧小娘。

魔人族なんぞの奇襲があればたまったもんじゃない。

そんな理由ですぐに対処しやすい場所にいなければならない。

武器職人がいるということらしいし鍛冶風景を見学したかったのだが、せめて実戦を何度か経験してから、自分の実力に自信を持てるようになってからと言われた。じ多いな。

まず王立図書館に行ってみた。

図書館ははまず日本にはなさそうなバカでかいものでテンションが上がったが司書さんがめっちゃ怖い人だった。

いろいろ見て回っているて、"北大陸魔物大図鑑"なんてものを見つけた。

二冊あったので一冊部屋に持ち出してぼちぼち眺めている。

後はクラスの男子と一緒に王女さまにアプローチをしたり。

....と言ってもひとりじゃ怖いから、ふたりじゃ怖いから、さんにんじゃ.....の勢いで徐々に無関係のやつまで巻き込まれた末である。赤信号みんなで渡れば怖くないの考えだ。それぐらいに王女さまの容姿は整っていて、俺達ぐらいの年齢になればもっと映えるだろうなと思う。

守ってあげたくなる感じで男子からはアプローチするぐらいだからもちろんのこと女子にも人気がある。

現にさっきまで王女さまことリリィちゃんとお茶していた。もちろん他のやつらこみで。

リリィちゃんは有間の家に居た都古ちゃんの2つ3つ年上でどちらかと言うと秋葉と同じくらいの歳だと思う。

こんな子が妹だったらなぁ〜

 

どうやら魔族を倒さなくてもレベルは上がるらしい。

剣を振るうだとか魔法を使うだとかそういうコト。

俺の天職は退魔師だが殺人鬼の影響もあってか後衛ではなく前衛になった。そもそも退魔師の技能、退魔術はこう、杖とか持って呪文唱えたら目の前の幽霊とかが浄化される〜、みたいなものでは無いらしい。

どうやら『人外における物理ダメージアップ』的なもの。

つまり退魔(物理)なのだ。ちなみに技能はステータスプレートの技能欄にある、見たい技能をタップすると詳細がみれる。

誰かが言った、w○kiみたいだと。

 

現在の俺のステータス

 

 

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遠野志貴 十六歳 男 レベル:8

 

天職:退魔師 殺人鬼(隠蔽中)

 

 

 

筋力:162

 

体力:180

 

耐性:260

 

敏捷:178

 

魔力:300

 

魔防:140

 

技能:全属性適用・状態異常適用・退魔

術・体術・縮地・気配探知・魔力探知

・限界突破・天職隠蔽・生命力増加・

直死の魔眼・言語理解

 

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魔力が上がっているのは縮地で遊んだからだ。

技能による縮地は数メートル前後に瞬間移動じみたできるもので、侍とかが使いそうな"技"ではないのだ。

でも楽しい。これで一日遊べるぜ。遊びすぎて倒れたけど。

 

そういえば、この世界に来ての訓練。まして前衛ともなれば武器を使うのは当然で、剣や槍なんか使ってみてどれもしっくりきたというか使いこなせるようになったが、ナイフが一番手に馴染んだ。使ったことなんてないはずなんだが、頻繁に使っていたような感覚がある。気の所為だと信じたいが。

メルド団長にも「バケモノか」と冗談(のはず)で言われたぐらいだ、才能はあるのかもしれない。

普段地球でも所持していたあのナイフも基本ポケットに入ってる。あのナイフには「七ツ夜」と彫られていることから日本製だと言うのは

 

二日目にはどうやら魔法講座なんてやっていたらしいが魔法は最初から捨て気味だったので行かなかったが、その日白崎が掻い摘んで説明してくれた。

この世界、トータスにおいて魔法とは体内の魔力を詠唱により魔法陣に注ぎ込み、魔法陣に組み込まれた式通りの魔法が発動するというプロセスを経る。魔力を直接操作することは出来ず、詠唱すると魔法陣に魔力が流れる。原理はよくわからん。

ということらしい。もし魔力が直接流せたならはるかに実用性が高くなるとかなんとか。

 

神代において、唯一神のエヒトを初めとする神々が神代魔法にてこの世界を創ったと言い伝えられている。

現代の魔法はその劣化版のようなものと認識されている。

そのため、魔法、というか魔力は神からのギフトとされていて、この世界に来てすぐに説明された種族のひとつである亜人族が差別を受けている。

亜人族には魔力がないらしい。

魔人族も同様に亜人族を差別している。

 

(つまり全種族総じて仲悪いってことだよな。ってヤバイ、訓練の時間だ ! )

 

ボケっと物思いにフケていればそろそろ行かないとまずい時間になってきた。

志貴は急いで準備をして、そさくさと部屋を出た。

 

 

 

 

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訓練施設に到着すると既に何人もの生徒達がやって来て談笑したり自主練したりしていた。まだ時間はあったみたいですることもなく自主練してるヤツらを眺めていると坂上に話しかけられて雑談をしていれば、白崎や八重樫、そして天之川がやってきた。そぉ〜と撤退しようとしたがそれを許す八重樫ではなかった。天之川に少し鋭い視線を向けられながらそのグループに混じって話す。天之川はこの世界に来てから前より二割増ぐらいで俺への態度が悪い。

とはいえ無自覚らしく受け答えは割とちゃんとしている。

それから訓練のない時間は何をしてる〜なんて話をしていれば、何やら不穏な空気が漂ってきた。

 

「よぉ、南雲。なにしてんの ? お前が剣持っても意味ないだろが。マジ無能なんだしよ〜」

 

「ちょっ、檜山言い過ぎ ! いくら本当だからってさ〜、ギャハハハ」

 

「なんで毎回訓練に出てくるわけ ? 俺なら恥ずかしくて無理だわ ! 」

 

「なぁ、大介。こいつさぁ、何かもう哀れだから、俺達で稽古つけてやんね ? 」

 

......地球にいても異世界にいてもいじめは続くらしい。

それで何も言わない南雲も南雲だと思わないでもないがいじめられてたらそんなもんか。

 

「あぁ ? おいおい、信治、お前マジ優し過ぎじゃね ? まぁ、俺も優しいし ? 稽古つけてやってもいいけどさぁ〜」

 

「おお、いいじゃん。俺ら超優しいじゃん。無能のために時間使ってやるとかさ〜。南雲〜感謝しろよ ? 」

 

そんなことを言って無理やり方を組み人目につかないところに連行していった。

 

「今のって」

 

「ああ、あのままじゃ南雲が危ないぞ ! 」

 

五人で目配せして南雲が連れ去られた方向に向かう。

見ず知らずの人間なら無視していたかもしれないが、そんなの先生の教えに反する。

 

 

 

志貴にとって最大の行動原理はそこだった。

 

 

 

 

 

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「何やってるの !? 」

 

その声は白崎のものだった。

その声に「やべっ」という顔をする檜山達。

風の噂では檜山は白崎が好きらしいからいじめの現場なんぞ見てせいいものじゃないだろう。

 

「いや、誤解しないで欲しいんだけど、俺達、南雲の特訓に付き合ってただけで........」

 

「南雲」

 

俺が今にも吐きそうな南雲の近くによって背中をさする。

 

「俺はとりあえず南雲も医務室まで運ぶよ」

 

「あ、なら私も」

 

「ありがと。正直医務室までの道うろ覚えだから助かるよ」

 

「ほ、ほんとに誤解なんだって ! 」

 

一瞬にして想い人に蚊帳の外にされて見放されたとでも思ったのか、檜山がいっそう強く弁解する。

しかし白崎の頭は完全に志貴と一緒に医務室に、ということに切り替わっており聞いていない。というか聞こえていない。

 

「誤解ね。それにしては随分と一方的みたいだけど ? 」

 

「いや、それは.....」

 

「香織、遠野君、南雲君のことは任せたわ」

 

「遠野、南雲は俺が運ぶよ」

 

「うんしょっと、ん ? いやいいよ。お前はそこの檜山達をどうにかしてくれ」

 

一応けが人がいる手前あまり長居したくないと、言いながら歩き始めた志貴を止めることは出来ず、すこし目付きが悪くなる天之川だが当人はもちろん、志貴もそれには気づいていない。

それは殺意というよりもっと年相応の嫉妬のようなもの。志貴には見られていることしかわからなかった。

その原因は間違いなく志貴にのこのこついて行く白崎にあっただろう。

 

 

 

 

 

南雲を運び終えたあと、訓練施設に戻ると問題なく訓練が始まり、終わりに生徒達を集合させてメルド団長が野太い声で告げる。

 

「明日から、実戦訓練の一環として【オルクス大迷宮】へ遠征に行く。必要なものはこちらで用意してあるが、今までの王都外での実戦訓練とは一線を画すとおもってくれ ! まぁ、要するに気合を入れろってことだ ! 今日はゆっくり休めよ ! では、解散 ! 」

 

そう言って伝えることだけ伝えるとさっさと行ってしまった。

明日の準備で忙しいんだろう。

ざわざわと喧騒に包まれる生徒達のはじっこで志貴は天を仰ぐ。

 

(......前途多難だなァ)

 

 

 

 

 

 

 

 

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【オルクス大迷宮】

 

それは、全百階層からなると言われている大迷宮のこと。

七大迷宮の一つで、階層が深くなるにつれて強力な魔物が出現する。にもかかわらず、この迷宮は冒険者や傭兵、新兵の訓練に非常に人気がある。それは、階層により魔物の強さを測りやすいからということと、出現する魔物が地上の魔物に比べて遥かに良質な魔石を体内に抱えているからだ。

魔石とは、魔物を魔物たらしめる力の核をいう。強力な魔物ほど良質で大きな魔石を備えており、この魔石は魔法陣を作成する際の原料となる。魔法陣はただ描くだけでも発動するが、魔石を粉末にし、刻み込むなり染料として使うなりした場合と比較すると、その効果は三分の一程度まで減退する。

要するに魔石を使う方が魔力の通りがよく効率的ということらしい。他にも日常生活用の魔法具(アーティファクトではない)などには魔石が原動力として使われる。魔石は軍関係だけでなく、日常生活にも必要な大変需要の高い品なのである。

ちなみに、良質な魔石を持つ魔物ほど強力な固有魔法を使う。固有魔法とは、魔力はあっても詠唱や魔法陣を使えないため多彩な魔法を使えない魔物が使う唯一の魔法。

一種類しか使えない代わりに詠唱も魔法陣もなしに放つことができる。魔物が油断ならない最大の理由らしい。

志貴達は、メルド団長率いる騎士団員複数名と共に、【オルクス大迷宮】へ挑戦する冒険者達のための宿場町【ホルアド】に到着した。新兵訓練によく利用するようで王国直営の宿屋があり、そこに泊まる。

王宮では広すぎる部屋を持て余していたが、宿屋ということもあり普通の部屋だ。

志貴はベッドにダイブして気を緩める。男子のうち一人だけ一人部屋になれるということで男子総出のじゃんけん大会の末、志貴が勝利を収め気楽に一人部屋だ。

明日から早速、迷宮に挑戦だ。今回は二十階層あたりまでらしく俺達のクラスの平均的には問題なくこなせるらしい。

 

なんとなく寝付けなかった志貴は散歩でもするか、と上着を羽織って外に出ようとしたとき、ドアがコン、コン、コンと、三回ノックする音が響いた。ちなみにノックの回数が二回だったらトイレで中に人がいるのかを確認するためのものらしい。

控えめな音だったためなんとなく女子な気がした。

 

「遠野くん、起きてる ? 白崎です。ちょっと、いいかな ? 」

 

やっぱりな、と自分の推理が当たったことを喜ぶ志貴。気分は洗脳探偵だ。

 

「起きてるよ。こんばんは、白崎」

 

既にドアの付近にしたため言いながら開けると、そこには純白のレグリジェにカーディガンを羽織っただけの白崎香織が立っていた。

夜中にこんな格好で男の部屋に入るもんじゃないだろ、と思ったがそれを口にすれば話が進まない気がしたのであえて言わなかった。

 

「うん、こんばんは」

 

「とりあえず入ってくれ。寒いだろ」

 

「じゃ、じゃあ....お邪魔します」

 

少し顔を高揚させているような気もするが自分の服装に気づいたのかもしれない。

でも、やっぱり口に出してはいけないと直感が囁いていた。

 

「はい、いらっしゃい」

 

煩悩の全てを一旦振り払った渾身のいらっしゃい。

その一言に安心でもしてくれたのか嬉しそうに部屋に入り、窓際のテーブルセットに座った。

そさくさとお茶を用意する。といっても部屋に置いてあったティーバックみたいなものだが。

自分の分と白崎の分の二つのコップを持ってテーブルに向かい、片方を白崎の手前に置く。俺は真正面の向き、白崎とちょうど対面する形になるように椅子を動かして座る。

白崎は根はしっかりしているが性格的には少し下といった印象があるためあまり緊張しない。これは八重樫とかならドギマギしていたかもしれないが。しかし八重樫も女の子なので可愛いものが好きな一面を知っている。結局どちらでもあんまり緊張しないな、と考えた。

 

ポニーテールって最近見かけないけど好きなんだよね。

 

「それで、話したいって何かな。明日のこと ? 」

 

志貴の質問に「うん」と頷き、白崎はさっきまでの笑顔が嘘のように思い詰めたような表情になった。

 

「明日の迷宮だけど.....遠野くんには町で待っていて欲しいの。教官達やクラスの皆は私が必ず説得する。だから ! お願い ! 」

 

話しているうちに身を乗り出した白崎を見て志貴は困惑する。

 

「えっと......理由を聞いてもいいか ? 少なくとも足でまといにならないぐらいにステータスは高いんだけド、俺」

 

「そ、そんなんじゃないの ! 遠野くんはクラスでも指折りに強いよ ! 」

 

それはオーバーだと思いながらも、俺を励ますための言葉だろうし素直に受け取る。

本人は自分でも性急過ぎたと思ったのか、手を胸に当てて深呼吸する。少し落ち着いたようで、「いきなり、ゴメンね」と謝り、静かに話し出した。

 

「あのね、何だか凄く嫌な予感がするの。さっき少し眠ったんだけど......夢をみて......遠野くんが居たんだけど......声を掛けても全然きづいてくれなくて......走っても全追いつけなくて......それで最後は......」

 

白崎はその先を口に出すことを恐れるように押し黙った。志貴は落ち着いた気持ちで続きを聞く。

 

「最後は ? 」

 

白崎はグッと唇を噛むと泣きそうな表情で顔を上げた。

 

「......消えてしまうの......」

 

「―――ふぅん」

 

しばらく静寂がこの部屋を包む。

志貴には夢で見たことが白崎香織という少女にとって、どれだけ残酷なことだったのかはわからない。

志貴は基本夢を見ない。

見た夢を覚えていないとかではなく「夢を見ていた」という感覚を感じたことがないのだ。だから所詮は夢だと思ってしまう。

それに元より迷宮に行く時点で死なない確証なんてないのだ。

いちいち気にしていたらキリがない。そのためから返事のような言葉を発していた。

 

「夢は夢だよ、白崎。それに死ぬかもしれないって話ならみんなだってそうだろ ? 迷宮に入るんだから死は覚悟の上だ。

ほら、俺地球にいた頃は病弱だったからさ高校に入ってからはかなり減ったけど小中のときは救急搬送なんてよくあることだったんだぜ ? そんな夢見せちゃうぐらい俺ってばひ弱なのかもな」

 

ははは、と笑い話にしようと思ったが、白崎は俯いたまま黙りこくっている。

どうしたもんかと頭を悩ませるがうまい言葉は思いつかない。

 

 

それでも何か言わないといけないと思ったから。

思ったま間のことを口にした。

 

 

 

 

「―――――――――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

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話が終わり白崎が部屋を出る。

白崎は納得した面持ちだ。

軽く見送ってから部屋に戻り、電気を消してベッドに潜る。

明日は大変な日になりそうだな、と呑気に楽観しながら睡魔に飲まれた。

 

 

 

 

――――志貴の部屋を出て自室に戻っていく白崎。その背中を月明かりの影に潜んでいた者が密かに見つめていた。その者の表情が醜く歪んでいたことを知る者は...誰もいない。

 

 

 

 

 

 

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翌朝、まだ日が昇って間もない頃、志貴達は【オルクス大迷宮】の正面入口がある広間に集まっていた。

早起きが苦手な志貴は生憎隣の部屋の坂上が起こしたらしい。赤髪のメイドではなかった。

誰もが少しばかり緊張と未知への好奇心を表情に浮かべている。もっとも、その中の数名は複雑そうな表情で【オルクス大迷宮】の入口を眺めている。

というのも、志貴としては、定番である仄暗く不気味な洞窟の入口というものを想像していたのだが、実際にあったのは、まるで博物館の入場ゲートのようなしっかりした入口であり、どこぞの役所のような受付窓口まであったのである。

役所、というと少し違うかもしれない。要はこれ―――

 

「遊園地とか動物園かなんかだな、まるで」

 

さながら俺達はお化け屋敷に入ろうとする子供か、なんて考えるぐらいには心に余裕が出来つつあった。

制服を着たお姉さんが笑顔で迷宮への出入口をチェックしている。ここでステータスプレートをチェックし出入りを記録することで死亡者数を正確に把握するのだとか。戦争を控えた現状、多大な死者を出さない為の措置らしい。

入口付近の広間には露天風呂なども並び立っていて祭りでもやってるみたいだ。

浅い階層は迷宮のいい稼ぎ場所として人気があるようで人も自然と集まる。馬鹿騒ぎした者が勢い余って迷宮に挑み命を散らしたり、路地裏宜しく迷宮を犯罪の拠点とする人間も多くいたようで、戦争を控えながら国内に問題を抱えたくないと冒険者ギルドと協力して王国が設立したとか。入場ゲート脇の窓口でも素材の売買はしてくれるので、迷宮に潜る者は重宝しているらしい。以上、八重樫さんのためになる講座でした。

 

 

志貴は気を取り直して頭を掻くと、一呼吸置いて迷宮へと足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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