雑用係と神造兵器   作:サンダーボルト

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夜の魔力だね、分かるとも!

現在23時が過ぎた深夜のカルデア。戦力の強化をするにあたって再臨素材が足りなくなり、急遽リンゴを食べてレイシフトする事になったのだが、目当ての素材が出ないせいでこんな時間になってしまった。

 

日が変わる前にどうにか終えたは良いものの、晩飯を食べ損ねたせいで腹ペコだ。

 

 

「おかえりだね、ケン!」

 

「おう…」

 

 

向こうから見知った緑髪兵器が小走りで迎えに来た。夜なのに元気な奴だ。

 

 

「僕はケンと会えればいつでもどこでも元気ハツラツのエルキドゥさんさ!」

 

「流れるように心を読むなよ。それより、来てもらって悪いんだが、俺は今から食堂に行くんだ」

 

「食堂?もう閉まっているけど。エミヤかブーディカを叩き起こしてくるかい?」

 

「いや、簡単な物を作って食べるからいいよ」

 

「ケン、僕が言いたいのはそうじゃなくてね」

 

 

少し困った顔をしたエルキドゥ。他の事だとすると、アレだろうか。

 

 

「それなら大丈夫だ。エミヤから鍵を預かってるからね」

 

「そうなのかい?流石ケンだね!でもよく貸してもらえたね」

 

「まあ、物資の調達も俺の仕事だからな」

 

「なるほどねぇ」

 

 

英霊が増えるのは良い事なのだが、それと同時に困った問題も起きた。食堂には常に食べ物が置いてあるため、つまみ食いをする英霊が増えたのだ。

 

一食分くらいなら勝手に使われても特に問題は無いのだが、ごっそり食べ物が減っている事が多々あったため、エミヤ達キッチン担当サーヴァントが所長に直訴して、つまみ食い防止のために冷蔵庫や戸棚に魔術を用いた鍵をかけたのだ。

 

ちなみに俺が何故持っているかというと、食料調達のためにレイシフトしているので特例で鍵を持つことが許されている。当然のことながら、使い過ぎは厳禁だ。

 

 

そんな訳で食堂に行く俺。ちょこちょこ付いてくるエルキドゥ。そしてもう一人、意外と言えば意外な人物がいた。

 

 

「むっ、ケンにエルキドゥか」

 

「……ネロ皇帝?」

 

 

赤セイバーこと、ネロ・クラウディウス。可愛らしいローマの皇帝だ。

 

 

「どうしたんだい、こんな夜中に?」

 

「それは余も聞きたいぞ。そなたらはつまみ食いなどする輩ではないだろうに」

 

「今の今までレイシフトしてたんですよ。それで腹が空いたんで、ここに」

 

「おお、そうか!毎日大義であるぞ、ケン!

余はな、今の今までトレーニングルームでボイストレーニングをしておったのだ!だが、少々白熱しすぎてな…」

 

 

――――グギュルルルルルゥグゴォォォォォォゥグウウゥゥゥゥゥ…

 

 

「…小腹を満たしに来たのだ」

 

「小腹ってレベルの腹の音じゃないんだけど…」

 

「ネロはお腹の中に魔獣でも飼っているのかい?」

 

 

流石に恥ずかしいのか、顔を赤くするネロ。魔獣のうめきを抑えるために食べ物を探しに来たが、鍵がかかっていてどうしたものかと悩んでいたらしい。心なしかアホ毛にも力がない。

 

 

「じゃあ、ついでにネロ皇帝の分も作りますよ」

 

「本当か!感謝するぞケン!余は嬉しい!」

 

 

愛され皇帝は見ているこちらが元気を分けてもらえるほどに喜んでいる。

 

キッチンに移動し、小さめの鍋二つに水を入れて火にかける。エルキドゥとネロは傍らで作業を見守っていた。

 

 

「お湯を沸かして……スープを作るのか?」

 

「カップ麺だね、分かるとも!」

 

「袋麵だよ」

 

「!?」

 

 

何も分かってなかったエルキドゥは置いておいて、湯を沸かしている間に具材を作ってしまおう。

 

フライパンに油を引いて温めて、大量のもやしとキャベツを炒める。塩コショウで軽く味付けし、醤油を一回し分加えて完成だ。

 

 

「それは野菜炒めか?」

 

「焼きサラダかい?」

 

「初めて聞いたぞ焼きサラダとか…」

 

 

ただの具材なので名前は無い。お湯が沸いたところで麺を入れて茹でる。茹で終わったら付属のスープをそのまま鍋に入れてかき混ぜて完成だ。特徴的なにんにくの匂いがキッチンに広がる。良い匂いだ。

 

 

「むあっ!?これはガーリックか臭いぞケン!!……む、だが食欲をそそられる匂いだな…」

 

「夜にそんなの食べて大丈夫かいケン?」

 

「たまには良いさ。さあ食べようか」

 

 

 

ラーメン丼を二つ用意し、鍋の中身を移す。ネロの分を移した後に自分の分を移そうとしたら、期待に満ちた顔をしたエルキドゥがこちらに小さめの丼を差し出してきた。ご丁寧に”えるきどぅ”と名前が書かれたマイ丼らしい。いつの間に作ってたんだろうか。

 

自分の分をエルキドゥに分けてやり、さっきの野菜を山盛りにして乗せる。あとタマモキャットが作り置きしていたチャーシューを少し拝借しよう。今度のレイシフトでニンジンを取ってこなきゃなあ。

 

 

「これで完成か?ケン、もう食べてよいか?」

 

「そうだな。自分で作っておいてなんだが辛抱たまらん。食うぞ」

 

「いただきまーす♪」

 

 

ようやく晩飯にありつけた。にんにくの効いた温かいスープが五臓六腑に染み渡るぜ…。麺と野菜をスープに絡めて食べるが、これも美味い。厚めに切ったキャット特製のチャーシューも格別だ。食堂のラーメンに入っているのも同じものだが、薄く切ってあるからな。食べ応えのある量を入れられるのは俺だけの特権だ。

 

 

「美味しいぞケン!余は今までにこのような物を食べたことが無い!」

 

「ウルクにも無かった味だね。ケンの愛情が感じられる。うん、好きだよ」

 

 

ネロもエルキドゥもご満悦なようで良かった良かった。しかし、俺の愛情ってスーパーで500円位で揃えられるものだったんだな。コスパ最高じゃないか。

 

あっという間にラーメンをたいらげ、お礼を言ってそのまま帰ろうとするネロを引き止める。

 

 

「牛乳飲んで歯磨きしてから帰るんだぞ。にんにく臭いままになるからな」

 

「うむ!エチケットというやつだな!」

 

「ケン、にんにくをありったけ貰っていっても良いかな?イシュタルの部屋にぶち込むから」

 

「駄目だよ」

 

「ちぇー」

 

 

 

今度こそネロと別れ、部屋に戻った俺とエルキドゥ。寝間着に着替えて寝ようとしたところで、エルキドゥが話しかけてきた。

 

 

「ケン、僕の口、にんにく臭くないかい?ちょっと確認してくれないかな」

 

「ん?大丈夫だと思うがなぁ…」

 

「ほら、はーっ」

 

 

息を吐くエルキドゥに鼻を近づけて匂いを確かめる。

 

 

「……やっぱり大丈夫だよ」

 

「本当かい?もっと近くで確かめておくれよ」

 

「心配性だな、お前…」

 

 

しつこく確認してくるエルキドゥの口に、もっと鼻を近づけた。

 

 

「ん……ちゅ♡」

 

 

突如、鼻先にキスをしてきたエルキドゥ。驚きで目を見開く俺の視線の先で、してやったりとにやついている。

 

 

「エルキドゥ…」

 

「ふふ、どうだい?不意打ちのキス」

 

「いや…ムードもへったくれも無いな…と」

 

「んふふ」

 

 

エルキドゥは俺の両手を取り、共にベッドへ転がり込んだ。

 

 

「どんなカタチであっても、君と一緒にいられる事が、僕にとって幸せなのさ」

 

「……俺だってそうだよ。お前と一緒だと楽しい」

 

「両想いってやつだね、分かるとも」




エルキドゥ「もっとイチャイチャしたいよぅ」

ギルガメッシュ「我胸焼けで吐きそう」

キングゥは救済するべき?

  • 助けてあげたい
  • 見殺しにする
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