雑用係と神造兵器   作:サンダーボルト

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キングゥ「サブタイのフレーズって僕のなんだけど」

エルキドゥ「もう僕のだ」


因縁だね、分かるとも!

ふむふむ、シェイクスピアの育成も済んだのなら周回シフトに入れてもいいだろう。孔明先生のシフトを減らしておこう。

 

ダヴィンチちゃんからエルキドゥのヌード写生希望書?本人に聞いて。

 

バベッジとエミヤから装置の部品の催促が来てるな。カルデアの生命線だし、優先して持っていこう。

 

エジソンとテスラからも来てる?個人的な張り合いだから優先しなくてよくってよ、ねえ。…いつか持っていこう。

 

ティーチが軍資金を募ってるって?何してるのかドレイク船長に調べさせよう(ゲス顔)

 

……沢庵の取り寄せ要求がなんでこんなに多いんだ。1日にいくつ食べてるんだ?

 

王様方から内装をもっと豪華にしろと…無理です。

 

あ、マシュから感謝の手紙が……尊い。

 

 

………。

 

 

……………。

 

 

………………………ふう。

 

 

大所帯になったから、サーヴァントからの要望書もこまめに目を通しておかないと、あっという間に溜まってしまう。スタッフからの要望書や立香ちゃんからの報告書もあるし、どんどん片づけていかないと終わらないぞ…。

 

次の書類に目を通そうとしたら、視界が塞がれて真っ暗になった。

 

 

「フォーウフォウ?」

 

「……は?」

 

 

後ろから聞こえる鳴き声。ちょっとびっくりしたが、視界を塞いでいる相手が分かっていれば対処は簡単だ。

 

 

「エルキドゥなんだろ?」

 

「だーいせーいかーい」

 

 

ぱっと視界が開けて振り向くと、謎の生物フォウを頭に乗せて手を振っているエルキドゥがいた。

 

 

「よく分かったね。カモフラージュにフォウを連れてきたんだけど、ケン相手だと意味なかったかな?」

 

「何のカモフラージュなんだ…。エルキドゥの匂いがしたからな、簡単に分かったよ」

 

「ふふ、ちゃーんと身だしなみにも気を遣っているからね」

 

「ほー、感心感心」

 

 

召喚した最初の頃は無頓着だったからな。色々と身の回りの世話をしたんだっけ。

 

 

「ところで何しに来たんだ?用事でもあったのか?」

 

「やっぱり気づいてなかったんだね。もうお昼だよ?」

 

 

呆れたエルキドゥが指差した先、時計の針は12時をとうに過ぎていた。

 

 

「うわ、まったく気づかなかった。なんか気づいたら急に腹が減ってきたぞ…」

 

「だろうと思って呼びに来たのさ、ズボラなマスター君?」

 

 

この間の仕返しとばかりに意地の悪い言い方をするエルキドゥ。ぐうの音も出ない。

 

 

「悪かったなぁ…」

 

「君は僕がいないと駄目だなぁ。さあ、食堂に行こうか」

 

「フォーウ」

 

 

俺の手を引いて食堂へ向かうエルキドゥ。頭の上に乗っかったままのフォウ。

 

 

「今日はフォウも一緒なのか。いつも立香ちゃんやマシュにくっついてるのに、珍しい」

 

「女体はもう充分堪能したんだってさ。ああ、冗談だから叩かないでおくれ」

 

「フォーウ!フォフォーウ!!」

 

 

アホな事を言ったエルキドゥの頭をフォウが肉球でてしてし叩いている。痛そうじゃないし気持ち良さそうだ。

 

昼時の食堂は当たり前だが混んでいる。幾多の英霊がひしめき合う様は正にカオスだ。ジャンヌとマリーは仲良しだし、エジソンとテスラはいがみ合ってエレナに仲裁されている。

今日もセイバー・アルトリアの食事量は常軌を逸しており、反転したアルトリア・オルタは何故かウエイトレスをやっている。

クー・フーリンはいつも通り死んでいる。大量の槍が刺さっているところを見ると、またスカサハにいらん事を言ったのだろうか。

沖田総司は元気に血反吐を吐いていた。いつも通りの日常だ。

 

手を引いたまま列に並び、途中でクー・フーリンを踏みつけてもノーリアクションのエルキドゥは、鼻歌混じりにメニューを手に取った。

 

 

「今日は何を頼もうかなっ。フォウは何が良い?」

 

「フォウ。トンカツフォウ」

 

「思ってたより直球で食べたいもの言ってきたよ…」

 

 

実は普通に喋れるんじゃないだろうか。

 

 

「待たせたな。注文は?」

 

 

応対してきたのはエミヤ。厨房では複数のサーヴァントと調理スタッフがせわしなく動いている。ふと、いつものメンバーがいない事に気づいた。

 

 

「ブーディカはどうしたんだ?」

 

「………」

 

 

渋い表情をするエミヤ。何かあったのだろうか?

 

 

「先程、ネロ・クラウディウスの応対を彼女がしたのだがな…」

 

 

『余はインスタントラーメンを所望するぞ!!』

 

 

そんなことを言ったらしい。余程気に入ったんだろうか。食堂でそれを言うのは自殺行為だと思うんだが…。

 

 

「彼女を厨房裏へ連れて行ったきり、戻ってこない」

 

「あの皇帝、割と馬鹿なんだろうか…」

 

「馬鹿なんだろうねぇ。僕はチキン南蛮、フォウにトンカツを。ケンは?」

 

「から揚げ定食で」

 

「承った。札を持って席に着いていてくれ」

 

 

二人で座れる席を見つけて料理が出来るのを待つ。隣に座ったエルキドゥは、少しこちらに椅子をずらして手を握ってきて、ご機嫌な様子であった。

 

 

「フォフォフォウフォウフォウフォー」

 

 

空いているエルキドゥの片手で撫でられながら、フォウは俺を見て鳴いた。

 

このまま平和に過ごしたかったが、そうは問屋が卸さないのが我がカルデア。楽しそうに待っていたエルキドゥが急に立ちあがった。

 

 

「いっちにー、さんし。にーにー、さんし」

 

 

準備運動を始めた臨戦態勢兵器を不思議そうに見る英霊達。その中にはあのギルガメッシュ王の姿もあり、笑いを堪えているようだった。

 

 

「さて、丁度いいものは……これでいいかな」

 

 

設置されていたゴミ箱を持ち上げ、食堂の入り口付近で待機するエルキドゥ。そこへ――

 

 

「ふんふんふーん♪ごっはんーごっはんー♪エミヤー、本日の日替わり定食はなー……に?」

 

 

スキップしながら現れた、美の女神イシュタル。エルキドゥと目と目が合った瞬間、動きが固まった。そして――

 

 

「イシュタルゥゥゥウウゥゥゥウゥゥゥィィィィイィィァァァ!!!!!」

 

「ぎゃーーーーーーーーーっ!!!!????」

 

 

ゴミ箱をイシュタル目掛けて全力投擲。普段の物腰の柔らかさも一緒に彼方へ投げ飛ばした。

 

イシュタルは素早く身を屈めてエルキドゥからのゴミ箱攻撃を回避。あわやゴミ箱が壁にぶつかりそうになる寸前で、鎖がゴミ箱に絡みついて勢いを殺し、そのままエルキドゥの手元へ戻っていった。

 

危機回避に成功したイシュタルは安堵の息を吐き、次に怒りを漲らせてエルキドゥに詰め寄った。

 

 

「こんの土人形がぁ!!私の顔を見るたび…っていうか、私の行くとこ行くとこに先回りして待ち伏せしてんじゃないわよ!!」

 

チッ、しくじった。やあイシュタル、本日のカルデアは青天の霹靂だ。旅行日和だし金星まで行ってきたらどうだい?そしてそのまま帰ってこないでくれ」

 

「少しは悪びれろ鬼畜土器ぃ!!」

 

 

このイシュタルとエルキドゥは並々ならぬ因縁の間柄であり、ギルガメッシュ王に求婚したものの振られたイシュタルが腹いせに神獣グガランナをけしかけ、それを倒した神罰としてエルキドゥが死んでしまったらしい。盟友を残して死んでしまった事をエルキドゥは今でも気にしているようだ。

 

まあぶっちゃけ完全にイシュタルが悪いので、別に止めたりはしない。周囲になるべく迷惑をかけない程度に仕返しするよう言い聞かせてあるから、大事にはならないだろう。多分。恐らく。ならないといいなぁ…。

 

 

「ちょっとぉ、アンタこいつのマスターなんでしょ!?しっかり手綱握ってなさいよね!暴れ馬より質が悪いわよ!」

 

「僕のケンに近づくなぁ!!!このヤリマン女神!!!」

 

「美の女神だっての!!」

 

 

イシュタルの怒りの矛先がこちらにも向かってきた途端、エルキドゥの怒りも爆発した。ギルガメッシュ王の時の事を思い出してるんだろう。

エルキドゥの余裕が無くなったのを見て、イシュタルが悪い笑みを浮かべたのが見えた。

 

そして俺の傍へと移動し、腕を取ってそのまま抱き着くようにくっついてきた。

 

 

「ね~えケン、あんな泥人形ポイして私のマスターにならない?なってくれたら、とってもイ・イ・コ・トしてあげちゃうわよ?」

 

 

などと誘惑してくる美の女神(笑)だが、自分の状況を理解しているのだろうか?少なくとも、了承しても断っても自分は死ぬ運命にあると思うのだが。

 

 

……コロス。コロスコロスコロスコロスコロスコロス

 

 

殺意1000%のエルキドゥがけたけた笑いながら、宝具の展開準備を始めた。まずい、怒りで我を忘れている!?

ここは俺がマスターとして、自然な感じで収めなくては…。

 

 

「モウシワケアリマセンイシュタルサマ、ワタシハエルキドゥノマスターデスノデ」

 

「え、なにその棒読み…」

 

「アッ、イッケナァイ。モウコンナジカンダ。デハコレデシツレイシマス」

 

「えっ、ちょ、ちょっと!?」

 

 

無理でした。

 

ただの雑用係があの修羅場で自然に振る舞うなんて無理です。顔から火が出そうな程恥ずかしかったが、エルキドゥの手を掴んで速やかに食堂から退散する。

 

大分離れた場所で手を離し、顔を覆ってうずくまった。

 

 

「……恥ずかしい。死にたい」

 

 

あれじゃ笑い者だ。しばらく誰とも顔を会わせたくない。

羞恥心で悶える中、後ろから忍び笑いが聞こえた。

 

 

「……お前ぇ…」

 

「くっくっ……いや、ごめん。僕のためだとは分かってるんだけど…」

 

「そうだよお前のために恥かいたんだよ…なのにお前まで」

 

「ああ、ごめんってば」

 

 

そう謝りながら、頭を撫でてくるエルキドゥ。

 

 

「子供じゃないんだぞ…」

 

「そうだね。この世に二人といない、僕の自慢のマスターさ」

 

 

このままだと延々撫でられそうなので立ち上がる。正面のエルキドゥが愛おしそうに両腕を俺の頭に回したところで、重要な事に気が付いた。

 

 

「あ」

 

「どうしんだい?」

 

「昼飯…」

 

「あっ…」




アルトリア「あの後運ばれてきた料理は私が美味しくいただきました」

フォウ「トンカツカエセフォーウ!!」

キングゥは救済するべき?

  • 助けてあげたい
  • 見殺しにする
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