雑用係と神造兵器   作:サンダーボルト

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「……お前、意味分かってて言ってるか?」

「…?ちゅんちゅん♪」

「(可愛い)」

「和んでいる場合か早急に意味を教えろ雑用係!!放っておけばそやつは洒落にならぬ誤解を皆にばら撒くぞーーーーー!!!!」


朝チュンだね、分かるとも!

二人だけのささやかな宴を楽しんだ翌日の朝。ベッドで寝ていた俺はゆっくりと目を覚ました。目線を落とすと、俺に抱き着いて幸せそうにまだ眠っているエルキドゥの寝顔があった。

 

柔らかなほっぺを撫でてやると、エルキドゥは無意識のうちに手のひらに顔をすりすりこすり付けてくる。むず痒い幸福感を堪能し、次に口元に指を当てる。すると何度か甘噛みした後、そのまま咥えてちゅぱちゅぱ吸い付いてきた。

 

……やばい。くっそ可愛い。

 

口元が緩むのが抑えられない。綺麗な緑色の髪を手櫛で梳いてやれば、気持ちよさそうに寝ながら笑っている。

 

そんな感じで寝ているエルキドゥを愛でていたら、エルキドゥの目がぱっちり開いた。急に起きたエルキドゥに驚いて固まる俺の手を、自分で自分の頬に持っていくエルキドゥ。

 

 

「……おはよ、ケン♡」

 

 

しょうがないなぁ、と言いたげな笑顔でそう言われては、俺の心臓は爆発寸前である。暫く俺の顔を眺めながら手の平の温もりを味わっていたエルキドゥだったが、のっそりとシーツをどけて起き上がった。襟から覗き見える艶めかしい鎖骨辺りの肌色が眩しい。

 

 

「とりあえず、シャワーでも浴びて目を覚まそっか?」

 

 

そう促され、マイルームに完備された浴室に入る。軽装のエルキドゥは裸になるのに時間がかからないので、俺の服を脱がすのを楽しそうに手伝ってくる。シャツのボタンを外す時は奥さんのようだ。

 

裸体のエルキドゥは完成された芸術品のような美しさだ。シャワーを浴びているこいつを見ていると思わず目を奪われる。

 

 

「………き、綺麗だ」

 

「そうかい?ありがとう。この体を褒められるのは嬉しいよ」

 

 

エルキドゥは礼を言いつつ、こちらにシャワーをかけて俺の体を洗ってくれる。エルキドゥの体は男に付いているものも女に付いているものも無い。自由に変える事が出来るようだが、俺のナニを見て真似して生やそうとするのは流石に止めた。

理由を聞けば、俺とギルガメッシュ王のナニしか見たことが無いから、生やすならそれをモデルにするしか無いらしい。ちなみにギルガメッシュ王のエアはキングサイズだったと記しておこう。凹む。

 

シモの話はこれくらいにして、シャワーを浴び終わった俺は朝飯の準備をする事にした。備え付けの調理器具で簡単な料理ならここでも作れる。エルキドゥは自分の髪をタオルで優しく拭いている。アイツ曰く、自身のメンテナンスのやり方も学んでいるようだ。

 

 

「何か食べたいものあるか?」

 

「うん?そうだなぁ…あの甘くてふわふわしたパンが良いな。あとタコさんウインナーも付けてね」

 

「あいよ~」

 

 

フレンチトーストをご希望のフレンチ兵器。手早くフレンチ液を作って食パンを浸し、その間にウインナーに包丁を入れてタコ型にして焼いておく。

 

フレンチトーストを焼いている俺に代わり、メンテナンスを終えたエルキドゥがサラダを盛り付けてコーヒーの準備をする。髪を纏めてバンダナを被り、花柄のエプロンをしており気合いが入っている。まあ、サラダは皿に移すだけだし、コーヒーもインスタントなので誰にだってできるのだが。

 

それでもエルキドゥと一緒に暮らしているという実感を得られる作業なので、俺にとっては至福の時間だ。エルキドゥもそう感じてくれていると嬉しい。

 

焼き終わったフレンチトーストの仕上げに蜂蜜をかける。エルキドゥの分には多めに。テーブルに今朝のメニューが揃ったところで、エルキドゥがコーヒーを持ってきた。

 

 

「ケン、お砂糖とミルクはどれくらい入れる?」

 

「ん?いや、いらない」

 

 

片方のカップを受け取ろうとしたのだが……エルキドゥが手を放さない。

 

 

「…ケン。コーヒーは危険な飲み物だ」

 

「……なんて?」

 

「少なくとも何も入れずに飲める代物じゃない」

 

「飲めなかったのかお前…」

 

 

呆れ混じりに返せば、エルキドゥの頬がほんのり朱に染まった。

 

 

「…とっても苦かったんだ。ウルクにはあんな苦い物無かった」

 

「お前が知らないだけで、苦い食べ物とかあると思うけどな」

 

「ケンの味覚は正常かい?こんな泥水そのまま飲もうだなんて、舌に欠陥があるとしか思えない」

 

「うるさいよ子供舌め」

 

 

むくれたエルキドゥが意地でもカップを放そうとしないため、此方が折れて角砂糖を二つ入れたらようやく放した。

 

 

「食うか」

 

「うん」

 

「「いただきます」」

 

 

作りたてで温かい朝食をエルキドゥと食べる。

 

 

「蜂蜜たくさん入れてくれたんだね」

 

「露骨だった?」

 

「ううん、嬉しいよ。ありがとう」

 

「甘いの好きだろう?苦いのが駄目なのは知らなかったけどな」

 

「駄目って訳じゃないよ。あのコーヒーが飲めないだけさ」

 

「まあ、いきなりはキツイか」

 

「ふふ、この可愛いウインナーも美味しいよ」

 

 

赤いタコ型ウインナーを口に運び、顔を綻ばせるエルキドゥ。

 

……長く自然の中で暮らしていたというこいつに対して、動物の肉とか出していいんだろうかと思い訊いたことがある。エルキドゥは少し困ったように笑いながらこう答えていた。

 

 

『家畜とか養殖とか、人間本位のシステムに対して思うところが無いわけじゃないよ。でも、側面を見れば自分たちが飢えないために作りだした仕組みでもあるし、僕がどうこう言っても捨てられないだろう?あまり気にし過ぎないでほしい。

 

……でも、そうだね。ケンが気にしてくれるなら、僕も少し我儘を言っても良いかな?出された物は残さず食べることと、いただきますとごちそうさまを忘れない事。これを守ってくれるかい?』

 

 

自分達が生きるために奪った命に対しての感謝。毎日やれば薄れてしまうだろうけど、それでも無くすことだけはしないでほしいというのがエルキドゥの答えだった。

 

時間に追われている普段ならあまり気にしてもいられないだろうが、今日のように自分に余裕があるのならじっくりと恵みに感謝するのも良い事なのだろう。

 

 

「盛り付けに凝ったものはあっても、このタコさんウインナーみたいに何かを模した食べ物って無かったなぁ」

 

「ほんのちょっとした工夫で出来るけどな。そもそも、王様とその友人相手に出そうなんて考えないだろう」

 

「そうか、僕がこういうの食べられなかったのはギルのせいか」

 

「やめて。刑期が延びる」

 

 

温かな食卓の空気を凍らせたエルキドゥ。心臓に悪いからそういう事言うのは勘弁してほしい。

 

 

「ケンと一緒にいられるなら、僕はずっとこのままでも良いよ?」

 

「馬鹿言え。お前との一生をワンルームで終わらせてたまるか。二人して引きこもりになるつもりかよ」

 

「あはは、ギルに裁かれちゃうね」

 

「だから洒落にならないから」

 

「ごめんごめん。お詫びにはい、あーん」

 

「あーん」

 

 

一口大に切り分けられたフレンチトーストに蜂蜜をたっぷり付けて食べさせてくる。こっちもお返しでフレンチトーストを食べさせてやろう。

 

 

「ほら、あーん」

 

「あーん♪」

 

 

冷静になれば悶絶しそうなやり取りだが、今日は誰とも顔を合わせる必要もないので気にもならない。エルキドゥとのイチャイチャモーニングタイムを満喫し、片づけを終わらせて食休みに入る。

 

 

「ふー…今日は何しよっか?ゲーム?」

 

「それも悪くないな…。でもなあ、朝っぱらからゲームっていうのもな…」

 

 

何かなかっただろうか。適当に部屋の中を漁って使えそうなものを探す。

 

 

「映画見ようよ、映画」

 

「朝の幸せな雰囲気をぶち壊す選択するな」

 

「えー」

 

 

文句を垂れるエルキドゥだが、こいつの好きなジャンルはスプラッター系なのだ。

 

 

『作り物って分かっているけど、ここまでクオリティが高いと見応えがあるね。あ、今の見た?あれはレバーだね。ちょっと巻き戻してもう一回見てみようか』

 

『やめて』

 

『これと同じことくらい、僕にも出来そうだ。ケン、ちょっと待っててね。近くに丁度いいイシュタルがいないか探してくるよ』

 

『やめて』

 

『人型のエネミーも多いし、今度からこうやって戦ってみようかな。こう、手足を引きちぎった後にハツを抉りとって…』

 

『やめて』

 

 

 

こうなる(恐怖)。見るだけなら俺が我慢すればいいが、親友が戻ってきてテンションが上がったこいつが何をするか分かったもんじゃない。最悪、王様の目の前で解体ショーやら活け造りやらが振舞われるだろう。

 

死ぬ(俺が)。

 

今日は平和に過ごすと決めているのだ。王様の気遣いを無碍にするわけにはいかない。

 

 

「ねえ、これは何だい?」

 

「お…」

 

 

エルキドゥが発掘したものはジグソーパズル。今日みたいな日には正にうってつけの物だ。

 

 

「へぇ、一枚の絵をバラバラにして、それをまた組み立てる遊びかあ」

 

「なんとなくここに持ってきてそのままだったやつだ。やるか?」

 

「うん」

 

 

大量のピースをテーブルにばら撒き、完成図を見ながら手探りではめていく。エルキドゥも四苦八苦しながら絵の完成を目指していた。

 

 

「同じように見えてもピースがはまらない。なるほど、興味深い遊びだね」

 

「時間はかかるが、出来た時の達成感は凄いぞ。……そういえば、誰かと一緒にやるのは初めてだな」

 

「ふふ、じゃあ僕がケンの初めてなんだね。分かるとも!」

 

「ソウダネー」

 

「むぅ…適当に返さないでほしいな」

 

「お前はどこからそんなネタを仕入れてくるんだ…」

 

「ケンが貸してくれた漫画」

 

「そうか、俺のせいか」

 

「責任取ってね?」

 

「取ってるだろう」

 

 

そんなやり取りを繰り返し、残るピースはあと僅か。一人の時はもっと時間がかかっていたと思うが、エルキドゥと一緒にやったおかげで早く完成しそうだ。

 

 

「これで最後のピースだね」

 

「そうだな。やっていいぞ」

 

「一緒にやろうよ」

 

「一緒に?…まあいいけど」

 

 

最後のピースを摘まんだ俺の手にエルキドゥの手が重なる。空白にピースをはめて絵が完成した。

 

 

「やったー」

 

「思ったより簡単だったな」

 

「ケンとの努力の結晶だね」

 

「そこまで大袈裟な物か?」

 

 

せっかくなので額に入れて飾る事にした。最初は殺風景だった俺の部屋も、エルキドゥと過ごしていくうちに彩ってきたような気がする。

 

 

「ケン、お昼ご飯はどうしようか?」

 

「あ~…カップ麺でも作るか」

 

 

たまに無性に食べたくなるんだよな。戸棚にあるカップ麺の在庫を確認し、一番食べたいシーフード味を手に取った。

 

 

「お前は何味がいい?」

 

「カレー!」

 

「つくづく恐れを知らないんだな…」

 

 

真っ白な服でカレーをチョイスする勇気よ。ポットからお湯を注ぎ、箸を乗せてワクワクしながら待っているエルキドゥ。

 

3分経ったので蓋を剥がしてカップ麺を食べる。食堂の食事も美味いが、こういったジャンクフード系も中々捨てがたい。

 

 

「美味しいけど、人体にはあまり良くない食べ物だね。ケン、食べるなとは言わないけど食べ過ぎは厳禁だからね」

 

「分かってるって」

 

「約束だからね。ケンには元気でいてほしいんだから。ほら、指切りげんまん!」

 

 

カップ麺を食べるたびに言われている気がするし、指切りまでさせてくる健康兵器。

 

 

「ゆーびきーりげーんまーん、嘘ついたら足を千切って臓物引きずり出してイシュタルに投ーげる!指切った!」

 

 

健康には気を付けないとね(震え声)。エルキドゥの気遣いが身に染みるなぁ(恐怖)。

 

午後はジュースとスナック菓子をお供にゲーム三昧だ。モンスター狩猟系のゲームを二人でプレイする。

 

 

「ケン、欲しい素材があるから手伝ってよ」

 

「いいぞ~。終わったら俺の分も頼むな」

 

「おっけぇ~い(裏声)」

 

「ダヴィンチちゃんの真似かそれ?」

 

「似てたかい?」

 

「60点だな」

 

「ちぇー」

 

 

二人でモンスターを狩りまくり、それでも目当ての素材が出ない事に憤慨しながらゲームを続ける。

 

 

「もう30体は倒してるよ…」

 

「どうしてゲームでまで素材集めしなけりゃならないんだ…」

 

「ケンは雑用から逃れられない運命なんだね」

 

「言うな。泣きたくなる」

 

「おっぱい貸してあげようか?」

 

「胸な、胸」

 

「胸肉?」

 

「パサパサしてそう」

 

「なんだと~」

 

「いてっ、蹴るな蹴るな」

 

 

意固地になって挑戦し続けて数時間、エルキドゥが欲しい素材を俺が取るというアクシデントがあったものの、無事に素材集めを終える事が出来た。

 

 

「ようやく終わったね…。あ、ケンの分が残ってたね」

 

「俺の分はまた今度な…。もう疲れた…」

 

「うん…」

 

 

疲労困憊の俺達は飯を作る気力も無くなっていたので、大人しく食堂で晩飯を頂くことにした。

 

 

「休みだというのに疲れた顔をしているな。あえて理由は聞くまい。人の営みに首を突っ込む猫は噛まれる故。キャット渾身のスタミナ丼を提供しようか?」

 

「そうするか…」

 

「そうだね…」

 

「あい分かった。暫し待っておれ」

 

 

タマモキャットに注文を済ませ、近くのテーブルに座る。隣に座ったエルキドゥがこちらにもたれかかってくるが、突っ込む気力もない。

 

 

「ケン、食堂は混んでるね…」

 

「飯時だからな…」

 

「来るまで時間かかりそうだし、ちょっとしたゲームでもしない?」

 

「ゲーム?なんだ?」

 

「ウルトラ怪獣を順番に言っていくゲーム」

 

「ほお…自慢じゃないが、怪獣にはこだわりがあるんだぞ?」

 

「ふふふ…自信たっぷりだね。じゃあケンから言ってみて?」

 

「よし。最初はベムラー」

 

「ゼットン!」

 

「早い!2話で終わらせるなよ!」

 

「うそうそ。次はバルタン星人でしょ?」

 

「そうだよ。次はネロンガ」

 

「ラゴン」

 

「グリーンモンス」

 

「ゲスラ」

 

「アントラー」

 

「レッドキング」

 

 

意外にも食いついてくるエルキドゥ。魔獣とか相手にしていたから、怪獣にも興味深々なんだろうか?

 

 

「あの…お二人とも、何をしていらっしゃるのでしょうか?」

 

 

白熱している勝負の最中に、メカクレにメガネの少女が話しかけてきた。

 

 

「あ、スカイドン」

 

「いえ、マシュ・キリエライトです」

 

「キリエロイド?」

 

「キリエ!ライト!です!!エルキドゥさん、わざとですか!?」

 

「うん」

 

「認めた?!」

 

 

立香ちゃんと最初に契約したデミ・サーヴァントのマシュが叫ぶ。華奢な体で巨大な盾を振り回す豪快なサーヴァントだ。

 

 

「防人さん。エルキドゥさんに対人コミュニケーションのカリキュラムを受けさせるべきです」

 

「これでもマシになったんです」

 

「いえーい」

 

「防人さんが仰ると重みがあります…」

 

「うむ、キャットも同感だ。スタミナ丼お待ち。そこのなすびも食べるか食べられるか選ぶがよい。あ、ワン」

 

「食べる方に決まっています!防人さん、キャットさんにも同様にカリキュラムを受けさせてください」

 

「無駄かと…」

 

「一刀両断、キャット空中大回転である」

 

「はい。今のやり取りで確信しました…」

 

「ケン、食べようよ~」

 

「じゃあマシュ、俺達は飯食うからこれで…」

 

「あ、はい。ごゆっくりどうぞ」

 

 

そそくさと離れるマシュを見送り、スタミナ丼をかき込む。甘辛いタレに豚肉が絡み、白米と相性抜群で箸が止まらない。

 

 

「美味しいね、ケン!」

 

 

口元をタレで汚して満面の笑みを浮かべるエルキドゥ。全くもって同感だが、もう少し綺麗に食べてほしい。見ていられないので手元のナプキンをエルキドゥに差し出した。

 

 

「エルキドゥ、口汚れてるぞ」

 

「ん~」

 

「…拭けって…」

 

「ん~!」

 

 

顔……というより口を差し出してきた。こいつは自分の体を拭けない呪いにでもかかっているのだろうか。…違うな、髪拭いてたし。

 

 

「じっとしてろよ…」

 

「んふふ」

 

 

放っておくと可哀想な事になるので、エルキドゥの口周りを拭いてやる。……どこからか呪詛が聞こえるのは気のせいだと思いたい。

 

 

「ありがと、ケン♪」

 

「どういたしまして…」

 

 

気持ち早めにスタミナ丼を食べ終え、キャットにごちそうさまを言って部屋に戻る。

 

 

「風呂入るか…」

 

「そうだね~」

 

 

朝にシャワーは浴びたが、やはり湯船に浸からなければ一日が終わった気にならない。お湯を溜めている間に体を洗ってしまおうと思ったのだが…。

 

 

「あわあわ~。お客さん、痒い所はありませんか~?」

 

「エルキドゥ」

 

「なあに?」

 

「泡使い過ぎ」

 

 

体を洗ってくれるのはありがたいのだが、全身泡だらけでギャグみたいになっている。

 

泡を洗い流して一緒に湯船に入る。あまり広くは無いので、エルキドゥを俺が抱きしめる形だ。

 

 

「温かいね」

 

「そうだな」

 

「…こんな一日が、ずっと続けば良いのになぁ」

 

「平和が一番だよな…」

 

 

人理修復が終わった後、俺達は…エルキドゥはどうなるのだろうか。やっぱり座に還ってしまうのだろうか…。思わず抱きしめる腕に力がこもる。

 

 

「ケン?どうしたの?」

 

「いや、何でもない…」

 

 

何でもないと言いながら、エルキドゥの髪に顔を埋める。お日様の香りがする、優しい匂いで落ち着く。

 

 

「ずっと、一緒にいたい…」

 

「僕もだよ?」

 

「エルキドゥ…」

 

「このままだとのぼせちゃうよ?上がろうか」

 

「うん…」

 

 

エルキドゥに連れ出される形で風呂から上がる。寝間着に着替えた俺を膝枕しながら頭を撫でてくれるエルキドゥ。

 

 

「前は膝枕なんてさせてくれなかったのに、ケンも素直になったよね」

 

「まあな…」

 

「いつもお疲れ様。僕でいいならいつでも甘えてくれて良いんだよ」

 

「ありがとう、エルキドゥ…」

 

「明日からまた頑張ろうね。おやすみ、ケン」

 

「ああ、おやすみ…」

 

 

俺の眠気を察したエルキドゥが、膝枕から枕へ頭を移してくれた。その後も撫でられ続け、眠りに落ちるまでその感触を味わい続けた…。

 

 

「……んっ…」

 

 

眠っているケンの唇に、自分の唇を重ねたエルキドゥ。

 

 

「これが愛してるって感情なのかな…。好きともちょっと違う。もっと熱くて、ドキドキする…」

 

 

自分の唇に指を添え、熱のこもった目でケンを見るエルキドゥ。

 

 

「君だけの兵器でいたい。君に好きなように扱ってもらいたい。君になら、どんな酷い事をされたって…。

 

 

…………。

 

 

……ううん、ケンはそんな事しないよね。兵器の僕に、優しくしてくれた君だから」

 

 

寝息をたてているケンに覆いかぶさるように、エルキドゥはその身を預けた。

 

 

「君の温もりをずっと感じていたい…。

 

ありがとう、ケン。兵器の僕には勿体ないくらいの素敵な贈り物をくれて。

 

僕もずっと君の隣りにいたい。甘えたいときは甘えさせてあげるから、今は僕に甘えさせてね…」




まだ書き足りないので連載にしておきます。

キングゥは救済するべき?

  • 助けてあげたい
  • 見殺しにする
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